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カンボジア:アパレル産業、EU貿易取引の無効化により「悲観的な結末」に悩まされる可能性

カンボジアアパレル業界関係者のMarco Kalinna(プノンペンのアパレル貿易業者Cosmos Services社のマネージングディレクターおよびカンボジアのドイツ企業グループ取締役、以下K)は、欧州連合(EU)の見直しおよびカンボジアとのEverything But ArmsEBA )合意に関してSoutheast Asia Globe(以下SEAG)に語った。

 

SEAG:「武器以外すべて」合意は1年後に結果が出るだろうとレビューでは発表されましたね。それはカンボジアのアパレル業者が現状では問題は無く、同業界は少なくとも1年間は保護されているということでしょうか?

K:そんなことはありません。バイヤーは、今後のシーズンに先立ち少なくとも6ヶ月前から計画を立てています。その間、材料の設計および調達、サンプル製品の購入、そして適切な生産パートナーの選定が行われます。彼らは安全保障を計画する必要があり、EU委員会の審査段階でカンボディア生産の決定を妨げる可能性があります。これはまだ春夏コレクションには影響しないかもしれませんが、生産は通常5月または6月頃ですが、2019年秋冬には確かに懸念されるかもしれません。

 

SEAG:カンボジア製衣服および靴のヨーロッパでの追加費用はどのくらいですか?

KEUへの輸出コストは約10~15%上昇するでしょう。カンボジアでの生産コストが比較的高く、最低賃金の継続的な上昇が続くことを考えると、このようなコスト上昇は、バングラデシュ、ウクライナ、トルコなどの他の市場に発注する可能性があります。

 

SEAG:主にEU市場向けに生産するカンボジアの工場にEBA撤回の影響が出るのでしょうか?

K:現時点では、カンボジアのアパレル製品輸出の40%以上がヨーロッパに輸出しています。しかし、カンボジアのアパレル工場の80%以上が、製品の全部または一部をEUに出荷しています。したがって、EBA撤回はほぼ全産業に悪影響を及ぼすことでしょう。しかし、生産者だけが影響を受けるのではなく、外資系および地元の物流企業、食品ケータリング事業、シアヌークビル港湾運営者などの第三者は、アパレル製品の減少に悩まされることでしょう。

 

SEAG:カンボジアの工場の多くは中国に所有されています。米国が課した新しい関税により、カンボジア市場とEUへの優先アクセスは、現在中国で生産されている多くの企業にとって理想的な生産拠点ではないでしょうか?



K:それは良い質問です。現在、中国を拠点とする多くの生産者が中国本土生産の代替案を検討していることは周知のとおりです。中国との優れた関係を持つカンボジアは、例えば、バングラデシュ、ベトナム、インドネシアなどと協力してこの恩恵を受ける生産拠点の一つです。今日では、繊維産業の生産施設の約50%が既に中国のステークホルダーを1人以上所有しています。彼らはカンボジアでの事業の費用が一定の限度を超えて増えれば、別の生産拠点に移るのをためらいません。現時点では、EBA撤退の脅威がなければ、カンボジアはアパレル産業の規模を大規模に拡大し、雇用を拡大出来る可能性があります。

 

SEAG:中国がカンボジア経済のために多大な協力していることを踏まえて、カンボジア政府はEUEBA合意の取り消しを十分に深刻に考えているのでしょうか?

K:実際に見てみると、中国の経済は米国の関税や国内債務の上昇、上海の総合指数の下落などが今年23%と落ち込みを増しており、ビジネスの信頼感が低下しています。カンボジア政府は、中国のビジネスおよび投資がアパレル産業、特に同産業が支えている雇用や労働者の生活のためのビジネスの喪失を和らげるのに役立つかもしれないとあまり望んではいけないことは感じられます。

 

SEAG:カンボジアアパレル製品にとって、EBAおよび市場への優先アクセスは、過去十年間にどのような影響を与えましたか?

K:まず、労働者数が過去10年間で25万人から70万人に増え、アパレル産業を大きく成長させ、最大の輸出部門および主要雇用業種にしました。まだ多くのことが成長途中ですが、全体的な労働条件と給与は大幅に向上しています。業界の労働者の給与と給付は、2011年以降約3倍となり、労働者の生活や扶養家族の数百万人に直接影響を与えています。労働条件に関してはまだ多くの問題に直面していますが、カンボジアの数少ない規制産業の一つになっています。特に、女性は農業や伝統的な社会から昇進し、エンパワメントの形の一つを楽しむ機会を得られました。残念ながら、アパレル産業がEBA撤退の結果、(工場)閉鎖に直面した場合、最も苦しむのはこれらの女性労働者です。

 

SEAG:これは、全体的に困難なグローバルビジネス環境の中で起こり、またグローバリゼーションへの脅威を増やしますね。

K:その通りです。EUのバイヤーを対象とした最近の調査では、市場に近い生産を意味するいわゆるオンショアリング(on-shoring)が注目されています。デジタル化およびIndustry 4.0のコンセプトは、今後数年で大きな変化をもたらし、サプライチェーンとの外部干渉のリスクを最小限に抑えながら、自国市場に近づけてブランドをより効率的に生産することを可能にします。つまり、本質的に、地平線上にはいくつかの暗雲が見えますが、カンボジアでこの繁栄および同国に重要な産業を維持するための解決策を見つける猶予はまだあります。我々は、EUとカンボジア政府が最悪のシナリオを避ける方法を見つけることを願っています。

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最終更新:2018年10月18日08:14

カンボジア:シェムリアップのPactics社はなぜ過分の賃金支払いを行うのか(後)

(前編より)

 

また育児は、同社におけるもう一つの大きな取り組み事項となっている。「我々の従業員の80%は女性ですので、母乳で育児ができるよう職場に託児所を開設しました。3ヶ月~12または15ヵ月までの子供については無料で託児所にて預かり、それ以上の子供については、育児のために毎月15米ドルの補助金を支給しています。また、看護師が常駐する医務室、補助金付きの社員食堂を完備している上、Pactics社の全従業員向けにバイク用ヘルメットの購入費用の半額を支払っています。従業員は、安全、労働権、セクシャルハラスメント、衛生について学ぶ、厳しい1週間のトレーニングプログラムを受けねばなりません。」と彼は言った。「誰もが我々のことを特別だと言いますが、我々が行っているのは法律の求めていることだけです。例えば100人以上の従業員がいる場合、育児手当を導入しなければならないと法律に定められています。ただしこれは強制ではありませんが。我々が特別なのではなく、法律に従っていない他のすべての会社が標準を満たしていないだけなのです。」

Holten社長は、アパレル業界が変革を必要としていることには同意するものの、彼は工場だけがその義務を負うとは考えていない。「変革をもたらすのに最も強力な力を持つのは消費者です。我々は5米ドルで服をし、それが普通だと考えるところに大きな問題があります。」と彼は言った。彼は欧米社会が「ファストファッション」のバブルに慣れてきっており、衣料品にもっと価値を持たせることもブランドの責任であると考えている。「業界からの廃棄も非常に深刻です。」

Pactics社では、レイテック(Raytecs)部門が高性能ポリエステルスポーツウェアを専門とするパイロット工場を新設するのに合わせ、プノンペンへもこの企業哲学を展開していく予定としている。最先端の技術と印刷機器、そして熟練のグラフィックデザイナーを擁し、小規模の工場パートナーと組んで印刷やデザイン業務を行うことを目的としている。「我々の目標は、カンボジアの多くの製造業者を支援することです。我々には正しい処方箋があります。」とHolten社長は述べた。

Holten社長は、Pactics社をNGOなどの社会的支援団体とは一線を画したものと考えている。「利益が肝心です。我々はお金を稼ぐためにここにいます。これはビジネスなのです。」と彼は述べた。ルワンダに次いでカンボジアは世界でも一人当たりNGOの数が最も多く、海外援助団体からは毎年10億米ドルが経済に投入されている。

「多くのNGOがカンボジアを支援して素晴らしい仕事を行っており、私もこれらの人々に大きな敬意を払っています。ですがこうしたプロジェクトのほとんどは、寄付に全面的に頼っているため、支援が枯渇した場合プロジェクトは継続できません。」と彼は言った。「我々の労働者は、高級ブランド向けの製品を生産する世界市場で競争しており、そこで打ち勝つことができることを証明しています。我々は人々の生活を改善するためにできることがまだあることを示しているのです。」

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最終更新:2017年08月03日13:43

カンボジア:シェムリアップのPactics社はなぜ過分の賃金支払いを行うのか(前)

アジアの縫製工場というと、ほとんどの人が「労動搾取工場」といった言葉を頭に思い浮かべることであろう。恐ろしく低い賃金、お粗末で労働搾取的な職場環境、息が詰まるほど暑い生産ライン、安価に大量生産された製品が山と積み上げられた作業場、何時間も続く操業。また多くの人が、衣料品の真価に一抹の不愉快な感覚をもたらすような心痛むニュースを思い起こすことであろう。例えば2013年に1129人が死亡した、バングラデシュにある8階建て縫製工場Rana Plazaの崩壊事故-それはダッカにある縫製工場の火災によって117人が死亡した事故からわずか1年後に発生した。またカンボジアでは、工場内での集団卒倒事故がしばしば報じられており、2013年の靴工場崩壊事故では2人の労働者が死亡した。さらに2014年に縫製労働者がより高い賃金を求めて起こしたストライキでは、警察が抗議活動を行っていたグループに発砲し、少なくとも4人が殺害された。

Tiffany、Ray-Ban、OakleyやBurberryなどのラグジュアリーブランド向けに高級マイクロファイバーを使ったアクセサリーを製造し、シェムリアップに拠点を置く革新的な繊維会社のPacticsという会社がある。カンボジアで最も有名な観光都市であるシェムリアップ郊外の緑豊かな土地に位置し、環境保全や企業の社会的責任に熱心なこの工場では、約350人の従業員を雇用し、主にマイクロファイバー製の布や、主に世界最大のアイウェア企業であるイタリアのLuxotticaグループ向けにサングラス用ケースを生産している。Pactics社では年間およそ5000万点もの製品を生産している。

木陰の中、蓮で覆われた池の周りを扇形にとり囲んでいるPactics社の4つの建物は、高い名声を得ているStuart Cochlin氏によって設計され、いくつもの涼しげで良く風の通る中庭の周りに配置されている。この革新的なデザインが実現していることを目の当たりにする、と人々はみな驚かされる。生産がピークとなる、蒸し暑いカンボジアの日中の時間帯であっても、工場の床は冷たく快適である。巨大な天窓や窓は光を存分に「収穫」し、通気孔は換気をさらに強めている。ソーラーパネルによって蓄積された電力は夜間のLED灯のエネルギーとなり、雨水はトイレの洗浄水とするために貯水されている。「Pactics社の室温は外と比べて3~5度低くなっています。」とPactics社の創業者兼社長であるPiet Holten氏は述べた。彼は2004年に上海で同社を設立したものの、2010年にカンボジアに拠点を移し、オランダ政府から助成金75万米ドルを受け、2012年に「緑の」シェムリアップ工場を建設した。「中国は気候が冬のマイナス5度から夏には35度まで変化し、暖房や空調に多額の投資が必要であるため、とてもこのようなサステイナブルな建物を建設することはできませんでした。」と彼は言った。

Holten社長は、2010年に息子とバックパック旅行をする中でカンボジアを訪問し、シェムリアップにおける「居心地のよい感覚」と親切な人々に、すぐに魅了されたと言った。 Pactics社を上海で設立し、中国衣料品産業の生産コストが高騰していることを既に身をもって体験していたため、カンボジアでの稼動が可能かどうかを調査するために彼はプノンペンを訪問した。訪問してすぐに、彼はプノンペンの産業が多くの点で中国に類似していると感じた。そこでは多くの若い女性が、労働のために遠くの農村地帯やシェムリアップなどの町から「不慣れでよく知らない都市」に移住してきていた。

「私はこういった労働モデルが理想だと感じませんでした。そしてなぜ工場の方を人々のいるところに移設しないのか?と考えたのです。若い女性を地域社会から引き離して働かせると、その収入の半分を家族に送金すれば生活の余裕はなくなってしまいます。彼女らが家族と一緒に暮らしさえすれば、自身の収入による恩恵を受けることもできるでしょう。」

Pactics工場の建設コストは安くはなかったものの、Holten社長の考えでは既にそれは回収されているという。「すべてをコストとして見る場合、(持続可能性という)考え方などは気にしてはいられないでしょう。我々の社屋はカンボジアにある他の工場よりもはるかに高価です。私が話している典型的なタイプの工場は窓なしで、私は「オーブン」と呼んでいます。我々の建物は1平方メートル当たり250米ドルかかっていますが、こういった建物は1平方メートル当たり150米ドル程度で建てることができます。ですが、我々の建物から得られるメリットは膨大です。例えば快適な職場環境により、従業員の離職率が低くなり、生産性が向上します。それにより、すぐにそのコストを取り返すことができるのです。」と彼は述べた。「我々の職場における傷病休暇率は1%以下で、その生産性は中国と同じかそれ以上ですが、カンボジアのその他多くの工場では中国の生産性の半分程度です。これは単なる企業の社会的責任(CSR)の取り組みではなく、優れた財務投資なのです。」

Pactics社では、国際労働機関(ILO)の監視プログラムであるBetter Factoriesにより設定されたガイドラインを採用している。この工場ではまた、SA 8000とISO 9000の認定も受けている。このことは最高水準の社会コンプライアンスを達成しているということであり、カンボジアの企業では非常に珍しいことである。カンボジアにおける法律上の就労年齢は15歳以上であるが、Pactics社で働くには18歳以上であることを求めている。「従業員は製品を生かしも殺しもします。」とHolten社長は言った。「彼女らを使い捨てと見なすと、最終的には失敗という結果に終わるでしょう。」彼は生産性連動の出来高制システムを採用し、月額135米ドルの最低保証賃金以上を稼ぐよう従業員に促している。従業員は年間44日間の有給休暇を与えられており、研修やトレーニングのサポートも受けている。現在Pactics社の2名の工場労働者が、会社からの資金援助を受けて大学でエンジニアリングを学んでいる。

 

(後編につづく)

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最終更新:2017年08月03日12:43

タイ:国王逝去により前例のない黒服の争奪戦が勃発

服喪期間中にタイ国内の黒服の在庫が大幅に枯渇し、カンボジアの縫製工場では不足分を補うために残業を強いられている。

先月Maha Vajiralongkorn Bodindradebayavarangkun皇太子がタイの王位に就き、ほとんどのタイ国民にとって唯一無二の絶対君主であった彼の父の逝去によって悲しみに包まれる国民の次の君主となった。昨年10月にBhumibol Adulyadej国王が逝去した夜、タイ国民はこの国独特の寡婦向けのカラフルな喪服を着用しようとしたため、与党は国中を黒にする服喪宣言を行った。しかし国民が市場に向かってみると、この国のアパレル産業では70年の在位期間により喪服の手当てがまったくできないことが判明した。

そこで、哀悼者の中から自らの手で積極的にこの問題に取り組む者が出始めた。Bhumibol国王が逝去した数週間後地元のメディアは、倉庫が大勢のカラフルな衣服を抱えた哀悼者らに無料で黒色に染色するために開放されていることを報じた。タイ北東部では、スーパーマーケット大手のTesco Lotusが、無料で5万5000枚の黒いTシャツを配布した。

だがその他業者は、この悲報に際して慈善活動を行おうというところは少なかった。国王逝去の翌朝国内貿易部のNanthawan Sakuntanark部長は、服喪に必要な黒色商品を不当に吊り上げる業者の取締りを目的に、部門の職員が国内市場を監視すると発表した。彼女は価格を不当に吊り上げた業者について、最高7年の服役、または約4000米ドルの罰金を科すと述べた。

「黒シャツの供給が数日間遅延しているかもしれませんが、アパレル製造業者らは欠品しないと言っています。」と彼女はNation紙に述べた。

こうした見通しにもかかわらず専門家らは、タイ国民のほとんどが喪服の手当てをしようと奔走することになると予想している。チェンマイ東南アジア研究所のPaul Chambers研究主席は、タイのアパレル販売業者は伝統的な喪服に対する急激な需要増にまったく準備ができていないと述べた。

「多くのタイの女の子らはショート丈かシースルーの黒服を着ています。」と彼はSoutheast Asia Globe誌に述べた。「結果、彼女らは葬式とディスコの服装を組み合わせたような病的な格好となってしまいました。」

国営銀行を通じて黒いTシャツを低所得層に配布するという財務省の緊急措置にもかかわらず、タイ社会の最も貧しい人々の多くは、国王逝去による服喪の義務に従うことすらできずにいる。ロンドンのQueen Mary大学で国際関係の上級講師を務めるLee Jones氏は、服喪できなかったことによる悲劇が多く見られたと述べた。

「喪服を着ていないため、こうした人々は国家や社会から多くの圧力を受けました。」と彼は述べた。「集団ヒステリーを想起させる、喪服を着ていない精神病の女性が顔を殴打される様子が収められた恥ずべきビデオが公開されたりしました。」

Jones氏によると、服喪期間の初期にこうした行動が誇示された背景には、一部の王党派による制裁に対する恐怖心があったという。

「多くの貧しい人々は新しい黒服を買う金銭的余裕がなく、典型的なYellowshirtのエリート主義に迫害されました。そのためボランティアらは人々の服を無料で黒く染め直したのです。」と彼は言った。

タイのアパレル産業が突然の急激な需要増に応えるために苦戦する中、カンボジアとの国境沿いのバイヤーらは、カンボジアのアパレル業者に黒服の大量注文を開始した。

プノンペンに近いカンダル州にある小さな縫製工場の経営者であるVichara Kosal氏は、10月にPhnom Penh Post紙に対し、国王逝去後単価2.10米ドルで7万枚以上の黒色Tシャツを受注したと述べた。「タイではコットンの在庫がなくなりつつありますが、数百万人もいるタイ人からの需要はなお非常に強いものがあります。」と彼女は述べた。 Southeast Asia Globe誌に対してKosal氏は、国王の逝去後11月中旬まで国境を越えたライバル達の供給力不足を補うため、タイからの黒服の受注は何週にも亘って続いていることを認めた。

カンボジア縫製業協会(GMAC)のKen Loo書記長は、カンボジアのアパレル産業が最近の国王逝去により利益を得ているという報道は大きく誇張されているとし、タイの黒服特需はアパレル業界にとって特定の地域のブームに過ぎないと述べた。

タイからの受注増に関する質問を受けた際に、彼は次のように述べた。「(今回のような突然の需要増は)驚くべきことではなく、起こりうることです。ですが、物事の大局観からするとそれは重要なことではありません。もちろん個々の工場にとっては一大事かもしれません。ただそれは業界全体にとって、またGMACのメンバーにとってもまったく重要な事象ではないのです。」

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最終更新:2017年01月19日09:58

カンボジア:アパレル産業はいかに自動化時代を生き抜くか(後)

(前編より)

 

しかしカンボジアにとって、自動化への道はまだ不透明である。労働者権利グループである連帯センターのWilliam Conklinカンボジア担当は、アパレル業界における現在の問題は抜本的改革の欠如によると述べた。Conklin氏は「15年間何も変わっていません。」と指摘し、それを業界関係者の将来に対するビジョンの欠落にあると結論付けた。例えば近年誰しもがベトナムを脅威に感じており、特に環太平洋戦略的連携協定(TPP)が発効し、ベトナムの輸出産業の前に巨大な新規マーケットが開かれた場合にはなおさらのことである。「ベトナムは2009年にTPPに参加すると表明しましたが」、こうした動きに対するカンボジアの長期戦略はまだ検討さえなされていないと続けた。「誰もどのように競争すればよいのか考えていません。恐らく太刀打ちできないでしょう。ベトナムの縫製工場は巨大で、従業員数はそれぞれに5000人から1万人もおり、ベトナムへの投資は巨大だからです。」

それ以外にも物流面での問題がある。まず自動化は多額の投下資本を要するが、投資家と工場経営者(Conklin氏の見積もりによると95%が外国人)は、少数を除き「アパレル業界に多額の投資を行う意思がありません。」

またADBの2015年レポートによると、カンボジアのエネルギーコストは、1キロワット時あたり0.18米ドルから1米ドルにも達しており、東南アジアで最も高い。従って自動化はコスト的に非常に高くつくことは疑いようもなく、エネルギー生産に長期的な政府の投資が求められる、とConklin氏は続けた。さらに、新しい機械を導入するには労働者のトレーニングが必要であり、これにはより多くの投資や雇用者と従業員間の関係改善が必要であり、最低賃金もさらに引き上げられる必要がある。それでも全ての利害関係者が協力し合い、業界のパラダイム・シフトを起こす必要がある、とConklin氏は言った。このパラダイム・シフトはカンボジアにおいてまだ見ぬものであるが、それは簡単な選択であると彼は言った。

「低賃金や低コストからより崇高な志向へ、労働者は単なる道具ではなく、資産でないか?カンボジアが現状のような行き当たりばったりの経営を続ければ、いったい何によってカンボジアを周辺諸国から際立たせることができるでしょうか?」

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最終更新:2016年12月14日12:00

カンボジア:アパレル産業はいかに自動化時代を生き抜くか(前)

専門家らは自動化が製造業の未来を担うことになると予測しており、このことはカンボジアの縫製労働者60万人に大きな影響を与える可能性がある。

カンボジアの60万人の縫製労働者は、毎朝国中の工場の門をくぐり、国家経済の最大の基幹である輸出品の生産に備える。大半の労働者は、Tシャツ、靴、ドレスを手作業、または簡単な設備で裁断し、縫製を行っている。ベトナムやタイの労働者と比較して、彼らは労働力としては「低技能」、あるいは「未熟」であると一般に考えられている。

だが近いうちに、この状況は一変する可能性がある。

国際労働機関(ILO)は7月、カンボジアのアパレル産業の未来において、生産の自動化が繊維・衣料品・履物(TCF)産業で雇用される労働者の88%に重大な影響を与えると警告する報告書を発表した。従業員に対する影響は致命的なもので、「カンボジアのようにTCF産業が未熟な製造業の根幹をなしており、製造業雇用の約60%を占めるような国々においてはその影響はより深刻なものになるだろう。」とこの報告書では指摘している。

プノンペン郊外にある縫製工場の工場経営者は匿名で、アパレル産業においては賃金の上昇、低付加価値生産、地域間競争の激化などにより、経営者として自動化へ期待することは当然であると述べた。その結果、仲間の企業経営者ら(その多くはカンボジア人以外)もほとんど、「人よりも機械に投資する」意欲が高いが、それは、機械は生産性が低下せず、撤去も自在であるためだと指摘した。

8月に公表されたILOの最新の報告書では、この匿名の話と同様の結論が示された。ベトナム、バングラデシュ、そして将来的な競合国であるミャンマーなどからの供給が増加した結果、主に米国や欧州の海外ブランドの調達価格が下落していることが分かった。2006年から2015年の間に、カンボジアから輸出される衣料品の売価はわずか5.4%の上昇にとどまる一方、縫製労働者の賃金は2010年の月額61米ドルから今年は140米ドルへと飛躍的に増加した。今年9月に縫製労働者の最低賃金に関する年次交渉が再開されたが、労働組合はどれほどの増加を望んでいるのか、その要求額を公表することはなかった。

「投資家らは投下資本に対する一定のリターンを求めるが、それがもし得られないのであれば、彼らはカンボジアのアパレル部門にさらに資本を投資することを再考するかもしれない。」とこの報告書は指摘した。確かに、カンボジア縫製業協会のKen Loo会長は現地のメディアに対し、今年は協会に所属する工場のうち35社が新規開業したのに対して70社が閉鎖したが、これは投資回収に苦戦していることを示しているとの見解を示した。

8月のILO報告書は、業界が競争を生き抜くには、企業経営者はグローバルブランドに対して生産コスト負担の引き上げを求めるか、生産性を劇的に高める必要があると結論付けた。第3のオプションとして賃金削減があるが、これは議論もされておらずありえそうもない。その上で多くの場合生産性を向上させる最善の方法は、労働者と同等の裁断や縫製を行うことのできるロボットの導入から最新の3Dプリント、コンピュータ設計などの自動化を通じたものである。

カンボジア アパレル労働者民主連盟のAth Thorn会長は、企業経営者が労働者の低い生産性について述べるのは身勝手であるという。生産性が低いのは、企業経営者が労働者を不当に扱い、モチベーションを低下させていることが問題なのであり、本当に苦しんでいるのは企業経営者ではなく労働者側であると述べた。第1四半期に業界収益は14.5%増加の18億米ドルにも上ったというILOの報告が彼の発言を裏付けるものとなっている。

「権利が侵害されないのであれば、労働者らはできるだけ円滑にアパレル業界が機能するように働くでしょう。」と彼は述べた。

Ath Thorn会長は、労働者の待遇改善と同様に労働者の権利の尊重について見直すべきであり、労働者により良い職業訓練を提供したり、長期雇用契約を締結したりすることによって生産性を向上させることができるが、それらに取り組む企業経営者は最新設備の導入を検討する経営者ほど多くないと続けた。

 

(後編へつづく)

 

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最終更新:2016年12月14日09:00

東南アジアの安い労働力は終りを告げるのか

国際労働機関(ILO)の第16回アジア太平洋地域会議で、ILOタイ・カンボジア・ラオス事務所のMaurizio Bussi主任担当官がSoutheast Asia Globe誌に対し、地域の経済的成長を社会的進歩に変えていく事への課題を語った。

「GDPの成長率やその他のパラメーターから見れば多くの国が急速な成長を見せているのは事実である。しかしながら、社会的進歩とは本質的に仕事の質や保証を意味するもので、ほとんどの国ではこの成長が社会的進歩にはつながっていないという感覚が根強くある。

お決まりの言葉で言うのならば、「高齢化と成長」であろうか。高齢化と、急速に成長を遂げるもののあまりバランスが取れていない、ある種の若い社会における成長である。高齢化が進んでいるのは国であり、数年前に経済システムの構築や経済の多様化のために投資が行われた経済である。今となっては年金や失業手当を支払う時期になっている。

タイの事例を見てみよう。タイは約25年前、年金や住宅保険を提供する体制の構築に多量の投資を行った。現在、国民は引退時期に差し掛かっており、政府は年金の支払いを始めなければならない。

二つ目の動向としては、安い労働力を段階的に打ち切っていく政策を国がどのようにして理解し、実行するかと言うことである。これらの国では過去20〜30年にかけて、安い労働力をベースにシステムを構築し、経済成長を遂げてきた。便利で、労働力となる人々も豊富で、インフラも比較的整った、世界の工場であったのだ。人々は長時間働くことに対し意欲的で、最低と言っても過言ではない価格でたくさんのものを生産したのである。

この傾向は徐々に変わってきており、この種の仕事を受けることに積極的ではなくなってきている。別の発展方法が登場したためなのか、代わりに作業を行う機械の導入のためなのか、又は特定の事を特定の方法で行うことがあまり有益ではなくなったためなのか。このため、安い労働力の打ち切りという道筋を果たして国は本当に理解できるのであろうか。

私の考える3つ目の動向は、経済的統合である。労働力といった側面での経済統合には、統制的な人の移動やスキル証明、社会保障の法律など、いくつもの観点がある。専門職で定評のある人間がA国からB国に移動する場合、同じ職場環境や雇用条件があるのか、住宅保険、基本給付額、年金は同じ条件なのか。帰国すると決断した場合、保障内容を国に持ち帰ることはできるのか。国内の労働者と外国人労働者の間で差別が発生しないことを保証する、スキル認定のメカニズムはあるのか。人々が国から国へと移動することができる、より統合された労働市場。これが、ASEANが取り組んでいることなのである。

そして4つ目は少し横断的なテーマで、労働市場のエネルギーという側面でこれら三つの分野に役立つ持続可能な発展目標の国際的な枠組みを、我々がどのように利用するかということである。政府が、これら三つの分野に価値、原則、規範をしっかり植え付けるために持続可能な開発目標(SDG)の枠組みや、全ての国が取り組みに合意した統計能力の強化や政策の実施をどのように利用するのか、ということである。」

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最終更新:2016年12月09日11:23

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