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中国から東南アジアへ工場移管?コスト上昇とストライキに注意!

カンボジアとベトナムは、外国投資家が慎重に取り組む必要があるビジネス環境が難しい東南アジアの国である。コストの上昇、低効率の労働力、そしてより強い労働組合運動は挙げられるリスクのほんの一部である。

近年、中国の人口動態の配当は徐々に消えつつあり、世界第2位の経済大国の生産コストは急上昇している。このような環境圧力の高まりにより、多くの中国および外国の多国籍企業は工場を東南アジアへの移管を始めた。さらに重要なことに、米国と中国の間の貿易戦争の激化によるビジネスリスクを相殺することを多くの人が望んでいる。

それでも、東南アジアのビジネス環境が外国人投資家にとって優れていると仮定するのは安易である。コンサルティング会社やシンクタンクによる最近の報告では東南アジアにとっての貿易戦争の利点を浮き彫りにした。しかし、これらの報告はこれらの経済環境で事業を行うことのリスクにおいては不十分である。特にカンボジアとベトナムでは、多くの外国人投資家が引き続き困難に直面している。

 

カンボジアのビジネス環境は依然として難しい状態である。今年初め、違法とされたストライキの後、1200人の労働者がH&MMarksSpencerを含むブランドを供給する工場から解雇された。

カンボジアの人件費は急上昇している。最低賃金は月額40米ドルの1997年から今年は182米ドルに上昇した。手当てや様々な補助金が含まれている場合、これは月額約210米ドルに上り、バングラデシュ、スリランカ、インド、ミャンマー、パキスタン、またはラオスの最低賃金よりも高くなる。

近年、労働者の抗議行動やストライキが以前よりも頻発している。産業アナリストによると、カンボジアの生産性は中国の約60%に過ぎず、中国の生産性の約80%を管理しているベトナムとインドネシアの両方に遅れをとっている。

中国と比較して、カンボジアはインフラから製造業を支える他の施設までのサプライチェーンの繋がりが弱い。これは外国人投資家にとってもう1つのビジネスコストでもある。

そして来年、カンボジアはEU2月に人権問題のために優遇貿易措置の撤回プロセス開始後、EUとの輸出免税の恩恵を失う可能性がある。

 

一方、ベトナムは米中貿易戦争の主要な恩恵受益国として祝福されてきた。

野村證券の報告書によれば、中国からの代替輸入やその他の波及効果のおかげで、ベトナムは貿易戦争で最大の勝者となり、経済を最大7.9%押し上げたという。しかし、これは安直な見方である。Anboundの調査チームは、ベトナムの歴史的なチャンスには大きなリスクが伴うと考えている。ベトナムは輸出志向の経済で、大量の輸入が続いている。

輸入インフレは避けられないシナリオであり、賃金上昇に圧力をかけるだろう。激しいインフレを感じている工場労働者は、抗議やストライキに加わろうとする動機が出来る可能性がより大きくなる。政府は輸入インフレと闘う最善策として、要求を払うことを黙認するかもしれない。しかしベトナムは、外国人投資家にとってコスト回避地であるという最も重要な利点を危険にさらすだろう。

ベトナムは急激な経済成長を遂げ、昨年は予想を7.08%上回った。しかし、それは開発ボトルネックになるかもしれない。特に顕著な兆候は、製造業によって生み出された富が製造業に再投資やリサイクルされるのではなく、不動産業に急速に移行していることである。

さらに、ベトナムは衝撃的な水準の対外直接投資(1四半期だけで108億米ドル)を惹きつけており、これは経済の対外資本移動に対する脆弱性を増大させる。

 

間違いなく、短期的には、カンボジアとベトナムは、産業サプライチェーンと製造業の移転による世界的な再構築から恩恵を受けるだろう。

しかし中国とは異なり、ベトナムやカンボジアの小規模な経済や市場には、外国投資家による更に深いより包括的な評価に値するリスクがある。

今後カンボジアとベトナムでは、コストの上昇、開発ボトルネック、低効率の労働力、脆弱なサプライチェーンの繋がり、より強い労働組合の動きが明らかになり、中国同様の境遇になるかもしれない。

大切なことは、過剰生産が蔓延し制御できない世界では、そのような外国投資先の移転は生産を増やすだけである。経済危機が発生した場合、カンボジアやベトナムなどの小規模経済は中国よりもはるかに打撃を受けるだろう。

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最終更新:2019年07月09日05:53

カンボジア:恐ろしい交通事故、アパレル労働者の通勤条件の悪さを露呈(後)

(前編より)

 

Hongさんは、現在、カンボジアのアパレル労働者にとって、より良い交通手段が最大の懸念であると付け加えた。

「座れる椅子と十分なスペースがあれば、通勤中に少しリラックスすることができ、それは大きな違いとなります。そして、道路を拡大し、街灯を改善するべきです。運転手がもっと注意を払うようになれば事故の数を大きく減らせるはずです」と彼女は言った。

事故に巻き込まれた最年少19歳の2人の女性は彼女たちの将来について懸念している。Phy Khemさんは自身が手足をなくしたという現実に慣れるのに苦労している。

「私がまだ両腕を持っていたとき、私はもっと魅力的に見えたと思います。腕が一本無くなってしまった今、もうこれ以上自分が美しいと思えないのです」と彼女は語った。

独身のSrey Sarさんも同様の心配をしている。「片方の腕しかない私と誰が結婚したいなんて思うかなんて想像できません。一本の腕しか無いのは魅力的ではないし、今の私はほとんど何もできないのです」と彼女は言う。

もう1人の犠牲者、32歳のRan Rinさんは事故以来彼女の両親の家に戻った。

「私の夫は今一人で暮らしています。彼は稲作農家で、時々更にお金を稼ぐために建設現場に仕事に出かけます。 彼が仕事に出たとき、私は今は何もできません。なので私は私を手伝ってくれる兄弟と共に、私の両親と同居するようになりました」と述べた。

Kunthearさんも今でも苦しんでいる。彼女は家族を養うために月額250米ドルから300米ドル必要としていると言う。

「ですが今、私たちはもうそのお金を持っていません。事故以来私は全貯金を切り崩してきました。もう次に何が起こるか見当がつきません。国家社会保障基金は医療費のみを賄っていますが、自分自身を養うためにまだもっとお金が必要なのです」と述べた。

声明の中で、国家社会保障基金は5人の労働者が障害年金を受け取ることができると述べているが、これまでのところ、彼らの誰もいつ最初の支払いを受け取れるのか通知されていない。

労働者はまた、事故後に逮捕されたがまだ対応待ちである彼らの怪我に責任があるトラック運転手から各々3000米ドルを要求する訴えを提訴した。



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最終更新:2019年06月22日12:08

カンボジア:恐ろしい交通事故、アパレル労働者の通勤条件の悪さを露呈(前)

19歳のLang Srey Sarさんは、わずか数週間前まで彼女の腕があった場所を見ている。

カンボジアの工場労働者は恐ろしい交通事故で手足を失った。「私は腕が無いのです…。私は羽のない鳥のようです」と彼女は言う。

Srey Sarさんは44日、荷台部分に乗るトラックで工場へ向かう約40人のアパレル労働者の内の一人だった。運転手が追い越そうとした際にセメントミキサートラックと衝突した。18人の女性が負傷し、5人は金属製のフレームに掴まっていたが、それぞれ腕を失った。

Roeun Kunthearさん(31歳)もその一人である。「私は自分の腕が肩から切り落とされるのを見ました。腕が袖から落ちているのを見た時に何が起こったのか気付いたのです」とカンボジアの首都プノンペンから約50 kmにあるカンポン・スプー州の彼女の村でSouth China Morning Post紙に語った。

腕が切断された労働者によると、救急車は30分後に現場に到着したという。

しかし、彼らの怪我はとても深刻だったので、地元の病院は怪我に必要な手術を扱うことができず、2時間後に別の病院に運ばれた。

アパレル産業はカンボジア最大の民間事業で、最大80万人の工場労働者を雇用している。何万もの人々が荷台部分に乗るトラックに詰め込まれ職場までの道を行き来する。それらは常に定員オーバーで、最大70人の女性が家畜のようにぎゅうぎゅう詰めにされており、多くの乗客はバランスを保つために鉄のフレームを握っている。事故は頻繁に起こる。

労働職業訓練省の統計によると、2017年のカンボジアでのアパレル労働者の交通事故は4853件と記録されている。

68人の労働者が死亡し、683人が重傷を負った。事故の数は昨年、18849人に減少し、40人が死亡、349人が重傷を負った。同省によると、2017年の事故の内45.5%はトラック運転手によるものであり、前年は43%だった。

トラックで労働者を輸送するという慣習は、長年労働活動家やNGOによって批判されてきたが、措置が改善されるという誓約にもかかわらず、現状はほとんど変わっていない。

カンボジア労働連盟会長兼カンボジア国家社会保障基金役員で、労働者を経済的に支援する任務を抱えているAth Thorn氏は、同国における交通事故の問題は「体系的」であると述べている。

「一つの問題を直すことはできないですが、そこからすべての問題が解決されると考えることができます。多くの場合、トラック運転手はただ単に収入を増やすために、できるだけ多くの労働者をトラックに詰め込んでいるのです。トラックは過負荷で、運転速度が早過ぎ、交通安全を最優先事項と考えていません。 多くの運転手は非常に若いのです…。彼らは交通規則を知らず、時には飲酒運転さえしています」と同氏は述べる。

運転手のThon Vannaさん(38歳)は、5人の女性が手足を失った場所と同じ地域の工場に労働者を運搬している。

「その事故が起こったときは本当に怖かったです。その事故があり、私はより慎重に運転するようになりました」とVannaさんは述べた。

彼は、街灯がないことが運転中の最大の危険の一つであると付け加えた。

「暗くなってくると、道路の穴やカーブが見えにくい場合があります。ドライバーが十分に注意を払わないと、事故が発生する可能性があります」

事故で腕を失ったもう一人の女性、Phy Khemさん(19歳)はまだ彼女の故郷の村で回復中である。 彼女は長女で下に3人の兄弟がいる。彼女が稼いだお金は家族を支えていた。「残業代を含めて、私は月に約250米ドルを稼いでいました。母親に230米ドルを渡し、交通費に10米ドルを使い、残りの10米ドルをお小遣いのために残していました」と彼女は述べた。

近くの村に住んでいる26歳のKhom Srey PenhさんがKhemさんの下に訪れた。同じ事故で腕を失ったにもかかわらず、彼女は娘を前に座らせてバイクに乗って来た。

「私はまだショックを受けていて、事故によるトラウマを抱えています。今はまだトラックが怖いです。工場は今後私たちがどのような作業ができるか見に来ても良いと言いますが、私はトラック通勤はもう決してしたくありません」と語った。

女性の窮状は、アパレル労働者の通勤手段の危険性に世間の注目を戻した。Ath Thorn氏は、現状を改善するにはすべての利害関係者が協力する必要があると述べた。

「政府と雇用主は運転手に安全な交通手段を提供することに責任を持たせる必要があります。運転手はトラックに人を詰め込み過ぎず、労働者により高い運賃を払うことを期待してはいけません。通勤手段を確実に安全な状態にするのは政府と雇用主の責任です」と同氏は述べた。

運転手のVannaさんはその原則に同意し、より多くの訓練と意識付けが助けになるだろうと認めた。 しかし彼は、運転手は難しい状況の中で行き詰まっている、と付け加える。運転手の収入は非常に少なく、彼らはできるだけ多くの乗客を運ぶことを強いられている、と彼は述べる。

「運転手はガソリンを購入する必要がありますし、私たちの多くは、トラック購入のために借りたローンをまだ返済しています。 乗客が減れば利益を上げることはできません」労働組合員のSeak Hongさんは、長い間、通勤方法に関して懸念してきたと言う。4月の事故の後、労働者たちはさらに不安が高まっている、と彼女は述べる。

「その事故以来、私たち全員がより慎重になりました。トラックが別の車を追い越すたびに、必ず手を離します。こんな恐ろしい事故はもう二度と起きないようにしたいのです」

 

(後編につづく)



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最終更新:2019年06月22日06:03

<貿易戦争>中国生産に依存する、米国の高級ファッションブランドに打撃(後)

(前編より)

 

「私は、アメリカの小売業者が、単にコストのために中国から調達することを選ぶとは思いません」と、本研究の著者であるデラウェア大学のSheng Lu准教授は述べる。

「中国は、コスト、信頼性、スピード、市場、コンプライアンスリスクなどの主要な調達要因に関して、むしろ 「バランスのとれたサプライヤー」 と見なされています。関税戦争は、中国[製物品]の価格競争力をさらに低下させるでしょうが、特に短期的には、調達地としての中国全体の競争力を根本的に変えることはないと思われます」とLu氏はインタビューで述べた。

米国政府が3000億米ドルと評価している、中国から米国への残りの輸出品のほぼすべてに最大25%の関税を課すという最新の提案には、以前の関税政策に含まれなかった多くの衣料品が含まれている。7月から実施されるこれらの関税は、米国のファッションブランドの調達戦略をさらに複雑にするだろう、とLu氏は言う。

「米国の小売業者は、トップス、ボトムス、下着などの基本的なファッションアイテムの調達注文は、中国から他の供給業者に迅速に移行させるかもしれません。ですが、アクセサリやアウターのようなより洗練された製品カテゴリーのための代替調達先はずっと少ないようです」とLu氏は続ける。

「皮肉なことに、より洗練され、より付加価値の高い製品を中国から調達することは、代替の調達先が少ないため、米国のファッションブランドや小売業者を関税戦争においてより脆弱にする可能性があります」

Lu氏は、売上と利益を最大化する手段として、ブランドが在庫レベルと調達戦略を調整するために使用するファッション産業データベース上で、米国の9万のファッション小売業者からの、3億以上のアイテムのリアルタイムの価格決定と在庫データを分析している。20178月、米政府が中国に対して不公正な貿易慣行を理由に301条調査を開始して以来、米国ブランドによる中国での新たな衣料品の受注は減少している。

ベトナムも同時期に高いコスト圧力に直面したが、中国ほどではなかった。ベトナムで製造される衣料品の平均価格は、約20米ドルから34.8米ドルに上昇した。

カンボジアとバングラデシュで製造された衣料品の価格は、依然として単価は20米ドルを下回っている。

Lu氏によると、米国と中国が相手国のアパレル・繊維製品の輸出に対して25%の追加関税を課すとしても、米国は、他の供給国からの輸入が、中国からの輸入減少よりも上回るため、国内アパレル・メーカーを支援する効果はほとんどなく、アパレル部門における米国の貿易赤字はさらに悪化するだろうという。ただ、中国メーカーは受注の減少を懸念している。

「衣料品工場については、4月と5月は輸出業者にとって通常は繁忙期なのですが、米国からの受注は少ないものでした」と深センに本拠を置く現代社会観察研究所のLiu Kaiming所長は述べた。同研究所は、中国の数百の契約製造業者の労働環境を監視している。Liu氏はまた、最近の関税引き上げを受けて、米国の衣料メーカーが、生産施設の中国からの移転を加速させる、との見通しを示した。

「米国で人気のある下着ブランドを例にとると、その衣料品の80%は香港の深センの会社によって生産されました。同社は45年前からベトナムに再進出しています。昨年は関税のため、ベトナムへの投資を急速に拡大しました。現在、ベトナム北部には4つの工場があり、生産能力の半分を占めています。関税が25%に引き上げられれば、[その生産を]迅速かつ完全に動かすことは間違いないでしょう」とLiu氏は述べた。

 

その他 ジャンル:
最終更新:2019年05月17日12:04

<貿易戦争>中国生産に依存する、米国の高級ファッションブランドに打撃(前)

ある最新の調査によると、米国の高級ファッションブランドはその製造過程でますます中国に依存するようになり、貿易戦争による関税引き上げに大きな影響を受ける。

Tシャツや下着などの基本的な衣料品の輸入は、ベトナム、カンボジア、バングラデシュなどの低コストの生産拠点に容易にシフトできるが、中国はアクセサリやコートなどの高付加価値製品の生産に特化しているため、米国ブランドは関税引き上げを受け入れざるを得ないかもしれない。

あるアメリカの大学の教授の研究によると、繊維産業の多くの分野がコストの面で熾烈な競争をしているにもかかわらず、中国よりもバリューチェーンの下流に位置する他の国々は、高級品の品質においては競争できないことが示されている。他の国々は、技術的な制約のため、中国と同じ量または同じ品質で生産することができない。

この調査によると、中国の衣料品のサプライチェーンにおける締め付けは続いているが、その価格優位性は、労働コストの上昇と米国の関税率の早期引き上げによって急速に損なわれている。2018年の第2四半期では、中国で製造された衣料品の平均小売価格は25.7米ドルで、ベトナムの衣料品よりわずかに高いだけであったが、その一年後、中国のコストは倍以上になり、一着当たり69.5米ドルになった。

2019年の第1四半期末までに、米国の衣料小売業者の在庫に保管されていた中国製衣料品の数は、各衣料品の属性を追跡するための業界の識別子である在庫保管単位(SKU)としては、3分の2以上減少し8352になった。2016年初頭から20194月下旬にかけて、中国は依然として米国の小売市場における最大(193774 SKU)の衣料品供給国である。

衣料品製造のコストと品質の面で中国の主要な挑戦者とみなされているベトナムは、同時期に米国市場における中国の水準の3分の1を占めた。



(後編につづく)



その他 ジャンル:
最終更新:2019年05月17日10:46

ラオス:伝統織物、ルアンパバーン工芸品センターで生き続け、女性たちに活力を(後)

(前編より)

 

翌日、Zuzongさんは沸騰したお湯にシルクを落とし、朝市場で買った未熟なパパイヤから彫られたスプーンでワックスを取り除く。蜜蠟は高価なので、Zuzongさんはそれを再利用する。ここでは何も浪費することはなく、その技術はほとんど何年も変わっていない。

しかし700年の歴史を持つルアンパバーンは変わりつつある。

ラオスの繊維デザインの中心地として有名なこの村は、同国の観光名所の宝でもある。

しかし、内陸地への観光客の流入によって、ルアンパバーンの人気ナイトマーケットSisavangvong通りで販売されているような、国中に氾濫している安価で劣悪な繊維市場を潤し、その本来の性質を蝕んでしまう恐れがある。

筆者は前夜市場で買った袋をZuzongさんに見せた。

「それはラオスのモン族のデザインではなく、ベトナム製の劣悪商品です」と彼女は述べた。

観光はラオスの急成長産業であるが、昨年の訪問者数は2016年の386万人から約9パーセント減少した。

24歳のOunさんはOck Pop Tokで通訳をしている。彼はカトゥーの民族集団出身で竹織および彼と彼の兄弟6人が子ども時代に学んだクラフトのワークショップを開催している。彼は、ラオス北部にある彼の出身村の山々のガイド付きツアーを開催することを夢見ている。

「ラオスの人々は海外旅行をする余裕がないので、国内旅行するべきです」Ounさんはダイヤモンド模様を巧みに竹のカラフルな帯で織りながら語った。

Salary Explorerのウェブサイトによると、ラオスの平均月収はわずか62米ドルで世界で最も低い。

ラオスの国際観光は難しい綱渡りに挑戦している。一方では、政府は観光キャンペーンを通して国際的な訪問者数を増やそうとしているが、またその一方で、国家やその国民およびその文化が悪用されないようにしたいと考えている。

その懸念点は、首都ビエンチャンを中国につなぐ421kmの中国-ラオス鉄道である。2021年に完成予定で、中国人観光客への流入を含むチャレンジとチャンスの両方をもたらすだろう。

2012年には20万人の中国人観光客がラオスを訪問したが、2017年ラオス観光統計レポートによると、昨年までにその数は639185人に増加した。

多くの中国人は、国境を越えてラオスに入り、中国南西部の雲南省からルアンパバーンとヴァンヴィエンに向かう。

Ock Pop Tokに訪れる人々は国際的で多彩なグループである。シンガポール出身のDeeさんは敷地内のヴィラに滞在し、半日の製織コースに参加する。オーストラリア西部の鉱山トラック運転手Emileseさんは彼女の妹と一緒に参加している。どちらも3日間の自然染色と製織コースを受講している。Anneさんは最近、カリフォルニア大学から定年退職した。彼女は3日間の製織コースに参加し、ベトナム北西に向かう途中でモン族を訪れ、山を巡る。Emileseさんはオーストラリア西部のパース出身で製織ワークショップに参加した。

また、オーストラリアのクイーンズランド州出身のGemmaさんも製織コースに参加する。彼女はホーチミン市を拠点とし、言語療法士として働いており、ベトナムのモン族女性とのトレッキングを終えたところであった。

これらのゲストは共通の糸で織りなされている。そして、参加者全てにとってOck Pop Tokは、織物の「巡礼」において重要な場所である。



ラオス ジャンル:
最終更新:2018年10月27日12:01

ラオス:伝統織物、ルアンパバーン工芸品センターで生き続け、女性たちに活力を(前)

Ock Pop Tok工芸品センターは5人の製織者から始まり、現在全国の500人の職人をサポート

 

Mae Thao Zuzonさんは、熱い炭の燃えさしの上に銅のインクペンを持っている。彼女は鍋の側面をペンで軽く叩き、蜜蠟の塊を追加する前に生シルクの一片を滑り落とす。小柄な68歳のろうけつ染め芸術家はそれを日課として数えきれない程繰り返している。

多くのラオス人女性のように、Zuzonさんは母親からろうけつ染め(蝋を使った繊維染色技術)を教えられた。彼女はろうけつ染めを始めた当初12歳だった。それは彼女が結婚した年齢でもある。

ラオスは世界で最も結婚年齢の早い国の一つでもある。親の同意があれば、女の子は15歳で結婚出来、それは珍しいことではない。慈善団体のSave the Childrenが今月発表した調査によると、現在の傾向に基づくと、2030年には約1000万人の女の子が結婚し、その内200万人以上が15歳未満になるという。

Zuzongさんの人生は伝統的なスタートを切ったが、近代的な迂回路を取った。彼女は夫から離れ、現在は孫娘(彼女は5人の子どもがいる)と同居している。彼女はまたフルタイムの仕事をしている。

Zuzongさんは、ラオス北部の元首都ルアンパバーンに残った唯一のモン族ろうけつ染め芸術家である。

モン族は、主に中国や東南アジアで見られる民族であり、繊維織りの強い伝統を誇っている。Zuzongさんは、2000年にBriton Jo Smithさんおよびラオス人のVeomanee Douangdalaさんによって設立されたOck Pop Tok工芸品センターで、彼女のスキルを訪問者と共有することによって、その伝統の一部を生かしている。

泥の多いメコン川のほとりにある緑豊かな庭園に建つOck Pop Tok(ラオス語で「東と西が出会う場所」を意味する)は、フェアトレードと持続可能なビジネスの実践の原則に基づいて設立された。それは小さな店でいくつかのデザインを売る5人の製織者から始まった。今日では、東南アジアで最も重要な繊維および職人の機関の1つで、従業員約80人のチームが全国の職人500人を支援している。

Ock Pop Tokは、農村部で収入を生み出す選択肢が限られているため、Zuzongさんのような女性にとって必要な財政的機会を提供している。

彼女の「仕事場」は、木々や鳥に囲まれた開放的で風通しの良い空間である。それは彼女の基本的な仕事のツールを展示している。伝統的なモン・スカートが壁に誇らしげに掲げられている。 「これが完成するまでに6ヶ月費やしました。これは結婚式などの特別な行事のためのものなのですよ」 と彼女は通訳を通じて語る。

ろうけつ染めだけでなく、モン族の繊維芸術、すなわち「フラワーアート」は、明るくコントラストのある色で大胆な幾何学模様の刺繍が施されている。目で見るよりもモン族の模様は多い。さまざまなデザインやテクニックによって、その人がモン族コミュニティ内のどこに位置しているのかをストーリーで伝えることができる。その人の地元の村、婚姻状況および資産などはその布を「読む」ことによって見定めることが出来る。

また、Ock Pop Tokでの仕事は険しい道のりでもある。彼女は製織者であり、過去10年間、彼女のスキルを工芸品センターで共有してきた。大きな木製の織機に腰を当て、シャトルを左右に巧みに回し、複雑なジグザグのナガ模様(ナガ:魔法の力を持つ神話の水龍)を作り出す。ラオスの伝説によると、ナガ王子は美しい製織者と恋に落ちたという。

ラオ織物のモチーフは深く象徴的である。神話的な鳥であるホンおよび象は富と敬意を表す。誰かが妊娠を希望していたり、作物が水を必要とするならば、カエルがモチーフに選択される。カエルが雨と繁殖を表すからである。

ろうけつ染めのデザインが完成したので、Zuzongさんは地面に栽培された多くの植物のひとつであるインディゴで色付けされた水のバケツに一晩浸す。その他に、レモングラス、ウコン、ジャックフルーツ、チーク、タマリンド、サパンなども含まれる。工芸品センターには、カフェ、工芸品店、遺産博物館、織り込まれた布で装飾された4つのヴィラがある(注:メコン川を見下ろす2部屋のいずれかを予約すると良い)

 

(後編につづく)



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最終更新:2018年10月27日06:01

カンボジア:ごみからハイファッションを生み出す--資源の浪費に再考を促す試み(後)

(前編より)

 

La Chhoukのメンバーは依然として日々の生活の支払いをするためにアルバイトをしながら、夜間と週末にリサイクルファッションプロジェクトに取り組んでいる。

「アパレル産業はカンボジアで重要なものですが、ファッションはまだ業界ではありません」とSuper氏は言う。

2013年にプノンペンに拠点を置く、廃棄ゼロファッションブランドTonleを設立したアメリカ人のRachel Faller氏はSuper氏の着目点に同調している。

「カンボジアのファッションデザインはまだ初期段階です。多くの若手デザイナーは適切なトレーニングを受けることに苦労しており、巨額のPRとマーケティング予算を掛けて既存のブランドと競争することは困難です」と、Faller氏は言う。

アパレル業界はカンボジア経済の最大の柱の1つであり、1990年代と2000年代に多くの人々に利益をもたらし、経済成長を促進した。ZaraHMGapPrimarkなど多くの主流ブランドは、カンボジアの工場でアパレル製品を製造している。

しかし、この分野には問題がある。 Faller氏によれば、カンボジアのアパレルメーカーは搾取的な工場の上層部にとって「ピンクカラー」部門と呼ばれており、好い鴨と考えられている。そのうちの90%は女性工場員である。

Faller氏は、最近の最低賃金の上昇にもかかわらず、労働者は依然として過酷な状況で働いており、工場員の大量失業と呼ばれる工場にとって共通の現象が存在する、と述べている。

アパレル縫製工場から廃棄された布地から衣料品を生産するTonleブランドを運営するFaller氏は、そのような企業の無駄な方法を直接目の当たりにしている。

「廃棄物は人々には縁遠い天文学的な問題であり、彼らはリサイクルなんて言葉は聞いたことがありません。染色から裁断など衣料品の製造加工のあらゆる段階で無駄があります。 品質管理の失敗や過剰在庫の原因となっている布生地は、あまりにも多くの無駄を生み出しています」と彼女は言う。



2008年に米国のフルブライト文化交流プログラムの学者としてカンボジアに拠点を置いているFaller氏は、衣料品製造に使用される材料の少なくとも50%が無駄になると推定している。「La Chhoukのデザイナーのような若者たちは間違いなく何かを始めています」と彼女は言う。しかし彼女は、廃棄物の問題に適切に取り組むためには、国が構造的かつ相対的な変化が必要だと考えている。

独立したリサイクルファッション団体が、カンボジアの川、畑、埋立地にある何百万トンもの廃棄物を減らせるということはほとんど無く、La Chhoukの幻想の元には無い。

La Chhoukの最新のプロジェクトは、クメール語のYouTubeチャンネルを作成し、人々に廃棄物を管理・リサイクルするためのアイデアやチュートリアルを提供することである。

「私たちだけでは廃棄物の問題を乗り越えることはできませんが、人々が廃棄物について考え方を変えるようになるかもしれません。泥だらけの水の中でも蓮の花が生えているように、私たちは廃棄物の中にも美しさを見つ出すことができるのです」とSuper氏は言う。

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最終更新:2018年09月15日12:02

カンボジア:ごみからハイファッションを生み出す--資源の浪費に再考を促す試み(前)

カンボジアは世界銀行の「最貧国」リストに留まっているにもかかわらず、ここ数十年で堅実な経済成長を遂げている。

東南アジア諸国は、過去20年間で平均GDP成長率7.6%を維持しており、世界で6番目に高い。しかし、プラスチックの消費も驚くほど速くなっている。

慈善団体Fondazione ACRAによると、首都プノンペンでは、1人当たり年間2000枚のビニール袋を消費している。対してEUの平均枚数は約200枚である。

公害においては、カンボジアは178カ国中145位に位置している。

「プラスチックゴミはそこらじゅうにあります。ゴミは道、川、湖にもあり、大変遺憾に感じます。」とカンボジアの22歳のデザイナーSeng Super氏は語る。

Super氏はプノンペンの王立美術大学で学んだ。彼は1990年代に生まれ、時を同じくして何百万人ものカンボジア人が極貧状態から脱し始め、環境破壊の悪化をもたらした。

多くの若者と都市部のカンボジア人にとって公害は大きな懸念点である。それゆえに、2014年に大学の年次美術展の準備期に入ると、Super氏と彼のクラスメイトは、環境の浪費を再考するよう人々に提案することに挑むというプロジェクトを作ると決めた。

その結果、廃棄物や再利用可能な材料から衣服を作ることを目指す“La Chhouk”という創造的なファッションイニシアチブが実現した。

他の国と同様に、カンボジアの汚染プラスチックの大半は、ペットボトル、ストロー、食品包装などの使い捨て品に由来する。

「プラスチックを消費するとき、多くの人々は廃棄物についてあまり考えません。5分間でペットボトル1本の水を飲むことができますが、そのボトルは何百年もの間、湖を汚染します。彼らは『ゴミはゴミでしかない。一度それを捨ててしまえば、何もできない』と考えるからです」とSuper氏は言う。

Super氏と彼のクラスメイトは、カンボジア人の廃棄物に対する考え方に挑戦するだけでなく、最も分かりやすく洗練された方法で彼らの注意を引くことを望んでいた。

ごみ箱で見つけた再利用可能な材料のみを使用して、伝統的なアプサラのダンサーが着用する華やかなドレスを数枚製作した。

古代アプサラ舞踊は仏教とヒンズー教の神話に根ざしており、カンボジア文化の最も本質的な側面である。

スーリヤヴァルマン2(Suryavarman II)1113-1145)の時代まで信仰されていた伝統的な舞踊を演じる女性を示す彫刻はアンコール寺院壁にもある。

忌々しいポルポト派のクメール・ルージュ政権(1975-1999)の間、芸術形態はほとんど消滅してしまった。しかし、西洋バレエの要素を取り入れ近代化された文化舞踊は、カンボジアの伝統と文化の最重要要素として、カンボジアのロイヤル・バレエ団の後援の下、繁栄を続けている。

Super氏と彼のクラスメイトがアプサラの衣装を作り始めた時、多くの人々は彼らの誰一人さえもファッション業界でトレーニングを受けた者がいない点から、その目標はあまりにも手の届かない遠くにあり、大がかりなものであると思っていた。

それこそが、デザイナーがこの共同体をカンボジアのクメール語で「蓮」を意味する“La Chhouk”と名付けた理由である。

「蓮は泥や汚れた水の中でも生える美しい花です」とSuper氏は言う。

「私たちはゴミや私たちのドレスでやりたいことを表現するのは、美しいメタファーだと思いました」

彼らの最初のドレスは、茶色い米袋を使用して作ったボトムスであった。それらは気取らない素朴な外観となった。そして、本物のアプサラのドレスのように、壊れたCDの小さな断片とビール瓶のフタで光沢をつけて装飾した。その後、ビニール袋と米袋から対照的な明るい緑色の縞模様の茶色い服を装飾した。

アプサラの衣装は黄金の王冠なしでは完全ではない。

プノンペンのゴミ山の中では金は見つからなかったので、デザイナーはトイレットペーパーの芯と段ボール紙を使用した。これらによって、複雑なクラウン、仏塔のような形をしたもの、雄牛の角などを作った。

昨年、ミスカンボジア2016-2017で初優勝したEm Kunthongがフィリピンで開催されたミス地球環境意識美人コンテストのために彼らのドレスを着ることを選んだとき、多くの人々は滑稽なプロジェクトと考えたものに対して、La Chhoukのメンバーは信任投票を与えられた。

「このドレスは完璧なカンボジア女性を表現しています」と、Super氏はプノンペン北部の作業場の複合体にあるLa Chhoukのスタジオで誇らしげにそれを見せた。

「彼女はパワーを持っていて、地球に近くて雄牛のように強い。彼女は野生の牛の魂を持っています。それはカンボジアのアイデンティティと文化にとって非常に重要な要素です。私たちはまた、神殿の彫刻と神話に触発されました」と彼は加えた。

La Chhoukが存在するもう一つの理由は、LGBT問題に注意を喚起することであり、一部のメンバーは自分自身のアイデンティティをLGBTコミュニティの一員として認識している。「多くの人はLGBTの人々をおかしな人と考えています。LGBTの人々が美しいものを創造する能力があることを人々に示したいのです」とSuper氏は言う。

最初のアプサラドレスの創作以来、La Chhoukはカンボジアの文化と神話に触発された数多くのドレスをデザインした。

最近の「自然を守ろう」という最近のプロジェクトではインドシナトラ、川イルカ、様々な鳥などカンボジアで絶滅の危機に瀕している動物に注意を集めようと努めた。Super氏は、プラスチック廃棄物を使用してこれらの動物を表現するドレスをデザインした。

このプロジェクトは現在も進行中であり、La Chhoukは最近、WWFとタイガービールと展示会を共同開催した。



(後編につづく)



カンボジア ジャンル:
最終更新:2018年09月15日06:00

タイ:Bischoff Gamma、刺繍と繊細な生地で成功を繕う

この家族経営の繊細な生地サプライヤーは、Victoria’s SecretMarks & SpencerHobbsReissDiane von Furstenbergなどの企業を顧客としている

 

手の込んだドレスからカジュアルなアパレル製品や優美なランジェリーまで、繊維産業は劇的な動向と必要性への不断の対応に直面している。刺繍、レース、ニット、他の繊細な生地に特化すると、Bischoff Gamma(タイ)は世界トップサプライヤーの1つとしてこの分野を牽引している。

Gamma Textileとスイス企業のBischoff Textileの合弁事業として、Bischoff Gamma1995年つつましやかに始まった。それ以降、この家族経営の企業は、ファッションと繊細な生地でアジアと世界市場を席巻してきた。

垂直統合されたシステムを最大限に活かすことで、Bischoff Gammaは繊維に対して完全なソリューションを提供し、独自のデザインを創造、高品質の商品のみを出荷している。同社はブランドの優位性を確立するため、厳しい品質管理のプロトコルに従い、環境への適合を実施している。最先端のスイスの技術の活用は、同社の専門性の向上に重要な役割をはたしている。

「染めと仕上げを含め、すべての生産ラインを管理しています」とBischoff GammaTheprit Srichawla社長は述べ、また、「糸から完成品まで、当社繊維グループがすべて管理しています」と付け加えた。

同社は、Victoria’s SecretMarks & SpencerHobbsReissDiane von Furstenbergなどのヨーロッパ、米国、アジアの数々の有名ブランドを顧客としている。また、地元タイの複数のデザイナーとのコラボレーション、アフリカの大衆市場で卸売販売なども行った。

Bischoff Gammaのスイス企業との良好な協力関係は、繊維産業のみでなく土地開発部門でも、その後同社の限界を広げる推進力となっている。

革新を続けることで、Bischoff Gammaは従来の生地の使用を超えた事業の展開を目指し、関心のある顧客とパートナーに門戸を開いている。

Bischoff Gammaのマーケティング部長のSaloni Narula氏は「当社はファッションアパレルだけに制限していません」と話し、「当社の製品がどこに置かれるかの制限はありません」と付け加えた。



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最終更新:2018年08月20日14:29

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