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カンボジア:ウォルマートの汚点(後)

(前編より)

 

レポートではウォルマートの女性アパレル用品のサプライヤーとされているGhim Li (Cambodia)社で働く29歳のKim Sokheng氏は、今週のインタビューで、病気休暇を取られないことがよくあったと語った。

「彼ら(工場)は、病気休暇を取る場合には、前もって知らせろと要求しています。しかし、病気になる日がいつだか事前にわかりますか。」と彼女は尋ねた。「会社は労働者が病気の際に給料を減らすのを止めるべきです。」

しかし、工場に強固な労働組合があるおかげで、そのような「不正」に対して抗議をする自信が持てたとSokheng氏は言う。そして、ウォルマートが、その「不正」に対処すると期待している。

しかし、誰もが彼女と同じように楽観的に考えているわけではない。調査対象となった全14工場で、回答者が工場のオーナーにより労働組合が撲滅された例を報告している。

4つの工場では雇用主によって設立され、運営されている労働組合があり、2つの工場では政権与党系労働組合がある一方、5つの工場では、組合の結成自体が許可されていない。

「そのうち少なくとも1件では、労働者が組合を作る、またはストライキを行う試みを明らかに妨害したと報告されています。」

工場労働者のSoth Kunthea氏はインタビューで、ひどい労働環境について抗議した後、およそ2000人の同僚とともに、ウォルマートのサプライヤーである台湾資本のJuhui Footwear社から解雇されたと話した。

およそ5000人の労働者による、2014年の9月の大規模なストライキの後、会社は3000人の従業員を復職させることに同意したが、それも、多くの負傷者が出た警官との過激な衝突の後の話だ。

Kunthea氏は、従業員は1日に4回しかトイレに行くことを許されていなかったと話した。また、たびたび週末、国民の休日にも働かされたという。工場は従業員に対して、ウォルマートへの報告をしないように命令し、嫌がらせを隠蔽したと主張した。

調査されたほとんど全ての工場で、労働者は、「清潔な飲料水と衛生的なトイレ設備の不整備、暑すぎる環境に対する深刻な懸念を表明した。」

他に主張された嫌がらせや搾取的慣習は、違法な定期契約の使用や、不十分な医療施設、生産ラインのリーダーや、監督者からのセクハラなどだ。

ある供給工場では、「ハラスメントに耐えると仕事が楽になり、利益を得るチャンスが多くなった」と、労働者が報告している。

この件に関して問い合わせをすると、工場は、自分たちはカンボジアの労働法を順守していると、労働者による主張を否定した。

「私たちは常に法律を尊重し、労働者の人権を侵すようなことは全て避けています。」と Cambo Handsome工場の総務部長Chan Davuth氏は述べた。また、「私たちは従業員の抱える問題をたびたび分析するようにしています。」とも付け加えた。

ウォルマートは調査についての特定の質問に答えることは避けたが、カンボジアの労働者に対してコミットしていると発言した。

「ウォルマートは、カンボジアの全ての衣料品、靴製品の工場を対象としている、国際労働機関のBetter Factories Cambodiaプログラムに参加しています。また、透明性と、利害関係者間の対話を高めるための支援に、他のブランド、NGO、カンボジア政府と積極的に取り組んでいます。」とも述べた。

調査では、しかしながら、ウォルマートは実際には「コミュニケーションをとるのが最も困難な大手ブランドとして知られている」とされている。

また、「他の大手ブランドは、近年ネガティブな注目を受けているブランドでさえも、アジア諸国にコンプライアンス問題に対する代表者を配置しているが、ウォルマートは現地に代表者を置いていない数少ない大手ブランドのうちの一つである。」と報告されている。

CLECのPreston氏は、サプライチェーンにおける問題は、ウォルマートに直接的な責任があると言い、「サプライチェーンを監視し、きちんと取り組むことを完全に怠っているのです。」と述べた。

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最終更新:2015年06月27日14:47

カンボジア:ウォルマートの汚点(前)

カンボジアで、世界的な小売巨大企業、ウォルマート向けの衣料品製造に従事している労働者たちは、強制労働からセクハラに及ぶ様々な嫌がらせを受けていると語っている。

国中の多くのウォルマート製品供給工場で働く従業員が訴えており、その主張は、最近の調査にまとめられている。調査では、ウォルマートが持つアジアのサプライチェーンでも主要の3ヶ国、カンボジア、インド、インドネシアにおける、ウォルマートの「許しがたい嫌がらせ」を暴いている。

ウォルマートへの調査は、「公正な仕事のための教育基金」(Jobs with Justice Education Fund)と「アジア最低賃金同盟」(Asia Floor Wage Alliance)という労働者人権グループにより公表された。この2つのグループは、巨大ブランドが搾取を隠すために、大規模で複雑なサプライインフラを利用していることを告発している。

調査では、フォーブス誌が世界最大の小売業者にランキングしているウォルマートが、サプライチェーンで起こっている嫌がらせに対する責任を全くとっていないと言われている。カンボジアだけでも、ウォルマートは供給工場を通して間接的に45000人を雇っていると推測されている。

運送業界の情報源から漏洩した輸出報告書によると、昨年13500トンより多くのウォルマートの衣料品、靴製品がアメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、イギリスを含む国々へ、カンボジアのシアヌークビル自治港から輸出されている。

ウォルマートは、労働環境を改善するための「巨大な影響力」を自社に与えるような投資をカンボジアに行っているにも関わらず、労働者人権の保護に関しては、「まさに底辺」に留まっている、と地域法務教育センター(CLEC)のコンサルタント、Joel Preston氏は述べた。CLECは前述の調査で、カンボジアについての章を執筆している。

「他のブランドでは、嫌がらせを改善する試みの例もありますが、カンボジアの工場での労働者人権に対するコミットメントは、ウォルマートに関しては、ほとんどゼロだと言えます。」と彼は言う。

労働者からの様々な告発は、ウォルマートの供給工場での搾取が広範囲に及んでいることを示している。

調査対象となった14の工場の全てで、労働者たちは「少なくとも1種類の強制労働を課せられている」とCLECに話した。

カンボジアの衣料品工場での平均的な週の労働時間は1日8時間、週6日と広告されているが、調査に参加した86%の人々が、「通常1日に10~14時間働いていて、超過勤務時間が始まる前に帰ることはできない」と報告した。

多くの労働者が、自発的に残業をしているわけではなかった。

「多くの工場では、労働者たちが超過勤務時間終了前に帰るのを許可していません。一方で、他の労働者たちは、反論すれば契約が更新されないのではないかと恐れていると述べています。」と調査では報告されている。

強制労働は週末、国民の休日、そして労働者が病気の際にもおよぶ。3月から11月にかけての暑季は、工場の10カ月の繁忙期と重なり、体調不良時の強制労働が「特に問題」となる。

この時期には、「適切な栄養摂取をせずに過剰労働をするため、従業員が気絶をするケースが多く起こる。」という。

 

(後編につづく)

 

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最終更新:2015年06月27日12:47

カンボジア:特別税、QIPへは適用されず

カンボジア経済財政省は先週、再輸出に使われる輸入品に課せられていた特別税を廃止した。日本企業が、課税により適格投資プロジェクト(QIP)に参加する彼らの立場が損なわれたと発言したのを受けての措置だ。

カンボジア日本人商工会の一月の文書を受け、経済財政省の関税消費税税務局(GDCE)は6月4日、「製造材料および輸出支援産業の物品一部につき、特別税を免除する」と発表した。

QIPプログラムでは、企業はカンボジアで加工され、他の市場に再輸出されることを条件に、原材料と他の物品を非課税で輸入することができる。

しかし、政府が特定の電化製品とプラスチック製品の完成品、半完成品にかかる特別税の税率を、0%から10%に引き上げるという閣僚会議令239号を発表した昨年の8月、プログラムの優遇制度はどうなるのかという疑問が持ち上がった。

会計事務所のPricewaterhouseCoopersのレポートによると、今年の1月1日に施行される予定であった。

プノンペン経済特区の最高経営責任者(CEO)上松裕士氏は、課税は実施されなかったものの、QIPプログラムによって課税から保護されると約束されてきた企業に、不信感をもたらしたと語った。

「今まで、税金を払わなければならないのか、そうでないのかわからず、不安に感じていました。」

と彼は言った。

上松氏は、カンボジア政府が、カンボジアに投資し、QIPプロジェクトを活用するよう日本の企業を積極的に働きかけていたため、今回の特別税によって、不意をつかれたと付け加えた。

「税金政策は一貫したものであるべきです。」と上松氏は語った。「このようなことは二度と起こるべきではありません。」

プノンペン経済特区のほとんどの企業は、軽工業や組立工業の日系企業であるが、他の企業も特別税が彼らの輸入に影響を与えるのではないかと懸念していた。非課税での原材料輸入に大きく依存していて、国の輸出の80%以上を占めるカンボジアの衣料産業もまた、特別税施行を危惧していた。

カンボジア縫製業協会(GMAC)のKen Loo書記長は、衣料産業の企業が「新しい特別税が衣料工場に影響するのかと問い合わせを受けました。」と述べた。

Loo氏は、「特別税に関する新しい規制からQIPは免除されることを確認するために」、GDCEによる通知をGMACのFacebookページでシェアしたと話した。

通知には、非課税品には自動車、石油製品、製造加工過程のものであっても原材料ではない物など、特定の種類の物品は含まれていないとも記されている。

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最終更新:2015年06月18日06:02

カンボジア:タイで数十万もの移住労働者の調書が不足

締切りまで3週間未満を残し、タイに登録する30万人を越えるカンボジア人移住者は就労ビザの受取りに必要な検査処理を完了しておらず、昨年あった大量の人の移住が繰り返される可能性は高まる。

タイの労働省の昨日(6月11日)の発表によると、52万近い登録済みカンボジア人移住者のうち、約9万8千人が既に必要書類を全て揃え、さらに約10万7000人が検査処理を済ませており2016年3月まで有効な就労ビザを現在有している。しかし31万4000近い人がパスポートを持たずまだ確認されていない。

タイとミャンマーを中心に活動する移住者の権利擁護者Andy Hall氏によると、未だ処理を完了していない労働者の数が莫大なために締切り前に検査を完了するのは「不可能」とのことである。

「長い時間を要しますし、現実的ではありません。」と同氏は述べる。

2014年中頃の少なくとも20万人の集団移住を受けて登録が軽減された昨年に約74万人が登録された後、これらの数字から20万を超えるカンボジア人移住者は行方不明のままということもわかる。

「登録システムに問題があり大混乱であることは明らかです。」と同氏は語った。

昨日タイの外務省と労働社会福祉省の代弁者からのコメントは得られなかった。

現在の検査処理は3月初旬に認可され全移住労働者に3月31日までに登録することを求める。

登録し認可されていない人々は1年間の就労ビザを受取るために6月30日まで許可された新しい臨時の仕事に申込む必要があった。その日までに処理を完了していない人は国外退去の対象となる。

しかし、主に「タイが移住労働者に頼っている」ため締切りは延期されそうであるとHall氏は述べる。

米国国際開発庁(USAID)の人身取引対策プロジェクト副主任Meng Seang氏によると、先週ポイペトで行われた政府関係者とNGOと市民社会団体の会議の間に、タイの国境担当の役人とバンテイメンチェイ州代表によって延期の見込みについて協議されたとのことだ。

しかしながら、タイの労働省の代表は出席しておらず、いまだ「延期に関する新しい規制や方針は決まっていない」と同氏は強調した。

延期が実行されずタイ政府が国外退去を行えば、両政府にとって極めて多額な損失となることだろう。

また同氏は、「昨年20万人の移住者に対して500万米ドルのコストがかかると推測され、今回は20万人よりさらに多い数となるだろう」と述べた。

 

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最終更新:2015年06月16日11:26

カンボジア:GMAC、ストライキの影響広がるのを懸念

カンボジア縫製業協会(GMAC)と、労働者が約2週間のストライキ状態にあるPhnom Penhの1工場の経営者は昨日(6月2日)、ストライキが業界全体にマイナスの影響を与えかねないと主張する声明を発表した。

共同声明においてGMACは、「悪い状況」を打開するための政府による迅速な介入を求める一方で、マカオ資本のM&V International Manufacturing社に対する最大限の法的、精神的な協力を申し出た。

声明によると、「M&Vにおける少なくとも13の無加盟の組合連合と、少なくとも4の加盟組合による、合法な手続きに対するストライキ・・・は、M&Vの経済状況に深刻なダメージと影響を与え、衣料産業全体にもマイナスの波紋を広げた」という。

GMACのKen Loo書記長は昨日、声明は組合が法的な手続きを踏まずにストライキに入ったという事実を喚起するために発表されたとし、今回のM&Vでの行動は、カンボジアでの非合法なストライキの文化を実証し、カンボジアの評価を落とすものだと指摘した。

しかしながら、地域法律教育センターの労働プログラムの指導者Moeun Tola氏は、GMACは現在政府が検討中の労働組合に関する法案への支持集めを試みていると考える。多くの組合と労働運動家は、法律の制定により彼らの活動が抑制され、労働者の権利が損なわれるのではないかと恐れている。

Moeun Tola氏はまた、「GMACは政府、バイヤー、組合を含めた利害関係者全員に、”この状況は混乱している。組合はいつも非合法のストライキを起こすため、労働組合法による統制が必要だ。”というメッセージを送りたいのです。」とも話した。

M&Vでのストライキにおける労働者の主な要求は、1日2000リエル(0.50米ドル)の昼食代、賃金引上げ、月に15米ドルの交通費で、非常に典型的なものであり、カンボジアの衣料業界では特に多い、または厳しいという条件ではないとTola氏はいう。

しかしながら、GMACのLoo氏は昨日、声明は労働組合法の法案への支持を集めるためのものではなく、単純に非合法のストライキの問題を公表するためのものだと主張した。また、多くの工場が、ストライキにより工場の経営が不安定になっていると注意を集めてしまうことを恐れて、報告することをためらっているという。

「今回の声明には、労働組合法に対する考慮はまったくなく、声明は、M&Vで起きていることに対する反応として出されたものです。」とLoo氏は言う。

労働組合法案は、カンボジアの労働者団体の中で論議の的となっている。

昨日、2つの組合が労働省、国民議会、米国大使館、欧州連合に法案に関する嘆願書を提出した。

1つは法案の通過に反対しており、他方は支持しているという。

 

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最終更新:2015年06月11日13:58

カンボジア:第1四半期の米国向け輸出が6%の減少

カンボジアが米国、EU以外へと輸出相手国の多様化にむけた努力を続ける中、カンボジアの最大の輸出相手国のひとつである米国向け輸出が第1四半期に6%の減少となった。

米国商務省のデータによると、2015年初めから3か月間のカンボジアから米国への輸出は昨年同時期の7億7100万米ドルに対し、7億2500万米ドルであった。この統計は米国に輸出された詳細品目までは特定していないが、過去の輸出報告によると輸出品目のほとんどは縫製製品とみられる。

カンボジア縫製業協会のKaing Monika副会長は、米国向け輸出の低迷は米国市場の問題によるものではないと話した。

Monika副会長によると、米国への輸出が低迷する一方でEUへの輸出は成長し続けており、現在カンボジアからの縫製製品の40%以上がEUに輸出されているという。一方で、米国向けは5年前には輸出の75%を占めていたものの、現在では30%以下に過ぎないという。

「ヨーロッパへの輸出は伸び続けており、輸出割合では米国向けを上回るようになりました。現在縫製業界は急成長を遂げているというよりは安定した生産の状態にあります。このような状況が継続するならば、さらなる輸出の増加が望めます」とMonika副会長は話す。

統計的には今年初めにわずかな落ち込みを見せたものの、4月に発表された国際通貨基金(IMF)のアジアの経済見通しでは、カンボジアは米国経済の復調とそれに伴う米国向け輸出の増加により、今年堅調な成長を見せるであろうとの予測がなされている。

国際通貨基金アジア太平洋地域局のMarkus Rodlauer副局長は「米国経済の回復は、カンボジアからさらに多くの物品を輸出することにつながり経済成長の支えともなるため、好ましい展開です」と話す。

最高国家経済評議会のMey Kalyan上級顧問は、カンボジアの米国市場への依存度を引き下げ、他地域への輸出を増やすことで米国経済の不調によりカンボジアが被りうるリスクを低減させることができると話す。

EUへの多様化が唯一の方策ではなく、輸出企業は特にアジア諸国に拡大していくチャンスに注目すべきだとKaylan上級顧問は付け加えている。

「縫製製品からの多様化を進めるとともに、既存の輸出市場以外、たとえば日本やタイなどへの輸出拡大も進めたいと考えています」とKaylan上級顧問は話す。

 

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最終更新:2015年05月21日14:33

カンボジア:国境付近にタイと経済特別区を共同開発

タイが、カンボジアとの国境貿易の強化に乗り出している。カンボジアとの国境沿いに2つの経済特別区(SEZ)を開発することで、農業生産や工業生産を促進しようとしているのだ。またこれに伴い、カンボジアの安価な労働力を利用しようとしている。

タイのバンコクポスト紙によると、これらの経済特別区の開発は、国境を接するSa Kaeo県(タイ)とBantey Meanchey州(カンボジア)、およびTrat県(タイ)とKoh Kong州(カンボジア)で行われるという。また2018年までにはSa Kaeo県のBan Nong Ianに新たな検問所を設置する。現在、タイ・カンボジア間の国境付近で稼働している経済特別区には、カンボジア側のPoitpet(2カ所)とKoh Kong区(1カ所)のものが挙げられる。

Bantey Meanchey州のKor Sumsaroeut州知事は14日、経済特別区の開発に向けては、カンボジアおよびタイの高官らが協議中であることを明らかにし、またこの開発を共同経済特別区とする一方、開発そのものは各国で行う計画だと補足した。

Sumsaroeut州知事は「タイはカンボジアの国境に近いSa Kaeo県に自国の経済特別区を開発します。そこではカンボジア人を雇用する計画だということです。これらの労働者らはパスポートではなくICカードを使用して、タイ側の経済特別区で働くと伝えられています」と述べた。

また「カンボジア人を雇用するメリットは、その安価な労働力です。一方で国境付近はインフラが整っていませんので、それが今後、付近の経済特別区との競争に影響を及ぼすのではないかと考えられます」とし、「共同経済特別区にとって熾烈な競争になるのは間違いありません。われわれがやるべきことは、インフラを改善し、入居する企業を支援することです。また電力の供給についても改善しなければなりません。というのも現在、電力はタイから購入しているからです」と続けた。

Poipet O’neang経済特別区のLy Kim Hongマネジャーは、タイに新たな経済特別区が開発されれば、経済特別区間の競争は激しくなるだろうと話す。だが新たな経済特別区の開発がPoipet O’neang経済特別区にとって脅威となったことはないと説明した。

そして「カンボジアにはインフラが整っていないという弱点はありますが、一方で労働コストが低いというメリットがありますし、またタイとの貿易では貿易特恵制度が与えられています。この制度を利用しているのは主に縫製産業です」と述べた。

Hongマネジャーはまた、「競争は激化しても、タイやカンボジアに投資する投資家にとっては、まだまだ投資先には困らない状態です。しかしカンボジアは引き続き、インフラの改善に努めなければなりません」と話し、さらに「インフラ面では、タイと対等に戦うことはできませんが、十分かつ使用可能なものは持ち合わせています。投資企業が製品を国外に輸送する分には特に問題はないでしょう。インフラの改善は必要ですが、それが懸念事項というわけではありません」と述べた。

だが政策研究センターのChan Sophal所長は、共同経済特別区については、雇用が創出されたり賃金が上がったりするなど短期的には有益かもしれないが、一方で工業や軽工業の分野に弾みを付けたいとするカンボジアの方針に対しては、何らかの影響を及ぼす可能性があると指摘した。

そして「共同経済特別区によって、国内の雇用率は上がるでしょう。しかし安価な労働力を基に産業の発展を目指しているカンボジアには、大きな課題も突き付けられると考えられます」と述べた。

Sophal所長によれば、同経済特別区に入居する産業の規模にもよるが、カンボジア企業は今後、経済特別区内の企業が支払う給与と同等の額を支払わなければならなくなる可能性があるという。こうした給与は比較的高い。

また同所長は「カンボジアの労働者を大量に採用するとしている同経済特別区への投資が、過剰にならないことを願うばかりです。このタイの方針が、今後カンボジアにどのような影響を及ぼすのか、真剣に調査しなくてはなりません」と続けた。

2013年6月、カンボジアとタイは、国境沿いに経済特別区を2カ所開発することで、二国間貿易と投資を促進することに合意した。同時にKoh Kong州に1800メガワットの石炭火力発電所を建設することでも合意したが、こちらはまだ建設には至っていない。

 

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最終更新:2015年05月18日06:00

カンボジア:労働省が縫製労働者美人コンテストを開催

縫製工場で働くSo Sreyleakは、自分が美人コンテストに出られるなんて考えたこともなかった、と彼女の同僚で労働組合代表のPoy Sithは言う。しかししばらくの説得ののち、靴工場で働くこの女性は、カンボジア労働省が主催する第1回縫製労働者美人コンテストの舞台に立つこととなった。

カンダル州にあるYing Dong Shoes Co.のカンボジア労働組合連合の代表であるSithは、5月1日の国際労働者の日に開催されたコンテストの舞台上でも、Sreyleakは落ち着いていたと話す。

「彼女は緊張しているようでした。でも審査員が彼女に質問した時は、ほとんど知識はなかったのに、労務関連の質問についてもよく答えていました」

Sreyleakはおよそ60人の参加者のうち第3位となり、100ドルの賞金を獲得した。

カンボジア縫製業協会(GMAC)が賞金を提供し、優勝者には300ドル、第2位には200ドル、第3位には100ドル、そしてそれ以外の参加者すべてに20ドルが贈られたと縫製業協会のKen Loo書記長は話した。

しかし、コミュニティ法教育センターのMoeun Tolaセンター長は5月5日、このコンテストは労働者らの気をそらすためのプロパガンダに過ぎないと話した。ステージ上で女性らを気取って歩かせ、縫製労働者は一般的に幸せで健康であるという誤った考えを広めているとTolaは話す。

労働省職員らにも取材を試みたものの、コメントを得ることはできなかった。

 

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最終更新:2015年05月08日14:00

カンボジア:縫製労働者の権利保護に新たな糸口を(後)

(前編より)

 

透明化を図ることが、労働環境を改善し、労働上の違反行為をなくすカギとなる。昨年、労働省の担当職員に会ったとき、「常に劣悪な労働条件下で、工場はなぜ操業できているのか。またなぜそれが発覚しないのか」と尋ねた。職員らは困惑の表情を浮かべ、最終的には、縫製工場のリストには国内のすべての工場が記載されているわけではない可能性があることを認めた。

労働省の話では、約1087件の縫製工場が登録されているという。だが昨年、工業・手工業省に登録されていた縫製企業は約1200社だった。つまり、少なくとも100件の工場が、政府による労働法の監査から逃れているということである。カンボジアの権利擁護団体および労働組合は、未登録の工場や監査を受けていない工場の件数は相当な数に上るとみている。

カンボジアの労働監査は拡大されるべきだが、改善すべき点もある。同監査制度は長年、放置されており、また不正行為疑惑にも悩まされてきた。担当職員らは監査に充てる資金がないと話す。つまり監査を行うには、旅費や食費などの資金を自己負担でまかなわなければならないということだ。

実際のところ、監査員の費用は、工場からの賄賂によってまかなわれていることが多いようだ。2人の元監査員の話によると、工場経営者らは封筒に入れた金を監査員に手渡してくるのだという。またある複数の工場の労働者たちは、別の汚職についても話してくれた。彼らは、経営者らがいかにして地元警察とのつながりを利用し、問題を提起する労働者たちを黙らせているかについて説明した。中には工場にやって来た警官が、賄賂を受け取っているところを目撃した者もいた。

しかし悪いことばかりではない。労働省は現在、改善すべき多くの課題があることに気付いており、改革に着手し始めている。だが政府が、工場やその下請け工場の過酷な労働条件を本気で改善しようとしているのであれば、まずは透明性を高めることの必要性について検討すべきである。商工省、労働省および工業・手工業省は、現在手元にあるすべての縫製工場とその所在地、各認可の内容が記載されたリストを公開し、適宜更新する必要がある。

フン・セン首相は、労働省に対して監査の拡大を指示するとともに、監査制度を整備して工場による登録を促すべきである。また省庁間の調整を改善する取り組みについても管理すべきだ。さらに労働監査の改革も必要である。担当職員らはロードマップを作成し、同制度の透明性を高め、かつ説明責任を果たせるものにしなければならない。

重要なのは、信頼のある政府であること、縫製産業の評判を保つこと、そして何よりも労働条件を改善することである。透明化を図り説明責任を果たすことによって、縫製産業は今後も、カンボジアの多くの女性にとって重要な雇用の創出源であり続けるとともに、公正で安全な産業として生き残ることができるだろう。

 

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最終更新:2015年05月04日14:02

カンボジア:縫製労働者の権利保護に新たな糸口を(前)

メーデーの1日は、カンボジア政府が、縫製産業の労働権について新たな「章」を開始する最高のタイミングといえるだろう。政府は、透明化を図り説明責任を果たすという公約に偽りはなく、今後も実行に向けて取り組んでいくということを世界に向けて具体的に示すことができるはずだ。

透明化を高めようとする動きはすでに始まっている。今年3月、労働・職業訓練省はここ数年間で初めて、年次報告書を公表した。そこには昨年、同省が監査を行った工場の件数、および同省が科した罰金の件数などが書かれている。情報公開そのものは完璧とはいえないが、滑り出しとしては好調だ。さらに労働権の侵害が見受けられたことや、罰金が実際に徴収されたのかどうかなどについての記載もあり、これによって国民は今後も同省の活動を知ることができるだろう。

カンボジアの縫製労働者は、世界のトップブランドの衣料品を生産している。だがそのほとんどが、過酷な労働条件や差別的な労働慣行に耐えている。1枚の衣料品において、生産から販売までのルートをたどるのは難しい。例えば、カンボジアの小さな下請け工場から大きな輸出向け工場に引き渡され、その後世界の各店で販売されるといった具合だ。こうしたサプライチェーンには闇の部分があり、透明性もほとんどない。

2013年末、カンダル州や首都プノンペン周辺を車で走っているときのことだ。労働運動家たちは私に、何件もの小さな縫製工場を指さした。それらの工場はまるで、巨大な駐車場かあるいは粗末な家屋のように見えた。実際、これらの建物には何一つ表示がなかった。縫製工場と確認できたのは、従業員向けのビラがドアに貼られていたプノンペンの工場1件だけだった。

労働者たちの中には、自分たちが作っている衣料品について、多くのことを知っている者もいればそうでない者もいる。カンダル州の奥深くに隠された、道路沿いの小さな掘っ立て小屋に腰かけて、私は、ある小さな縫製工場で働く数人の女性たちに取材を行った。彼女たちには社員証のようなものはなかった。代わりに、各自に割り当てられた番号を走り書きした紙切れを受け取るのだという。彼女たちは、自分たちの働いている工場の名前を知らない。だが中国系の名前だと思うと話した。われわれが車で通り過ぎたとき、その工場には何の表示も見当たらなかった。

小さな下請け工場で働くある労働者たちによると、完成した製品は大きな工場へ送られるのだという。またどのブランドの製品を生産しているのかについても教えてくれた。さらに別の話では、労働者たちは、働いている場所の名前さえ口にしてはいけないのだという。これには答えに窮した。工場について話すときには、別の名前を使って呼ぶのだ。

カンボジアの縫製産業には数多くの問題があり、そのため労働権が順守されているのかどうかについて監督するのが難しくなっている。こうした問題には例えば、工場の件数や各工場の名称が不明であることなどが挙げられる。工場の名称が分からなければ、その工場が登録されているのかどうかを確認することはほぼできず、政府の担当職員が監査を実施する可能性もほとんどない。

ほとんどの工場の女性労働者たちが、強制的な時間外労働があり、また妊娠していることが目視で判明したときには解雇されると打ち明けた。例えばある下請け工場では、大量注文を受けると日曜出勤を余儀なくされるほか、平日は夜9時まで働き、時には徹夜のうえ朝6時まで働かなければならないこともあると話した。だがこうした時間外労働に残業手当は支給されず、従わなければ解雇の恐れもあるという。

 

(後編につづく)

 

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最終更新:2015年05月04日06:01

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