インドシナニュース

ミャンマーに見る女性労働者の活躍推進(後)

(前編より)

 

Myitta Yait社が目指す女性の労働環境

ヤンゴンから北へ1時間、土ぼこりの舞うShwe Pyi Thar工業団地に、Myitta Yait社の衣料品工場はある。団地内の道路は視界が悪く1本道で、道の両側には細い溝が走り、18輪の巨大トレーラーが何台も身動きできなくなっている。咲きほこった花に囲まれたフェンスで、その向こうにある工場建物は、道路からほとんど見えない。フェンスの内側では数人の女性従業員が、作業をしながらうっとりするような声で歌を口ずさんでいる。

工場名の「Myitta Yait」とは「慈しみの下で」という意味だ。政党としては小さいが、総勢2000人を擁立する国民統一党(NUP)の活動家、Myo Myo Aye女史が同工場を創業したのは、今年7月のこと。「若い女性を教育して、新しい市場を作りたいと考えています。従業員として働くだけでなく、オーナーの立場から見た経営も知ってもらいたい」と話す彼女は、まばたき一つせず、凛としていた。ワイヤーフレームの眼鏡をかけ、髪はきつく束ねている。工場内を静かに歩き、我が子を抱いてひざにのせるMyo Myo Aye女史は、従業員も家族の一員のように考えている。

Myitta Yait社では、これまでに解雇された経験のある女性縫製労働者を雇用する。労働者らはデモ活動に参加しそれが失敗に終わってから、この工場で働き始める。同社では、労働者による労組の結成も手助けしている。工場では現在ミャンマー各地から集まった15人の女性従業員が働き、海外出荷向け製品の製造に当たっている。生産量は急速に増加しており、近隣での姉妹工場の設立計画も進んでいる。

工場内は清潔で、穏やかな雰囲気が広がっている。従業員は歌を口ずさみながら作業を行い、窓は開け放たれ、その窓に揺れる木々の枝がぶつかると、木の葉のサラサラとすれ合う音が聞こえる。従業員はみな、工場に隣接した寮で生活している。Myo Myo Aye女史は「彼女たちの母親のような気分です」と冗談を言った。

一部の従業員は、かつて地方のウール工場で働いていた女性工員で、デモ活動に参加した経験もある。デモでは約150人の女性が、日常業務における生産基準の問題をめぐって工場オーナーと意見を対立させ、2カ月もの間抗議を続けた。だが歩み寄りの余地がないと分かったとき、抗議に参加した女性らは解雇された。多くの人は地元である地方の町に戻ることを余儀なくされたが、なかにはMyitta Yait社で職を見付けた者もいた。

Myo Myo Aye女史はこれまで約30ものデモ活動を組織したことがあり、1度だけだが逮捕された経験もあるという。労働法の改善を求めて、労働省の前で抗議を行ったこともあった。そして「労組があるということが、今は非常に心強い」と、Myitta Yait社を引き合いに出して話した。

かつての軍事政権下で、デモを行う労働者らは捕らえられ投獄された。そして使用者に対する抗議について取り調べを受けた。ミャンマーの労働法が徐々に国際基準に近づくにつれ、こうした状況は改善されてきた。また新興の労働勢力による賃金の引き上げ要求や労働条件の改善要求も、成功を収めている。だがこうした改革にも関わらず、多くの女性が今なお、使用者に対する抗議で解雇されている。また労働活動を行う女性がいると、先々を懸念して、そうした女性を雇用しない使用者もいる。

Myo Myo Aye女史やMar Mar Oo氏にとって、こうした状況にはまだ多くの改善点が残されているという。例えば労働法の改正や、新たな労働基準の採用・実施などである。Myo Myo Aye女史は「悪影響を及ぼすデモ活動から、従業員を守らなければなりません」と話し、「工場のオーナーらが決定事項に従わない限り、法律が労働者の支援に十分な機能を果たしているとは言えないのではないでしょうか」と続けた。

労働組合を合法的に結成するには、1工場で少なくとも10%の従業員が、その労組に賛成票を投じなければならない。投票後に使用者側が、賛成票を投じた者の氏名を記録することも少なくない。労働者の権利を求める団体によれば、その後、工場オーナーが結成の中心人物となった従業員を解雇し、他の従業員に対する見せしめと今後の労組活動の抑制を行うことも珍しくないという。

一方で、工場オーナーらもまた、使用者のための労働組織の結成に踏み出し、問題があると見なした労働者を互いに伝え合うなど、情報の共有を行っている。労働組織に関与する労働者の氏名は政府に登録され、工場管理者で形成された組織に配布される。労働者の権利を求める団体によると、登録された者たちは今後、就職が困難になるという。工場の使用者は、労働活動を行う者の雇用を避ける傾向にあり、職場にいる場合には追放さえしようとする。

Mar Mar Oo女史は「ミャンマーは政治的腐敗のため、法治国家として機能していません。この国ではビジネスマンが賄賂を受け取るのは当たり前。まったく信用できません」と述べた。

罰金についても、使用者と労働者には大きな違いがある。Myo Myo Aye女史によれば、使用者が違法行為を行った場合、科される罰金は50万チャット(500ドル)だが、労働者の場合には、年収の30%が科されるという。彼女が求めているのは、使用者側にも重い罰を科す合法的な法の改正だ。例えば、投資額の数パーセントを罰金額としたり、重大な違反行為を犯した場合には懲役刑を科すことなどが挙げられる。

 

マスター・スポーツ靴工場デモのその後

マスター・スポーツ靴工場の外に集結した抗議者らは、労働争議について、ヤンゴン管区の労働裁判所が発表した命令を耳にした。バスから降りてくる者もいれば、雨風よけのビニールハウスから出て来る者もいた。日光から身を守るために傘を差し、抗議者らは路上に巨大な群れを作った。

静寂のなか、条件は読み上げられた。それは抗議を行ってきた者たちにとって、喜ばしい内容だった。「マスター・スポーツ社のオーナーは、従業員に対して、6月分の給与および退職金を支払わなければならない。また就労年数3カ月当たり1カ月分の給与に相当する額を、補償金として支払う必要がある。オーナーは今後3度にわたって支払いを行うが、支払いを怠った場合には、財産の差し押さえや破産手続を行い、それによって得た金銭を支払いにあてるものとする」

体制は整えられつつある。国民が国の経済や産業の発展を望むことで、政府も労働慣行の改革を行い、海外投資家の懸念を和らげる必要性を感じるようになるだろう。労働法の法的枠組みを強化することで、女性労働者やその労組が先頭に立ち、産業の意思決定を行う環境作りも可能になる。またそれは、彼女たちの将来を明るいものにし、何万人にも及ぶミャンマー女性や、その家族の社会的・経済的条件を改善することにも役立つだろう。

 

 

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2014年10月25日06:00

ミャンマーに見る女性労働者の活躍推進(前)

今年8月末、約700人の若い女性労働者らが、ヤンゴン北部のHlaing Tharyar工業団地内にあるマスター・スポーツ靴工場ゲート前に集結していた。

この2カ月間、彼女たちは、鍵のかかったゲートの向こうにあるメタル製の倉庫をずっと見張っていた。ゲートの内側は、2カ月前まで彼女たちの職場だった。

こうしたデモ活動のなか、スコールや断続的な日光から身を守るために作った、竹と防水シートのビニールハウスにしゃがみ込む者もいれば、野菜や香草を売り歩く者と値切り交渉を始める者もいた。野菜売りたちは、労働者が昼夜を問わずデモ活動を続ける姿を目にし、ここぞとばかりに新たなビジネス・チャンスを見出したのだ。

さらには、停車したままのさびた中国系のバスで、ビニール張りの椅子にじっと腰かける者もいた。バスは、これまで工員の送り迎えに使われていたものである。ある女性は必要な限りデモを続けると話した。

テイン・セイン大統領による革新政党が、軍事政権時代には認められていなかった、労働組合に対する厳格な禁止令を撤廃してから約2年が経った。ミャンマーでは、女性が圧倒的に多い産業において、その労働力となる何千人もの女性が、職場への抗議やデモ活動、労働条件変更の要求などを求めて、労働環境の改善に乗り出している。

同国労働省によれば、労働組合の結成が認められて以降ミャンマーでは959もの基本労働団体が設立されたという。だが一方で、労働登録局の記録では、2012~14年にかけて行われた労働デモが447件にも上っている。

これまで男性優位の家父長制を基本原理としてきたミャンマーでは、女性労働者が増加したことで、それによって生まれた新たな労働勢力が、女性に社会面や経済面での権力を与えたかのように見える。

ミャンマー衣料品製造組合(MGMA)によると、同国の衣料産業は、労働人口の約9割が女性だという。また海外のアパレル・メーカーの投資によって、将来的な産業の拡大が見込まれている。さらに労働登録局は、同産業がヤンゴンの工業生産高全体の約44%を占めていると伝えた。

MGMAでは、国内の衣料品工場で働く労働者を約20万人と推定している。典型的な工員の例として挙げられるのは、女性、平均24歳、週休1日、1日13時間労働、月給約80ドルといった点であることが、労働相談センターの調べで分かっている。

工場のオーナーらは、政治団体の88 Generation Peace and Open Societyや、最大野党の国民民主連盟(NLD)といった活動家グループに対して、デモを動員したり労組を結成したとして非難しており、一方で2015年の選挙が近づくにつれ、労働争議が頻発するのではないかと懸念している。

ミャンマー投資委員会は、同国が徐々に対外開放を開始した2010年以降、海外投資は毎年およそ5倍の割合で増加してきたと話す。安価な労働力を求める、韓国、香港、台湾などの衣料品工場オーナーらによって、ミャンマーへの投資はますます増加するものと期待されている。だが例えば米小売大手のGAPなど、欧米のアパレル・ブランドに関しては、委託する工場の労働環境について非常に敏感になっているのが現状だ。今後、同産業へ投資を呼び込むには、新たに制定された労働法を再度改正し施行することが重要な要素になるだろう。

 

労働権の獲得を目指す教育

今年6月26日の夕刻、マスター・スポーツ靴工場のオーナーは、夜になって従業員が帰宅するのを待っていた。その後鈍い色をした重い工場ゲートに鍵をかけ、飛行機に乗って故郷の韓国へ帰国した。オーナーは、従業員に対して何も告げていなかった。給料も支払っておらず、退職金などの手当について話し合うこともなかった。717人の女性従業員らは即座に、給料や各種手当の支払いを求めた。工場の外や韓国大使館前、首都ネピドーの労働省周辺などでデモ活動を実施し、ミャンマー政府にも支援を求めた。

2カ月後、ヤンゴンのJunction Zawana近くにある、ミャンマーで最も有力な活動家グループ、88 Generation Peace and Open Societyのコンクリート製のオフィスの隅で、質素な木の机の前に座る2人の若い工員がいた。23歳のZar Zar Theintさんと、25歳のPhyu Phyu Soeさんだ。2人はマスター・スポーツ社に対する抗議デモのリーダーを務めており、労組法や雇用法などを学ぶために、同グループを頼ってきたのだ。

頭上から2人を見守っているのは、入り口にそびえる「88」を模った巨大な金属の彫刻。そして2人の間には、小柄なMar Mar Oo女史が立っている。Mar Mar Oo女史はエレガントな白いブラウスに身を包み、ミャンマーの国の形をしたブローチを首の位置に留めている。髪は耳の長さに切った黒髪のショートヘアで、ハシバミ色の瞳をしている。ハキハキと話す一方で、一緒にいる人を和やかな気分にさせる。だがこうした雰囲気とは裏腹に、彼女は長年、労働条件の改善を訴え続けている。そして「労働組織はあっても、まだ十分な力を発揮しているとは言えません。労働者に法律や権利の知識がないため、先に進めずにいるのです」と話した。

Mar Mar Oo女史は、労働者が、工場オーナーや弁護士、各々の選挙区を代表する議員らと連携し、すべての人にとって公平で生産的な労働環境を構築することが望ましいとしている。現時点で労働者の立場は不利である。と言うのも、彼らは法律に疎く、そのような相手は雇用する側にとって利用しやすいからだ。Mar Mar Oo女史は「現状で労働条件を改善するのは困難です。問題が起きても一般的な問題にしか対処できません」と続けた。

88 Generationが結成しようとしているのは、全国的な労働組織である。小規模の組織をいくつも立ち上げ、社会的なネットワークを利用して互いを連携させる計画だ。彼らはまた国際労働機関(ILO)ともつながりがあり、衣料産業で働く全国の女性労働者を対象に、労働権に関する教育を提供している。

 

(後編に続く)

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2014年10月24日10:43

GAPミャンマー工場、監査で労働問題が明らかに

米国衣料品大手GAPが委託生産を行う、ミャンマーの工場2件で実施された監査によって、労働条件や、職場の安全確保、労働者の健康面などにおける問題が判明し、それらの内容がこのほど公表された。

投資上の課題としてGAPがまとめた包括的な報告書によれば、同工場ではいわゆる「コンプライアンスの問題」に対応するために現在、対策が取られているという。また報告書では、生産力の回復を目指して参入したミャンマーのアパレル分野で、同社が直面した問題についても明らかにされている。

GAPは今年6月ミャンマーで衣料品生産を開始し、米国向けに同社ブランドの「オールド・ネイビー」と「バナナ・リパブリック」に対してジャケットやベストを出荷してきた。同社のミャンマー進出は、2012年の経済制裁措置以降、米国小売大手としては初のアパレル市場参入となっている。

GAPは25日、ヤンゴンの在ミャンマー米国大使館に「ミャンマーにおける業務委託上の責任」と題する報告書を提出。報告書の内容は同大使館のホームページに掲載されている。

報告書ではGAPが実施した、ミャンマーの政情や人権などを含む多面的なデュー・ディリジェンスについてまとめられており、他にも労働権を推進する国際労働機関(ILO)やその他公的機関との関わりや、問題となっている工場の詳細評価について報告されている。GAPの生産を請け負うこれら2件の工場は、ヤンゴンにあり韓国企業が所有するもの。

さらに建物の安全性や防火設備の検証についても言及し、数カ所で改善の必要性は認められたものの、建物の構造においては労働者の安全を脅かすような問題はないとしている。

監査役となったのは労働権を推進する非営利企業のVerité社。報告書によれば、各工場での稼働を承認するにあたり昨年11月、Verité社による包括的な初期評価が実施されたが、そこでコンプライアンスの問題がいくつか判明したという。

このときGAPに提示された評価結果の内容は、劣悪な労働環境で過剰労働を強いられ、かつ最低賃金しか支払われないという、以前労働団体が主張していた、ミャンマーのアパレル工場が抱える問題そのものだったという。

監査によって判明したのは、これらの工場には社則がなく、その結果、一貫性のない社内ルールや懲罰的な罰金の支払いが横行しているということだった。報告書によれば、管理者による言葉の暴力や不適切な行動が一部の労働者によって報告されており、こうした問題は2件の工場のうち特に1件において顕著に見られたという。同工場においては一部のライン管理者が、明白な基準もなく私的に懲戒処分を行ったり労働者から罰金を徴収したりしていたとされている。

GAPの話では、監査以来、これらの工場では社則を制定し、管理者の養成制度を導入。また不適切な行動や言動を取る管理者に対しても処分制度を取り入れたとされている。

また監査では労働者の慢性的な過剰労働や、残業手当の未払いについても判明した。報告書によれば、就業時間は週60時間(時間外労働含む)の法定労働時間を超え、また労働者は1週間のうち1日も休日を取っていなかった。また一方の工場で行われた聴取によると、時間外労働は自主的に行われており、労働者らは自分たちの給与がどのように計算されているのか知らされていないという。

さらに職場の安全確保や労働者の健康面においても問題が見つかり、安全着の着用が指導されていない点や、作業場の換気が十分に行われていない点などについて指摘された。報告書では、「工場では化学洗浄液など化学物質の取り扱い上の問題や、コンセントやコードがむき出しになったままなど電気を使用する上での問題が見受けられた」とされている。

一方、児童労働について問題は見つからなかった。だが両工場とも過去に児童労働で摘発を受けており、初期評価の時点でも雇用に際して年齢確認の手続きは導入されていなかった。

GAPの話では、未解決の問題はあるが、監査以来、一方の工場では取引先との行動規範を十分に見直し、また別の工場では労働条件と職場の安全確保において大幅な改善が見られたという。報告書の記載によると、「改善を継続し、要件に沿って業務を遂行するにはまだ課題は残っているが、監査によって両工場とも一歩前進し、労働条件の大幅な改善や、両社で取り決めた『取引先との行動規範』にも準拠するようになった」とされている。

ミャンマーに50万米ドル以上の投資を行う米国企業はこうした改善要件を報告することになっているが、GAPでは海外の生産拠点がミャンマーだけということもあり、同報告書を自主的に作成したとしている。

これまでミャンマーにおいて同社が創出した事業は約700に及び、また今後同社の発注によって産み出される雇用は約4000人とされている。

なおこれら2件の工場名は公表されていない。

 

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2014年09月01日14:12

ミャンマー:ヤンゴンで韓国系工場の閉鎖に700人が抗議

韓国資本の工場が給与未払のまま閉鎖したことを受け、7月17日、700人以上がミャンマーの韓国大使館前で抗議を行ない、問題の解決に協力するよう求めた。

Master Sports Footwear Factoryの労働者らの主張では、工場オーナーは5月、予告なく不法に工場を閉鎖し、ミャンマーを離れたという。労働者らは韓国大使に援助を求めている。労働者らは家賃の支払に窮しており、新しい職場探しにも協力を求めている。

ミャンマーでは2011年に選挙が行われ、全軍事政権時代に続いた欧米諸国の経済制裁が解かれて以後、産業が発展し、外国投資が流入している。

それに伴い、工場労働者らのストライキ等の抗議活動も鰻登りに急増。新政府は経済改革を実行、労働組合も合法化している。

労働者らは、大使館だけでなく、労働社会保障省や議会、野党・国民民主連盟(NLD)にも助けを求めているが、なんら手立てがない。

「政府が一般庶民の見方につかないからです。」と労働者を支援する弁護士U Htay氏は言う。「政府は一般庶民や労働者の保護のためには立ち上がったことがありません。

政府は法律の規定を扱えないどころか、政府高官やビジネスマンに有利なるような不公平や腐敗があります。労働者や一般庶民はただ犠牲になるだけです。」

 

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2014年08月04日19:23

ミャンマー;活動家らの煽動により加速化する工場ストライキの増加に憂慮(後)

調査会社Oxford Business Groupによると、ミャンマーを拠点とするアパレル生産工場は賃金紛争やストライキの政治的な影響に注意する必要があるという。

「企業はコスト削減を考えていても、もちろん生活賃金を支払う必要はありますし、活動家の株主や非政府組織、顧客からの圧力にも直面します。」とOxford Business Groupは今年初めに公表されたミャンマー報告書2014で述べている。

ミャンマー労働組合が行った2013年の調査では、労働争議は低賃金に原因があると考えられており、貧しい給与が原因で腐敗が起こったり、親が授業料を支払えないため子供たちを学校へ通わせなかったりすると付け足されている。

ミャンマー政府は2014年に最低賃金を制定する意向だが、その一方で政府は縫製工場の経営者らには労働者の給与を毎年引き上げるよう要求している。

「私たちもこれに同意し、7月に我が社の労働者の賃金を10%引き上げます。」と山崎氏は話し、さらに同社は賃金に加えて、従業員に毎日500チャット(0.5米ドル)の食事手当を支給すると言う。「私たちはケチではないですから、支払いますよ。」

ヤンゴンのパークロイヤルホテルで行われた、現在および将来の投資家の集まりで山崎氏は演説した。その集まりには、カンボジアの基幹産業である繊維部門の代表も参加していた。繊維産業はカンボジアでは60万人の従業員を雇用し同国の外貨の稼ぎ頭である。

ミャンマーも縫製産業に対する期待は大きく、ミャンマー衣料製造協会(MGMA)では、現在、女性を中心に約20万人が繊維部門で雇用されていると推定しているが、今後、縫製工場が増えるにつれ、労働者も増えるとみている。

重工業や製造業投資は、不安定な電力供給と未整備の道路のせいでミャンマーに来るにはまだ時間がかかるが、繊維部門は早くに来て、成長する見込みがあると見られている。議会の見立てでは失業率は37%と推定されているミャンマーで雇用を創出し、外貨の稼ぎ手となりうるわけである。

日本貿易振興機構(JETRO)の一部であるアジア経済研究所の2013年の論文によると、西側諸国の制裁以前、アパレル産業は2000年までミャンマーの総輸出額の40%を占めていた。

同論文では、「低賃金労働の豊富な供給により、ミャンマーは労働集約型産業で明らかな比較優位を有している。」と述べられている。ミャンマー政府は、たとえばヤンゴン郊外の2400ヘクタールのThilawa工業団地の例で見られるように、工業団地内に設立された企業には一定期間、税を免除したり軽減したりするなど、工場建設を検討している投資家らにインセンティブを提供している。

制裁緩和後、ミャンマーの繊維輸出は上昇しており、2013年には10億米ドルを上回った。ミャンマー衣料製造協会(MGMA)によると、アパレル部門が制裁前の水準に回復すれば、輸出は再び上昇し今年は15億米ドルに達すると期待できるとされている。

しかしながら、ミャンマーの工場の運営にかかるコストや実務的な難題を考えると、ミャンマーが競争力を維持し、海外からの製造業の投資を実質的に呼びこもうとすれば、少なくとも道路や電力の基盤が整備されるまでは、労賃は低水準のままでなければならない。

「例えば、機械が故障しても、誰も整備したり修理したりできる人はいないのです。」と山崎氏は言った。

 

 

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2014年06月06日14:00

ミャンマー;活動家らの煽動により加速化する工場ストライキの増加に憂慮(前)

ミャンマーのアパレル生産工場の代表者らは、著名な元政治犯が労働争議に関わっていると言っており、2015年末に予定されている国政選挙までストライキが多発する可能性があると憂慮している。

ヤンゴン市北部に縫製工場を構え、1200人の労働者を雇用しているFamoso Clothing社の取締役副社長である山崎和人氏は、市内のストライキの多くは「政治団体によって煽動」されていると述べた。

Famoso社の労働者が賃上げを要求して昨年ストライキに突入した後、元反体制派の学生や政治犯の著名団体である「88世代の平和で開かれた社会」のメンバーが、労働・雇用・社会保障省が議長を務める調停会議に参加したと、山崎氏は言った。

ヤンゴンのHlaing Tharyar工業団地の管理委員会の代表者は、匿名を条件に、政治的活動家団体が争議行為にますます関与していると証言した。

「最初、ストライキは賃金闘争でしたが、後に、外部の団体が関わっていることを知りました。」と述べたが、特定の政党や団体名は挙げなかった。

元政治犯が労働者を扇動しているという主張について尋ねられると、著名な88年代メンバーのMya Aye氏は、「それは間違った情報ですし、間違ったニュースです。」と言った。

Mya Aye氏は、「我が国でも労働者の権利を改善したいと思いますが、市場経済の導入も必要ですし、雇用の創出も求められています。実業家や雇用者に問題を起こすつもりもありません。」と「エーヤワディー・ニュース・マガジン」誌に語った。

ミャンマーの長期支配軍事政権下では、ストライキは禁止されていて、労働組合員は投獄され、「テロリスト」とみなされたが、テイン•セイン大統領が率いる文民政府は、労働組合や争議行為を許可する法律を通過させている。

ストライキは2012年以来、頻発しだした。山崎氏は、今年から来年にかけてストライキが増加しそうだと心配しており、「(来年末に予定されている)選挙が近づいている。彼ら(政党)は票を必要としている。」と述べた。

連合選挙管理委員会は3月、2015年の選挙の前に電力不足や工場のストライキなどの社会的・経済的問題を悪用しようとしている当事者らに警告した。

野党第一党であり2015年の投票のトップを争う手ごわい対戦相手である、国民民主連盟(NLD)の代弁者Nyan Win氏は、委員会は行き過ぎていると述べた。

「ストライキは選挙委員会には関係ないことなので、なぜ彼らがこのように述べたのか私にはわかりません。おそらく、いくつかの政治的団体がストライキに関わっているということでしょうが、どの団体なのか、私は知りません。」とNyan Win氏は「エーヤワディー・ニュース・マガジン」誌に語った。

労働・雇用・社会保障省次長Okkar Thein氏は、組織労働者の活動を妨害する政治団体による攻撃については何も知らないと述べた。

「行動を起こす労働者の多くは、ストライキなどの経験がないと思います。そのため、彼らは助言や指導者を求めて、市民団体や活動家団体と連絡をとるのかもしれません。」とOkkar Thein氏は「エーヤワディー・ニュース・マガジン」誌に語った。

同様に、業界団体のミャンマー衣料製造協会(MGMA)会長Myint Soe氏は、もし部外者が繊維部門のストライキに関わっているとすると、それは労働者や労働組合の要求であろうと述べた。

「ストライキが起きたら、活動家や政治団体が後から関わるでしょう。」と彼は言い、ミャンマーでは長年、政治的な抑圧や労働組合のような団体の結成が制限されてきたことを引き合いに出した。

「労働者は長期に亘って民主主義に馴染んでいませんし、自分たちの権利を知りません。だから生活費が上がれば、労働者は賃上げを求めますし、活動家に支援を頼むのです。」 とMyint Soe氏は説明した。

国際通貨基金(IMF)は2014年前期、ミャンマー経済はおそらく今後3年間に7~8%成長するが、6%のインフレ率も伴うだろうと警告した。

世界銀行のミャンマー担当マネージャーKavi Shankar氏は2月、「エーヤワディー・ニュース・マガジン」誌に「もし高成長を遂げれば、高インフレが起きていないかを心配する必要があります。それは貧困層に大きく影響を与えますから。」と語った。

ヤンゴンは公共部門の賃金上昇と並行して生活費が上昇しており、経済的に住みづらい都市になってきている。公共部門の賃金が民間部門の賃金を圧迫し、ストライキの多発に繋がる。

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2014年06月06日06:00

ミャンマー、海外投資でカンボジア、ラオスと競合か

ミャンマー、カンボジア、ラオスは、現在、東南アジアにおける投資先として「潜在力を秘めた市場」となっている。だが経済調査によれば、今後は三国間で競い合う可能性もありそうだ。

ミャンマーおよびカンボジアでは観光産業と繊維産業が発展しており、どちらの産業も海外からの投資を求めて競い合っている。ミャンマーについては、大手調査会社のBusiness Monitor International(BMI)が繊維、観光、金融サービスを有望な投資分野に挙げ、「同国が『莫大な経済力』を実現するためには、『こうした改革の勢いを政府が維持できるかどうかにかかっている』」と指摘した。

カンボジアには以前から低価格市場をターゲットにした繊維産業があり、香港や台湾などの外国資本を呼び込んできた。一方、ミャンマーは政治的、経済的に孤立していたが、現在では状態も改善し、投資家も同国の繊維部門に興味を持ち始めている。

アナリストのAndrew Wood氏は、BMIが提供するポッドキャストで、2人の地域専門家に対し次のように話した。「ミャンマーではここ数年、かつて地場産業として栄えた繊維産業の立て直しが求められています。制裁措置の撤廃に伴い、ミャンマーの衣料産業には大きな可能性を感じます。しかしこの国には、インフラの整備という大きな課題があります。と言うのも、ミャンマーは今もなお深刻な電力不足を抱えており、交通網も十分に発達していない状況だからです」。さらに「この課題に対処するには、政府がこれまで以上に海外投資の誘致に取り組むことが必要だと思います。同時に、投資関連の法律を明確にし、そうした法体制を全体的に強化することも必要でしょう。東南アジア地域の発展が持続する限り、ミャンマーの繊維産業はいつでも始動可能です」と続けた。

BMIのアジア・カントリーリスク及び財務市場部部長のStuart Allsopp氏は、同ポッドキャストで次のように話した。「衣料産業の拡大については、カンボジアにも大いに可能性があります。これまで海外投資家は、カンボジアの低価格の生産市場に注目してきました。ただし、プノンペン政権が繊維部門を押し上げてバリュー・チェーンを構築しようとしています」。また「同部門には、労働者の技術レベルを向上させる教育投資が必要だと思います」とも話している。

だが、実際には、これまで繊維部門に出資してきた海外投資家の中には、投資先をカンボジアに乗り換えることや、ミャンマーでビジネスを立ち上げることを望んでいる者もいる。

英フィナンシャル・タイムズ紙は今年3月、香港の衣料メーカー12社が、Thilawa経済特別区に工場を開設するため、予備的合意書に署名したと報じた。同特別区は、現在、ヤンゴン郊外に開発中である。同紙によると、中国で事業を行う企業が「ミャンマー」で工場開設を推し進めるのは、中国における急激な賃金上昇、雇用困難、また人民元の強さにあえいでいるためだという。ここ数年、アパレルメーカーの多くが、生産の一部を中国本土からバングラデシュなどの国へ移している。カンボジアやベトナムといった東南アジア諸国もその対象だ。

だが恐らく、ミャンマー、カンボジア間で、海外投資をめぐって競合する最大の分野は観光産業だろう。ミャンマーでは、外国人観光客の数が急激に増加したことから、宿泊施設の提供に絶えず苦労している状況である。カンボジアでは、国内総生産(GDP)の25パーセントを観光産業が占めている。また今後も増加すると見られていることから、同産業が重要な役割を果たしていると Allsopp氏は言う。

海外の航空会社によるカンボジアへの直行便は特に中国からのものが多いが、現在では日本からも増えている。観光産業は「GDPの成長を押し上げる主な要因」とAllsopp氏は話す。ラオスはミャンマーというよりはむしろカンボジアのライバルとなる。なぜならば、ラオスには、水力発電の開発に海外投資を呼び込み、中国、ベトナム、タイに電力を供給するポテンシャルがあるからだ。

BMIのアナリストBeng Hui Chew氏は、次のように話す。ラオスでは、現在70のダム建設を計画している。一方、ミャンマーでは、エーヤワディー川のMyitsoneダムなど、水力発電の巨大プロジェクトをいったん開始したものの、現在は中断。ラオスでは、タイ、中国、ベトナムの出資による水力発電プロジェクトが経済成長の主な原動力となっている。またこの建設に関して、住民の反対はほとんどないようだ。

ミャンマーは、人口の増加率が高く、天然資源が豊富で、立地条件に優れているとWood氏は言う。ミャンマーへの関心は薄れてしまったかもしれないが、隣国のカンボジアやラオスにもミャンマーへの投資と同じような価値が数多く見出されているようだ。

これら三国は、事実上もしくは法律上、一党支配制を取っている。一党支配制は、体制の維持が容易で政策も明白になるが、政治過程が包括的であることがしばしば疑問視される。また、政治的混乱による海外投資の危険性も指摘されている。

これら三国は、世界経済、あるいは地域経済と比較しても、比べものにならないほど小さな存在だが、企業や投資家が成長率の高いフロンティア市場に関心を向けるにつれて、鉱業、石油・ガス、金融、繊維、観光、農業関連など、さまざまな分野にわたって将来性のある投資機会をもたらすだろう。

 

 

» 続きを読む

その他 ジャンル:
最終更新:2014年05月31日12:53

EUの門戸開放により、ミャンマーからのアパレル輸出、急増の構え

EUが最近ミャンマー製品についてあらゆる関税や割当を撤廃して後、この黄金の国ミャンマーの輸出業者らは、加盟国28ヶ国からなるこの巨大国家グループの貿易優遇計画により、欧州市場を熱い視線でじっと見つめている。

7月19日の欧州委員会の決定により、ミャンマーは、開発途上地域にある貧しい国々により好ましい貿易制度を与えることによって発展援助するためのプログラムである、欧州連合による一般関税優遇制度(GSP)の回復を見た。後発発展途上国としてミャンマーが認められることで、「武器以外はすべて」の掛け声の元、軍需目的以外のすべての製品の輸出に関する関税と割当が完全に撤廃された。

以前、ミャンマーが一般関税優遇制度(GSP)の適用を受けていたとき、ヨーロッパ輸入会社の帳簿は、フランからリラからペセタまでありとあらゆる国々の通貨の寄せ集めだった。 16年経って今や、この単一通貨経済圏は、世界最大の市場の1つを呈している。現在、約5億人の消費者に無税で手の届く範囲にある。ミャンマーの輸出業者にとって、これほど魅力的なチャンスはこれまでになかった。

欧州連合は、1997年にミャンマーに対し、軍事政権下で国際的な労働基準と作業者保護を是認しないことに対応して一般関税優遇制度(GSP)適用を取り消した。国際労働機関(ILO)は、こうした労働問題の矯正に向けてミャンマーの新しい準文民政治が大きな成果を挙げたとし、一般関税優遇制度(GSP)は2012年6月13日から遡及して適用される。

ヨーロッパから一攫千金を狙ってミャンマーを訪問する人たちの数は鰻のぼりで、EU政府もビジネス交流を奨励している。ドイツ商工会議所は、11月にミャンマーの事務所を開設するのを計画している。フランス人は7月に、イギリスに続いて、ヤンゴンに貿易代理事務所を開設し、ビジネスを一緒にするのを目指して、フランスとミャンマーとの連絡係として機能することになる。

ミャンマーからのフランスの輸入は、今年の年初から5ヶ月で、対昨年同期比、急増した。 輸入は150万ユーロ(約200万米ドル)から2040万ユーロまでと、1,260%上昇したが、増加の大部分は完成宝石製品によるとフランス大使館経済班班長Dominique Causse氏は言う。

フランス貿易相Nicole Bricq女史は2ヶ月前にヤンゴンでの貿易代理事務所開設式に出席した。

「彼女は経済問題の責任を帯びてミャンマーを訪問した最初のフランス政府の大臣であり、ミャンマーとフランスとの関係が経済面や通商面であって、政治面ではないことを示そうとしていました。」とCausse氏は言う。「それは会社同士のビジネス関係に翻訳されなければなりません。」

国の労働人口の70%が農業分野に従事するミャンマーにとって、欧州連合への輸出免税措置は大きな恩恵と言える。

ミャンマー米穀工業連合会幹部U SoeTun氏は、EU市場への米の輸出が今年10倍に増えると予想されるとIrrawaddy誌に語ったが、この増加は2012-13年度に欧州連合に出荷された量がわずか5,000トンの非常に低いベースだったためで、今年は合計で約150万トンがミャンマーによって輸出されるだろうと指摘した。

衣料分野も、ミャンマーから欧州連合への輸出の大きな部分を占め、同様に強気である。

 

「西欧市場の開放は私たちには非常に良い機会です。我が国の製造業や雇用機会を広げることができるので。」とミャンマー衣料製造協会会長U MyintSoe氏は言う。欧州連合への衣類輸出は、今年の20%から上昇し、来年には全体の25%までを占めるだろうと予想されると言う。ミャンマーから世界への輸出額が10億ドルに達するのは時間の問題である。

 

一般関税優遇制度(GSP)の回復の決定を受けて、EU貿易代理人Karel De Gucht氏は一般関税優遇制度(GSP)がミャンマー経済にあたえた「大きな差」を声高に宣伝した。

» 続きを読む

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2013年10月10日17:18

ミャンマーの縫製工が賃金に関して抗議

何十人ものビルマ人の縫製労働者が職場に復帰せず、経営者に約束通り毎月7万ミャンマー・チャット(70米ドル)を支払うよう呼びかけた。

エーヤワディー管区のDelta工業グループ(DIG)の35人の縫製労働者は、毎月6万ミャンマー・チャットを支払うという経営者の決定に対する抗議の行為として、先週の金曜日に職場に現れなかった。彼らが、火曜日にPantheinの町の工場に戻るのを試みたとき、会社は、賃金を決定していなかったので、まだ仕事を再開できないと言った。

「会社は協定通りに私たちに支払ってくれません。」と従業員のひとりMyat Thidaさんは言った。

抗議している労働者たちは、月曜日から経営者に会おうとしているが果たせず、仕事を失うのが心配であると言う。

工場のマネージャOhmarさんは、火曜日に会社の取締役会委員会が労働者の要求にまだ返答しておらず、決定もしていなかったとIrrawaddy紙に語った。役員は現在、外国人顧客の接待で忙しく、現在、異議を申し立てている従業員に会う時間がなかったと彼女は言った。

契約に従って、労働者は毎月6万ミャンマー・チャットの給与と出勤状況によって1万ミャンマー・チャットの追加ボーナスをもらえることになっていた。異議を申し立てている労働者らは、先週金曜日以前に皆勤しているのに、ボーナスをもらえていないと言う。

また、労働者は、Delta工業グループ(DIG)が、残業代の支払要求をし、病気欠勤1日の場合は賃金削減を止めるよう呼びかけている。

労働者は1ヶ月あたり合計7万ミャンマー・チャットを要求しているとマネージャOhmarさんは言う。

Pathein町のDelta工業グループ(DIG)は今年の7月に設立された。同社には、現在、約170人の従業員がいる。

このレポートはPathein町のIrrawaddy紙通信員Salai Thant Sinによる寄稿である。

 

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2013年08月13日14:00

ミャンマーの民族衣装ロンジ、外国人に人気

ミャンマーが海外の考え方やファッションに開放されていく一方で、外国人はこの国の文化に対する関心をますます強めており、民族衣装のロンジ・スタイルは特に人気があるようである。

ヤンゴンのShwedagon寺院では、この国の民族衣装を身につけ、この地域の熱帯気候にはこのスタイルが快適なうえに、見てくれもスタイリッシュと称賛する外国の訪問客も多く見られる。

オランダ旅行者Thorsten Roobeckさんもそのような一人で、彼は1日前に到着したばかりだったが、腰に巻き付けただけで、足まで垂れ下がる円筒形状の布からなるだけの、この衣装の素晴らしさをすでに評価していた。

「ここ[Shwedagon寺院]に来たとき、私はショート・パンツをはいていましたが、これを着たほうがいいと思いました。」と彼は言った。「これは快適で、この暑さの中では風通しがいい。」

「結び目が厄介ですね。初めは解けてしまいました。でも、周りの人が助けてくれました。」と、妹と旅行していたその学生は言った。「唯一の問題は、ポケットがないことです。」

西洋人の男性がスカートのようなドレスを身に着けるのは抵抗ないか問われて、「それは、あなたがそれをどう見るか次第です。たとえば、スコットランド人、彼らは良く似たタイプの服装[キルト]を纏います。」とRoobeckさんは言った。

「オランダでは、ショート・パンツのほうがいいですね。もしロンジを身に着けていたら、人々が奇妙な目で私を見るでしょうから。それでも、受け入れてはくれるでしょう。流行に敏感な人か何かであると思うかもしれませんが。」と彼は付け加えた。

ロンジは増加する外国人観光客に非常に人気があると、Shwedagon寺院のお土産物屋は言う。

寺院の東側の歩道に露店を持つ29歳のKo Zaw Myo Htetさんは、外国人は「通常、毎週およそ7着のロンジを買ってくれる」と言う。「でも、いいときには、10着か15着売れることもありますよ。彼らはグループで来て、全員が1つずつ買ってくれるのです。」

「大部分のお客さんは、オーストラリア人か、イタリア人か、フランス人です。私は、それをどうやって身に着けるかを彼らに教えます。1番目に、左側にそれを折って、それから右側に折って、結ぶのですよ。」と、彼は、マンダレーで作ったロンジの売値はおよそ3米ドルと付け加えた。

「西洋人も歩きやすいし、風通しがいいから、好きなんでしょう。」とMyo Htetさんは笑って言う。「ミャンマーに来たら、ミャンマーのスタイルを経験したいのかもしれません。彼らには珍しいので、興味を牽かれるのでしょう。」

「見た目もとても素敵です。」と、彼のパートナーは付け加えた。「彼らは、ロンジの裾を膝までたくし上げる、村人スタイルですが、ミャンマーの都会人は大部分が足まで隠すスタイルです。」

ミャンマーの男性と女性の間では、伝統的なロンジは今も人気があり、少数民族地域も含めて国中で広く着られていて、公式行事では絹のロンジが好まれる。

2010年6月に、ミャンマー軍政府の将軍が、民政への転換を意味するために彼らの制服を絹のロンジと従来の白いジャケットに換え、彼らはそれを議会と他の公式行事の際に着用していた。

現在のミャンマーのロンジ・スタイルは植民地時代の間にインドから来たが、それ以前にもミャンマーには男性用にはpaso、女性用にはhtameinと呼ばれる類似の民族衣装があった。

19世紀の植民地指揮官で文筆家でもあったGeorge Scottは、古典となった1882年の本「ビルマ人:人生と概念」の中でビ伝統的な衣服を記述した最初の人物のうちの一人だった。

「この民族衣装は非常に単純ですが、絵画のようです。pasoは、長い絹の布です[…]。それは、身体に巻き付けられたキルト・ファッションで、前方で捩じってたくし込まれて、残りの部分は畳んで腰のところで垂らすか、肩越しに懸けられるかする。」とスコットは書き、彼自身pasoをときどき着用したという。

ミャンマーのロンジの快適さとスタイリッシュさを評価したもう一人の外国人は、「民主ビルマの声」のウェブサイト編集者David Stout氏である。

「快適で、涼しいですよ、、、気候にあっていて、スタイリッシュで、非常に品がある。」と彼は最近Irrawaddy紙に語り、3年前ヤンゴンで休暇中にロンジを着用して、「男の解放」を感じたと付け加える。

「私は、男性がスカートをはくならば、誰でも少し間違った何かがあると思うような文化で育ってきました。そうかもしれませんが、ミャンマーのほうが正しいかもしれません。」とStout氏は言う。

Shwedagon寺院の僧侶が彼と彼の友人にロンジを着せたあと、地元の人々から得た肯定的な反応を思い出した。

「私は青のロンジ、友人は栗色のロンジをもらい、その反応は抜群でした。」とStout氏は言った。「通りを歩いていると、この鮮明な思い出が蘇ります。男がバルコニーに出て来て、私に『chaw tae』を叫ぶのです。それは、たしか『ハンサム』という意味ですよ。」

 

ミャンマー ジャンル:
最終更新:2013年01月07日06:00

«前のニュース || 1 | 2 || 次のニュース»
このページのトップへ戻る