インドシナニュース

ミャンマー:最低賃金をめぐる議論、今なお難航(後)

(前編から)

 

最低賃金を適正な水準で設定しなければならないということは、非常に大きな課題でありかつ細心の注意を要するものでもある。MGMAのプロジェクト・マネジャー、Jacob Clere氏は、高過ぎる額と低過ぎる額との間で折り合いを付けることが非常に重要だという。

一方で関係者は概して、「最低賃金の設定に当たっては、1人当たりに必要な生活賃金についても協議している」と口にする。

Clere氏は「考慮される生活賃金の額は、現実的なものでなければなりません」と話す。そして「低過ぎればそれによって社会的な騒動が起きますし、高過ぎれば海外投資の流入の妨げになります。工場が閉鎖に追い込まれるかもしれませんし、失業者が生まれる可能性もあるでしょう」と続けた。

工場労働者らが賃上げを求めるストライキが最近、数件発生した。MGMAのAung Win副会長によれば、工場が、労働者らに対して1日1000チャットの賃上げを行うのはほぼ不可能だという。

大統領府大臣のSoe Thane氏は先月、ミャンマー・タイムズ紙の取材に対して、ミャンマーにおける労働者の生産性はASEAN諸国のそれと比較すると低いとし、加えて賃金も低いとなれば、人は工場を閉鎖してどこか別の場所へと移ってしまうかもしれないと述べた。

MGMAは今年に入り、行動規範を公表した。そこには「所定労働時間に対する賃金額は、契約上または法律上の最低賃金額を下回ってはならない」と記載されている。だが最低賃金決定委員会は未だにその額を決定していない。

Myo Myo Myint女史は28日のイベントで、「同委員会では、最低賃金の規定を定めるに当たって、何もかもを検討事項として挙げています」といい、「そのために、混乱した状態になっているのでしょう」と述べた。

一方でKhine Khine Nwe女史は、最低賃金額とは「社会的な保護に必要とされる額」だという。そして「最低賃金額は、3つの異なる観点から考慮されなければなりません。にもかかわらず、関係者は皆、1つの観点からでしか考慮せずに混乱しています」とし、「問題の原因はそこにあるのでしょう」と述べた。

最低賃金とは、社会的な保護と関連性のあるものだ。もちろん社会的な保護には、社会保障制度や、住居や食料といった基本的な要件など、最低賃金以外の関連要素も数多く含まれている。

政府はこれまで、基本生活費について調査を行い、それを最終的な最低賃金額の決定要素に組み込もうとしてきた。

Clere氏の話では、最低賃金法によると、同賃金を決定するのは、経営者、労働組合、政府の3者から成る委員会なのだという。賃金について話し合う会議は昨年、数回開催された。同氏は「賃金額の決定には少々遅れが生じていますし、明らかにされていない部分もあります。どうしてなのでしょうか」といい、「これまで正式に伝えられてきた理由としては、担当者が各工業団地で生活費の評価を行っているからだということでした」と続けた。

労働省の担当職員は28日のイベントで、何千件にも及んだ世帯調査が終了したと発表した。

Clere氏は、これにより、今後、最低賃金額を的確に設定するための、確かな情報が提供されるべきだとしている。そして「各地域の特異性についてはこれまでも、かなりの議論がありました。というのも、ヤンゴンでの生活費はPatheinやHpa-anと比較すると格段に高いと考えられるからです」と述べた。

最低賃金額の設定が実質的に進展すれば、他の問題も含め、こうした問題も解決の必要性が生じてくるだろう。

 

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最終更新:2015年04月14日14:07

ミャンマー:最低賃金をめぐる議論、今なお難航(前)

ミャンマーでは最低賃金法の制定から2年が経過したが、依然として施行に至っていない。

ヤンゴンで発生する労働争議はたいてい、賃金の問題である。

最低賃金の問題はこれまで、特に縫製産業において労使間の緊張の原因となってきた。今年に入ってからも、賃金や時間外労働などの問題などをめぐって数多くのストライキが発生している。だが専門家は、最低賃金制度を実現するまでの道のりは険しいとみている。というのも、同制度の問題は、当初の状況よりもさらに複雑なものとなっているからだ。

ミャンマー縫製業者協会(MGMA)会長で、最低賃金決定委員会のメンバーでもあるKhine Khine New女史は「われわれは、あらゆる問題を提起しています。しかし最大の課題は、最低賃金とは何かということを理解することです」と話す。

伝えられるところによると、これまでの話し合いでは、法律で何を規定するかということに言及すると議論が難航するのだという。例えば、労働者の生産性を反映して支払われる報酬など、最低賃金以外に関する法案も議論の対象となっている。

2013年3月、議会は1940年代後半に制定された最低賃金法を改正した。VDB Loi社(ミャンマーの法務・税務コンサルティング会社)が以前発表した分析結果では、改正後の法律では、委員会を構成し、その委員会が調査の実施とその後の最低賃金の設定に当たるとしていた。

同法は、ミャンマーの労働法および労働規定の一つとして、付随する規定とともにMGMAのウェブサイトに掲載されている。ウェブサイトには「経営者、労働組合および政府の3者によって2015年までに最低賃金が決定されるものと『大いに期待』されていた」と書かれている。Khine Khine New女史は最後に、同委員会は5月頃を目途に法律を公表するらしいと伝えた。

意見の割れる労働市場規制の問題と合わせて、最低賃金の設定をめぐっては対立が続いてきた。オタワ大学(カナダ)のGordon Betcherman教授は、この問題に関して敵対し、それぞれの陣営に分かれた2つの派閥について説明した。2つの派閥とは、市場志向型の考えを持った人々と、制度を推進する立場にある人々である。同教授はまた、世界銀行の発行による、仕事に関する「世界開発報告書2013」を執筆した中心チームの1人でもある。

Betcherman教授はまた、先月28日に行われた、国際開発研究センターおよびミャンマー開発資源研究所・経済社会開発センターによる労働市場のリサーチ・プログラムの立ち上げの場で、「労働者の保護を目的とした、政府による規制や労働市場での制度の推進は、必要不可欠であり、極めて良い結果を生むという意見もあります」と述べた。

同時に「労働市場の規制にはかなり慎重になる必要がある」という見解もある。市場志向型アプローチを支持する人たちは、最低賃金法のような法律を施行するとゆがみが生じ、予期せぬマイナスの結果につながる可能性があると考えている。

同教授はさらに「最低賃金の設定が高過ぎれば、雇用する側は賃金の支払いを渋るようになり、結果として失業者が出るでしょう。あるいは、例えば契約規則など他の何らかの規則を設ければ、労働市場の効率性が制限され、結果的に生産性や雇用も制限を受けることになるでしょう」と続けた。

だが、調査の結論によれば、結局、どちらの意見も大げさなものだという。同教授は「制度推進派が提唱しているプラスの結果は起きないでしょう。というのも、厳格な労働市場の規制は、主張されているものほどすばらしいものではないからです。しかし同時に、市場志向型の意見によって強調されているマイナスの結果も、推測されているものほど大きなものではないと考えられます」と述べた。

さらに賃金額の引き上げが雇用に及ぼす影響は「ほとんどない」としている。だがもしあるとすれば、最低賃金が大幅に引き上げられることで、女性や若者、教育を受けていない人々などが失業する可能性があるとした。とは言え、市場志向型が恐れているほど大規模なものではないと強調している。

世界銀行による国際調査のまとめでは、「ほとんどどの国でも、最低賃金の引き上げによって得られる効果というものは、例えば、社会的弱者への保護が強化されることなどである。同時に、生産性や雇用に大きな影響を及ぼすことなく、これらを実行することができる」と記述されている。

 

(後編へつづく)

 

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最終更新:2015年04月14日06:03

ミャンマー:縫製業界の行動規範策定でバイヤーの信頼が向上

3月24日、縫製業界の代表者らがEU内企業の代表者らと面談し、国際的企業を納得させるため、社会的に求められる倫理遵守の一段階として、アパレル産業における行動規範を強化することについて協議を行った。

報道発表によると、この協議は16企業の代表者からなるEU貿易代表団の一週間の研修旅行の一部として実施された。商務省と労働省の職員も協議に参加した。

協議後に、行動規範制定の中心となったミャンマー縫製業協会(MGMA)から発表された声明では、ミャンマー政府に「労働関連法規についての一貫性ある政策的枠組」の作成と実施を求めている。また、縫製業協会は個別の問題解決のみならず、制度の改善に注力していきたいとしている。

ミャンマーの縫製産業が成長を続ける中で、縫製業協会による行動規範策定と実施の動きは生まれた。経済制裁により一度は衰退した縫製産業は現在、社会的に求められる倫理遵守と、海外企業が懸念なくミャンマーに発注するための安心材料の提供に注意を払っている。

行動規範策定が実現した裏には、EUが支援する縫製産業におけるSMARTミャンマープログラムがある。SMARTミャンマーは2013年に立ち上げられ、ミャンマー国内の工場のほとんどを所有する300社以上を会員に持つミャンマー縫製業協会との協力により、縫製産業における行動規範の作成を支援することを目的としていた。

縫製業協会理事会との初期の会合で、大まかな草案が作成されたものの、縫製産業独自の問題点を考慮する段階となると会合は進捗しなくなった。最終的に行動規範が承認されたのは2014年12月のことであった。縫製業協会の理事会は作業部会を形成し、規範文書の作成を進め、その後、2015年1月からの適用開始にむけて投票を行った。最終的に、アパレル産業における強制力のない指針が出来上がった。縫製業協会のプロジェクト管理者であるJacob Clere氏はこの文書が「生きた文書」になったと評価している。

行動規範は児童労働や最低賃金の制定など、ミャンマー市場におけるデリケートな問題にも言及している。倫理遵守の問題は海外の企業との契約を得る上では非常に重要なものとなる。

縫製業協会のU Aung Win副会長は、海外の顧客企業は行動規範の制定を非常に好意的に受け止めていると語る。

「多くの責任あるEUの企業がこのような文書を支援したいと考えています。そうした企業はこの行動規範をミャンマー縫製産業における最低限の遵守事項の基準としたいと考えています」とClere氏は話す。

2015年、EUは日本と韓国を超え、ミャンマー縫製産業の最大の顧客に返り咲くこともあるかもしれない。経済制裁前はEUと米国が最大の市場であった。

2003年に、米国はミャンマー縫製業界との契約を破棄した。Clere氏によると、この経済制裁はミャンマーの縫製業界に壊滅的な打撃を加えたという。100工場が閉鎖となり、8万人が職を失った。一方で、EUは包括的禁輸措置を課さなかったものの大きく後退したため、ミャンマーの縫製産業はその生産体制を変えることとなったとClere氏は続ける。

西欧諸国が退場したのち、アジア諸国の市場がその空きを埋めることとなった。すぐに日本と韓国がミャンマーの二大輸出国となった。

「日本と韓国の企業は社会的な倫理遵守についてはヨーロッパや米国の企業と必ずしも意見を同じくするわけではありませんでした。ミャンマーは、社会的な責任に則った生産という時代の潮流に2000年から現在まで乗り遅れてきました。そのようなわけで、彼らを支援するためにはかなりの教育研修を要するのです」とClere氏は話す。

ミャンマー縫製業協会のDaw Khine Khine Nwe会長は、行動規範の策定は輸入業者を引きつけるためよりむしろ、労働者を支援し、ミャンマーの国際競争力を強化するものであると話す。

「これはバイヤーのためでなく、私たちの労働者と、私たちの職場である工場のためです。これが労働者と工場のためになるものであれば、結果としてバイヤーも来るでしょう。私たちは常に、経済制裁の解除後は、国際的企業と同じ土俵で仕事をしたいと希望してきました。そして行動規範の策定はそのために私たちがしなければならないことの一つであったということです」と縫製業協会会長は話す。

Clere氏によると、行動規範における言葉の選び方にはデリケート問題を含むため長い時間がかかったものの、行動規範のミャンマー語翻訳版が承認されたという。縫製業協会では、この規範をいずれ韓国語、日本語、中国語にも翻訳したいと考えている。

現在、縫製企業はこの規範に従うことを要求されてはいないものの、これは変わりうる。しかし、強制力がない規範であることに賛意を示す会員もいる。

衣料品ブランドLindexの持続可能性担当であるLars Doemer部長は、現在の強制力のない規範という位置付けを、「企業の意図を示すものとなるためむしろ好ましい」と考えている。

一方で、行動規範が効果を持つよう、関係者に規範遵守を強制する必要はないとClere氏は話す。

「この規範に従うことが近い将来に要求基準となるとは思いませんが、中期的にはそれもあり得ます。または要求基準とはならずとも重要性を増すこともあり得るでしょう。もし工場が公にこの行動規範を支持し、そしてこれは十分に成し得ることですが縫製業協会がそれをチェックする機能を開発できれば、重要性はさらに大きくなるわけです」とClere氏は話す。「しかし、現時点ではまだ教育研修の途上にあると言えます」と彼は付け足した。

 

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最終更新:2015年03月31日09:01

ミャンマー:賃上げデモ参加の労働者ら、逮捕に抗議、政府に対応求める

賃上げを求めてデモを行っていた工場労働者らは8日、政府に対して、先日のデモで私服の「殺し屋」がなぜ女性の参加者ばかりを攻撃したのか説明を求め、回答がなければ、今後ヤンゴンの別のデモ隊と団結する考えを示した。

労働者らは、政府に対して、デモ排除における政府の役割を説明するよう求めるとともに、拘束されている労働者や活動家を解放するよう要求した。一方で要求に応じなければ、学生や土地収用に抗議する住民、僧侶などによる反政府運動に合流すると警告した。

今月4日、自警団は「任務」の文字の入った赤い腕章を腕に巻き、治安部隊に協力して、ヤンゴンのShwe Pyi Thar工業団地で起きた労働デモを排除した。デモ参加者はヤンゴン市内を行進する計画だったが、労働者らが8日にMahabandoola公園で開かれた記者会見で語った話では、このとき14人の労働者および活動家が取り締まりによって拘束されたという。

彼らは声明を読み上げ「われわれのほとんどが女性でしたので、捕まえるのも簡単だったでしょう。問題は政府の対応が暴力的だったことです。われわれを叩くのですから。政府が攻撃的な考えを持っていることがよく分かりました」と述べた。

新たに拘束された工場労働者のなかには、労働組合のリーダー2人と活動家1人が含まれていた。同3人は、2月中旬に起きた警察との激しい衝突でも逮捕された経験がある。

同3人と数名の活動家は現在、デモを扇動したとして刑法第505条b項違反の罪で告訴されているという。刑法第505条b項では、国家または公共秩序を乱す可能性のある行為に対して禁固刑を科すことを許可しており、この拘束された労働者らは、第147条の下、暴動を起こした罪に問われている。

今年1月、中国系および韓国系の縫製工場と製靴工場合わせて5件で、約4000人の労働者が抗議活動を開始した。各工場で要求は異なるが、最低賃金を1カ月6万チャット(60ドル)に引き上げたいとする点では共通していた。だがミャンマー縫製業者協会(MGMA)はこの金額を「高過ぎる」としている。

だが労働者の多くは、1日300チャットの昇給という条件で工場に呼び戻された。一部の理由として、無給の状態がすでに1カ月以上も続き、デモを続けていくだけの金銭的な余裕がなくなったためだという。

Costec社とFord Glory社の縫製工場では8日、数百人の労働者が勤務に就くことを拒否していたが、先日の取り締まり以降はデモ活動も避けるようになった。

Zaw Aye Maung地域大臣はこれまで労働者との交渉に尽力してきたが、依然としてデモを続ける労働者には否定的な考えを示しており、先日の拘束についてもコメントを差し控えた。同大臣は「全員の要求を聞き入れられるわけではありません。デモを続ける人もいると思いますが、ほとんどの人がわれわれの交渉を受け入れています」と述べ、デモ排除に協力した自警団に関しては、何も知らされていなかったとした。

 

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最終更新:2015年03月13日06:00

ミャンマー:成功へむけてドレスアップ

起業資金を支給する支援プログラムを経て、2人の女性起業家が誕生した。今後もさらに多くのミャンマー女性がビジネスシーンに登場することが望まれている。

Project Hub Yangonが企画するProject Wのプログラムを修了後、Rosy’s Chin Fabricsの創設者Rosyさんは4000ドル、Ciciの創業者Hillary Yeeさんは2000ドルを起業資金として手にした。

Ball Corporation、Standard Chartered BankとCity Martが提供するこの起業資金でビジネスを成功させることが可能になると2人の女性は話す。起業資金の獲得方法について専門家の助言を得ることができるProject Wでの数ヶ月の研修の結果、彼女らはこの資金を手にした。Project Wはミャンマー初の女性を対象とした起業支援プログラムである。KaylifondetとPartnership for Changeが資金提供するProject Wは、事業のアイデアを持った女性を対象として、起業準備を支援することを目的としている。

Hillary YeeさんはProject W参加時に服飾会社であるCici を起業した。Cici社は女性を対象としたプロフェッショナル、セミカジュアルスタイルの既製服と、制服を製造する。「ミャンマー女性が仕事場で美しく見え、自分に自信を与えてくれるような洋服を作りたかったのです」と彼女は話す。

しかし、市場でのシェア獲得は容易ではない。Hillary Yeeさんは、ミャンマー女性はカジュアルな服装や制服で仕事に行くことが多く、いくら品質が良かったとしても、洋服にさらにお金をかけることを決意させることは簡単ではないと言う。

Hillary Yeeさんは家族もアパレル業を営んでおり、そのため原材料などで支援してもらえるという。彼女によるとCiciの製品は多くのフォーマルウェアブランドより安価で、価格、注文にもより柔軟に対応できるという。

「現在さまざまな企業に連絡を取り、従業員の制服の作成を提案しています。制服製作はビジネスチャンスとなりうると考えています」と彼女は話す。

CiCi社では輸入生地を利用し、地元のデザイナーを起用してミャンマーでデザインを行っている。同社の製品は現在約5店舗で売られている。

Hillary Yeeさんは、ミャンマー女性が起業することは重要であり、非営利団体はProject Wのようなプログラムを通じて有能な女性の支援を行い、起業し、投資家を見つける手助けをすることができると話す。

 

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最終更新:2015年01月31日06:00

ミャンマー:外国企業の不正登記に法的措置適用

ミャンマー投資委員会(MIC)のAung Naing氏によれば、今後、同国への外国投資については厳しい取り締まりを課す方針だという。と言うのも企業によっては、ミャンマー人の名義で登録を行い、規則の適用を免れようとしているからである。

MICは2012年に初めて同件に関する通達を行い、外国投資を行う者は今後、与えられた猶予期間中に適切な方法で再登録を行う必要があり、怠った者に対しては将来的な法的措置を検討するというものだった。これまでのところ約30社が介在期間中に再登録を行ったが、一方で違反者に対する法的措置は取られていない。

Aung Naing氏の話では、規則に従わない企業はその多くが縫製産業の企業と考えられており、また「MICの調査によると、縫製産業では恐らく約50%の企業が、ミャンマー人の名義で登録された外国企業だと考えられています」と述べた。

外国企業のなかには、外国投資に課される規制を免れようとミャンマー企業と偽って登記しているところもある。また従来の規則の下では、いかなる外国資本もすべて、保有している場合には外国企業として分類される。さらにこの規則は、ミャンマーの国有企業以外の株を保有している外国人にも適用される。

ミャンマーでは、例えば土地の所有権など、分野によっては外資の参入が規制されていたり、制限が設けられたりしている。またこうした規制は、国内企業には課されない。

一方で現在、会社法の改正が進められているため、将来的には規制の変更が想定されている。だが現時点では、多くの外国企業が配偶者などミャンマー国民の名義で自社の登録を行っており、外国企業であることを隠したり、制約から逃れようとしたりしている。

Aung Naing氏は、MICがこれまでのところ措置を取らなかったのは、こうした企業がミャンマーの雇用を促進しているからだと話す。だが我慢にも限界があるとし、減税措置の撤廃や、不正登記が発覚した企業を認定リストに載せて一切のビジネス活動を禁じるなど、今後、何らかの対策を講じるつもりだと述べた。そして「登録の変更を促すよう、これまで寛容な態度を示してきました。しかしもはや恩赦はありません。すぐにでも対策を取るつもりです。これまで2年も待ち続けたのですから」と続けた。

2012年3月、MIC職員らは記者会見を開いた。そこでAung Naing氏は、会社がミャンマー国籍を持つ配偶者の名義で登録されている場合、その企業は名義貸しをしている配偶者に対して50%の資本譲渡を行わなければならないと発表した。またある規定についても言及し、ミャンマー国籍を持つ「相続人」を利用して投資を隠している場合は、その相続人に対して投資額の一部を譲渡しなければならないと伝えた。だが、会社が配偶者または相続人以外のミャンマー人の名義で登録されている場合、その会社は外資100%の企業と認定される。

下院議員のThura U Aung Ko氏は今年、国会での発言で、外国投資を呼び込む産業は衣料関連だけではないとし、宝飾関連や金属鉱業、旅行関連、不動産、農産業、漁業、食品製造業などを例に挙げた。また外国投資はその多くが近隣のアジア諸国からのもので、多くの場合ミャンマー人の配偶者による名義貸しで登記を行っていると述べた。

未だ外資の参入が認められていない分野が多いなか、専門家は、それでも規制は徐々に緩和されつつあると話す。エコノミストのHla Maung氏によれば、かつての軍事政権下において、こうした規制はより厳重なものだったという。そして当時について「あの状況下で外国企業が、現地人以外の名義でビジネスを行うなど到底無理でした」と語った。また「こうした外国企業の多くは、名義人であるミャンマー人の言いなりになってはいても、悪事を働こうとしているわけではありません」と補足した。

現在では海外に居住し、市民権を取得しているミャンマー人も多い。これらのミャンマー人もまた、国内企業としてミャンマーでビジネスを行う際には、ミャンマー国籍を持つ友人や親せきの名義で登記を行わなければならない。

 

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最終更新:2014年12月25日06:00

ミャンマー:インフレと最低賃金の調和に難航

ミャンマーでは、消費者物価の上昇や変動によって、最低賃金の設定が難航している。最低賃金の問題は、アパレル工場とその従業員との間で常に争議の「火種」となっている。

アジア開発銀行(ADB)によれば、ミャンマーの物価上昇率は今年6.6%と比較的高いものだった。縫製産業関係者の話では、国民の生活費やその他調査結果は地域によって差があり、それが最低賃金を設定するうえでの判断を複雑にしているのだという

ミャンマーでは昨年3月、最低賃金法を制定した。その後、州別または地域別の法定最低賃金を決定することになっていたが、これまでのところ賃金額については発表されていない。

政府当局者は、賃金の設定には情報が必要だが、それを入手するのが非常に困難だという。

労働省で官僚を務めるThein Win氏もまた、効率賃金の決定には各州や地方の調査データが不可欠だが、これらの入手が難しいと話す。そして「詳細なデータが不足しているため、現時点で進展の兆しはありません」と続けた。

経済社会開発センターのZaw Oo所長の見解では、インフレに対する先行きの不安が、賃金制度の計画において、長期的な策定のみならず短期的な策定さえも難しい状況にさせているのだという。インフレは通常、各州や地方によって大幅に異なり、起きる時期もそれぞれ異なる。

労働運動家らは、実質購買力が低下していることで、労働者の生活が苦しくなっていると話す。

「労働者の権利を保護し支援する会」で広報を務めるEi Shwe Zin Nyunt女史は、「必要なのは最低賃金の設定だけではありません。消費者価格のコントロールも必要です。あるいは最低賃金の設定が、何の効果ももたらさない可能性についても考えるべきでしょう」と話し、「政府は、消費者価格が急激に上昇しないよう努めなければなりません」と続けた。

労働組合共同委員会の一員であるTun Tun Naing氏は、物価の上昇を抑えない限り最低賃金の効果はほとんどみられず、労働デモも続くだろうとしている。

だが一方で、縫製工場のオーナーらは、最低賃金の決定後、労働コストが大幅に上がるのではないかと懸念している。

衣料副資材を扱うAung Thein Than社のAye Tun社長や、Maybelアパレル製造工場のWin Ei Khin社長など産業関係者においては、賃金の支払いにそれほど多くの金額は充てられない可能性があると話す。というのも国内の需要は依然として低く、海外からの受注を増やすのに必死だからだ。

ミャンマーのアパレル工場では、衣料品の生産において、主に低価格のCMT契約を専門としている。またバングラデシュやカンボジアなど近隣の強力なライバル国を相手に、特に価格志向型の市場を対象としている。

 

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最終更新:2014年12月05日06:00

戦略策定でミャンマー縫製産業は拡大できる

ミャンマーの縫製分野において実効性のある戦略が作成、実施されるのであれば、海外投資家にとって今後10年間にわたり最も期待できる分野となりうると縫製産業の専門家は語る。

しかし、縫製業界は非常に競争が激しい上に、ミャンマーはこの業界において経験豊富なバングラデシュやカンボジアとの競争にも直面している。

先週ヤンゴンで開催されたミャンマー縫製業協会年次総会での会員の話によると、より大量の安定した注文を、さらに高い利益で得ることが現時点での課題である。

縫製業協会では2014年末までに、業界改善のため政府と協調することを目指し、事業管理チームを立ち上げようとしているとU Myint Soe会長は話した。

「2014年のミャンマーからのアパレル製品輸出は推計15億米ドルに達しましたが、戦略通りに進めば、今後10年以内に年額100億ドルの輸出高を達成できるはずです」と彼は言う。

ミャンマーは現在、低利益で大量の縫製製品を産出することに特化しているが、こうした生産形態においては特に、競合諸国より魅力的な工場立地の優位性を提供できるかということが課題となる。例えばバングラデシュは2億人以上の人口を擁し、200億ドルを輸出しており、これはミャンマーの輸出高の20倍にあたる。しかし、投資家の中には、バングラデシュ縫製業はすでに飽和点に達したのではないかとの懸念、また人災、天災に対して脆弱であることを懸念する声もある。

今ミャンマーがバングラデシュの成功から学ぶ点は多い。

U Myint Soe会長は、縫製業は雇用創出の面からも非常に重要であると述べた。縫製業の拡大とともにさらなる労働力が必要となり、100万人単位の雇用を提供できる潜在的可能性がある。

EU市場への特恵的アクセス、そして中国市場のミャンマーからの輸入受入れの兆しを考慮すると、縫製分野の前途は明るい。

「平均して1週間に2000人規模までの1工場が開業しています。この傾向はヤンゴン郊外から、地方まで拡大するでしょう」とU Myint Soe会長は話す。

しかし、縫製産業がその存在的能力を最大限に活かすためには、いくつもの大きな課題を克服しなければならない。主な制約としては、脆弱な金融制度、輸出入税制、社会基盤、人材訓練、技術が挙げられる。これらの分野については政府の支援と、課題克服のための包括的な戦略が必要となる、とU Myint Soe会長は語った。

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最終更新:2014年11月24日14:00

ミャンマーのネット通販事情(後)

(前編より)

 

一方、ネット通販というものは一種の「チャレンジ」のようなものでもある。利用者は写真だけを頼りに商品を決めるため、トラブルにつながる可能性もある。また洋服のサイズや品質、実際のデザインなど、買う側だけでなく売る側にとっても一筋縄ではいかないことがある。

例えば、販売業者が製造依頼をかけた衣料品においてそのサイズが大きすぎた場合、販売業者はサイズの調整を行うことができるが、反対に小さすぎた場合には、当初予定していた顧客に売ることはできないため、別の誰かに販売するか提供しなければならない。

2011年にマンダレーでLittle Things She Needs Fashion ShopをオープンしたEi Layさんもまた、顧客の要求を受け入れる形で近々ネット通販を開始する。だが自身はインターネットでの買い物は好きではないと話す。その理由を「服によっては、写真と実際の商品の色が違うことがあります。配送が遅れることもしばしばです」と説明した。

だがインターネットでの買い物すべてを否定しているわけではない。店舗で見付からない製品を、インターネットで見付けることも可能だからだ。

「市場で手に入らないものを買うのに、ネット通販を利用するのは良いと思います。しかし必要なものすべてを揃えるには、それほど便利なものではありません」と話し、「インターネットで自分の服を買ったことは1度もありません。これまでに買ったのは、ベッドとまくらくらいです」と付け加えた。

自身のオンラインストアを100万チャットで開設したSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんは、オンライン・ビジネスを始める上で、支払いの問題や売上減少の可能性といったマイナス面は、例えば「誰でも始められる」といった実質的なプラス面によって相殺されるのではないかと考えている。彼女は「実店舗を持つのに十分な資金のない人は、その多くが、自分が管理できるサイズでオンライン・ビジネスを始めます」と話す。

ビジネスを行う者にとって重要な課題は、常に開業資金である。また実店舗の開店には家賃や人件費の削減が求められるが、インターネット上の店舗では、これらを支払う必要はない。

ネット通販での売買は、売る側と買う側の双方にとって便利なものである。だがやはり、店舗に足を運ぶという従来の買い物の方法と完全に置き替えることはできない。Nan Le Le Soeさんによれば、特にマンダレーでの買い物は重要で、人々は必要なもののほとんどを73番街や35番街、69番街、ダイヤモンドプラザなどで購入するという。

だがEi Layさんは、店舗での買い物がいかに便利だとしても、人々はやがてインターネットで買い物をするようになると考えている。それは時代の流れであり、ミャンマーでインターネットの接続率が上がれば、自然と生まれるものでもある。

彼女は「今や手頃な価格で買える電話機もありますし、インターネットもすべての人が利用できるようになっています。インターネットでの買い物は、マンダレーでも徐々に注目されるようになるでしょう」と締めくくった。

 

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最終更新:2014年11月15日14:00

ミャンマーのネット通販事情(前)

今やネット通販は簡素化され、ワンクリックで買い物ができるようになった。だがミャンマーではまだまだそうはいかない。それでもなお、オンラインストアを開設しようとする者は後を絶たない。

インターネット接続の向上に伴い、ミャンマーでは過去数年間にわたって、衣料品や電化製品などをインターネットで販売することが定着し、特にヤンゴンを中心に人気を集めるようになった。今ではOoredoo社、Telenor社、MPT社など携帯電話会社と契約する人も増え、オンラインストアやフェイスブックで手軽にショッピングを楽しめるようになっている。

ミャンマー第2の都市マンダレーでショッピングをするには、通常「店に行き、店員と話し、欲しいものを買う」という従来の方法が必要になる。だがマンダレーで暮らす人々もまた、ネット通販に興味を持ち始めている。まずインターネットで商品を探し、注文を行う。その後、銀行経由で決済し、1週間から10日で商品が届く、といった流れだ。

2007年に自身の衣料品店Hello QueenをオープンしたNan Lae Lae Soeさんは昨年、ミャンマー全土にわたる常連客の後押しもあり、試験的にオンラインストアを開設した。

彼女はその経緯について、「当店には、タウンジーやヤンゴン、ネピドー、モンユワ、ミッチーナーなど、マンダレー以外から来られるお客様もいらっしゃいます。こうした方々にはこれまで、バイバー(Viber)(無料通話・メッセージアプリ)を使って店舗でしかお買い求めいただけない製品の新作写真をお送りしておりました。そのようなわけで、オンラインストアの開設を勧められるようになったのです」と説明した。

一方でフェイスブックのアカウントも作成し、商品写真や価格の掲載、受注などに利用している。同店のオンラインストアでは配送サービスも提供しており、5万チャット以上の購入で自宅または最寄りのバス停まで商品の配達を行う。

Nan Lae Lae Soeさんによれば、マンダレーでは同店の認知度が以前より上がり、店の売上もアップしたという。またオンラインストアは、新聞や雑誌の広告よりはるかに露出効果が高いものだと述べた。

一方、19歳のSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんが立ち上げたのは、インターネット上のファッションストアだ。だが彼女はこのウェブサイトを、自身がデザインしたものを販売する場所ではなく、友人らとつながり楽しみを分かち合うための場所として活用している。

彼女は「最新デザインの服をショッピング・モールやブティックで見付けるのはたいへんですが、インターネット上では簡単に見付けることができます」と話す。ネット通販で洋服を買うことが多いSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんは、購入後、製品の写真をフェイスブックに投稿し友人らと共有する。彼女は「友人たちは私が着ている服を気に入ると、同じものを注文して欲しいと依頼してきます」と話し、「代理注文を始めて半年になりますが、今では常連のお得意さんもいるほどです」と続けた。

彼女は「ユニコーン・アンド・レインボー」と呼ばれるウェブサイトを立ち上げたが、コンテンツの掲載や受注は、個人のフェイスブックを通じて行っている。

人々がウェブサイトの閲覧やネット通販に興味があるのは明らかだ。だがミャンマーのネット通販には、販売する側と購入する側の双方にリスクが伴う。と言うのも、ミャンマーではインターネット・バンキングもモバイル・バンキングも確立されていないからだ。

Nan Lae Lae Soeさんは以前、支払いを待つのではなく、前払い制で販売していた。そのときの状況について「バイバーで請求書を送り、最寄りの銀行から送金してもらうようお願いしていました」と話し、「発送は大体その2日後です」と説明した。

 

(後編につづく)

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最終更新:2014年11月15日06:00

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