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タイ:ジム・トンプソンの家~Thai Silk社のグローバル展開計画(下)

(中編より)

 

Thai Silk社は、トレンドに敏感な織物やファッションを扱う企業の研究や開拓に多額の投資をしている。こうした投資は前工程の農場、さらには蚕にまで及ぶ。同社で扱うシルクの大半はイーサーン地方の、多くは会社が立ち上げから支援した養蚕場から調達している。これらの蚕はより弾力性があり、養蚕家が高品質の生地に必要な強度を備えた絹糸を生産するのを容易にしている。そして最も高価な商品は手織りで生産されている。「あなたはそこに質感だけでなく、歴史などすべてを感じることでしょう。」とEric氏は言った。

イーサーン地方を訪問した際、このシルク会社の製造責任者であるTamrong Sawatwarakul氏は、ジム・トンプソン農場と生産施設を30分かけて紹介してくれた。会社が新規市場へ参入し、複雑なプリント技術を導入するにつれ設備や機械が導入され、この広大な複合施設は徐々に拡大していった。それでもこの会社は、世界のシルク市場においてはほんの小さな地位を占めているに過ぎない。中国は何世紀にもわたりシルク貿易を支配してきた。 Bill氏は、世界の90%が中国原産で、次いでインドが5%を占めると推定している。「タイのシルクは、ほんの1%しか占めていないかもしれません。」と彼は言った。「それ故、我々が今行っていることが大事なのです。我々は真にラグジュアリーな地位を確立する必要があるのです。それがタイ国外で成功する唯一の方法と考えています。」

Thai Silk社では、タイのシルクとその手織り製品の持つ独特な触感を市場に売り込んでいる。「1940年代にジムが発見したのは、タイのシルクは中国や日本で入手できるシルクとは異なるということです。」とEric氏は言った。「それは手で巻き、手織りし、手で染められています。だから表面が一様ではなく、独特の触感を与えているのです。」 以前市場は小品種大量生産に傾いていたが、最近では職人による製品に関心が向けられている、と彼は続けた。「それが我々の強みなのです。」

5年間でThai Silk社はパリ、ロンドン、香港、シンガポール、上海に店舗を出店する予定であると彼は述べた。 ニューヨークでは昨年末、建築家やインテリアデザイナーを対象に卸売を行うために店舗をオープンさせた。Eric氏は定期的に世界を旅し、卸売業を立ち上げて、デザイナーに生地を提供し、百貨店にも商品を卸している。そしてジム トンプソンレストランもグローバルに展開しようと計画している。「ジム・トンプソンの将来は海外にあります。」と彼は言った。

それはうまくいくであろうか?タイ国内に事例を見つけることは難しい。タイのブランドであるHarnnThannは海外展開を行っている。両社ともスパとマッサージを営む提携会社にローションやクリームを提供している。しかしラグジュアリー商品の小売業という面では、実際の成功事例は見当たらない。またグローバル展開によって、驚くような課題がもたらされるかもしれない。「ジム・トンプソンはすでに強力なブランドです。」とバンコクのブランドマーケティング企業QUOCatherine Monthienvichienchai戦略ディレクターは言った。「彼らには素晴らしい商品と歴史があり、創業者の逸話も魅力的です。」だが、観光客に本物の織物商品を扱うタイ企業と見なされるのは一つの価値である一方で、このままでは海外では同様の評価は得られないかもしれない。「彼らは観光用商品の会社ではないことを示して、このイメージを払拭する必要があるかもしれません。」

Bill氏はその指摘を真実と認めて次のように言った。「こうした取り組みはもっと前にやるべきだったかもしれません。それは理にかなった指摘です。我々は今後、ここタイでいくつの店舗を展開できるでしょうか?世界中にタイのシルクの輝きを示すという使命は、70年前からのトンプソンの願いの続きなのです。彼のDNAは我々のすべてに組み込まれています。」

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最終更新:2018年06月17日

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