インドシナニュース

ベトナム:Nikeのサプライヤー、中国に続きベトナムからも撤退

世界貿易の新たな常識は、安全な港はほとんどないということだろう。これがEclat Textile Co.が学んでいる教訓だ。

Nike Inc.とLululemon Athletica Inc.へのスポーツウエア・サプライヤーであるEclatは、2016年、製造条件が理想的ではないとして中国から撤退し、代わりにベトナムへの投資を決めた。世界貿易戦争が激化する今、Eclatは再び危機に陥り、ベトナム以外に進出する必要が出てきている。

「世界情勢から判断すると、今最も重要なのは多様化です。顧客はまた、リスクを分散するため、ひとつの国に生産拠点を置くことを望みません。現在、当社の衣料品の50%はベトナム製ですから、十分に分散化できていません」とHung Cheng-hai会長はインタビューにて述べた。

米中貿易摩擦の高まりは世界の供給ラインを混乱させ、企業はアジアの国から台湾、ベトナム、バングラデシュなどの国に生産の軸足を移すことを余儀なくされている。しかし、ドナルド・トランプがベトナムを最大の貿易濫用国と呼び、鉄鋼に高い輸入税を課していることで、世界的な供給ハブとして機能できる関税に耐性のある国はないということに企業は気づき始めている。

Eclatは現在、顧客へのサービスを迅速に行うことができる、複数のより小規模な地域製造ハブの設立を目指している。Hung会長によると、同社は今後3年間、ベトナムでの工場増設や事業拡大を検討しないという。その代わり、インドネシアやカンボジアなど東南アジアの新たな工場に投資する。Hung会長は、取締役会で年内に具体的な場所を決定し、8000万ドルを投じて同地域に120の生産ラインを建設する予定だという。Eclatの株価は2か月以上ぶりに3.5%上昇し、加権指数の上昇0.5%を上回った。

大和のアナリストHelen Chien氏によると「サプライチェーンにおける競争優位」にてEclatは多角化の点で同業他社を上回っており、長期的な視野で見れば良い環境にあるという。

 

プランB

米国と中国は合意に向けた交渉を再開したが、長年「世界の工場」である中国に依存してきた世界中のサプライチェーンが恒久的に変化しつつある。

インテルは世界的にサプライチェーンの見直しを進めていると述べており、アップルやアマゾンも「プランB」に取り組んでいると報じられている。

だが近隣アジア諸国での生産も限界に達しつつある。

「例えばベトナムは完全に飽和しています」と今月初め、世界最大の消費財サプライヤーであるLi & Fungの最高経営責任者Spencer Fung氏はブルームバーグの取材に答えた。Eclatは2016年に現地労働力が不足し中国の工場を閉鎖していたため、米国の関税引き上げの打撃を免れた。

Hung会長によると、「「メイド・イン・チャイナ」は5年以上前の時代」であり、一人っ子政策世代の若い中国人労働者はもはや工場で働くことを好まないという。同氏は「中国への投資には慎重であり、労働集約的な事業には投資しないつもりです」と述べた。

Cathay SecuritiesのアナリストRae Hsing氏は、サプライチェーンが分散すれば、Eclatの潜在的な関税リスクが低下し、長期的にはコスト削減にも役立つ可能性があるとし、同社の投資判断をニュートラルにしている。Eclatの戦略はうまくいっているようで、同社の2018年の利益は前年比で44%増加したと報告している。同社の株価は今年13%上昇した。

Hung氏は柔軟性を重要視している。例えば、関税対応における不確実性は、顧客のサプライチェーンにおける要件計画を困難にしており、顧客は注文時により保守的になる。Eclatは注文をより早く届けることで対応した。柔軟な姿勢を示すことで、同社はさらなるサプライズ材料を積極的に取り入れることができる。

「もし今の状況が心配なら、インドやメキシコへの投資についても心配する必要があります。心配は尽きません」と彼は言った。

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最終更新:2019年07月18日05:59

ベトナム:米中貿易戦争の勝者はトランプの関税政策の次のターゲット

最近の米中貿易戦争の勝利者としてのベトナムの名声は、ドナルド・トランプ大統領からの余計な注意を惹いているかもしれない。

Fox Business Networkとのインタビューで、彼がベトナムに関税を課すことを望んでいるかどうか尋ねられたとき、トランプ大統領は言った。

「まあ、我々はベトナムと話し合っています。ベトナムはほぼ最悪の単一国であり、中国よりもはるかに小さいですが、だれにとっても最悪の単一の虐待者です。」

先月、米国財務省はベトナムを、通貨操作の可能性を監視している国のウォッチリストに加えた。米国のベンチマークであるVNインデックスは6271.7%下落し、212日以来の最低値を記録した。

企業は中国事業の縮小または米国の関税引き上げを回避するための移転を検討しているため、ベトナムは輸出と外国投資の急増の恩恵を受けている。しかし、中国の輸出業者がベトナム経由で商品を発送し、関税を迂回するために商品に偽のラベルを貼っているという主張も争っている。

トランプ政権からのより厳しい精査は、貿易依存のベトナムにとって不快かもしれない。米国国勢調査局のデータによると、米国との貿易黒字は2014年以来200億米ドルを超え、昨年の最高記録で395億米ドルに達した。

「ベトナムにはリスクがあります」とホーチミン市に拠点を置く米国の税関ブローカー兼コンサルタントであるNestor Scherbey氏は述べた。「ベトナムの輸入品の30%は中国製の材料と部品で、最終製品の製造に使用されて、その後輸出されるからです。それがリスクです」

ベトナムは米国のireを回避するための措置を講じている。ベトナムは今月初め、米国への輸出のために違法に中国から輸入されベトナム製とラベル付けされた商品への罰金を高くする、と発表した。

ベトナム外務省は、トランプ氏のコメントについての見解を求める質問にすぐには対応しなかった。



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最終更新:2019年06月29日12:25

ベトナム:中国の輸出業者、偽装Made in Vietnamラベルで関税回避

一部の中国の輸出業者は、ドナルド・トランプ米大統領の関税措置による打撃を長期にわたって回避する手立てをうつ。


ベトナムは69日、農産物から繊維製品や鋼鉄製品などすべての製品において米国からの関税措置回避を試みる企業による製品起源証明書偽装および違法転送を数十件を発見したと述べた。

今年、世界の2大経済国間の貿易摩擦が高まって以来、アジアの政府がそのような不正行為を公然と主張したのは初めてのことである。

貿易関連の詐称に対する罰金増額を宣誓したベトナムの声明では、トランプ大統領が中国製品に2500億米ドルの関税を課し、さらに3000億米ドルの課税を目指すと脅迫した後、一部の中国の輸出業者が出荷物をベトナムに違法転送しているという懸念が更に大きくなっているという。

ベトナムを含む米国の貿易相手国は、彼ら自身も関税措置の打撃からの回避を努める中、違法輸出を阻止することへの強い圧力に直面している。

「違法行為と取り締まりは常にいたちごっこです。輸出業者が25%の課税を果たすという裁定取引を求めてリスクを冒している限り、その執行は非常に困難です」と法律事務所のBaker&McKenzieVietnamLtd.の経営パートナーFred Burke氏は述べた。

ベトナムは、偽装表示された中国製品が米国に輸出されることによってベトナムが米国から罰則を受ける可能性があると懸念している、と国会経済委員会Do Van Sinh常任委員が政府の声明を引用した。

東南アジア諸国の報告によると、中国の経済低迷により米国への出荷は今年急増したという。

これらの収益増加の一部がサプライチェーンの転換によるものであるという証拠がある一方、アナリストは最近の急増のうちどれくらいが合法的か疑問を投げかけた。

原産地証明書が処理される前にベトナム政府が発見した偽装事件には、中国製品の包装がMade in Vietnamの表示に変更されたものなどが含まれる。

ベトナム政府は、米国税関職員が明らかにしたベトナムの会社を通じて中国製の合板が米国に出荷されていた件を例として挙げた。

「高い関税率と大きな潜在的収益を考慮すると、米国の関税回避のための家内工業は繁盛することでしょう」とシンガポールのMaybank Kim Eng Research Pteの上級エコノミスト、Chua Hak Bin氏はと述べた。

「ベトナム政府は米国から裏口契約と見なされることを恐れ、そのような中国製品の転送を取り締まる可能性が高いでしょう」とChua氏は述べた。

シンガポールのブルームバーグインテリジェンスのシニアアナリストRahul Kapoor氏は、疑わしい出荷台数は中国から米国への輸出総額のうち「比較的少ない」量になると見られる。

「関税回避には常に漏洩と回避策がありますが、それらが起こり得る現象とは考えていません」とKapoor氏は述べた。

先月、財務省が通貨操作の監視リストにベトナムを追加後、ベトナムはすでに米国からの精査に直面している。

ベトナム当局は、米中貿易戦争が経済成長に悪影響を及ぼすことを懸念しながらも、不当な貿易優位性を生み出すための為替レートを使用はできないと述べている。Pham Binh Minh副首相は先週の国民議会に、貿易戦争によって国内総生産が今後5年間で6兆ベトナムドン(25600万米ドル)減少する可能性があると語った。

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最終更新:2019年06月14日06:01

中国への関税上昇により、「メイド・イン・カンボジア」が新しいファッションラベルになる(後)

(前編より)

 

投資奨励策

「カンボジアでは免税期間のような割の良い投資優遇措置を提供しています」と、東南アジアを中心とした投資顧問会社であるEmerging Markets Consulting社のカンボジア担当マット・ファン・ロスマレン(Matt van Roosmalen)氏は述べた。

「関税引き下げが続く限り、企業はカンボジアでの生産能力への投資に対し、更に奨励するでしょう」と述べた。

生産拠点の変化の動きは中国に影響を与えた。

香港を拠点とする、Prada SpAおよびGuess?Inc.社のようなブランドシューズを開発・製造しているStella International Holdings Ltd.社は 2009年以降、中国と米国が貿易レトリックを引き上げるにつれ、株価は最低にまで下がった。

米国からの需要増に部分的に起因しているカンボジア国立銀行の年次報告によると、カンボジアでの靴の輸出は2017年に25%増加し、アパレル輸出もまた同期間に8%増加した。

一方、ベトナムは、外国投資家主導の経済ブームを享受しており、サムスン電子やインテル社などから数十億ドルの投資を受けている。ベトナムは主に米やコーヒーなどの農産物輸出国から、 東南アジアの製造拠点に変貌を遂げている。

ハノイにあるアメリカ商工会議所長のAdam Sitkoff氏は、「ベトナムは比較的低いインフレ、安定した通貨、政治的安定性を享受しています。それらは外国投資の誘致に非常に有益です。」と述べた。

「ベトナムは9500万人の人口を抱え、自転車からバイクからBMWへの道のりでかなり速く需要が動いている国です。チャンスがあるのは明確です」と続けた。

中国と米国の貿易緊張が高まる前から、カンボジアは低所得国の発展を促進するための米国のプログラムの一環として、ハンドバッグ、スーツケース、財布などの製品に対する免税特権を享受していた。

この指定はこれまでトランプ政権によって維持されてきた。

関税の脅威に加えて、中国では労働賃金が着実に上昇しているが、カンボジアは労働賃金に関しては最低コストの国の一つである。

Oxford Economics社が提供する見積もりによると、カンボジアの労働コストは中国の4分の1である。

 

「容易ではない」

しかし、米国アパレル&フットウェア協会のラマー氏は、「残念ながら現実には中国からの移管は容易ではありません。」と警告を呼び掛けている。

一つの理由は、安価な労働が必ずしも同様に効果的な生産と限らないからである。

カンボジアの生産性は中国に比べて低く、より精巧な製品を製造することが難しい。

領域内の貿易および投資を促進する香港開発評議会の調査によると、工場管理者はカンボジアの労働者の平均労働生産性は中国人労働者の約5060%であると示唆した、という。

もう一つの理由は、カンボジアのインフラが中国より劣っていることである。世界経済フォーラムのグローバル競争力報告書によると、同国のインフラはベトナムとラオスなどの近隣諸国より劣る137ヵ国中106位であり、製品の国外運送を困難にする可能性がある、とラマー氏は語った。

 

「欠陥のある」選挙

そして政治である。

米政府は最近、国民議会が国会で全125議席を獲得した7月のカンボジア選挙を「欠陥がある」と述べた。

その結果、米国と欧州は貿易政策を見直し、「カンボジアのアパレル産業に対する関税優遇措置を停止する可能性があります」とOxford Economics社のシニアエコノミスト、トミー・ウー(Tommy Wu)氏は語った。このような動きは、アパレル製品の輸出総額の64%を占める全国的な打撃となるだろう。

ロサンゼルスのOccidental Collegeの外交・世界問題担当副学部教授であるSophal Ear(ソファル・イヤー)氏は、「政治的な混乱が落ち着くまで、カンボジアでより多くの生産活動を配置することは慎重に行う必要があります」と述べた。

 

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最終更新:2018年08月25日13:16

中国への関税上昇により、「メイド・イン・カンボジア」が新しいファッションラベルになる(前)

あなたが購入する次のデザイナーズバッグは「Made in China(中国製品)」である可能性は低いだろう。中国製品の代替として、サプライチェーンの多様化を求めているファッション企業は既に東南アジアの生産拠点に進出している。そしてその後、貿易戦争が起こった。

現在、中国製のハンドバッグなどの製品の関税が上昇すると、Steven Madden Ltd.社やTapestry Inc.Coachのような消費者製品メーカーにとってカンボジアやベトナムはこれまで以上に魅力的になっている。また、トランプ政権は今年、多くの主要貿易相手国からの商品に関税を課しているが、一部のカンボジア製品は米国市場への免税を継続することが認められている。

米国アパレル&フットウェア協会(American ApparelFootwear Association)の執行副社長、スティーブ・ラマー氏(Steve Lamar)は「この変化は現在進行中なのです」と述べた。

関税に関する会談では「多くの不安」を生み出し、企業はいかに速く供給に対してより多くの変化が出来るかを予測しているという。

7月に米国ファッション産業協会が発表した調査によると、調査に参加しているすべての企業は中国から製品を調達していたが、内67%は今後2年間で中国内での生産量または生産量を減少させると見込んでいる。

米国の貿易保護主義は、業界にとって第一の課題とされていた。

 

生産拠点の移管

Steven Madden社のエドワード・ローゼンフェルド(Edward Rosenfeld)最高経営責任者(CEO)は、同社の最新の収益計算より、ハンドバッグの生産を中国からカンボジアに移していると語った。 靴やアクセサリーのメーカーは今年、同社のハンドバッグの内の15%をカンボジアからの仕入れる方向であり、この割合は2019年に倍増する見込みである。

ローゼンフェルド氏は731日の電話会議で、「それは大部分の我々の同業者よりも大体約3年程有利なスタートを得ていることになる。何故なら、彼らは今になってやっと、それに対して動き出したからです」と述べた。

「私たちのハンドバッグの供給源のトップは、実際にもう既にカンボジアにあります。そして、現在更に増やしていく計画です」

CoachおよびKate Spadeのハンドバッグの背後にあるラグジュアリー企業のTapestry社も同様の戦略を採用し、ベトナムでの生産量を増やし、中国からの調達額の5%未満を残した。

一方、Vera Bradleyは昨年12月に、中国からカンボジアとベトナムに製造オペレーションの移管を検討している、と述べた。

 

(後編につづく)



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最終更新:2018年08月25日12:08

韓進海運破綻の余波(後)

(前編より)

 

航空便の利用

船舶に積まれたままとなっている貨物により、Esquel社のTeh氏は約1週間の生産遅延と輸送費の倍増が発生すると予想している。製品を香港から輸送するためにトラックだけでなく、高速船を利用する必要が生じるだろう、と彼は述べた。Teh氏はまた、納期に間に合わせるために工場から製品を航空便で出荷することも計画している。

一部のメーカーでは他の運送会社へ切り替える動きを見せている、とベトナム繊維協会のHoang Ngoc Anh副事務局長は述べた。

中国全土へ向け、履物、事務用品や楽器を出荷するShanghai Lansheng社は、海上で立ち往生している在庫があるかどうか、各事業部門で確認を進めていることを明らかにした。

小売業者はこの騒動の影響度を把握しようとしている中、ハンドバッグメーカーのMichael Kors Holdings社は韓進海運の経営については少し前から懸念を持っていたことを明らかにした。

「当社では韓進海運の船舶で滞留となっているコンテナはあまりありません。ただ現時点で、いくらか(運賃に対する)価格圧力が起こっているようです。」とJohn Idol CEOは水曜日ニューヨークでの会議上で述べたが、この騒動により「極めて長期間の影響がでる」ことは想定していないと続けた。

 

「価格圧力」

同イベントにおいて、Calvin KleinやTommy Hilfigerといったブランドを擁するPVH Corp社のEmanuel Chirico CEOは、韓進海運は同社の事業においてほんの一部しか関係しておらず、「当社には全く影響がない。」ことを明らかにした。

Nike社と Ralph Lauren社はコメントを差し控えた一方で、Hugo Boss社は電子メールでコメントの求めに応じた。

「店の棚に陳列されているべき数百万米ドルもの商品が(洋上に)あり、この影響はどの程度となるかについて小売業者らは強い関心を持っています。」と先週に全米小売業協会(NRF)のサプライチェーンおよび関税政策を統括するJonathan Gold部長は述べた。

また別の業界団体である小売事業者経営者協会(RILA)は、Penny Pritzker米商務長官と連邦海事委員会のMario Cordero委員長に介入を要請している。

韓国で2番手の海運会社であるHyundai Merchant Marine社は木曜日に、東南アジアでサービスを提供するために他の3社と提携し、15隻を配置してこの混乱を収束させようとしていることを明らかにした。

この海運会社を倒産から救うための瀬戸際の努力として、韓進海運グループはCho Yang Ho 会長が拠出する400億ウォンを含む1000億ウォン(9200万米ドル)を提供して、サプライチェーンの混乱を収束させようと努めていることを火曜日に明らかにした。またこれとは別に、韓国の与党Saenuri党は韓進海運グループが担保を提供した場合、約1000億ウォンの低金利ローンを提供するよう政府に要請した。先々週国営の韓国産業銀行が率いる債権者らとのリストラ策の合意に失敗した後、韓進海運は破産保護申請を行った。

「この混乱が韓国全体のイメージを毀損させています。」とソウルのEugene Investment & Securities社のエコノミストであるLee Sang Jae氏は述べた。「この問題が長引いた場合、他のビジネスに対する懸念材料ともなり得ます。」

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最終更新:2016年09月14日12:01

韓進海運破綻の余波(前)

Nike Inc.やHugo Boss AGなどの企業に対するサプライヤーは、韓進海運の倒産により約140億米ドル相当もの商品が外洋で立ち往生しているため、年末商戦に向けたTシャツやスニーカーの納品が間に合うか、その確認作業に追われている。

Nike、Hugo BossやRalph Laurenなどのファッションブランドに商品を供給する香港資本のEsquelグループは、可能な限り早く滞留を余儀なくされている中国の港からホーチミン市近くの工場に、原材料の入った4本のコンテナを移動するようトラックの手配に奔走している。織物輸入やMarks & Spencer Groupに対する商品供給を手がける中国のLiaoning Shidai Wanheng社は、貨物を韓進海運の船舶により輸送することを予定していたが、その代替手段の手配を行った。

「当社の生産ラインは(原材料コンテナの到着を)待っています。(生産が遅れているため、)アメリカとイギリスのクライアントにアパレル品を納入するのに、航空便を利用しなければならない可能性さえあります。」とEsquel社ベトナム事業代表のKent Teh氏は述べた。

先々週この韓国最大の海運会社が倒産を申請したことにより、アパレル、ハンドバッグ、テレビや電子レンジなどが海洋で立ち往生し、グローバルサプライチェーンを大混乱に陥れる一連の騒動が始まった。火曜日に米国の裁判所は一時的な猶予措置として、韓進海運の船舶が貨物を押収されることなく、ロサンゼルスなどの港に船舶を停泊させることを認めた。米国で昨年、総額6260億米ドルもの売上となった感謝祭やクリスマスなどの2ヶ月間の大型商戦を前に、このボトルネックにより各社は大きな痛手をこうむる可能性がある。

韓進海運による米国連邦倒産法第15条の申請手続きが明らかになった後、Samsung Electronics社は、約3800万米ドル相当の貨物がカリフォルニアのロングビーチ沖に滞留する韓進海運所有の2隻の貨物船上にあることを公表した。貨物にはSamsung Electronics社のビジュアルディスプレイ部門のメキシコの工場向け部品、製品を積んだ304のコンテナや、ホームアプライアンス部門の冷蔵庫、洗濯機、食洗機、電子レンジを積んだ312のコンテナが含まれている。

貨物がすぐに荷降ろしされない場合、契約上の義務を果たすために「大金を負担して」航空便で代替商品を輸送することを余儀なくされるであろう、とSamsung Electronics社は述べた。例えば1469トンの商品を輸送するのに少なくとも16機の輸送機をチャーターする必要があり、これには約880万米ドルの費用がかかる見込みである。

「こうしたコストや納期の遅延はすべて、Samsungだけでなく米国の主要小売店や、最終的には米国の消費者の損失となるでしょう。」とSamsung社は述べた。

親会社の韓進海運グループと韓国政府はこの運送会社を救済する手段の検討を開始すると同時に、米国小売業者も多額の損失を支援する措置を求めている。韓進海運が停泊料や荷役費を支払う資金を持たないのではという懸念が判明した後、26カ国50の港で約86の船舶が港を離れて立ち往生している。先週米国の破産裁判所による判決が示され、米国にある韓進海運の資産は債権者から保護されることとなった一方で、韓国では出荷ラインの再編が進められている。

もし韓進海運が支援されない場合、韓国の釜山では約1万1000の雇用が失われる恐れがある、と釜山港振興協会は明らかにした。韓進海運はこの港における総処理量の約50%を占めている。韓進海運の株式は、ベンチマークとなるKospi指数が4.9%の増加を示す一方で、今年62%も下落している。

 

(後編へつづく)

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最終更新:2016年09月14日06:01

カンボジア:「労働搾取工場」時代の終焉

過去30年間、労働搾取工場を意味する”sweatshop”は、「低賃金のアジア人労働者が、劣悪な環境で海外の消費者のためにブランド服を作る」というイメージを植え付けてきた。

そのイメージは人権擁護運動を引き起こし、大手企業の製造過程を改め、先進国における貿易政策に影響を与えてきたが、それも今では過去のものとなりつつある。少なくともアジアでは、工業化の代名詞であった「労働搾取工場」が、テクノロジーにとって変わりつつあるのである。

国際労働機関(ILO)の報告によると、カンボジアの88%、ベトナムの86%、インドネシアの64%と、東南アジアに920万ある縫製・製靴関連職の3分の2以上が自動化に直面しているという。それが労働者にとって良いことであるかは議論の余地があるが、アジアの「労働搾取工場」の全盛期が終わりつつあることは確かである。

中でも、その動きはカンボジアにおいて最も顕著である。低い賃金や緩い規制、都市部で仕事を求める大規模な地方人口などに目をつけ、1990年台半ば以降、大手メーカーはこぞって生産拠点をカンボジアに移転してきた。2015年までに縫製・製靴の輸出額は63億米ドルとなり、カンボジアの輸出総額の80%を占めるまでになった。縫製や製靴関連の仕事はただでさえ単調で窮屈なものであり、時によっては劣悪で生死にすら関わる場合もあるが、カンボジアの縫製・製靴に従事する労働者63万人の月間所得額は145米ドル〜175米ドルと、一人当たりの年間所得額が1000米ドルにおける同国においては所得水準が高く、この傾向は縫製の一大中心地である中国やベトナムなど、アジア全域に広がった。

低賃金諸国で激化する競争が世界中の衣料価格を引き下げ、カンボジアにおけるアメリカ向け輸出衣料の平均生産コストは2006年から2015年の間に24%減少した。賃金の上昇を伴えば、生産者側にとっては存続の危機となる。

いくつかの中国メーカーは低い賃金を求めて東南アジアに拠点を移したが成功せず、アジアにアウトソーシングするナイキやH&Mといった企業と価格交渉をするか、生産性を高めるかの2択を迫られた。価格交渉の成果は弱く、アジアの衣料メーカーは生産性を飛躍的に高める自動化を推し進めることを余儀なくされたのである。

彼らが導入した新しい技術のうち最も一般的なのは、どこの工場でも必要とされる生地裁断の単調作業を自動化する装置であろう。技術導入のコストを回収するのにかかる時間は18か月間と推定されており、低賃金労働者による手動裁断過程の縮小は確実とされる。アディダス・インドネシアは裁断過程の手労働を30%まで縮小することを望んでおり、また、カンボジアのHung Wah縫製工場は手動裁断過程を一切排除した。

また今後、3Dプリント技術やその他の新興技術の発展により、メーカーが顧客の仕様書に、これまでにはない品質で、「労働搾取工場」では想像できなかったスピードで、はるかに少ない人力で答えることが可能になると見込まれており、欧米企業がカスタマイズ可能な技術を自国に持ち帰り、海外の生産拠点を一切閉鎖してしまう可能性もある。

中国を中心として工場労働者自身が消費者になりつつあり、数年のうちに靴や衣料によりお金をかけるようになると予測されているものの、自動化によって職を失う労働者を吸収するための明確な対策がない事は確かである。「労働搾取工場」の衰退を嘆く必要はないが、アジアが打開策を見いだせていないのは事実である。

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最終更新:2016年09月07日12:01

ベトナム:ベトナム政府、ストライキ契機に年金制度の変更を検討

年金制度への不満から何千人もの労働者が2件の工場でストライキを引き起こしたことを受け、グエン・タン・ズン首相率いるベトナム政府は今後、社会保険法の改正を提案する方針だと発表した。

同2工場の親会社である台湾の靴メーカー、Pou Chen Corp社によると、同社はベトナム政府に対して、先週デモに参加していた労働者と「前向きに」話し合うよう要求したという。これを受け、約8万人もの従業員が働くホーチミン市の工場では2日、労働者が業務を再開した。一方で、約1万人の従業員が働くティエンザン省南部の工場では、労働者のデモによって工場が停止し、今なおシャッターは下りたままである。

新たな年金制度では、多くの労働者らが、退職の際に支払われる社会保険の一時給付金を受ける資格を喪失し、保険金の支払いが定年まで先延ばしになるとされている。これに対し労働者らが懸念しているのは、将来、年金制度が破綻する可能性があるということだ。

共産主義国家のベトナムでは、大規模集会や、正式な許可を受けていない集会に制限を設けている。

Le Van Tin(30)さんは1日午後、ホーチミン市郊外にある同工場の工場ゲート前で「抗議を止めるつもりはありません」と言い、「会社はわれわれをサポートしてはくれません。業務に戻れと言うばかりです」と続けた。

労働者らは1日、同工場のある工業団地の外に集結し、警棒を持った警察が待機する中、垂れ幕を広げて抗議を行った。会社側は録音メッセージを鳴り響かせて、製造ラインに戻るよう従業員に呼びかけていた。

Nguyen Van Nen政府官房長官は1日に行われた会見で、政府は、労働者に対してデモを止めるよう要請しているとし、さらにグエン・タン・ズン首相および大臣らは労働者の要求について協議を行い、国民議会に対して社会保険法を変更するよう提案するつもりだと述べた。

 

退職後の貯蓄

在ベトナム台湾商工会議所評議員会のSerena Liu会長は、「労働者の抗議や発言は、政府の方針に対するものです」とし、「これが自分たちのできる唯一の方法だと考えています。彼らは労働環境の改善を訴えているわけではありません」と述べた。

台湾の首都台北では、Pou Chen Corp社の株価が2日午前9時48分の時点で1.8%上昇し、31日の6.9%減から持ち直した。

労働省のDoan Mau Diep副大臣の説明では、同年金制度は、定年前に年金拠出金を引き出せないようにすることで、労働者に老後の貯蓄を促そうとするものだという。現行の法律では、労働者は年金を引き出すことができるが、こうすることで将来、政府から受け取る退職金の額が減額されることになる。

Diep副大臣は、今回のデモにより政府は法の改正を検討しているとし、それによると労働者は今後、会社を退職した際に年金を一時給付金として受け取るか、あるいは定年後に受け取るかを選択できるようになる可能性がある。

 

Pou Chen Corp社へのインタビュー

Pou Chen Corp社の広報担当、Amos Ho氏の話では、同社はベトナム政府に対して、社会保険の問題で労働者に確約を与えるよう求めたほか、ホーチミン市当局に対しては労働者の要求を伝えたという。Ho氏は、先月26日に始まったこのストライキによって、生産遅延が引き起こされる可能性があると話す。デモに参加した労働者の数は、従業員全体の約2割だった。

ベトナムの労働ストライキは、政府というよりはむしろ、企業への不満に対して行われることが多い。例えば、2015年頭には、航空会社約100社のパイロットが現行の賃金を不満としてストライキを起こした。昨年5月、外資系の工場で発生した反中デモでは2人が亡くなった。2013年11月には、ベトナム北部のニンビン省にあるLevi Strauss & Co社の工場で約1000人の労働者が3日間にわたってストライキを行い、労働環境の改善を訴えた。

米ハワイにあるアジア太平洋安全保障研究センターの安全保障専門家、Alexander Vuving氏は、この問題について「国民は政府をほとんど信頼していないのでしょう」と述べた。そして「現制度では、労働者の利益を代表する人がだれもいません。ベトナムに労働組合はありますが、事実上、共産党体制の一部として機能しています」と続けた。

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最終更新:2015年04月07日05:54

カンボジア:縫製労働者の権利侵害は深刻~~人権団体レポート

人権保護団体は、カンボジア政府と世界的衣料品ブランドは、縫製労働者を強制的残業や差別から保護するため、より一層の努力が必要であると発表した。

ヒューマンライツウォッチは3月12日、Work Faster or Get Out(早く働くか、出て行け)と題された報告書を発表した。この報告書によると、多くの工場で、報奨金の支払いを免れるために不法に短期契約を結んでおり、労働者の無差別の解雇や、暴言やセクシャルハラスメントは女性が多数を占める職場において日常茶飯事だという。政府と世界的衣料品メーカーはともに法の執行と虐待の防止に取り組む必要があるとヒューマンライツウォッチは語る。

「縫製産業で働くカンボジア人女性は日常的に嫌がらせや虐待といった攻撃を受けています。権利を守ろうと労働組合を結成すると解雇されることもしばしばです」とヒューマンライツウォッチのPhil Robertsonアジア支部副部長はメールでコメントした。

「問題は、工場所有者は労働法規違反に対して政府がどうせ何もしないということを知っていることです。世界的ブランドは納品元の工場で縫製労働者がどんなひどい環境にあるとしても、どうやって責任逃れをするかしか考えていません」

近年の中国での賃金上昇とインフレによって、低価格衣料品の生産はカンボジア、ベトナムやバングラデシュといった、労働法規や安全基準が適切に制定されていない国々に移転してきた。ZaraのInditex SA社やH&MのHennes & Mauritz AB社等、世界的衣料品ブランドが顧客を常に引きつけておくために2週間ごとに新しい製品を店舗投入するようになってから、工場への生産スピードアップの圧力も増した。

 

経済の牽引役

70万人もの雇用を創出し、2013年には53億米ドルのアパレル製品及び靴を輸出しているカンボジアの縫製産業は、2014年1月に警察と軍が最低賃金引き上げを求めストライキ中の労働者を制圧して少なくとも5人が死亡した事件により、世界の注目を集めた。その前年には、製靴工場が崩壊し、少なくとも2人の従業員が死亡している。

縫製産業はカンボジア経済の主要牽引役である。世界銀行は2015年のカンボジア縫製産業の成長率を7.5%と予測しており、東アジア全域でも最も早い成長を遂げている。

プノンペン市で発表されたヒューマンライツウォッチの報告書は、73工場の縫製労働者、労働組合指導者、労働者権利活動家、政府職員、縫製産業代表者、世界的ブランド企業との340件以上に及ぶインタビューに基づき作成された。

 

労働組合活動の阻止

国際的ブランド企業に納品している48工場の従業員らが調査員に語ったところによると、法律で任意によるものと定められている残業が実際は強制されている。35工場の従業員は、労働組合指導者への脅しや解雇による労働組合活動の阻止を証言した。30工場の従業員が、契約更新拒否などによる妊娠中の女性への嫌がらせを報告した。

「とても疲れていましたが、一生懸命働くしかありませんでした」と妊娠5ヶ月の時に退職した女性、Ku Kam Rein(32)さんは報告書で証言する。「1度も検診に行くことができませんでした。時間がなかったからです。納期に間に合わせる必要がありました。そして私はあまりにも恐れていて許可を取ることもできませんでした。私がグループリーダーに尋ねると、彼は別の上司に尋ね、そしてその上司は拒否しました」

縫製労働者となるには法律で最低でも15歳以上でなくてはならないと定められているものの、ヒューマンライツウォッチによると、11工場で15歳以下の従業員を確認したという。工場で子供が働いていると証言した人々は皆、訪問者がある際には、管理者が子供に隠れるよう命じていたと語る。

15歳のLun Leaさんは調査員に「管理者は私に作業台の下に隠れるように言い、そして私たちの上に衣類を山のように掛けました」と話した。彼女は14歳で働き始めている。「私はそこで長いこと座っていました。私たちは山のような衣類の下で面白がっていましたが、解雇されるのではないかと恐れてもいました。だから訪問者がいる間は、私たちはとてもおとなしくしているようにしていました」

 

供給プロセス

この調査ではまた、下請業務を行っている工場では労働者の環境がさらに悪いことが明らかとなった。国際的な有名ブランドに納品しているような工場からの下請でも同様である。

「供給プロセス全体を通じて、ブランド企業は労働者の権利尊重を働きかける重要な役割を担っている。しかし、供給プロセスにおける透明性の低さと告発者保護のシステムの欠如、支援機関についての情報の欠如、さらには許可されていない下請企業における労働者の利益保護のための救済手段がないこと、こうした理由が積み重なり、ブランド企業が責任を果たすことを阻害している」と同報告書は述べている。

ヒューマンライツウォッチは政府が工場に虐待の責任を取らせ、査察についての方針を変更することを求めている。また、ブランド企業に対しては取引企業を一般に公開し、契約の際には安全・健康対策費及び労働法令遵守対策費を含めることを求めている。

 

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最終更新:2015年03月18日06:03

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