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ベトナム:アパレル産業をいかにエコ・フレンドリーで持続可能なものとするか

ベトナムがファッションの主要製造拠点や管理拠点へと発展するにつれ、エコ・フレンドリーな運営を重視する海外ブランドを惹きつけるために、その持続可能性が重要なポイントとなっている。

Tan Chauの「royal silk」のシルクは、伝統的なアオザイドレスや、竹繊維が織り込まれた漆細工の家庭用品、最近ではTシャツや下着に使用されてきただけでなく、北部山岳地帯に住む先住民族による毛布、クッションやバッグなど、ベトナムの豊かな文化と職人技の歴史にこの繊維は組み込まれてきた。

こうした東南アジアの織物生産者としての伝統に加え、ベトナムは世界繊維産業の主要プレーヤーの地位を確立した。地元の報道によると、2016年には世界5位の繊維・アパレル品の輸出国となったという。ベトナム労働省と国際貿易管理局によると、アパレル産業における200万人以上の労働力と全国に6000以上ある繊維・アパレル企業が、このベトナム最大の輸出部門を支えた。

ベトナムの質の高い職人技や高スキルの労働力に対する評価の高まりや、政府のサポートのもと外国人投資家に魅力的な税制優遇措置を提供する工業団地の開発などによって、国際的なアパレルメーカーや製造業者、国際ファッションブランドが、アジアにおける次のアパレル・ハブ拠点として、次々とベトナムに向かっている。

ベトナム繊維協会によると、アパレル産業の今年の輸出は310億米ドルで、前年比10.23%の増加となることが見込まれている。また各種レポートによると、ベトナムはまた、織物分野で2桁成長を維持している唯一の国となっている。

一方でこの産業が大きな成長を遂げつつある今、炭素排出量や大量の産業廃棄物、不快な労働搾取工場のイメージなどで悪名高いこの業界においては、企業の社会的責任もますます重視されるようになっている。

今年の初め、ハイズン省の何百人もの住民が、香港を拠点とするアパレルメーカーのPacific TextilesCrystal Groupの合弁企業であるPacific Crystal Textiles mill社に対し、5ヶ月もの間抗議活動を行った。地元住民は工場の放つ悪臭に対して不満を示し、顧客には日本のアパレル大手Uniqloも含むこの工場を工場排水による水質汚染で訴え、よりエコ・フレンドリーな基準を採用するよう求めた。

今やベトナムでは、アパレル産業の発展と成長を、持続可能でエコ・フレンドリーな方法で実現できるかどうかが重要な課題となっている。

より厳格な環境規制法の施行や、公害を発生させた組織に対して最高88000米ドルまで罰金を増額させるといった政府の導入する対策とは別に、自主的にこの産業を改善させようと模索する一部のアパレル企業各社は、ベトナムがよりエコ・フレンドリーな手法でアジアをリードするための潜在能力を秘めていると確信している。

「数年前に発生したバングラデシュ Savarの工場火災と崩壊事故の後、私は完璧な工場がどのようなものかを世界に示したいと考えました。」と香港を拠点とするアパレル品供給会社で、ベトナム南部に新しくオープンしたDeutsche Bekleidungs Werke (DBW)の親会社でもあるRoyal Spirits GroupThomas Hebestreit CEOは述べた。

「アパレル産業は労働搾取で悪名高い業界です。我々は外部に対し、人々にとって最高の状態で衣料品製造を行うことが可能であることを示したいと考えました。」 Hebestreit氏によると、DBWは工場全体に空調を完備した珍しい工場の一つであるという。

18000平方メートルにも及ぶこの施設は、今年11月に操業を開始し、乾季の干ばつ時においても操業に必要なエネルギーの20%相当を供給できるソーラーパネルが装備されている。

この建物は、国際的に認知度の高いLEEDLotus基準の認証を受けている。Hebestreit氏は、この新工場がエコ・フレンドリーで持続可能な操業として世に認知されることを願っていると述べた。

ベトナムではきれいな水の供給能力が不足しているだけでなく、工場排水が重大な環境問題となっている。そのため生産サイクルにおいて水の使用量を削減することは、アパレル業界にとって最優先事項となっている。

織物を洗うのに使用する水の再利用は、よりエコ・フレンドリーな生産を行おうとする工場の試みの一つであると、アパレル企業と協力して生産効率や品質を向上させるための経営コンサルティング・サービスを提供しているJG Consulting社のVincent Chengディレクターは述べた。

「洗浄ラインなど、(繊維を洗うのに使用する)水を再利用できるプロセスがあります。また化学物質を使用して繊維から色を取り除く代わりに、オゾンを使用して水の使用量を削減するオゾン洗浄と呼ばれる生産ラインもあります。」と彼は述べ、Phong Phu Joint Stock Companyはこの方法を採用しているベトナムのアパレルメーカーの1社であると続けた。

Maxport社はPatagoniaNikeArc’teryxLululemon向けで有名なメーカーであるが、ベトナムの生産拠点に持続可能な慣行を取り入れた施設でも知られる。

「インフラ構築の最初の段階から、建物自体にエコ・フレンドリーな機能を組み込みました。いくつかの工場は建物の周りに植物を植えることで、空調に頼らずとも風が吹くと木々から冷却効果が得られます。」とCheng氏は述べ、この工場は標高の高い場所に建設されており、そのことも冷却効果を高めていると続けた。

結局のところ、新規でベトナムに参入する外国のアパレル製造業者は、顧客が望むことを知った上でこの地にやってくるため、エコ・フレンドリーで持続可能なプロセスを導入するのに時間を計画的に費やすことができる。

「ベトナムにおいては、外国人投資家は一から事業をスタートさせる機会が与えられています。そして彼らは、(環境保全に関心の高い)アウトドアブランドのアパレル顧客などとの取引を持っており、ベトナムに参入する際には、既にこの(環境に配慮する)考え方を持っています。」とCheng氏は言った。

「(ですが)こうしたことはあなたが指摘するものではありません。」と彼は述べた。「経営者と顧客こそがそれをコミットすべきなのです。」



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最終更新:2018年01月02日14:09

東南アジアでのエコフレンドリーなデザインによる伝統文化や手法の保存の試み(後)

(前編より)

タイのチエンマイ県ではインディゴ染めが、多くの若手デザイナーがそのデザインに取り込んだことにより復活した。

ベトナムではFashion4freedomが、ベトナム独自の環境に優しい倫理的な手法によって高級品を制作している地元職人と協業している。その結果、ハイエンドの国際市場向けに様々な衣料品、アクセサリー、靴を生み出すことに成功している。

ラオスではOck Pop Tokが、人々と文化に焦点を当てたソーシャルビジネスを行っている。英国人のJoanna Smith氏とラオス人のVeomanee Douangdala氏が2000年に設立したこのベンチャー企業は、同国において最も重要な繊維・アパレル職人向け機関の1つとなっている。

「我々がOck Pop Tokを開始した際には、本当の意味でエシカルファッションが何であるかを知りませんでした」とDouangdala氏は言った。「我々は何か人と違ったものを作りたいと考えていただけだったのですが、この国のアパレル製品の伝統を保存しつつも、海外市場において伝統的製品の経済的価値を生み出すことに主眼が移りました。我々は、ラオスの文化や伝統に忠実でありながら、現代的な製品を作りたいと考えています。」

すべての製品はハンドメイドで、原材料は国内調達である。また75人の従業員がフルタイムで雇用されており、400人の製織職人がOck Pop TokVillage Weaver Projectsの指揮のもと、全国で働いているという。

「ラオスは人口の少ない小さな国ですが、多様な文化を持っています。我々は49の民族グループと100を超えるサブグループを傘下に擁しており、各グループには独自の文化、言語、織物文化があります。それらは各民族グループにとってのアイデンティティの一部となっているのです。」とDouangdala氏は言った。また各民族グループは、デザインにさまざまな色や技法を取り入れていると続けた。「ラオスには、織り、アップリケ、バティック、刺繍など、さまざまなアパレル製品の伝統があります。」

エシカルファッションの動きが拡大するにつれ、ほとんど忘れ去られていたクリエイティブな民族グループが、古来より伝わる伝統を現代に蘇らせることへの期待が高まってきている。

「我々が出会った、伝統技法によって製品を制作をする人々の多くが、各製品に対する愛着や喜びを示し、その想いがどのように優れた製品を生み出すのかを強調しました。」とO'Malley氏は言った。「それはまた、人間同士のつながりをも生み出します。プロセスについてもっと良く知れば、衣料品を作る人々やその製品に、より大きな尊敬の念を抱くようになるのです。」



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最終更新:2017年10月14日12:03

東南アジアでのエコフレンドリーなデザインによる伝統文化や手法の保存の試み(前)

東南アジアへのツアーを通してWalk Sew Goodキャンペーンの参加者らは、ファスト・ファッションなどによる資源浪費に反対し、地域社会の活性化や技術の保存を図ろうとするデザイナーやプロデューサーと会った。

一年にも及ぶ東南アジアツアーを経て、エコファッション・キャンペーンの参加者であるMegan O'Malley氏とGab Murphy氏は、持続可能な商品を提供するデザイナーの数が増加することによって、地域のアパレル産業における廃棄物や搾取がなくなることを望んでいる。

「ファスト・ファッションのビジネスモデルは、この巨大なアパレル業界を通じて世界の人々に安価で生産される衣料品を次々と利用させるよう操ってきました。」とWalk Sew Goodの共同設立者であるO'Malley氏は述べた。「このような風潮は持続可能ではなく、理にかなっていません。」

彼女とオーストラリア人の同僚であるMurphy氏は、11月にメルボルンを出発して以降、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオスを訪問し、正当で持続可能な方法で生産された環境にやさしいアパレル品を探して歩いた。「この問題に対する多様な解決策を生み出そうとしている人々が多くいます。私たちはそうした人々と会って、話を聞きたいと考えたのです。」とO'Malley氏は言った。

この二人は、布地、仕立や製織技術の長い歴史に携わる多くの進歩的なデザイナーに会った。

カンボジアでは地元デザイナーのVannary San氏が、アパレル産業がこの国の主要な輸出産業にまで発展し、約70万人を雇用していることによって、伝統的なシルク産業と文化に対する誇りが忘れ去られつつあることを心配していた。

プノンペンでファッションブランドのLotus Silkを所有するSan氏は、「カンボジアのシルク産業が衰退していることを聞き、とても心配しています。」と述べた。「カンボジアのシルク生産には長い歴史があります。アンコールワットの彫刻からもそれを見て取ることができます。シルク生産は我々にとって大切な歴史遺産ですが、残念ながら最近では衰退しかかっています。」

San氏は3年前に、シルク産業を復興して創造的なコミュニティを再び活性化させ、彼らが安定的な収入が得られるよう支援するというミッションを自身に課した。公正な賃金と労働条件を提供するエシカル・ファッションブランドを運営することは、彼女の最優先事項である。

San氏は、カンボット州の蚕のエサとなる桑の木を育てる3つの農業コミュニティ、プレイベン州とタケオ州の製織業者、バッタンバン州のオーガニックコットン栽培業者、カンダル州の染色専門家らと協業している。各生産プロセスはトレーサビリティと高い透明性が確保されていると彼女は述べた。

国際水準に見合った質の高い製品を制作するためにコミュニティに教育を施した後、彼女は昨年Golden Silk Collectionを発表した。このコレクションは既に海外、特に韓国、オーストラリア、米国、カナダのバイヤーから引き合いを得ている。

彼女はまた12月に、プノンペンにおいて啓蒙を目的としたインタラクティブな博物館「The Silk House」をオープンさせる予定としている。

「カンボジアの素晴らしいシルク産業を復活させるのを支援するだけでなく、地元の生産者に対しても、彼らが作り出しているものに価値があり、こうした伝統は存続させるべきであることを啓蒙することを目的としています。」と彼女は述べた。「シルク生産は私たちの歴史の重要な一部分であるだけでなく、高品質で倫理的に生産されたこれらの製品は、潜在的な可能性も有しているのです。」

「世代を超えて伝承されたカンボジアの織物や製織技術の多くが、19751979年の残酷なクメール・ルージュ政権時代に失われました。また、ベトナムや中国などの諸外国から輸入される安価な材料が浸透したことによって、複雑で時間のかかるこうした工芸品を習得するインセンティブはほとんどなくなってしまいました。」

「またこうした技術は、工場生産によってほとんど失われつつあります。」と地元職人から原材料や工芸品を買い付けるフェアトレード・ブランドであるANDの創設者であるAlan James Flux氏は言った。「今はまだ手織りの素晴らしい職人が存在しますが、その子供たちは条件が良く、給料も高い縫製工場へ働きに出ようとしています。」

イギリスで教育を受けたこのファッションデザイナーは、全国の熟練した職人家族と協働し、複雑なikat製織技術をしばしばその作品に組み込んでいる。

「我々はカンボジアにおける潜在能力のほんの表面に触れているに過ぎません。」とFlux氏は言った。「カンボジアにはまだまだ多くの素晴らしい製品があります。様々な種類の製織技法や、まったく異なるタイプの絞り染め、ジュエリー製作、木彫りなどがあり、その潜在的な可能性は無限大です。」

カンボジアにおける同様の草の根活動は、伝統的な工芸品や技法の再生に貢献している。

(後編につづく)



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最終更新:2017年10月14日06:03

ミャンマー:中国系工場で発生した一帯一路構想に暗雲を投げかけるストライキ

ミャンマーの中国系衣料工場で発生したストライキは、企業側が労働者側の要求に応じる形で先月、3週間を経てようやく解決するに至った。

組合役員によると、スウェーデン企業のH&M向けにヤンゴンで衣料を生産しているHangzhou Hundred-Tex Garment社は、最低賃金額として1日当たり3600ミャンマーチャット(2.7米ドル)を支払い、残業に関する労働法を遵守し、解雇されていた組合長を再雇用することに合意したという。

同企業は安価な労働力を目的に、ヤンゴン工場を3年前に立ち上げている。以前生産拠点があった杭州市では、月間の最低賃金額が1860中国元(269米ドル)と、ヤンゴンと比較して3倍以上の額を支払っていた。

しかしながら同社はストライキによる大きな打撃を受け、北京で行われている海外との通商関係の拡大といった中国の海外投資にはリスクが潜んでいることを浮き彫りにした。

ストライキ中、ミャンマー人労働者達は工場のドアや窓を打ち破り、中国人マネージャー達複数人を敷地内に閉じ込めた。中国大使館のウェブサイトに掲載された説明によると、マネージャー達は大使館の助けを得て後に解放されたという。

中国メディアや地元の報道機関であるGolden Phoenixは、300名近くの労働者が工場を荒らし回った際に7名の中国人スタッフを捉え、金品を奪い、暴行を働いたと報道した。

しかしながら、労働者との交渉にあたったミャンマー労働組合総連盟の執行委員メンバーであるKhaing Zar氏は、中国人スタッフに負傷した者はおらず、全員が自らの意志で工場に残っていたと説明している。

「窓や食堂にあるプラスチック製の椅子がスト中の労働者によって壊されたのは確かですが、機械に対する損害はありませんでした。」

Khaing Zar氏によると、労働者達は同企業が労働法を遵守していないことに憤りを覚えていたが、ストライキに踏み切ったのは工場が労働組合長を解雇した後の1月になってからだという。

工場側は、H&Mの代表や地元当局が交渉に関わってくるまでは労働者達の要求に対し強硬な姿勢をとっていたと彼女は説明した。

「現時点では、我が社はこの工場との事業関係を一時保留状態にしています。状況をよく見極め、関係当事者としっかりとした対話を行っており、いかなる暴力からも距離を置いています。」と同社は声明を発表した。Hangzhou Hundred-Tex Garment社、在ミャンマー中国大使館、ミャンマー労働・入国管理・人口省はいずれもインタビューに応じていない。

今回のストライキが発生したのは、古代の通商ルートに沿って経済活動の復興を行うという中国のイニシアチブ「一帯一路」構想を促進すべく、北京でリーダー達による首脳会談が開かれるちょうど数週間前であった。中国と国境を接するミャンマーは、一帯一路構想においても地理的・政治的に重要な場所である。

中国投資が雇用や景気、友好関係をもたらすというメッセージを北京が伝えようとしている一方で、中国投資の工場や炭鉱、プロジェクトは現場の係争により再三汚名を被っている。

ミャンマーで予定されていた中国の36億米ドル規模の水力計画もまた、地元コミュニティや環境グループの抗議により、無期限の中断が2011年に決定している。

シンガポールYale-NUSカレッジ政治科学科のChin-Hao Huang助教授によると、中国企業はしばし地元の条件との違いに行き当たるという。

「中国企業は、現地の法律に従っていないとして度々非難の対象になります。特に労働権や環境保護、企業の社会的責任問題などにおいて顕著です。」とHuang氏は述べた。

国際労働機関ヤンゴン事務所の技術顧問チーフNatsu Nogami氏は、Hangzhou Hundred-Tex社の一件は東南アジアで増えつつあるストライキの風潮の一部であると語った。

「ストライキは常に最後の砦でなくてはなりません。」

「しかしながら、ミャンマーの様な国々では労働法や労働組合との連携といった事がまだ目新しく、労働者は交渉の余地がないという気持ちにとらわれてしまうのです。」

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ミャンマー ジャンル:
最終更新:2017年03月16日11:28

カンボジア:新進気鋭のデザイナーが国内ファッション黄金期の復活を目指す(後)

(前編より)

 

Jamesとして活動するカンボジア人デザイナーのKosal Ou氏は、2015年にプノンペンのキャットウォークに自身のブランドを出店した。彼は今、11月4日のメンズウェア・イブニングの企画でお披露目をする、最新コレクションLa Toileの最終仕上げを行っている。

縫製工場でGap、Mulberry、Calvin KleinやTommy Hilfigerなどの国際ブランド向けに衣料品を生産していた9年間の勤務経験は、この35歳デザイナーのファッションに対する情熱に火をつけ、国際規格、デザイン、良質の服をどのように縫製するのかについての知識をもたらした。彼は自身の仕立てビジネスを開始するために、2008年に工場の仕事を辞めた。

余暇に個人レッスンを受けたり、インターネットで技術的なヒントを得たりしながら、Kosal Ou氏は自身のメンズウェアブランドであるKool As Uを2012年に立ち上げた。彼はブティックをオープンし、今年は婦人服にも展開して国内外で販売を開始している。

「私は若い頃からファッションを愛好してきましたが、この国ではブランドの大半が輸入品です。私は世界に対して高品質のカンボジア製衣料品を発信していきたいと考えています。」とOu氏は述べた。「カンボジアには若くて現代的な人々が多くおり、それを私のデザインに反映することを目指しています。」

フランス式のデニムを扱うLa ToileブランドでKosal Ou氏は、都会的なスタイルで着回しの利く、デニムに特化した既製服コレクションを発表した。「私は職場やパーティーで、または週末にも着回すことができる服が欲しいと思っていました。私の作品はユニークで、毎日着ても快適な服を求めている人向けのものです。」

Kosal Ou氏は、Method of Disruption というコレクションを主宰するProtasio氏と並んで作品を発表する。プノンペン・デザイナーズウィークでは、熱烈に支持されているWaterlily、A.N.D. やDevinalexも最新作を発表するが、これらはすべて国内ブランドである。

このイベントでは首都のAudiショールームを豪華なキャットウォークに変えて、11月3日のTwo Wondersの単独ショーで幕開けする。彼らの女性向けコレクションであるTravellerは、その柔らかい質感とレイヤーに、対照的な大胆なシルエットを採用している。ジャンプスーツ、オフショルダーのトップスやパワースーツも非常に特徴的である。

レディースに続き、翌日夜はメンズウェアのイベントが開催される。このコレクションには、KimsによるThe Huntsman、EstablishedによるThe Last Blossom、Soknan によるKoi、Lee & Taylor によるAlazhiなどが参加する。

南アフリカ人のLee氏とマレーシア人のTaylor氏は、インドにインスピレーションを受けた既製服コレクションでプノンペンにおけるデビューを飾った。「我々は植民地時代のインドスタイルを取り入れています。」と6年前にカンボジアに移り住んだLee氏は述べた。「特に使用人の着用していた衣服に強い影響を受けており、グルカ兵のユニフォームに触発されたミリタリー調のものとなっています。」

ルーズなジャンプスーツ、流線的なドレス、ミリタリースタイルのジャケットにハードとソフトをあわせ持つ軽布を合わせている。「我々はコレクションを販売可能なものとするため、生地を選ぶ際に当地の気候をよく考慮しています。」とプノンペンのThe DollhouseサロンとPaperdollsというブティックを経営するLee氏は言った。「それは非常に重要なことで、ゆったりと通気性に優れた素材にする必要があるのです。」

デザイナーズウィークには初年度15のエントリーしかなかったが、今年のイベントでは2倍の申し込みがあり、このイベントの発展はカンボジアにおけるファッショナブルな衣服に対する需要の益々の高まりを象徴している。またLimkokwing大学やRaffles国際大学におけるファッションコースなどの専門的なファッションスクールやコースの開設は、優秀なデザイナーの新しい一群を生みだすことに寄与している。

昨年プノンペンでキャットウォーク・デビューを果たした香港出身のNatacha Van氏は、この国のファッションシーンで脚光を浴び、カンボジアの次世代トップモデルとして最初のシーズンを迎えようとしている。彼女はカンボジアのスタイル業界の将来において、高い期待を受けている。

「この地のファッション業界は本当に急速に発展しています。ますます多くの人々がこの業界の運営について、多くの知識やアイデアを持つようになっています。」とロンドンのファッション大学で学んだ後、彼女の父親の故郷であるカンボジアに移り住み、2年前に自身のブランドを立ち上げたVan氏は言った。「人々は異質なものをより柔軟に受け入れるようになってきており、プノンペン・デザイナーズウィークのようなイベントは、我々にブランドの内容と、それがいかに素晴らしいかを披露できるプラットフォームを提供してくれています。」

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最終更新:2016年11月13日06:04

カンボジア:新進気鋭のデザイナーが国内ファッション黄金期の復活を目指す(前)

カンボジアの首都全域にあるスタジオ、アパート、ブティックの仕立部屋では、第7回プノンペン・デザイナーズウィークに向けた最後のステッチや調整が行われている。

2013年7月に開始されたこのイベントは、カンボジアの新興ファッション業界にプラットフォームを提供することにより、この業界において自社ブランドを確立したいと考える既存、または新興のデザイナーに活力とモチベーションを与えている。

「我々はデザイナーが新しいコレクションを生み出すのを支援し、ファッション・ショーの場を提供することによってこの業界の発展に寄与したいと考えています。」とフィリピン人のデザイナーで、今週行われたこのイベントの共同主催者であるDon Protasio氏は述べた。「ここカンボジアにおいては、ようやくファッションに関心が向けられ始めたものの、まだその意識は高いレベルではありません。」

今や黄金期とされている1950年代から60年代のカンボジア全盛期においては、この国はファッション愛好者にとっての楽園であった。若者らは最新トレンドに満ち溢れた街を闊歩していた。女性らはファッションスタイルを通じて自分の個性をうまく表現し、プノンペンのナイトスポットでは男性が得意げにダンスフロアで彼女らをエスコートしていた。

1967年に内戦が勃発してこのような時代は不意に終焉を迎え、4年間のクメール・ルージュによる残忍な治世と10年にも及ぶ混乱がカンボジアに分断を招いた。そして大多数のカンボジア人にとって生き残ることが唯一の優先事項となり、ファッションは忘れ去られていった。

続く20年間においてアパレル産業はカンボジアの経済を立て直すのに重要な役割を演じ、国内総生産(GDP)に16%も貢献し、全国700以上の衣料品・履物工場で70万人以上を雇用してきたが、自国の産業はほとんど育ってこなかった。

しかし平和と急速な経済発展が進化の扉を開き、インターネットを通じて外の世界への関心を持つ、教養のある豊かな中産階級が出現し始めた。こうした若者らは独自のファッション観を切り開き、再びこの業界地図にカンボジアの存在を植えつけたいと渇望しており、こうした動きが現在のファッションシーンの賑わいにつながっている。

Lee &TaylorのデザイナーであるBrandon Lee氏とRyan Drewe Taylor氏はこのイベントでデビューする予定としている。

「若い世代は間違いなくファッションスタイルに強い関心を持っています。」とビジネスパートナーであるBrandon Lee 氏と共にLee & Taylor コレクションでデビューを飾る予定のRyan Drewe Taylor氏は述べた。「今やファッションブランド、ポップカルチャーや音楽は生活全てに影響を及ぼしており、その変化が見て取れます。現在の大学生が旧世代と比べていかに着飾っているかを見てください。パジャマで外出する人々は明らかに少数派となっています。」

開始以来年2回のこのイベントは、ファッション業界のカレンダーにしっかりと刻まれている。イベントはファッションデザイナーらに最新の作品を発表する機会を提供し、バイヤーらがそれらの新商品を我先に買い付けることで終了する。

「第1回イベントに参加したデザイナーの何人かは今でもこのイベントに参加してくれています。」と2006年にカンボジアに移り住み、自身のファッションブランドを立ち上げたProtasio氏は述べた。「ですが最大の変化はカンボジア人デザイナーの存在です。初回はそれほど多くはありませんでしたが、今では素晴らしいことに多く参加しています。多くのカンボジア人デザイナーにとってこれが初めてのランウェイ・ショーであり、彼らにとって得がたい経験となるでしょう。」

 

(後編へつづく)

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最終更新:2016年11月12日17:04

ベトナム:TPPの影響により労使関係に変化の可能性も(後)

(前編より)

 

世界銀行の統計によると、輸出に大きく依存し、低賃金を強みとした経済のベトナムでは、主に繊維・アパレル産業の貢献により、2030年までに約10%とTPP加盟国の中で最も高水準での経済発展が見込まれている。

一部の外国投資のおかげもあり、ベトナム経済は昨年年率6.68%と、ここ5年間で最も速いペースで成長した。しかし、さらに高品質のTPP関連投資を誘致するためには、一人当たりGDPや競争力ランキングが参加国グループで最低水準にあるこの共産主義国において、幅広い改革を導入する必要がある。

「ベトナムにおいて完全な市場システムを導入し、国家の役割をより改善するには、多くの労力を必要とします。」と経済学者であるPham Chi Lan氏は言った。

非効率な国営企業はなおも経済のあらゆる分野において影響力を持っており、そのリストラは、長く、痛みを伴うものとなるだろう、と彼女は言った。しかし、ベトナムがTPPに加盟したとき、それは「国は真剣に(現在の)仕組みを変えることを考えている」ことを示した、とも言えるとした。

ベトナムのTPPへの参加には、国の支配エリートの間での外交政策の方向性に関する「新たなコンセンサス」が反映されている、と香港城市大学のベトナム専門家であるJonathan London氏は述べた。この共産主義国家は米国や日本に接近することを望んでいるが、一方で、現在最大の貿易相手国である中国の反感を買わないようにしたいと考えている、と彼は言った。

「ベトナム政府はTPPがどのような意味を持つかを認識しています。即ち、経済的および戦略的に、ベトナムの評価を高めるのに千載一遇のチャンスであるということです。」

TPPは、国有部門を徹底的に見直しするための長期にわたる取り組みに“構造と方向性”を指し示すことにより、ベトナムの国内改革の助けとなり、さらに、この協定はベトナムに多大なビジネスチャンスをもたらすものの、それは特効薬ではない、とBay Global Strategies社のVirginia Foote氏は述べた。

「企業は(投資環境について)全体像を評価しているのであり、優れているのが関税水準だけであれば、工場やサプライチェーンを(ここベトナムに)移したりしないでしょう。」と彼女は言った。

ハノイ郊外の繊維・衣料品工場において、同社では熱心にTPP発効後の計画を練ってきた、とThan Duc Viet次長は述べた。

この工場では生産能力をほぼ倍増し、他のTPP加盟国から糸を調達することによって得られるTPPの優遇条項を利用するため、地元のサプライヤーを確保するのに多忙を極めている。一方で、新しい労働基準を求める条項については一切心配しておらず、会社では既に、熟練労働者をつなぎ止めるのに必要な処遇に多額の投資をしている、とした。

「TPPの有無にかかわらず、優秀な労働者が働き続けてくれないことには、我々は確実に破産に追い込まれることになるのです。」と、彼は言った。

 

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最終更新:2016年01月20日11:52

ベトナム:TPPの影響により労使関係に変化の可能性も(前)

ベトナムは主に繊維・アパレル産業の貢献により、2030年までに約10%とTPP加盟国の中で最も高水準での経済発展を期待

 

製靴工場で共産主義国ベトナムにおいて初となる平和的な集団ストライキを組織した後、労働活動家のDo Thi Minh Hanh氏は逮捕され、警察に殴られて流血した上4年間の懲役を課された。

ベトナム当局は、目覚しい経済成長を牽引している輸出向け工場で働く何百万人もの労働者が、独立した労働組合を結成することを認めていない。しかし、バラク・オバマ米大統領によって「21世紀の貿易」の礎とうたわれている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の発効に伴い、この方針は変更されねばならない。

TPPは世界経済の約40%において商取引を自由化することを目的としており、米国、日本、カナダ、ベトナムなどのこの協定への署名国は、独立した労働組合を認めるよう義務付けられている。しかしHanh氏のような活動家らは、一党独裁体制においてこのような変革を確かなものにするには、長い道のりが必要となると言う。

「ベトナム国家はまだ、労働組合のコントロール権を保持したいと考えています。」と2014年に刑務所から釈放されたが、まだ常時警察の監視下にあるHanh氏は言った。

現在すべての労働組合が、与党共産党より古い歴史を持つ、ベトナム労働総連合(VGCL)に属している。このような公的な労働組合は、「労働者を代表するのではなく、労働者をコントロールするために組織されています。」と、労働活動家のHoang Dung氏は述べた。

意味のない代表権は、より多くの山猫ストライキにつながり逆効果である、と労働活動家Nguyen Ngoc Nhu Quynh氏は言った。

「そういった公的な労働組合ではまともな交渉をすることができない、として労働者らはデモを行っています。」と彼女は言った。

Quynh氏はTPPについて楽観視しておらず、「労働組合が本当に自立的に活動し、労働者の問題に耳を傾けるかどうかについて、いったい誰が保証できるというのでしょう。」と問うている。

TPPには、企業がもし自らの権利が侵害されたと考えた場合、政府を相手取り裁判に持ち込むことを認める、という賛否両論の投資家寄りの紛争解決メカニズムが含まれている。しかし一方でTPPには、加盟国が労働や環境に対する約束事を果たしていることを確認するような同様の執行メカニズムはない。

(貧困と不正を根絶するための国際協力団体である)OxfamのAndrew Wells-Dang氏によると、ベトナムは過去に多くの権利と労働に関する契約に署名してきたが、その実行には移せなかった。

TPPは「労働問題に風穴を開ける助けとなる可能性はあります。ですが、うまくいかない場合はどうなるでしょうか?」と彼は言った。

リスクは、TPPによって単に、「国内のある者によって支配されていた状況が、国際的な企業による別の状況に置き換わる」だけであり、ほとんど労働者や農民の利益にならないということである。

 

(後編に続く)

 

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最終更新:2016年01月20日05:49

中国の人件費高騰で東南アジアに向かう外国企業

優遇税制の廃止に加えて人件費高騰で中国大陸の魅力は激減

 

中国経済の混乱にはさらに隠された理由がある。多国籍企業が高い費用対効果を求め中国から東南アジア諸国に生産拠点を移転することによる、東南アジアへの雇用の流出である。

「中国の労働市場にとって東南アジアは脅威であると確信しています」人材派遣会社HaysのChristine Wrightアジア支社長は語る。「ベトナムやフィリピンなどは中国より大幅にコストがかかりませんし、今後さらに多くの会社がそちらに生産拠点を立ち上げることになるでしょう」

中国はかつて世界の工場であり、その豊富な労働力と安価な人件費に魅力を感じる世界中の企業の投資を引きつけてきた。企業は同時に中国の猛烈な経済発展の恩恵を受けることもできた。

しかし、外国資本をめぐるアジア地域での争いはここ2年間で新たな局面を迎えることとなった。賃金の高騰とともに、世界一の人口を擁するこの市場からの資本の引上げが始まった。2009年に中国政府が海外投資家に対する優遇税制の撤廃を決定すると、海外の製造業者が中国に見ていた輝きは次第に失われ、上昇傾向の人件費が景気の見通しにさらに暗い影を落とした。

Hays社の賃金調査によると、中国に拠点を置く企業の66%が2014年に6%以上の昇給を従業員に与えているが、同様の昇給を計画している企業はアジア地域平均で29%に過ぎない。中国における賃金の上昇傾向は2015年も継続し、70%の企業が最低でも6%の昇給を計画しているが、アジア全域で同様の昇給を計画している企業は30%しかない。

日本のファスナー製造業者のマネージャーChen Junjie氏は、一生懸命働いても必ずしも報われるとは限らないと感じている。

「高い給与は私のような従業員にとっては脅威になりうるのです。アパレルメーカーや自動車メーカーといった顧客は東南アジアに移転していきました。勤勉に働いて今日昇給を得ても、それはまもなく会社が私たちを解雇する理由となるのではないかと心配になるわけです」

中国では海外資本の企業が5000万人もの雇用を創出してきた。海外企業の移転で失われる総雇用数を推計することは容易ではないが、いままでの事例から見るに雇用の喪失は深刻で、かつ多方面に及んでいる。

「縫製産業など労働集約的な産業の労働者は他の技能がないため、新しい仕事を見つけることは非常に難しいでしょう。」Joinlink Consulting社のヘッドハンターHong Lingyun氏は話す。

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最終更新:2015年02月26日14:03

香港の繊維企業、安価な労働力を求めてミャンマーに生産シフト

ヤンゴンの工業団地の労働者の賃金は中国本土の20%

香港の繊維企業数社は、生産コストを少なくとも半減できるとみられるヤンゴンに、最初の工業団地を設立する契約を締結した。

ミャンマーの旧都ヤンゴンにある200haの工場地域の労働者の給与は本土工場の従業員の約5分の1と見られる。

繊維産業界の支持を受ける自由党議員Felix Chung Kwok-pan氏は、ミャンマーと日本が共同で建設しているThilawa 経済特区の400haのうちの半分を賃借する契約を12のメーカーの代理人として結んだ

「2015年中頃に建設工事を始めて、翌年の年末までには工場稼働開始可能となることを望んでいます。」とChung氏はサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙に語った。

メーカーらは「柔軟に」対応できるよう本土の生産工場も維持すると彼は言い足した。

50年契約の年間の貸借料は5200万米ドル。

香港企業は月給100~120米ドルの相場で少なくとも3万人のミャンマー人労働者を雇用する計画だとChung氏は述べた。

「給与ベースは中国本土の労働者の1/5にすぎません。欧州の経済制裁が解除された後、ミャンマーから輸出されたすべての製品はEU諸国へ無税で輸入されています。」とChung氏は言う。

「どんなに控えめに見積もっても、中国での生産と比較すると、コストは少なくとも半分以下に抑えることができます。」

香港アパレル組合名誉生涯会長Chung氏は、各メーカーは200万~300万米ドルをこの工業団地に投資すれば、1~2年間で元を取ることができると確信しているという。

利害の衝突を避けるため、Chung氏は投資せず、ミャンマー労働省と共にヤンゴンで職業訓練所を設立する計画もある。香港の服飾産業訓練局から専門家を指導員として送る予定である。

中国製造者協会副会長Jimmy Ng Wing-ka氏は、低い生産コストだけが唯一の関心というわけでもないので、中国からミャンマーへの工場移転の傾向はまだ顕著ではないと述べた。

「ロジスティクスも問題です。EUではなく、米国への製品輸出を計画しているなら、空路を考えるとミャンマーに移る理由は全くありません。」と彼は言う。

しかし、Ng氏は、人民元の切り下げで利益が目減りし、そのため、工場は中国南部から北西部にシフトしていることは認めた。

 

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最終更新:2014年03月13日12:56

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