インドシナニュース

世界最大のアパレルメーカーはロボットによる労働力の転換にはまだ懐疑的

香港のCrystal GroupH&MGap、ファーストリテイリング、L BrandsVictoria’s Secretの親会社)などの世界的大企業の製品を製造している。調査会社Euromonitorによると、同社は生産量では世界最大のアパレルメーカーである。10月の同社の新規株式上場(IPO)は香港証券取引所で2015年以来最大であり、世間の注目を集めた。

Crystal GroupAndrew Lo CEOは、中国をはじめとする世界での人件費の上昇から、ロボットによりアパレル製品の縫製など反復的な作業を行うべく、自動化のための研究開発に投資するだろうと思われるかもしれないが、実際はそうではないと話す。Financial Timesとのインタビューに対し、Loはハイテク縫製ロボットは「興味深く」、実際ロボットによる縫製に転換する企業もあるだろうとしつつ、短期的には人間による作業にコスト面で勝つことはできないだろうと述べた。Crystal Groupはアジアでも最も人件費が安く縫製産業の発達しているバングラデシュとベトナムで、これから毎年、10%程度労働者を増やすことを計画している。現在、同社の売り上げのおよそ3分の2はバングラデシュ、ベトナム、カンボジア、スリランカで生産されている。今も縫製業で世界を主導する中国での生産コストの上昇によりこれら諸国は縫製企業にとってより魅力的な生産国となっている。

専門家らは縫製産業における自動化の影響を注意深く見守っている。縫製産業は、しばしば搾取的だったり危険だったりするものの、アジアやその他の地域で数百万の非熟練労働者にとって命綱となっている。国際労働機関(ILO)は2016年、今後数十年の間に、ロボットがインドネシアやベトナム、カンボジアの繊維、縫製、製靴労働者の大多数の職を奪うことになるだろうと警告した。こうした労働者らがより良い仕事に就くためには、政府や企業が彼らの技能を向上させるための訓練を早急に始めなければならない。少なくとも今のところ、Crystal Groupは人間の職をロボットに代行させることはない。その理由の一つとしては、他産業で使われるロボットは金属シートやプラスチックなど堅牢な素材は扱えるものの、縫製中に伸びたり歪んだりする、柔らかく伸縮性のある布地などはまだ扱えないということがある。「ロボットには柔らかい素材を扱うことは非常に難しい」とLoは話す。

この問題を解決できたと考える企業は数社しかない。Sewboでは生地を作業時は硬く、その後熱湯ですすぐと元に戻るように加工している。SoftWear Automationは機械で縫製時の生地の伸びや歪みをその場で調整できるよう、ロボット技術を活用した作業テーブルを開発した。SoftWearはこうした機械のひとつは、1時間あたり、従来の方式で作業する人間17人分に相当するTシャツを製造することができるとしている。

しかし、SoftWearPalaniswamy Rajan社長はFinancial Timesに対し、同社のロボットはバングラデシュの人件費より価格面で有利になることはないと認めた。SoftWearの技術の当初の目的は、人件費がずっと高い米国でより安価に衣類を製造することであった。輸送費や関税、納品までの時間を考慮すると、現在でも米国で生産する場合はロボットが最善の方法だとRajanは述べた。

しかし現在のところ、多くのブランドが人力で製造するアジア諸国での生産を継続することになりそうだ。



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最終更新:2018年01月06日18:52

大手ブランド縫製労働者の生活環境を明かすドキュメンタリー公開

欧米の人々はアジアの工場で縫製労働者が置かれている状況についての話を聞くことはあるとしても、その実態を目にすることはほとんどない。労働組合や労働者の権利擁護団体が構成するアジア最低賃金同盟(AFWA)が作成した短編ドキュメンタリーでは、インド、カンボジア、インドネシアの縫製工場で働く人々の生活の一端を紹介している。

このドキュメンタリーには工場の映像も含まれる。工場は必ずしも狭く、閉所恐怖症を引き起こすような、汚い壁で光も入らない部屋というわけではない。最も衝撃的なのは労働者の住環境である。トイレも水道もない、何もない一部屋を自宅として住んでいる労働者もいる。

「世界の市場に向けた高いレベルのファッション製品を作り出す労働者が、ネズミのような生活をすべきとお考えですか」とAFWAの国際コーディネーターAnannya Bhattacharjee氏は話す。

このドキュメンタリーで扱われる工場が納品するブランドは名指しされていないが、その後、H&MやGap、Walmartの下請工場での労働者の虐待についてのレポートが続く。

ドキュメンタリーでは建物の崩壊により1134人が犠牲となったRana Plazaの工場のように安全でない労働環境や、性的嫌がらせやストライキで殴られることもある労働者の待遇の悪さなどが取り上げられている。また、焦点が当てられているのは、極端な低賃金である。

月給160米ドルで働く二児の母の既婚女性は、カメラにこう話す。「当たり前の支出をカバーすることもできません」こうした主張はこのドキュメンタリーで繰り返し取り上げられる。

AFWAは食費、住居費、衣類や交通費、子供の教育、健康管理、そして少々の娯楽費と貯金を含む、購買力分析に基づく生活に十分な賃金の採用を主張している。この金額はしばしば当該国の最低賃金を少々上回るものとなるが、AFWAはすべての労働者が人間らしい生活を営むために必要な金額であるとする。

アジアの縫製製品生産国の賃金をAFWAが推奨するレベルに引き上げるための消費者側の負担は大きなものではない。労働者の権利擁護団体Clean Clothes CampaignのコーディネーターであるChrista Luginbuhl氏はこのドキュメンタリーで、賃金を引き上げた場合の小売価格の変化についての同団体による試算を紹介している。Tシャツ1枚の場合、小売価格の上昇幅は0.10米ドルにすぎない。

 

<短編ドキュメンタリー>

Living Wage Now! presented by Asia Floor Wage (Full length)

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最終更新:2016年06月15日12:04

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