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タイ:ジム・トンプソンの家~Thai Silk社のグローバル展開計画(中)

(上編より)

 

しかし45年間にわたりビジネスを構築し、空港、ホテルのアーケードやショッピングモールなどの立地に店舗を次々とオープンさせたのは、会長兼マネージングディレクターのBill氏であった。彼は生産を拡大し、商品やアクセサリーのラインナップを拡大した。彼は土地やその他のコストがバンコクと比較してはるかに安い、織物や絹農家のそばとなるイーサーン地方に多くの業務を移管した。 Thai Silkはタイのイーサーン地方に1600エーカーの土地を保有し、その一部をモデル農場として通年で公開している。学校グループに人気のタイシルクの歴史だけでなく、タイで最も広域を占めるイーサーン地方の芸術や文化を紹介している。「ジム・トンプソン氏もきっとこれらすべてを知っていたわけではなかったでしょう。」と彼は冗談げに言った。

近年Bill氏は、1998年に入社して以降国際事業の拡大に注力してきた、彼の48歳の一人息子であるEric氏に多くの権限を委譲した。「彼は未来、私は過去のものです。」とタイの工芸品と布地で飾られた彼の事務所で会った際にBill氏は言った。彼は9月に80歳となるが、まだ毎日粋なスーツを着こなし働いている。彼は自身のルーツであるワシントン州北西部の農業地帯ヤキマの飾らない素敵なユーモアを謙虚さとともにまとっている。彼がトップへ登りつめたのは、そのスキルやスマートさよりもむしろ運が味方したと彼はいつも言っていた。「私は常々成功するには幸運であるかスマートでなければならないと言ってきましたが、私の場合はいつも幸運が味方しました。」

彼はそのように言うが、24歳のシルク商人としてバンコクへ復帰した彼の道のりは災難の連続であった。彼は1年も経たずに資金を使い果たし、落伍者として家に戻った。彼は残ったシルクの在庫を売ろうとトンプソン氏を訪ねた。「するとちょうど誰かが会社を辞めたばかりだったのです。」とBill氏は回顧して言った。「君はタイ語を少し話し、シルクのことも分かるようだと彼は言い、その場で私を雇ったのです。」その日付をBill氏が言った時、我々は二人とも笑った。それは41日、エイプリルフールだったのである。

Bill氏は、トンプソン氏と自分のスタイルはまったく違うと言った。「私は毎日ジムを見てきました。会社はまだ小さく、従業員はおそらく50人程度で、外国人はほんのわずかしかいませんでした。」と彼は言った。「ジムは高いポジションにいましたし、気高い雰囲気をまとっていました。私はスポーツクラブの友人関係などとはまったく異なる集団に属していました。」実際トンプソン氏のビジョンをよりうまく遂行するリーダーの出現を期待するのは困難であった。「我々は今でも、ジムだったらどうするだろうと考えます。」と彼は敗北を認めた。

トンプソン氏は当初から、観光を促進し地域の慈善団体を支援するなど、タイ社会の最大の支援者の1人であった。もちろんタイが繁栄すれば、Thai Silk社の繁栄にもつながる。今日観光客はジム・トンプソン・ハウスを訪れると、繭からシルクを生産し、それを織って商品となるのを見学し、ショールームで購入することができる。その後観光客はタイのレストランで食事ができるが、タイにはジム・トンプソンのレストランが6店舗あり、シンガポールには1店舗ある。さらに日本にもフランチャイズ店が2店舗ある。

トンプソン氏は東南アジア全域にわたるアートやアンティーク品の情熱的な収集家であったため、2階はアートギャラリーとなっている。その中には現代的な作品もあるが、それらはギャラリーを歩いてきたEric氏のコレクションである。彼は1992年からアートを収集し始め、250300点の作品を所有していると彼は言った。コレクションは家族ぐるみで行われており、彼のタイ人の母親である故Patsri Bunnagさんは有名なファッションコレクターであり、夫と離婚した後フランスのアートコレクターであるJean Michel Beurdeley氏と再婚した。「それは中毒のようでした。でも良い中毒ですが。」と笑ってEric氏は言った。2年前にEric氏とBeurdeley氏は、Maiiam Contemporaryアート美術館をチェンマイにオープンさせた。家族の持つコレクションに加え、この美術館では多くの先鋭的なタイの作品の展示会を開催し、メディアの注目を集めている。

トンプソン氏は当初、タイで滅びゆく伝統的な製織者に関心を寄せた。彼はBan Krua地区に住んでいた製織者たちと出会い、会社を始めてそこに家を建てた。彼は製織者たちを雇い、Thai Silk社の株式を分け与えた。そのため当時の製織者の家族らは、この非公開会社の株式の5%以上を所有しているという。(Booths一族は、自身の保有する株式や他の株主の持分を開示することを拒否している。)

 

(下編につづく)



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最終更新:2018年06月17日

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