インドシナニュース

ベトナム:スーパーBig C における繊維製品の仕入中止のサプライヤーへの打撃

ベトナムのスーパーBig Cは現地での衣料品の仕入を中止したが、これは一時的なもので、衣料品事業から撤退する計画はないことを明らかにした。72日、大手スーパーマーケット・チェーンBig Cの親会社であるセントラル・グループは、事業再構築のため、今月「追って通知があるまで」衣料品の仕入を中止する計画であると、ベトナムの現地業者に通知した。

「今回の受注一時停止は、タイのセントラル・グループの方針に沿った衣料品の展開戦略の変更によるものです」

翌日、多数の衣料品・繊維製品サプライヤーが抗議のためにホーチミン市のオフィスを訪れた。Big Cの行動は彼ら企業に大きな損失をもたらし、何千人もの労働者に影響を与えるだろうと反対した。13年間にわたって衣料品を供給してきたViệt Impression JSCĐỗ Thị Thùy Dung社長は、「サイゴン解放(Sài Gòn Giải Phóng)」紙に対して、今回の驚くべき発表からBig Cはサプライヤーに対する好意を持っていないことを証明した、と述べた。供給契約は通常、毎年2月と7月に更新されていたが、630日までBig Cからの通知はなかった、とDung氏は言う。

100人の従業員に何を言えばいいのか、Big C専用の既製品や生地を含む大量の在庫商品をどうしたらいいのかわかりません。」

ホーチミン市衣料・繊維・刺繍・編物協会のPhạm Xuân Hồng会長は、事前通知なしでのBig Cの行動はサプライヤーに大きな損失をもたらすだろうと述べる。彼は、企業はBig Cが契約に従って行動したかどうかを確認し、そうでない場合は訴訟を起こすべきだという。

セントラル・グループはサプライヤーとの会合で、2週間以内に解決策を見つけるべく協力することを約束した。73日のプレスリリースでは、セントラル・グループはBig C Vietnamが衣料・繊維部門を含む小売チェーンのために新しいブランドを開発しており、これを達成するための具体的なロードマップがあると述べ、この計画ではベトナムにおける供給源を見つけることが最優先事項であると主張した。Big C Vietnamはまた製品のポートフォリオと見直し、最高品質のベトナム製品を供給するベンダーを模索している。

Big C Vietnam4000以上のサプライヤーを抱えており、国内市場だけでなく輸出も視野に入れた最高品質の製品を開発するために、200以上の縫製業者と協力しているところです。ベトナムにおける衣料・繊維製品の仕入停止は一時的なものであり、Big C Vietnamはベトナムでの衣料・繊維事業を停止していないことを確認しています」としている。

ホーチミン市商工局のNguyễn Huỳnh Trang副局長によると、商工局はセントラル・グループに報告書の提出を求めており、繊維会社や業界団体が権利を保護するための適切な措置を講じるために完全な情報を要求するという。

セントラル・グループは、2016年にフランスのカジノ・グループから105000万米ドルでBig Cを買収した。また、家電小売チェーンのNguyễn Kimの大株主でもある。



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最終更新:2019年07月05日06:02

ベトナム:欧越自由貿易協定(EVFTA)活用のためには繊維・アパレル部門の支援産業の育成が必要

繊維産業関係者らは、ベトナム・EU間で先ごろ締結された自由貿易協定である欧越自由貿易協定(EVFTA)を最大限活用するため、繊維・アパレル産業を支援する他の生産活動の育成に注意を払うべきだと勧告してきた。

2018年のベトナムの繊維衣料部門の輸出は前年比16%以上の伸びを示し360億米ドルを超え、中国とインドに次ぐ世界第3位の輸出国となった。これらの数字に基づきベトナム繊維協会(VITAS)は、ベトナム繊維衣料部門にとって第2の市場であるEUとの協定を含む数々のFTAのおかげで、2019年に400億米ドルの輸出目標が達成可能であると考えている。

ベトナム繊維協会(VITAS)のVu Duc Giang会長によると、630日にハノイで調印された欧越自由貿易協定(EVFTA)をもって、アパレル製品の年間輸出額は将来的には1000億米ドルを超えられる可能性が見込まれるという。

現在、EUに輸出される繊維・アパレル製品には9.6%の輸出関税が課せられているが、EVFTAが発効すれば、7年間で0%まで段階的に引き下げられる。彼は、EUに繊維・アパレル製品を輸出しているほとんどの国がEUとのFTAを結んでいないと指摘する。従って、もしベトナム企業が原産地要件を満たせば、EVFTAは輸出の巨大な機会を開拓することになる。

ベトナム繊維公団(VINATEX)のCao Huu Hieu常務は、関税が免除されるためには、アパレル製品の製造に使用される原糸がベトナムまたはEUから輸入されていることと、製造工程がベトナムまたはEUで行われていることの2つの条件を満たさなければならないと述べる。ただ、韓国などのEUやベトナムとFTAを結んでいる国の原材料であれば、特恵関税の恩恵を繊維・アパレル製品が享受できると説明する。

ベトナム繊維協会(VITAS)のGiang会長は、欧越自由貿易協定(EVFTA)の原産地規則は環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)ほど厳格ではないが、ベトナム企業の多くは原材料となる生地・糸を生産しておらず、裁断・裁縫といった工程作業に従事しているだけであるため、課題に直面していると指摘する。さらに、ほとんどの生産資材は依然としてEUと貿易協定を結んでいない中国から調達している。

同氏は、欧越自由貿易協定(EVFTA)を活用するためには国内企業が原糸を開発し、繊維・アパレル企業に素材を提供し支援するよう求めた。産業発展のためには、韓国とのFTAを活用するためにも、韓国産生地をもっと使わなければならない。またEVFTAの下で、企業が製品の品質価値を高めるために欧州から原材料を輸入することもできる、と彼は付け加えた。

Garment 10 CorporationThan Duc Viet社長によると、Garment 10EVFTAに高い期待を持っており、この協定を利用する準備を進めているという。Garment 10の総売上高に占める輸出割合は80%であり、輸出全体に占める米国の割合は45%、欧州の割合は35%、日本の割合は10%となっている。今後、受注が増えるため、FTAが発効されればこの数字は変わるだろうし、 国内のサプライチェーンを接続して原産地要件を満たす計画を立てていると彼は述べる。

 

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最終更新:2019年07月04日12:43

ベトナム:なぜ貿易戦争相手の中国以上にトランプに目の敵にされるのか

最近のインタビューで、ドナルド・トランプ米大統領はベトナムを米国との貿易関係の「最悪の虐待者」であり、ベトナムは中国以上に米国を悪用していると述べた。(注1)

ベトナムは、サプライチェーンが中国から移転する中で最大の勝者であると広く信じられている。中国では人件費の上昇と環境保護規則の厳格化のため、多くの衣料品、プラスチック、玩具、電子機器メーカーが工場をベトナムに移した。

しかし、なぜすべてのアジア諸国の中でベトナムが?

インド、パキスタン、インドネシアはベトナムよりも人口が多い。カンボジア、ミャンマー、ラオスのほうが人件費は安く、フィリピンとマレーシアの労働者はより教育を受けているというのに。

一つの理由は、ベトナム政府が積極的に中国式改革を推進し、その経済を開放してきたことにある。また、ベトナムの労働者は、1980年代の中国の労働者と同じように、勤勉で柔軟で従順であると見なされている。

開発途上国として、ベトナムは米国にたくさん輸出しているが、iPhoneTesla車のようなハイエンドの米国製品を消費するにはまだ十分ではない。その結果、両国間の貿易不均衡は急速に拡大している。

昨年のベトナムの米国への輸出は492億米ドルで、米国からの輸入は97億米ドルに過ぎなかった。つまり、395億米ドルの貿易黒字である。

この貿易ギャップは、すでに貿易相手国の中で米国にとって5番目に大きい。米国が中国との貿易赤字が最も大きく、次いでドイツ、メキシコ、そして日本。

ベトナムとの米国の貿易赤字は、2018年から2019年の最初の4ヶ月で44%と急増した。数年後にベトナムがドイツに代わる2番目の国になっても特段驚くことではない。

トランプがなぜベトナムを中国よりも悪い貿易相手国と見なすのか、これで理解できるだろう。

 

(注1)6月29日掲載記事「ベトナム:米中貿易戦争の勝者はトランプの関税政策の次のターゲット」ご参照。

 

 

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最終更新:2019年07月04日05:53

ベトナム:Saigon Co.opがAuchan Vietnamを買収

Saigon Co.opは、18Auchan Vietnam支店の全事業運営を、スタッフも含めて引き継いだ。

Saigon Co.opとフランスの小売業者Auchanは、ベトナムのAuchanの全事業運営の引き継ぎプロセスを完了したと発表した。これにより、Saigon Co.18店舗を買収することになった。そのうち15店舗はAuchanがすで閉鎖し、3店舗は運営をつづけ、現在も利益を上げている。また、Aucom Vietnamの電子商取引プラットフォームおよびオンラインアプリケーションもある。

買収価格は明らかにされていないが、Saigon Co.op社の代表は、双方が価格交渉を終えたと述べた。Saigon Co.opは、2020年の旧正月までこれらの店舗を運営した後、双方はAuchanのグローバル小売チェーンを通じた地元製品の輸出を含む、さらなる協力の機会を模索し、交渉の席に着く。

Auchan Vietnamの従業員および商品を含めた事業全体はSaigon Co.opによって管理される。Auchanの全従業員がSaigon Co.opのスタッフに加わる。

Auchanの買収は、規模と市場シェアの拡大​というSaigon Co.の戦略の一部である。すでに800店舗を持っているが、この契約のおかげで、Saigon Co.opの今年中の1000店舗という目標は、はるかに簡単に達成できる。

Saigon Co.opのマーケティングマネージャであるDo Quoc Huy氏は、同社では18AuchanスーパーマーケットをCo.opmartCo.optra、およびFinelifeに改名すると述べた。

Auchan2015年にベトナムで最初のスーパーマーケットチェーンの展開を始めた。現在、チェーンはハノイ、ホーチミン市、そしてタイニンに18のスーパーマーケットを持っている。

1か月前、Auchanはベトナムからの撤退を発表した。Auchan RetailCEOEdgar Bonte氏はLes Echosに対し、現在18の店舗を売却することを決定したと発表した。同社は現在4500万ユーロ(5040万米ドル)の収益を上げている。

ロイターが報じたように、Auchan3月に、それが厳しい市場環境に直面しているイタリアやベトナムのような損失を出す市場の見直しを行うと明言していた。

 

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最終更新:2019年07月03日13:30

ベトナム:高島屋、事業拡大へ、中国での事業停止

日本の百貨店高島屋は最近8月に上海の旗艦店を閉鎖すると発表した。これは中国からの撤退の決定を示している。東南アジア、特にベトナムは、グループの次の目的地になると見られる。

高島屋は、2016年にホーチミン市に資本金2500万米ドル以上で初出店し、ベトナム市場に参入した。2019年初頭に「投資(VIR)」紙によって報じられた通り、当時の高島屋社長・木本茂氏は、小売業は依然として先々の見込める事業ラインであり、計画に焦点を当ててベトナム、シンガポール、タイで、東南アジアで同社が拡大することを確認した。同社は日々の家族向けサービスを拡大することで売上を伸ばすことを計画しており、2022年までに利益を上げると予想している。

現在、高島屋には、ホーチミン市(ベトナム)、シンガポール、バンコク(タイ)の各1ヶ所ずつに海外3店舗がある。日経新聞によれば、同社の目標は、買い物客を東南アジアのこの3か所でリピーター顧客にすることだという。

ベトナム出店して3年が経ち、高島屋はベトナム国内に別の店舗をオープンする予定だが、新店舗の具体的な場所はまだ明らかにされていない。シンガポールでは、高島屋はすでに同社全体の営業利益の約20%を生み出している。

一方、タイでは高島屋は比較的新しく、1年前の20188月に最初の店舗をオープンしたばかり。

中国では、旗艦店は主に裕福な上海住民を対象にしており、さまざまな高級ブランド商品を提供している。しかし、2011年に中国全土で行われた反日デモは依然として小売業者の活動に支障をきたしていた。

 

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最終更新:2019年07月02日11:48

ベトナム:EVFTA--繊維業界が飛躍的に成長するチャンス

EU-ベトナム自由貿易協定の発効後、ベトナムからEUへの繊維・アパレル製品の輸出は10倍の400億米ドルに増加する可能性がある。

「自由貿易協定施行後、ベトナムは年間400億米ドル相当の繊維・アパレル製品をEUに輸出する可能性があり、潜在的な数字は1000億米ドルほどになります」とベトナム繊維協会(VITAS)のTruong Van Cam副会長は述べた。

EVFTA9年間に亘る交渉の末、630日ハノイで署名され、その直後からEUに輸出されるベトナム製品の70.3%は関税が免除される。

繊維・アパレル製品は現在、EUでは平均9.6%の関税対象となっているが、7年間で徐々に0%に引き下げられる方向である。

EUは米国に次いでベトナムの繊維製品の2番目に大きい輸入国であり、ベトナムからの輸入は年間7から10%の伸びを示している。ベトナム統計局によると、昨年、ベトナムからEUへの総繊維輸出の15%を占め、416000万米ドル相当に当たる。

証券会社Viet Dragon Securitiesは、SaigonTNGViet Tien Garmentなどの大手繊維会社は貿易協定が発効すれば受注が劇的に増加するだろうと発表した。

May 10社のDuc Viet副社長は、原産地証明規則を順守し貿易協定の恩恵を享受するためにヤーンフォワードサプライチェーン内の国内サプライヤーと連携することを計画していると語った。

HSBCベトナムのPham Hong Hai社長は、EVFTAの貿易の優位性により、ベトナムのGDPは年間0.1ポイント上昇すると予想している。

それに加えて、この協定下で義務付けられている高い品質基準はベトナムにおける改革と国際統合のペースを加速するだろう、と同氏は述べた。

しかし、WTOおよびベトナム商工会議所統合センターのNguyen Thi Thu Trang会長は、関税の恩恵は品質基準と原産地規則を満たす商品のみに適用されるのでEVFTAから生じる機会を把握するのは容易ではないと述べた。EVFTAの規則によると、国内価格は最終製品の少なくとも40%を占める必要がある。

ベトナムの弱点である原材料および原料分野の成長を刺激することは問題になる可能性があるが、貿易協定はベトナムの裾野産業へのより多くの外国投資をもたらすはずである、とTrang氏は述べた。

HSBCHai氏はまた、「ベトナムは協定の恩恵を十分に活用するために、真に国内の繊維産業を構築する必要があると認識する必要があります」と述べ、繊維産業がその輸出製品の原料の大部分を輸入に頼っており、国内外の大企業しか国内要件を満たすことができない、という事実について懸念を示した。

ベトナム繊維協会(VITAS)のCam副会長は、中小企業は国内サプライチェーンを形成するために連携し、最終製品が原産地証明規則の要件を満たすようにしなければならない。彼らは世界で最も近代的市場の専門的なやり方に慣れる必要がある、と付け加えた。

 

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最終更新:2019年07月02日06:02

ベトナム:ファッション業界に有益な貿易戦争(後)

(前編より)

 

貿易戦争の恩恵を受けるにふさわしい国

ベトナムとバングラデシュは衣料品製造の中心地として優位にあり、貿易戦争の影響を受けている衣料品小売業者が生産を中国から撤退させることから、自明な選択肢となるだろう。

実際、中国に次いでこれら2国は世界最大の衣料品輸出国である。

Trade Mapのデータによると、2018年の世界の衣料品輸出はベトナムで303億米ドル、バングラデシュで369億米ドルに達した。これは、同年に157億米ドルに達したインドなど、この地域の他の衣料品輸出国よりも突出した数値だ。

ファーストリテイリングがベトナムとバングラディシュでサプライチェーンを拡大するのは、現地のサプライヤーとの既存の関係をすでに育んでいるため、理にかなった動きだ。フィッチ・ソリューションズは、現在進行中の貿易戦争がなくても、小売業者がファッションソーシングのニーズを中国以外に目を向け始めている3つの理由を強調した。

まず、南アジア・東南アジアでの低賃金により、貿易戦争が始まるずっと以前から多くの小売業者が中国での生産水準を下げたことから、コストの低さは明白な理由である。2019年のNational Sourcesによると、ベトナムとバングラデシュの最低賃金は、それぞれ125180米ドルと95米ドルであり、中国の250300米ドルよりはるかに低い。

次に、ベトナムとバングラデシュの両国は、主要な衣料市場への特恵的な貿易アクセスを享受している。例えば、ベトナムはEUと自由貿易協定を締結すると予想されており、これは衣料品と履物の輸出産業に大幅な機会増加をもたらし、税金は0%に下がる見込みである。加えて、ベトナムの繊維部門は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の加盟国へのアクセスからも恩恵を受けるであろう。

また、両国の繊維製造部門は、ファッション産業の供給源として他国からの関心の高まりを支えている。ベトナム繊維協会(VITAS)は、2019年は前年に続き400億米ドルの輸出売上高という産業目標を設定し、これを達成するために285万人の労働者の所得を増加させると述べた。一方、バングラデシュはインフラ投資を行っており、合計100の経済特区を設立している。バングラデシュ政府は、衣料メーカーが最新の国家予算では生産コストの上昇をカバーできないと強調したことを受け、輸出補助金を増額するとみられている。

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最終更新:2019年07月01日12:02

ベトナム:ファッション業界に有益な貿易戦争(前)

フィッチ・ソリューションズのアナリストによれば、米中貿易戦争が激化し、中国からの課税対象輸入品が3000億米ドル増加するという脅威の中、ファッション部門は多大なリスクにさらされていることから、ベトナムとバングラデシュが代替調達国となり利益を得ると予想されている。ベトナムとバングラデシュは衣料品製造の中心地として優位にあり、貿易戦争の影響を受けている衣料品小売業者が生産を中国から撤退させることから、自明な調達先となるだろう。

米国のドナルド・トランプ大統領は最近、中国から米国への輸入品3000億米ドルに対して新たな関税を課すと脅しをかけた。主に工業・商業製品を対象としたこれまでの一連の関税とは異なり、今回は中国からの米国へのすべての輸入品を対象とし、玩具、履物、衣料などの消費財に打撃を与えると予想されている。

フィッチ・グループのマクロ調査部門であるフィッチ・ソリューションズは、55日、ドナルド・トランプ大統領が中国製品の関税を10%から25%に引き上げ、2000億米ドル相当に引き上げると発表したことを指摘した。これに対して中国は、600億米ドルの米国製品に525%の関税を課すことで対応した。

全米小売連盟(NRF)の調査によると、この脅威にさらされている3000億米ドルの関税によって米国の消費者は、衣料品(44億米ドル)、履物(25億米ドル)、玩具(37億米ドル)、家庭用電化製品(16億米ドル)において、毎年122億米ドルの追加料金を支払うことになる。現在、完成品としての衣料品と履物はリストから除外されているが、もしトランプ大統領が3000億米ドル相当の中国製品の関税を引き上げるという脅しを実行に移せば、消費者への影響はすぐに顕在化するだろう。米国は衣料品や履物の中国市場への依存度が高く、輸入品のほぼ40%を中国が占めている。2018年の中国製衣料・履物の米国輸入は前年比1%増の441億米ドルに達した。履物業界だけを見ても、米国は履物全体の53%を中国から輸入している。

 

衣料・履物メーカーの利益

米国企業は既に中国への依存度を減らし、調達元となる新たな市場を探すことで、既知の計画的な関税とサプライチェーンへの影響に対応している。

例えば、Crocs Internationalは米国市場向け商品の中国における生産量を減らし、Ralph LaurenUniqloは中国以外の生産国を探すためサプライチェーンを多様化し始めた。

フィッチ・ソリューションズのアナリストは、UniqloJ Brandなどのブランドを所有するファーストリテイリング社が、貿易戦争が同社の米国事業に及ぼす影響を緩和しようとしていることを明らかにした。ファーストリテイリングは、中国から米国に輸出されている衣料品の生産を、バングラデシュやベトナムなどの南アジアや東南アジア諸国に依存する方向で検討を始める戦略を進めている。米国はファーストリテイリングにとって重要な市場になりつつあり、同社は(関税導入の自明な結果としての)価格上昇が米国消費者の購買行動に与える悪影響を避けようとしている。ファーストリテイリングは、米国市場におけるUniqloの店舗数をほぼ倍増させ、20148月末の25店舗から2019年には52店舗と成長を遂げている。その結果、米国は、Uniqloにとって北米および西欧での最大の市場となりつつある。ファーストリテイリングはベトナム・バングラデシュ市場を、インドネシアと併せて、同社製品の調達先として認識している。ベトナムやバングラデシュへの依存度を高めることは、既に現地工場との関係があるため戦略的にも意味があり、新たな生産市場を見つけるよりも関係強化と容易になる。実際、ファーストリテイリングはすでにベトナムからの調達を増加させており、ベトナムのサプライヤーの数は20172月から20182月の間に40%増加している。

 

(後編につづく)

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最終更新:2019年07月01日06:00

ベトナム:米中貿易戦争の勝者はトランプの関税政策の次のターゲット

最近の米中貿易戦争の勝利者としてのベトナムの名声は、ドナルド・トランプ大統領からの余計な注意を惹いているかもしれない。

Fox Business Networkとのインタビューで、彼がベトナムに関税を課すことを望んでいるかどうか尋ねられたとき、トランプ大統領は言った。

「まあ、我々はベトナムと話し合っています。ベトナムはほぼ最悪の単一国であり、中国よりもはるかに小さいですが、だれにとっても最悪の単一の虐待者です。」

先月、米国財務省はベトナムを、通貨操作の可能性を監視している国のウォッチリストに加えた。米国のベンチマークであるVNインデックスは6271.7%下落し、212日以来の最低値を記録した。

企業は中国事業の縮小または米国の関税引き上げを回避するための移転を検討しているため、ベトナムは輸出と外国投資の急増の恩恵を受けている。しかし、中国の輸出業者がベトナム経由で商品を発送し、関税を迂回するために商品に偽のラベルを貼っているという主張も争っている。

トランプ政権からのより厳しい精査は、貿易依存のベトナムにとって不快かもしれない。米国国勢調査局のデータによると、米国との貿易黒字は2014年以来200億米ドルを超え、昨年の最高記録で395億米ドルに達した。

「ベトナムにはリスクがあります」とホーチミン市に拠点を置く米国の税関ブローカー兼コンサルタントであるNestor Scherbey氏は述べた。「ベトナムの輸入品の30%は中国製の材料と部品で、最終製品の製造に使用されて、その後輸出されるからです。それがリスクです」

ベトナムは米国のireを回避するための措置を講じている。ベトナムは今月初め、米国への輸出のために違法に中国から輸入されベトナム製とラベル付けされた商品への罰金を高くする、と発表した。

ベトナム外務省は、トランプ氏のコメントについての見解を求める質問にすぐには対応しなかった。



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最終更新:2019年06月29日12:25

ベトナム:米中貿易戦争で「連戦連勝」

ベトナムの製造・供給業者は好景気により輸出が急増

ホーチミン市で小さな繊維販売会社を経営するNguyen Huu Phuc氏は、ドナルド・トランプ大統領が2017年に環太平洋パートナーシップ協定から米国を離脱させたとき、自分が「非常に憤っていた」ことを思い起こすが、それから2年後、Phuc氏は米大統領に感謝している。

彼の会社のアパレル製造部門は、シャツ、ズボン、寝間着などの製品の需要急増を受け、今年末までにスタッフを1000人以上に倍増する予定だ。彼は、トランプ氏に感謝すると言う。製造業者、バイヤー、投資家が中国から離れていることから、米中貿易戦争はアジアのどの国よりもベトナムに利益をもたらしている。

「ドナルド・トランプ氏と習近平氏の2国間の貿易戦争は、ベトナムだけでなく、台湾、韓国、ミャンマー、ラオス、カンボジア、バングラデシュといった、繊維産業が盛んな国の状況を改善するでしょう」とPhuc氏は述べた。「それが私たちが多くの投資をする理由です。」

フィナンシャル・タイムズ紙による米国国際貿易委員会(USITC)のデータ分析によれば、今年上半期の米国のベトナムからの輸入は前年同期比で40%近く急増した。これは米国における輸入上位40ヵ国の中で最大の上昇だった。同時期に、米国の中国からの輸入は13%減少し、2009年以来2番目の減少幅となった。繊維だけでなく、魚介類から半導体まで、幅広い分野でベトナムのメーカー・サプライヤーの売上が増加している。米国が対中関税を課している部門が最も大きな利益を上げている。

USITCのデータによると、今年上半期の米国の携帯電話輸入はベトナムからのものが前年同期比で倍増以上、中国からのものは27%減少した。また同時期に、ベトナムからの米国のコンピューター輸入は79%増加し、中国からの輸入は13%減少した。

グローバルにサプライヤーとバイヤーを結びつけることを目指している、グローバル・ソース社のベトナム担当カントリー・マネジャー、Vu Ngoc Khiem氏は、「最近では、中国またその他の国からのバイヤーが、ベトナムやカンボジアなど他国からの代替品を探すことが多く見受けられます」と述べる。Khiem氏によると、ベトナムでの仕入を強化している米国や欧州の小売業者にはHome DepotTargetZaraOBIなどがあり、その商品にはバッグ、アパレル、靴、鉄、アルミが含まれる。ベトナム最大のエビ生産者であるMinh Phu Seafoodのようなベトナム企業にとって「米中貿易戦争は、私たちのビジネスを拡大する多くのチャンスを生み出します」と、創設者でありCEOLe Van Quang氏は述べる。

同社の中国における競合他社は以前、ベトナムやインドから原材料を輸入して現地加工し、米国に輸出していたが、トランプ関税で利益率が低下したため、輸入を止めたという。

USITCのデータによると、今年上半期の米国のベトナムからの魚の輸入は40%以上増加したが、中国からの輸入は減少している。特にベトナムは、関税対象となる製品の多くを生産しているため、恩恵を受けている。

「ベトナムは例外的な位置づけにあり、その理由は中国で関税対象となるのと同じ商品を販売しているからです」とアジア開発銀行(ADB)のチーフエコノミスト澤田康幸氏は述べる。ADBの試算によると、米中貿易摩擦がさらに深刻化すれば、ベトナムのGDP3年間で最大2%増加するという。

貿易戦争は長年続いている兆候を加速させ、中国や米国などの一部の企業は、賃金上昇や労働力不足、他地域での厳しい環境規制から逃れるために、ベトナムに工場を設立した。昨年、ベトナムへの海外直接投資はGDP58%20%近く増加し、過去最高の180億米ドルに達しており、他の東南アジア諸国を上回っている。

「より多くの海外顧客がベトナム製品を求めています。需要は高まっています」とベトナムの繊維メーカーGreenyarnのディレクターQuach Kien Lan氏は述べる。同社は対中繊維関税の引上げを受け、受注が増加している。

しかし、ベトナムの製造業者や政策立案者は、貿易戦争を全面的な勝利とは考えていない。貿易黒字が増加する中、ハノイはすでにトランプ氏の標的になっている。中国、メキシコ、日本、ドイツに次いで今年の第一四半期でベトナムの貿易黒字は43%の伸びとなった。

先月、ベトナムは米国財務省から為替操作者のレッテルを貼られるのを辛うじて避けたところだ。一方、一部の輸出業者は中国製品に「ベトナム製」のラベルを貼り直し、比較的安全な避難地であるベトナムの地位を利用しようとしている。ベトナムの税関当局は今月初めからこのような慣行の取り締まりを行っている。両大国の関係をバランスさせることは、貿易戦争の不確実性を懸念するベトナムの製造業者にとって、そしてトランプ氏にとっての関心事である。

GreenyarnQuach Kien Lan氏は、彼自身のように企業が貿易戦争がどのようにして解決されるのか、あるいはそもそも解決されるのかを知らずに工場や株式に投資しているため、この変化は「望ましいというよりは挑戦的なこと」となるだろうと述べる。

「米中貿易戦争は今年の終わりに終わるかもしれませんし、続くかもしれません」と彼は言う。「貿易戦争が終われば、何が起こるでしょうか?ベトナムとアメリカは貿易協定を結んでいません。では、ベトナムはどうなるのでしょうか?私たちはこの貿易戦争を恐れています。果たしてどのくらい続くのでしょうか。」

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最終更新:2019年06月28日05:47

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