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マレーシア:繊維メーカー各社、最低賃金高騰に懸念を示す

マレーシアの繊維・アパレルメーカーは、今週可決された1,500リンギット(368米ドル)という新最低賃金(民間部門)によって業界全体の競争力の低下を引き起こす可能性を懸念している。

マレーシア政府は昨日(814日)、民間部門の最低最低賃金を1,500リンギット(368米ドル)とすると承認したが、新賃金は徐々に段階的に適応される。

マレーシアのMahathir Mohamad首相は、マレーシア国営報道機関、Bernamaに対し、「最低賃金を引き上げると生産コストが上昇し、競争力を失ってしまう。」と語り、「同様に生活費も増え、今まで購入したものを買うことができなくなってしまう。」と述べた。

しかし、新最低賃金が導入され、雇用者の負担を軽減するために最低賃金上昇の50%を負担すると約束した新しいPakatan Harapan政府の声明によると、最低賃金の上昇は政府の負担も増すことになる。

「これは、最低賃金が1,000リンギットから1,500リンギットに上がる際に、Pakatan Harapan政府は500リンギットのコスト差を均等に分担することを意味する」とマニフェストにて述べられた。党はまた、最低賃金を2年ごとに見直すことを約束した。

昨日、繊維・アパレル部門の雇用主が参加した人的資源省にて、最低賃金上昇の第1段階に関する会談が行われた。

しかし、政府はそのスケジュールに関しては「まだ検討中」であり未定である、とマレーシア繊維製造業者協会(MTMA)のマレーシア繊維・アパレルセンターのセンター長のRegina Leong代表はjust-styleに語った。

マレーシアの繊維・アパレルメーカーの間で、民間部門の新最低賃金限度額が業界の競争力を低下させる可能性に関する懸念が広がっている。

新しい最低賃金の引き上げが生産性と技術水準の上昇に支えられた場合にのみ、業界の競争力は維持されるだろう、と業界のリーダーたちは言う。

マレーシアの雇用主連盟のShamsuddin Bardon事務局長は、「賃上げには反対していないが、最低賃金上昇はスキルレベルと生産性上昇に繋がる必要があります」とjust-styleに語った。

雇用主連盟はまた、繊維・アパレル産業を代表する団体でもあり、Bardon事務局長は、これらの分野のアップグレードがなければ、マレーシアはカンボジア、ベトナム、ミャンマーなどの国々と競争することに奮闘すると述べた。

「私たちは、賃金引き上げをするのではなく、自分のスキルを認められるようにしたい」と話した。

Bardon氏は、最低賃金は政府が運営するマレーシアの技能証明書システムにリンクすることができると示唆した。レベル1は現在、最低レベルのスキルであり、レベル5は学位に相当する。

最終決定は先月マレーシア国家賃金協議会による勧告に従い、現在のペニンシュラマレーシアの1,000リンギット(245米ドル)および東マレーシア(ボルネオ島の北部)の920リンギット(225.82米ドル)から1,500リンギット(368米ドル)となった。

この動きは、全国の最低賃金の段階を標準化するだろう。

Leong氏は新しい賃上げが生産性を損なう可能性があることをjust-styleに警告した。

「例えば、1日の目標が100ピースの場合、労働者は基本給与が増え、日々の目標を達成しなくても以前よりも多く稼ぐことが可能なため、目標を達成する可能性は低くなるでしょう。」と語った。

代わりに、彼女もまた、高い生産性とスキルが賃金の引き上げに必要であることを示唆した。



生産性の遅れ

Bardon氏は、マレーシアは同地域の周辺国と比較して労働生産性が遅れていると警告した。最近の世界銀行の報告書'Productivity Unplugged’によると、周辺国と比較してマレーシアの労働生産性の方が緩やかに上昇している。

1990年から2014年の間に、マレーシアの年間労働生産性(労働者一人あたりの付加価値成長)は2.65%増であったが、シンガポールでは3.95%、タイは3.08%、 韓国は3.39%、 香港は3.15%であった。

さらに、マレーシアは人口動態の変化を求めていない。「2030年までに65歳以上の人口の割合が7%を超えると予想されるため、マレーシアが高収入状態に達するための持続的な成長軌道を確保するためには、より速い生産性の成長が必要である」と同報告書は警告した。

政府が賃金勧告を受け入れる場合、マレーシアの製造業連盟(FMM)は賃上げを一度に導入するのではなく、2019年に初賃上げを行い5年以上の時間を掛けて段階的に提案を実施するよう求めている。そうすることにより、その費用は雇用主にとって耐えられるようになるだろう。

さらに、20181月から外国人労働者の雇用の際に課徴金を課すという政府の決定により、費用が増えたとBardonは述べた。また、同氏の協会が最低賃金限度に関して政府に対し、いくつかの勧告を行ったと付け加えた。

彼は同団体の趣旨を明らかにすることを断った。「高いコストは、生産力を国外へ逃してしまうだろう」と彼は警告した。

マレーシアの繊維・アパレル輸出は、より小さい範囲で既に影響を受けている。

マレーシア繊維製造業者協会のデータによると、2016年の繊維・アパレル品の輸出額は、164億リンギット(40.2億米ドル)であったが、2017年には1%減の1622000万リンギット(398千米ドル)となった。



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最終更新:2018年08月23日06:03

賃金未払いの労働者達がファッションブランドに正義を要求

繊維業界では予期せぬ突然の工場閉鎖が世界中で増加傾向にあるが、債権者に対する負債よりも労働者に対する負債を優先する法的手続きを採用している国はまだ少ない。

カンボジア、トルコ、インドネシアで2012年から2016年の間に閉鎖した3工場では、労働者や活動家達による、退職金や最終賃金に対する要求が強まっている。

世界的な反対運動が来週予定されていることから、M&SNext、ユニクロなどの小売店に衣料品を以前納入していたカンボジア、トルコ、インドネシアの工場では、退職金と最終賃金に関する和解を呼びかけている。

労働権利団体のLabour Behind the Label及びClean Clothes Campaignによると、2012年から2016年にかけてカンボジアのChung Fai工場、トルコのBravo factory工場、そしてインドネシアのPT PDK工場・Jaba Garmindo工場が閉鎖し、従業員は未払い賃金や退職金を支払われることなく職を失った。

プノンペンに拠点を置くChung Faiニットウェア工場は、20166月の倒産を受け翌月に閉鎖された。

最終月の給料と法的な退職金を合わせて55万米ドルが必要であるとして、労働者達はその後未払金を求めて抗議活動を行なった。

労働者達は、M&SBonmarché、カナダのブランドであるNygårdなどのブランドのラベルがついた衣料品を集めた。M&Sは以前、Chung Fai工場に同ブランドの製品を作る許可は与えたことがないと発言している。BonmarchéChung Faiとの契約関係を当初は否定していたが、後に同ブランドの服がChung Faiで生産されていた可能性があることを認め、問題が解決するまで今後の注文は行わないと公式サプライヤーに告げたとされている。一方でNygårdは関与を一切認めていない。

労働者団体によると、女性が大半を占める労働力に対しては一切の警告や説明なしに、主要なバイヤーが注文を取りやめることがしばしその原因となり、工場が閉鎖するという。「労働者達やその家族にとって、その結果は悲惨なものです。」

「毎年合計で数十億もの年益を稼ぎ出しているにもかかわらず、関わったブランドは全て、こうした工場の労働者達に未払い賃金や退職金を支払うことを拒んでいます。これらブランドの服を生産するために長年に渡って一生懸命長時間に渡って働いたお金であるにもかかわらずです。」と労働者団体は語った。「Labour Behind the LabelClean Clothes Campaignでは、こうした労働者達に支払いを拒むことは賃金泥棒に等しいと考えており、労働者達が支払いを取り戻せるようこれまでに関わった全てのブランドに対して呼びかけています。」

活動家や労働者達は、「賃金泥棒」に終止符を打つよう呼びかける1214日〜20日の抗議運動に参加することを計画している。「インドネシア、日本、トルコ、ドイツ、イギリス、スイス、オランダ、カナダ、香港など、9カ国で声明の発表や抗議活動が行われる予定です。」

繊維業界では予期せぬ突然の工場閉鎖が世界中で増加傾向にある。債権者に対する負債よりも労働者に対する負債を優先する法的手続きや、最近解雇された労働者が利用しやすい法的システムを採用している国が少ないため、主要ブランドの注文取りやめを受けて工場が倒産した場合は労働者にとって特に大きな問題となる。

しかしながら、ブランドに対してプレッシャーをかけることが成功を収めた例もある。

2012年後半、カンボジアの閉鎖されたKingsland工場にて、200人近くの繊維労働者が、工場の資産が剥奪されないよう、工場前で1ヶ月近く寝ずのデモと抗議キャンプを行なった。これが20133月のWalmartH&Mとの歴史的な示談につながった。

同様に、インドネシアのスポーツウェア工場がPT Kizoneが閉鎖したことを受け、2014年にはAdidasもインドネシアの2800人の繊維労働者達に180万米ドルを退職金として支払うことに合意した。現在ではAdidasPT PDK工場の閉鎖に関わっていたとされている。



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最終更新:2017年12月23日06:01

依然として中国に代わるアパレル調達の選択肢はなし(後)

(前編より)

 

その他のサプライヤー国

中国と並んで、バングラデシュ、ベトナム、インドも成長に陰りが出ているが、これらの国々はこの先も調達先の主要国となり続けることが予想されている。ミャンマーや特にエチオピアも、新たな選択肢として脚光を浴びているとこの調査は指摘した。

バングラデシュは今後5年間において、購買先としてのトップの地位を維持するだろうと、回答者のほぼ半数が回答した。

またエチオピアは、今後5年間におけるホットな購買先として、アジアの有力な競合国であるミャンマーとベトナムを抑え、第2位に躍り出た。

特に年商10億米ドル以上の企業が、将来の調達先候補の中で最も魅力的な国としてエチオピアを挙げた。また回答者の大多数は、2025年までにミャンマーとベトナムからの調達シェアを増やす予定と答えた。

 

近接地購買と国内回帰

低コストの国々が世界のアパレル産業におけるサプライチェーンの重要な一部となっている一方で、アパレル企業の機動性とスピードに対するプレッシャー、総保有コストの考え方が広まったことにより、近接地購買と国内回帰に対する関心が高まっている。

CPOに対する調査では54%の回答者が、近接地購買が重要となると答えた。ヨーロッパを拠点としている調達部門幹部のうち39%が、東欧からの調達額を増加させようとしており、約3分の1がトルコからの調達を望むとした。

米国を拠点とする調達部門幹部のほぼ半数が中米からの調達シェアを増加させる計画を示しており、中米各国ではこの需要に応えて取り組みを強化している。

しかしMcKinseyのレポートでは、「近接地購買に対する関心は高いものの、ベトナム、ミャンマー、エチオピアなど、低コスト国重視のスタンスを覆すほどのものではない。」と述べている。

全体として調査に参加した企業では、近接地購買市場よりも低コスト国からの調達を増加させる予定としている。

また回答者は、リードタイムの短縮と、顧客需要の多様化に対応するためにより柔軟な生産が求められているため、生産の国内回帰を促進させることにも関心を示した。

CPOの3分の1以上が生産の国内回帰を予定していると回答したのに対し、国内生産の減少を予定しているのはわずか16%であった。また残る半数は、変更なしと回答した。

大西洋を挟んで両側に違いが見られたのは、米国に拠点を置く回答者は欧州よりも、生産の国内回帰を多く想定している傾向があった。

低コストと近接地購買の共存が示すように、アパレル購買組織が将来成功を収めていくには、調達価格にのみ着目しては成し遂げられない。

スピードと機動性を実現するためには、企業は調達国の選択、サプライヤーとの協業、コンプライアンスとリスク対応、プロセス一貫での効率性追求の4つの要素を最適化するために、一層の努力をしていく必要がある。

依然としてアパレル産業の大半では、これらの要素について大幅な改善の余地が残されている。

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最終更新:2017年09月27日12:01

依然として中国に代わるアパレル調達の選択肢はなし(前)

バングラデシュ、ベトナム、インドを合算しても、2016年の中国アパレル輸出額の71%に過ぎない。

サプライチェーン幹部に対する調査によると、中国はアパレル調達先として支配的な頂点の地位から少し後退したかもしれないが、この国の役割は今後も不可欠であり続けると予想されている。

ここ数十年間、アパレル各社のバイヤーはその調達先として低労働コストの国々を執拗に追い求めてきたが、グローバルマネジメントのコンサルティング企業であるMcKinsey & Companyによる詳細な調査によると、今では新しい潮流が生まれているという。

これは低労働コストの国々がその魅力を失っているということではなく、そのことは購買責任者がベトナム、ミャンマー、エチオピアなど、新興市場に関心を寄せ続けていることからも明らかである。

しかし、McKinseyのレポート「アパレル調達部隊による次の目的地:デジタル化」における主な調査結果では、地方需要の増加や、人口の年齢構成の変化、高付加価値業務へのシフトによる廉価な労働力が減少し、結果として中国がアパレル調達先国のトップの座を守るだろうと指摘した。

現在中国のアパレル輸出額は2012年の水準を下回り、中国と香港の輸出量は前年比で8%も減少しているが、同時にその他バングラデシュやインドなどの大規模輸出国についても減少傾向にある。

これは以前よりも労働コストが調達コストに与える影響が小さいためと考えられる。この調査によると、米国の回答者の69%と欧州の回答者の61%が、為替レートと原材料のコスト増によって、次年度の調達コストが増加するだろうと予想した。

また、調査に応じた63人の国際アパレル企業の最高購買責任者(CPO)のうち半数が、2025年までに低賃金だけが調達先を選定する際の要素というわけではなくなり、むしろデジタル化への対応機能が重要になるとしている。

調達責任者にとって川上から川下までのプロセス効率が唯一の最優先事項であり、すなわちサプライチェーンの柔軟性が求められている。企業はスピードを重視し、現在近接地での調達や国内回帰に着目している。

「多くの企業が経験しているマージンの減少は明らかにCPOの頭痛の種であるが、それと同時に、競争の激化と市場スピードの加速が、サプライヤーとの協業や開発、アパレル企業との機能連携を促している。」

 

中国が引き続き有力

調査対象となった幹部役員のうち62%が、自社の購買における中国のシェアが、2025年までに縮小するだろうと回答した。

このように中国は盛りを過ぎつつあるかもしれないが、アパレル調達先としての支配的かつ不可欠なこの国の役割は、今後も続くと予想されている。

その理由の一つとして中国のアパレル製造産業の規模が大きいことが挙げられる。2016年の輸出額は1770億米ドルもあり、2番手のバングラデシュは280億米ドル、3番手のベトナムは250億米ドルにしか過ぎない。

また、「One Belt、One Road」や「Made in China 2025」などの中国政府の取り組みが、アパレル部門の近代化と世界との関係性向上を後押ししている。

中国のアパレルメーカーはまた、ベトナムやエチオピアなどの国への投資を拡大しており、自国域を超えた大規模生産を可能とすることで、グローバルのアパレル調達先としての役割を強化している。

中国が唯一無二である理由は他にもある。中国のアパレル部門ではデジタル化と自動化の促進により、効率化を追求している。

生産活動における自動化は、調達における新しい方向性を示す上で特に重要な要素となる。調査回答者の半数以上が、2025年までに調達先の選定において、コストだけでなく自動化が重視されるようになるだろうとした。

そして調査を受けたCPOの81%が、調達活動において中期的に中国は、デジタル化でリーダーとなるだろうと予想している。

「当分の間は、成熟市場におけるアパレル製品の自動生産と、低コスト国での手作業生産が同時に見られることになるでしょう。」とMcKinseyのファッションコンサルティンググループのリーダーであるAchim Bergシニアパートナーは述べた

 

(後編につづく)

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最終更新:2017年09月27日11:14

ベトナム:2018年の最低賃金は6.5%増の予定

ベトナムにおける現在の国定最低賃金は1ヶ月あたり約375万ベトナム・ドン(168米ドル)である。

最低賃金は来年6.5%の上昇予定であるが、これは過去11年間で最低の上昇率となる。

雇用者、労働組合、そして政府役人の代表者からなる国家賃金評議会は、2018年の最低賃金が地域に応じて266万ベトナム・ドン-398万ベトナム・ドン(121-175米ドル)の間に引き上げられると決定した。最も高いのはハノイ及びホーチミン市の都市部である。

提示された上昇率はベトナム労働総連合が要求した13.3%の半分に過ぎず、2018年1月の施行前に政府の承認が必要である。

4つに分けられた地域別の2018年月間最低賃金は次の通りとなる。第1地域は375万ベトナム・ドン(165米ドル)から398万ベトナム・ドン(175米ドル)に6.1%上昇。第2地域は332万ベトナム・ドン(146米ドル)から353万ベトナム・ドン(155米ドル)に6.3%上昇。第3地域は290万ベトナム・ドン(127米ドル)から309万ベトナム・ドン(136米ドル)に6.6%上昇。第4地域は258万ベトナム・ドン(113米ドル)から276万ベトナム・ドン(121米ドル)に6.9%上昇。

4地域の平均上昇率は6.5%となる。

ベトナムの現在の国定最低賃金は1ヶ月あたり約375万ベトナム・ドン(168米ドル)で、前年からの上昇率は7.3%であった。昨年の上昇率は過去10年間で最低の数字であったが、この動きは最低賃金の毎年の上昇は多数の従業員を抱える衣料品企業にとって特に厳しいと主張する織物・アパレル企業の反対にあった。

こうした主張に加え、賃金はアパレル企業が従業員に対して支払わなければならない金額のほんの一部に過ぎないという。企業は労働者向けの社会・医療保険料に貢献しなければならないと政府規制で定められており、その額は東南アジアの低コスト競合国よりも高い。

しかしながら、賃金の上昇がベトナムのアパレル産業に深刻な問題を生み出しているという警告は裏付けされていないように見える。

ベトナムの今年上半期のアパレル製品、 織物、 繊維、紡績糸の輸出額は大幅な上昇となる48.4%増であった。

ベトナム税関のデータによると、アパレル製品と織物製品の上半期の輸出額は前年が793億米ドルであったのに対し、今年は1175億米ドルであった。

アメリカに対する輸出は前年比6.2%増となる575億米ドルで、EUに対する輸出額は3.5%増となる169億米ドルとなった。日本への輸出は8%増の137億米ドルである。

ベトナムの国営繊維公社Vinatexによると、ベトナムの織物産業は今年の輸出目標の310億米ドルに到達する見込みであるという。

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最終更新:2017年08月23日13:27

カンボジア:米国アパレルバイヤーが審議中の労働関連法に懸念を表明

カンボジアで審議中の最低賃金及び労使問題仲裁に関する2件の法案をめぐり、米国のアパレル・履物のバイヤーに懸念が広がっている。

アメリカアパレル・履物協会(AAFA)は先週、カンボジアのフン・セン首相に対し、現在カンボジア政府が審議中の法案内容に対する懸念を表明する書簡を送付した。

現在検討中の最低賃金法案について、同協会は「最低賃金についての調査や討議を労働審議会のみに限定しようとしている」との懸念を表明している。

「関係者が労働審議会の枠外で最低賃金についての調査を実施したり、団体内外での討議を実施したりすることを妨げることで、最低賃金法はすでに困難な調整をさらに困難にし、この重要な決定に用いられる情報を限定することにもなりかねない。政府は労働審議会の関与の有無に関わらず、全ての関係者による調査の実施と意見の共有を認めることを望む」

現在、カンボジアでは縫製・製靴労働者のみが月額153米ドルの最低賃金を保証されている。しかし、昨年末に政府は全ての労働者を対象とした最低賃金の制定の計画を明らかにした。

さらに政府は現在、労使争議仲裁法の制定も検定している。

「労使争議という困難な問題に取り組むことは重要だが、独立した実効性ある仲裁委員会(AC)の発展に協力してきた企業側を代表し、この法律が仲裁委員会の仕事を妨げることになりかねないとの懸念を表明したい」とアメリカアパレル・履物協会のRick Helfenbein会長は書簡で表明した。

「この法案は現在すでに効率的に運用されているプロセスにさらなるステップを追加することとなる。仲裁委員会に必要な補強をせずに個別の仲裁まで持ち込まれるようになれば、仲裁委員会の処理能力を超えることになりかねない。

加えて、仲裁委員会を多数派を占める労働組合のみに限定すると、問題解決の手段を持たない労働者が多数発生する。これは仲裁委員会に持ち込まれる件数の大幅な減少からすでに明らかである。

仲裁委員会に影響を及ぼすような変更に注意を促したい。それにより、企業、労働者を含む全ての関係者が信頼できるような方法での仲裁委員会による問題解決と労働法の適用をさらに困難にしかねない」

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最終更新:2017年06月20日12:36

カンボジア:Levi StraussとILOがプノンペンの工場爆発事故の調査開始

ジーンズメーカーLevi Strauss & Coと国際労働機関(ILO)のBetter Factories Cambodiaプログラムはプノンペン市の工場で発生した死傷者を伴う爆発事故の調査を開始した。

Leviはjust-styleの取材に対し、Zhentai Garment Cambodia Co., Ltdは同社の受注生産を行っていたことを認めた。国内の報道によると、この工場で3月22日、蒸気発生器が爆発する事故が発生した。

Levi Straussの報道担当者は、「弊社は爆発事故について大きな関心を寄せており、この事故の詳細についての調査を開始した。Levi Strauss & Co.は引き続き労働者の安全確保に万全を期し、事故の犠牲となった従業員とその家族に哀悼の意を表する」と発表した。

米国企業Levi Straussは工場経営者、地元当局関係者とともに調査を行っており、「事故原因について言及するには時期尚早」としているが、事故で亡くなった従業員、怪我をした従業員に対し「心からお見舞い申し上げる」とコメントした。

Zhentaiからのコメントを得ることはできなかったが、同社工場はILOのBetter Work Programの一環であるBetter Factories Cambodiaに参加している。

カンボジアの労働者の労働環境改善と世界的アパレルサプライチェーンでの競争力向上を目指すBetter Work Programでは、現状分析、トレーニング、支援活動と調査研究を通じて、持続可能なプラスの変化をもたらし、さらには政策と関係者の心がけ、行動に変化を起こすことを目指している。カンボジアでは2001年以来このプログラムが実施されており、49のブランドと小売企業、54万5000人の従業員を擁する557工場が参加している。

労働者の労働環境改善とカンボジア縫製産業の競争力強化への努力を継続するため、昨年、カンボジアでのプログラムの3年間の延長が決定されている。

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最終更新:2017年03月27日12:04

ミャンマー:サステイナブル(持続可能)なアパレル工場への変革が急務(後)

(前編より)

 

香港を拠点とするKei Lock Fashion Trading社のGary Leeエグゼクティブ・ディレクターは、企業は労働組合と協業するために、マネージャー向けにもっとトレーニングを実施すべきと述べた。

「工場経営者の立場として私は労働組合活動に肯定的ですが、中間管理職のほとんどが組合になんらかの誤解をしていると感じます。」

Gary Lee氏は工場のマネージャーらに対して、労働組合が労使関係を円滑にし、信頼と安定の基礎となることを教育しようとしていると続けた。

こうした取り組みに障害となるのは、ミャンマーでは国際的なブランドとの契約を持つ工場の多くが外資系企業であることである。それはマネージャーの多くが外国人であることを意味する。

「そのため経営陣と労働者および労働組合との間に信頼関係を構築することが容易ではないことが分かります。」とLee氏は述べた。彼は社会的対話が重要であり、工場や労働者だけでなく、政府の意見も求めているとした。

労働者を支援するIndustriAll global unionのJenny Holdcroft事務長補佐はイベントで、労使関係の必要性を訴える上で、H&Mが声を上げることが重要であると述べた。「労使関係には労働組合が重要な役割を果たすことを明示する必要があります。」と彼女は述べた。

労働者自身が労働組合に加わらないことを選択しているだけだという考えについて、彼女は経営者もしばしば加入率100%にも届く業界団体に参加している点を指摘して反論した。「こうした経営者に対し、誰も“あなたに加盟しない権利があります。”などという人はいません。」と彼女は述べた。

Holdcroft氏によると、労働組合は労働者に力を与え、組織に所属しているという感覚を通じて士気を高めるという。そして彼女は、労働組合とは別の職場において民主的に選出された代表は自由に選出された代表ではないため、そのような代替的な選出方法は労働組合化を妨げると主張した。

彼女はアパレル産業が全体として組合活動に対して寛容になってきていることを認めたが、一方で業界の考え方に大きな変化はないとした。「私たちは将来に備えて条件を整えているのだ、と考えています。」当分の間はアパレル部門の経営者やマネージャーのほとんどが保守的であり、ビジネスを容易にする低コストモデルを維持したいと考えているものの、「それは重要なことだと思います。」と彼女は述べた。

パネリストらはミャンマーについて、過去の制裁の影響が払拭されることからアパレル産業の未来について一様に楽観的な見方を示した。

H&MのイベントにてLee氏は、「ミャンマー市場が社会的対話を通じて、よりサステイナブルな事業環境を構築できることを願っています。」と述べた。「ブランドと協力しながら、我々はここで優れた生産市場の発展を見ることができると確信しています。」

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最終更新:2017年01月12日13:50

ミャンマー:サステイナブル(持続可能)なアパレル工場への変革が急務(前)

世界のアパレル業界において2017年は貿易関係が先行き不透明と予想される中、大手ファストファッション・ブランドのHennes & Mauritz(H&M)は、ミャンマーのイベントに株主らを招待した。このイベントには、オンラインニュースサイトjust-styleも随行し、H&Mが労使関係を改善することでいかに工場の安定稼動を維持しているのかを示した。

最近ミャンマーにある調達センターでH&Mが主催した会議では、よりサステイナブル労働慣行を支援することがミャンマーのアパレル部門の成長を促進するとした上で、この業界でより成熟した労使関係を維持するために、人権と良好な労働条件を確保する取り組みをさらに強化すべきであることが示された。

先月ヤンゴンで開催されたH&Mの公正および公平に関する会合においては、ブランド、工場、労働組合を代表するスピーカーが講演した。

特にH&Mグループのサステイナビリティ責任者であるAnna Gedda氏は、公正で公平な職場づくりにはまだ多くの課題があり、サプライヤーを直接管理するだけでは不十分であるという考えを示した。これらの課題の多くは長年に亘るものであり、H&Mに供給する世界のアパレル工場のわずか22%が団体交渉協定を結んでいるに過ぎず、また18%しか労働組合代表を定めていないと彼女は説明した。

「同時に、多くの国の多くの労働者が自らや家族の最低限の生活を賃金で賄うことができず、その窮状を訴えることもできません。彼らは労使交渉の場を持っていないのです。」

結社の自由と団体交渉権は基本的な人権である、とGedda氏は主張した。それらはまた、生活賃金や健康と安全の問題など、他の人権問題に対処するための鍵となり得ると彼女は述べた。

イベントの開催国であるミャンマーは、何十年にも亘る孤立と産業の国家統制の末に生まれ変わった。

この東南アジアの国では昨年4月の文民政府への移行と、旧軍事政権による虐待を理由として国際社会が課した制裁が2011年以降に段階的に廃止されたことを受け、アパレル産業が急速な盛況を遂げつつある。

Adidas、Gap、H&Mなどの欧米のブランドは、ミャンマーを生産拠点として再び活用し始めた。

当分の間このスウェーデンのブランドH&Mは、ミャンマーの社会的進展について楽観的な見通しを持っている。また、H&Mグループの生産統括長であるHelena Helmersson氏は、H&Mの調達先の国では労使関係の改善が求められ、H&Mのマネージャーが現地の労使関係にプラスの影響があると考えない限り、同社では生産委託契約に署名しないとした。

H&Mではサステイナブルな労働政策として、良く機能する労使関係は労働条件を向上させ、労働争議をより効果的に解決することによって、生産はより安定することになるという考えを持つ。さらに、賃金交渉の予測可能性や最終的には価格にも影響するとしている。

この点に関しミャンマーでは、国際社会、特に欧米アパレル市場に再参入するに際し、前倒しで解決すべき懸案がある。

ミャンマー労働組合連盟のRonnie Than Lwin事務総長は、以前の軍事政権下のミャンマー社会では結社の自由がなかったという事実について強調した。「結社の自由の文化は、私たち国民にとっては新しい考え方であり、最近になって私たちの社会に再導入されたものです。」

ミャンマー労働組合連盟は24年間もの間活動を休止しており、2012年にようやく再開した。

またRonnie Than Lwin事務総長は、ミャンマーでは結社の自由に対する脅威がまだ残っていることを指摘した。彼はパネルディスカッションの中で、2015年にはアパレル工場には37以上の労働組合があったが、うち22の組合が経営陣によって解散させられたと主張した。このことは企業のためにならず、マネージャーらは独立した労働組合に属する労働者との対話のパートナーになることが重要であると主張した。

 

(後編につづく)

 

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最終更新:2017年01月12日12:50

アジア繊維輸出業界における最低賃金遵守率の低さ

最新の報告によると、アジアの繊維輸出主要7カ国における最低賃金の非遵守率はフィリピンとインドにおいて最も高く、半数以上の労働者が十分な賃金を与えられていないと言う。

それに対し、国際労働機関(ILO)の調査によると非遵守率が最も低いのはベトナムで、最低賃金以下の額を受け取っているのは労働者の6.6%のみであった。

報告書『アジア繊維輸出業界における最低賃金遵守率の低さ』では、各国で繊維労働者が実際に受け取った賃金を計測するために最新の労働人口調査を行い、その時点で施行されている最低賃金と比較している。

非遵守率が最も高いのはフィリピンで、53.3%の従業員が最低賃金以下の額を受け取っており、それに続くのがインドの50.7%であった。

インドネシア(39.1%)、タイ(37.5%)、パキスタン(37.4%)では繊維業界労働者の3分の1以上が、カンボジア(25.6%)ではおよそ4人に1人が最低賃金を下回る額を受け取っていた。

またアジアの繊維業における最低賃金の遵守率が全般的に低い一方、その不履行の深度は国によって異なっている。

この点においてもベトナムは際立っており、国の定めた最低賃金額の5分の4以下が労働者に支払われる、きわめて著しい不履行率は3.8%であり、比較的穏やかな不履行(最低賃金の80%-100%以下の賃金を労働者が受け取る)率は2.8%であった。

一方でフィリピン、インド、タイ、パキスタン、インドネシアでは最低賃金を大きく下回る額を受け取っている繊維業労働者がそれぞれ大きな割合でおり、フィリピンとインドにおけるきわめて著しい不履行率はそれぞれ38.8%と34.9%で、またインドネシアの繊維業労働者も4分の1が最低賃金を大きく下回る額を受け取っていた。

「最低賃金の99%の支払いを受けている労働者と半額しか受け取っていない労働者では状況が全く異なるため、不履行の深度は重要な側面であります。」ILOの最高技術アドバイザーであり、報告書の第一著者であるMatthew Cowgill氏は述べた。

また調査によると、各国では女性の方が教育レベルが低く、男性よりも最低賃金を下回る支払いを受ける傾向が高いと言う。

男女間の遵守率の差が最も大きいのがパキスタンで、繊維部門で働く女性の86.9%が最低賃金を下回る支払いを受けている。一方男性の数字は26.5%で、非遵守の差は60.4%となる。インド、フィリピン、タイにおいても遵守率には10%以上の性差があるが、パキスタンにおける不均衡は大幅に少なかった。

反面、カンボジア、インドネシア、ベトナムにおける男女間の非遵守率の差は比較的小さい。カンボジアにおける女性の非遵守率は男性よりも4%高く、インドネシとベトナムの男女間の遵守率差はそれぞれ5%と6%のみであった。

報告書によると、最低賃金率と賃金構造の複雑性を含む最低賃金システムの設計は、コンプライアンスを改善する上で重要な検討要素であるという。

労働者及び雇用者代表の賃金修正過程における役割、そして労働市場の管理や労働監査の強固性もまたコンプライアンスに影響を与える。

「ベトナムは近隣諸国と比較した場合優れてはいますが、最低賃金はいかなるレベルの不履行も憂慮すべきものであり、本件は密に監視し続けるべきものであります。」とCowgill氏は加えた。

「もちろん最低賃金の遵守だけが関心の対象ではなく、最低賃金の水準も重要です。近隣諸国と比べ、ベトナムの最低賃金は繊維部門の平均的な賃金の割合としては比較的低いのです。」

ベトナムには、月額240-350万ベトナム・ドン(108-157米ドル)の幅がある、4つの地域別最低賃金が設けられている。 最低賃金の水準は年に一度、政府・雇用者・労働者の組織代表者を含む、全国賃金協議会によって決定される。2014年から2016年の間に、ベトナムの地域別最低賃金は年間約12-15%上昇しており、来年は7.3%上昇する予定である。

ILO/IFCベターワーク計画によって査察された工場では、最低賃金の遵守率が一般的に著しく高いことにILOは注目する。

例えば、Better Factories Cambodia(カンボジア工場改善プログラム)の最新の統合報告書によると、常勤労働者の通常の労働時間に対して1.1%の工場だけが最低賃金を支払わないことが判明した。

ベターワーク計画の独自の査定では、先月、アパレル産業における改善された労働環境と工場の競合性工場の関連性を確立している。

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最終更新:2016年10月12日05:55

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