インドシナニュース

2015年10月 のニュース一覧

タイ:TPPへの参加が輸出競争力の鍵と専門家が警鐘(後)

(前編より)

 

自動車産業における関税削減は段階的に実施されるが、それは明らかに、過去数十年にわたりそのサプライチェーンを強化してきた日本の負担を減らすためである。日本は関税ゼロの対象となるための(TPP加盟国内で調達すべきとする)現地調達率の制限を、30%とすることを求めた。これにより、さらにタイからの調達に頼ることが可能となる。

サイアム商業銀行(Siam Commercial Bank)の経済情報センターは、日本の自動車企業はタイの調査、開発に、過去数年間で多額の投資をしていると指摘した。一方で、12カ国からなるTPP加盟国の中で、タイが自由貿易協定を結んでいない米国、メキシコ、カナダの3カ国向けの、タイからの自動車輸出はわずか5%となっている。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する4カ国の東南アジア諸国については、アセアン自由貿易協定を通じてタイとつながっている。

サイアム商業銀行は、タイとメキシコ間で自動車の生産面で直接的な競合があるとは予想していないが、技術の面で大きな競争があると予見している。

「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの貿易協定は、将来的に増加していくでしょう。その製品が他の代替場所から調達され得るサプライヤーは、こうした変貌する環境により影響を受けることになるでしょう。」とサイアム商業銀行は指摘した。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効するまでには、12カ国すべてが条約に批准する必要があり、しばらく時間がかかる。(米国商工会議所の)Sitkoff会頭は、米国においてこの批准プロセスは、非常に長く複雑なものになる、と指摘した。

まず、バラク・オバマ米国大統領が議会に対して、正式に契約に署名するための意向通知書を上程せねばならず、それから90日間の待機期間が始まる。

次に、米国商工会議所(AmCham)のような利益団体から意見を公聴するため、60日間の一般レビュー期間が始まる。その後、米国国際貿易委員会が105日以内に、契約の経済的な逐条審査を行うことになる。そして当案が下院と上院において審議に付されてから、議会が契約の承認または却下の決定を下すのに最大90日を要することとなる。

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最終更新:2015年10月26日11:56

タイ:TPPへの参加が輸出競争力の鍵と専門家が警鐘(前)

タイがもし環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加しない場合は輸出競争力を失い、特に衣料品産業において打撃が大きく、一方で自動車産業ではその影響は軽微と見られる、と先週の専門家会議において話された。

ある調査によると、衣料・繊維製品、履物及びシーフードの生産者は、タイが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加しない期間が長引けば長引くほど苦しむことになるが、自動車産業は日本の自動車メーカーの数十年にわたる投資のおかげで、存続することが予想されている。

ここ20年間の貿易構想の中で一番大規模な、この世界的な取引協定において、主に米国などの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加国への輸出シェアを拡大することに取り組んでいる新興国の中で、ベトナムが最もその利益を享受すると広く予想されている。先週の専門家会議において、Thai National Shippers CouncilのNopporn Thepsithar議長は、米国は明らかに、より高付加価値製品に注力し、経済、政治面で米国の直接の競合者とならんとしている中国に代わり、ベトナムをその供給拠点に据えようとしている、と述べた。

彼のこの考えは傾聴に値する。

米国は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を、アジア諸国に対するアメリカ製品輸出を後押しする手段と見なしている。Peterson Instituteの報告書によると、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、米国の年間所得を780億米ドル(2兆7500億タイバーツ)向上させると予測している。

米国は現在ベトナムにとって最大の輸出先である。米国通商代表部によると、2013年において、ベトナムは米国にとって20番目に大きい製品供給元であった。2013年、ベトナムからの輸入は前年比22%増の246億米ドルまで増加した。なお、上位の輸入分野は次の通りであった:編物衣料(47億米ドル)、織物衣料(33億米ドル)、履物(29億米ドル)、家具・寝具(26億米ドル)、機械(21億米ドル)

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効した場合、衣料・繊維製品にかかる関税が直ちに削減される。これによりすぐに、ベトナムの製品市場のシェアは高まるであろう。一方でタイ製品は、6.4%から20%を超える関税率が課されたままとなる。

タイ開発研究所(Thailand Development Research Institute/TDRI)によると、タイでは毎年、これらの分野の製品輸出で数億米ドルを稼いできた。

「ベトナムとマレーシアは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から最も利益を得ることになります。彼らの輸出額は大きく、力強い成長を示しています。その成長ペースは今よりも速くなるでしょう。」とタイ開発研究所(TDRI)のDuanden Nikomboriraksリサーチディレクターは述べた。 「タイは、yarn-forwardと呼ばれる、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加メンバーが製品の原材料をその経済圏の中から調達しなければならないとする原産地規則により、この分野でのほとんど(の取引)を失うことになるでしょう。」

タイの衣料・繊維製品のかなりの部分、例えば男性向けニットズボン、女性向けニットパンツの約70%は、米国市場を対象としている。

ハノイにある米国商工会議所(AmCham)のAdam Sitkoff会頭は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)により、ベトナムの国内総生産(GDP)は2020年までに235億米ドル分上乗せされ、2025年までにはその金額が335億米ドルとなる、とベトナムの商工省は予想している、と述べた。主に輸入関税を下げることに焦点を当てた従来の自由貿易協定と違い、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、21世紀の商取引を形成する新基準を設定し、気候変動、団体交渉権、音楽の著作権侵害やオンラインデータの保存方法など、多くの新しい問題に取り組むこととしている。このことは、ベトナムにも取り組み課題をもたらすと予想される。

「衣料・繊維製品、履物、シーフードを含むベトナムの主要な輸出部門は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のもとで大幅な成長が見込まれています。この協定はまた、ベトナムを外国資本にとってより魅力的な投資先とさせ、米国・ベトナム間の貿易は力強く成長し続けることが期待されます。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、より多くの外国資本とビジネスチャンスをもたらし、この協定の条項はベトナムおける改革のプロセスを促進させることになるでしょう。」と彼は述べた。(タイにとっての)良いニュースは、タイの自動車産業が(衣料・繊維産業などと)同じ目には合わないだろう、ということである。

 

(後編につづく)

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最終更新:2015年10月26日05:55

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