インドシナニュース

ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(下)

(中編より)

 

企業や経営者の課題

アパレル部門の管理者はしばしば、あまりにもひどい人間に描かれ過ぎている、とAung Myin Hmuの取締役の一人であるSuzanne Tim氏は言った。「企業は労働者のスキルを向上させたいと考えています。それによって彼女らはより多くの収入を得てより良い生活を送ることができます。我々は真の投資はトレーニングを通じて行われていると考えます。」とTim氏は言った。

労働省の監督下で運営されている「スキルセンター」の建物の裏側では、まだ塗料の匂いの残る、換気設備の整った新しいトレーニングがある。 Aung Myin Hmuセンターでは、マネージャーらが縫製、品質管理、監督の技術だけでなく、コミュニケーションも学んでいる。

マシンオペレーターとして10年働いたため、Ni Ni Soeさんは、底辺でコツコツ働くということがどのようなものか良く知っている。「マシンを稼働させるためのテストに合格できなければ、ヘルパーに格下げとなると宣告されたため、私はとても切迫した気分でした。」と彼女は回顧した。彼女が14歳で仕事を始めた頃には、30日ごとにたった15000ミャンマーチャットしか受け取れなかったと言った。自身の勤務条件を振り返ってみると、Ni Ni Soeさんは機械オペレータとして働き始めた頃に比べて多くの改善があったという。しかし彼女は、インフレと生計費の上昇に対応するには、引き続き賃金を上げてもらう必要があることに同意した。

彼女が直面する最大の問題はストレスである。ファーストファッションの需要増加に伴い、顧客はより多くの衣服をより速く欲しいとリクエストしている。この厳しい納期を達成するためにマネージャーらは、スタッフに効率的に作業に取り組ませるよう、現場監督者に圧力をかけている。「工場で長時間働いてもノルマは達成できず、しばしばマネージャーのオフィスに呼び出され、彼に罵倒されます。ノルマ未達が3回~6回も続くと、マネージャーは私を自発的に辞めさせようと、契約書にサインするよう命じます。」

現場監督者のトレーナーとして働いている彼女が、現在伝えようとしている最大のメッセージは、「忍耐と、いかにスタッフと協働するか」だと言う。中国系工場ではしばしば、怒鳴りつけることで労働者の生産性を高められると考えているようであるが、常に彼女らを叱りつけるようなことがあってはならないという。

以前ミャンマーのアパレル工場でマネージャーとして働いていた香港のビジネスマンのTerry Shunさんは、ビジネスにおける頭痛の種は欠勤率が高いことと、外資系工場においてはよくトレーニングされた地元の管理者を育てることに関心が薄いことを挙げた。 「中国人経営者は次第に、指示を与えるのに通訳者を通じて行うだけでは不十分であることを理解するようになってきています。通訳者に指示を通訳させるのではなく、現地の管理者を育てれば、必要なスキルを理解した上で具体的な指示を労働者に説明することができます。」

彼は、企業が地元従業員により良いトレーニングを実施することによって生産性を向上させ、地元の管理者やマネージャーを育てることで通訳者の費用を節減するなど、事実を受け入れた上で他の手段でコスト増を吸収しなければ、今回の最低賃金の引き上げによって海外投資に影響を受けることになるだろうと警告している。

総じて彼は、最低賃金は引き上げられるべきであり、「ミャンマーの労働者はもっと報われるべきである」と述べた。



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最終更新:2018年04月24日06:03

ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(中)

(上編より)

 

工場の拡大に伴う課題

中国資本の工場は昨年のアパレル分野への外資系総投資額の45%を占め、韓国と日本の企業がそれに続いた。外資系工場特有の問題の一つに、経営幹部に地元の人間が含まれていないことが挙げられる、と国際品質管理監査グループAQMは指摘する。

中国と日本の合弁工場内部でのコミュニケーションについて聞かれた際、この工場で働く18歳のWai Wai Linさんは、最大の問題はビルマ語の通訳者がいないことだと言った。

また、アパレル産業においては女性が過半数を占めることを鑑みると、男女平等は重要な問題であるが、労働権団体のAction Labour Rightsは、男性はしばしば、女性よりも男性が上位という力関係を生み出すように管理職を置こうとする傾向を認識している。いくら厳格な対応を要請しても、脆弱な法律が平等な賃金、均等なキャリアパス、ハラスメントの可能性など、男女平等に対する障壁となっている。

労働権の教育を目指すNGK BusinessKindThandar Koディレクターは、職場におけるハラスメント教育が不足していると指摘した。

「私は工場で多くのセクシャル・ハラスメントが行われていると思いますが、職を失うことを恐れて誰も声を上げません。」とThandar Ko氏はDVBに対して述べた。家族に給与の半分以上を送金している多くの縫製労働者は、たとえハラスメントを受けても、収入の多くを送金しなければならないという責任があまりにも大きいため、声を上げられないのかもしれないと彼女は言った。

国際労働機関のCatherine Vaillancourt-Laflamme氏は最近、ヤンゴンにある16の外資系縫製工場における「職場での暴力とハラスメントの終幕」というレポートを編集し、これまで総じて、業務中のセクシャル・ハラスメントへの対応はないがしろにされてきた、と指摘した。

「ミャンマーの労働法の全面的改革が政府の優先事項となっているものの、職場でのセクシャル・ハラスメントや差別の問題は、この改革において議論されていません。」とVaillancourt-Laflamme氏は述べた。

この調査において報告されたその他の特筆すべきケースとして、他の女性従業員によるハラスメントや、友人や同僚同志のおしゃべりの中での微妙な問題、いじめやその他の嫌がらせなどに言及する女性らがいたという。

また、深夜の帰宅の安全性に不安を感じると指摘する縫製労働者もいた。

危機にある女性向けにシェルターなど提供するBusinessKindの共同設立者であるHelen Gunthorpe氏によると、シフト終了後の遅い時間やしばしば早朝の通勤時においても、多くの女性がバイクタクシーや自動車運転手からのハラスメントを受けたと報告しているという。一部の工場では工場と寮の間の通勤手段を提供しているところもあるが、労働者が残業をした場合にこうした通勤手段は使えず、自力で帰宅することを余儀なくされている。

皮革工場で働く32歳のEi Ei Soeさんは、運転手から望まない性的関係の誘いを受けたことがあり、他の労働者も暴行や強盗の被害を受けているようだと言った。

この件はVaillancourt-Laflamme氏のレポートにも取り上げられている。「労働者は賃金の多くを家庭に送金しなければならない。この点もまた、安全な住宅や交通機関の確保などの面において、正しい選択をすべきという意識を低下させる原因となっている。」

労働法にハラスメントに関する規定がなく、工場にも男女平等のポリシーを定める必要がないため、女性はハラスメントと差別のリスクにさらされている。

Vaillancourt-Laflamme氏は、労働権をよく知らず、また職場での責任が明確でないような場合、女性縫製労働者はリスクに直面し続けることになると結論づけた。「この点は健全で生産的な職場や労使関係にとって重要なポイントとなる。もし正しくこの問題に取り組むことができれば、ミャンマー全体に利益をもたらし、公正かつ持続可能な開発によって国を発展させることができるであろう。」とした。

 

(下編につづく)



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最終更新:2018年04月23日12:03

ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(上)

最低賃金は日給3600ミャンマーチャット(2.70米ドル)から4800ミャンマーチャットに上昇するものの、一部の労働者はその他の手当が削減されることを懸念

先月末に就任したミャンマーの新大統領による署名を待つ文書の一つに、最低賃金を33%引き上げるための改正法案がある。

昨年、人権グループ、独立系の労働専門家、労働組合、そして政府関係者から成る賃金審議委員会が、2015年に導入された3600ミャンマーチャット(2.70米ドル)の最低賃金を見直し、今年から1日当たり4800ミャンマーチャットに引き上げることで合意した。

しかし一部の労働者は、この最低賃金の増加によって他の手当が犠牲になる可能性があると懸念を表明している。

ベストを作る工場で働く19歳の縫製労働者のOhn Marさんは、工場経営者が目標を達成した際に支払われるボーナス、長期雇用インセンティブや通勤手当などを削減するのではないかと心配していると言った。

労働者擁護団体のAction Labor Rightsは、新しい最低賃金制の導入に伴い、ボーナスで人件費を調整されるという可能性は真のリスクであると指摘した。この団体では、労働者が手当を減額させることを定めた新契約の締結を拒むのを支援するよう、労働組合に呼びかけている。

「今回の最低賃金の引き上げには次の二つの意味合いがあります。一つは過去23年の間のインフレによって失われた実質賃金の減少分を取り戻すということ、そしてもう一つは実質賃金そのものを少し上げるということです。」とEUが資金援助するSMARTプロジェクトのミャンマー・カントリーディレクターのJacob Clere氏は言った。彼は、2015年の賃上げの際には多くの工場において、すべての労働者の賃金を新しい賃金体系に改めることによって、労働コスト負担分を吸収させようとする動きがあったことを認めた。これには経験豊富な労働者の賃金カットと、新しい法定賃率を無視するというケースがあったという。

「手当を削減しようとした工場はうまく機能しませんでした。従業員らは不正を察知したのです。私は工場経営者がこうした教訓から、基本的に人件費コスト増を受け入れるしかないと理解することを望んでいます。」

Clere氏は賃金が上昇する際に、この新しい労働市場条件に適応する責任は、工場経営者だけでなくバイヤーも負うべきだと付け加えた。

ミャンマーの賃金は依然としてバングラデシュに続き地域で最も低く、中国の3分の1の水準である。

 

アパレル産業の成長に伴い、火災や安全リスクが上昇

2017年、ミャンマーのアパレル・履物の輸出額は総額30億米ドルとなり、2016年から25%も増加した。

工場はヤンゴンのHlaing Tharyar工業地帯から農村地域まで拡大しており、75年間の免税期間の恩恵を求め、多くの企業がミャンマー低開発地域での事業を推進してきた。アパレル生産の規模も、以前の平均従業員数750人から1工場あたり5000人〜7000人にまで増加している。

理論的には、新設の工場ではより高い安全性とより快適な労働条件が提供されてしかるべきである。

しかし昨年、GAPOld-NavyO'Neill向けの生産を行うPan-Pacific International社が運営する縫製工場が火災を起こし、72000万ミャンマーチャット(527000米ドル)の損害を出した。火災は午前4時ごろに発生し、幸いにも従業員に死傷者はいなかった。

工場の管理部長であるMin Han氏は、刑法第285条の過失罪で最高3年の懲役の判決を受ける可能性があるが、一方でPan-Pacific社は操業を継続することを認められている。

過去5年間において新しい工場で少なくとも5件の火災が発生した。甘いコンプライアンスチェック、管理者の能力不足、工場経営者がいい加減な配線工事を行って経費節減を図っているなどの疑いが提起されている。

この「バングラデシュ・リスク」は市場に新規に参入する工場オーナーにとっての教訓であるとClere氏は述べ、2013年に1134人の労働者が死亡したRana Plaza工場の崩壊にも言及した。



(中編につづく)



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最終更新:2018年04月23日06:02

ミャンマー:Shwepyitharのストライキでリーダー2人拘束

縫製工場の従業員2人が、ヤンゴンのShwepyithar工業団地で起きたストライキを先導したとして、公共秩序を乱した罪に問われている。

罪に問われているのはNaing Htay Lwin氏およびMyo Min Min氏で、来月上旬、Shwepyithar郡区裁判所で開かれる公聴会に出席し罪状認否を行う。

ミャンマー労働組合連盟の一員であるNaing Lin Aung氏によると、Naing Htay Lwin氏とMyo Min Min氏はともに、民衆に害を及ぼす恐れがあるとして刑法第505条b項違反の罪で告訴されており、それぞれ来月3日と6日に公聴会への出席が予定されているという。

Myo Min Min氏は、E-Landミャンマー縫製工場で働く従業員で、かつShwepyithar郡区縫製労働者組合の代表でもある。一方、Naing Htay Lwin氏は、E-Land社からほど近いFord Glory社工場で働いている。2人は数日間行方が分からなくなっていたが、その後、同僚やデモ仲間らが耳にしたのは、2人が警察に逮捕されインセイン刑務所に拘束されているということだった。

ミャンマー政府高官は22日、Shwepyithar郡役所で、交渉会議を開催した。会議には、Costec International社、Ford Glory社、E-Land社の3社から15人の労働者代表が参加し、労働行政の担当閣僚らと向かい合って座った。だが話し合いの成果は得られなかった。

交渉に参加したE-Land社の Khin Myo Ooさんは、翌日のインタビューで、「政府は、われわれの日給を現行の400チャット(0.4ドル)から550チャット(0.55ドル)に引き上げると約束してくれました。月給に換算すると、現在の1万2000チャット(12ドル)から1万6500チャット(16.50ドル)に上がることになります。にもかかわらず、政府は、われわれの皆勤手当を現行の8000チャットから5000チャットに引き下げたいとしています。これらの条件を受け入れれば、結果的に、給与額は何も変わりません」と述べた。

従業員らはこの話し合いに不満の声を上げ、平日は毎日11時間(通常の8時間労働に3時間の時間外労働)働き、日曜日も4時間の時間外労働をして生計を立てているのだと訴えた。

また従業員らはShwepyithar郡の当局者に、Myo Min Min氏とNaing Htay Lwin氏への告訴を取り下げるよう求めたという。同3社の従業員は23日朝、E-Landミャンマー縫製工場の前で、2人の解放を求めて引き続きストライキを行っていた。

Khin Myo Ooさんは「2人が解放されなければ、次に何をすべきなのかが分かりません」と言い、「よって2人の解放が何よりの優先事項です。無事解放されたら残りの件の交渉をします」と話した。

同3社の約2000人の従業員が、賃上げと労働条件の改善を求めてストライキを開始してからほぼ1カ月が経過した。この間、労使間の交渉は何度も不調に終わった。

20日には、警官がデモ隊を追い払おうとし、警官とデモ隊の双方が負傷する事件が起きた。同様のストライキはヤンゴン近郊のHlaing Tharyar工業団地でも起きている。

 

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最終更新:2015年02月28日06:01

ミャンマー:警察がShwepyithar工業団地の縫製労働者のストライキを制圧

2月20日金曜日の夜、Shwepyithar第2工業団地のE-Land Myanmar Garment Factoryの従業員らストライキ参加者が警察と衝突し、複数名が負傷した。

ストライキに参加した従業員らによると、工場入り口を封鎖していた数十名を警察が強引に撤退させようとした際に負傷者が発生したという。警察側の負傷者の有無は不明。

また警察はストライキ参加者やボイコット中の従業員がShwepyithar工業団地の他の工場で行っていた座り込み占拠を解散させ、従業員らを逮捕した。Shwepyithar工業団地はラングーンの約15キロ北に位置する。ストライキ指導者らは地区の警察に連行されたという。

E-land Myanmar Garment、Ford Glory Garment、Costec International、Han Jen Textile and Garmentといった企業の従業員であるストライキ参加者らは、月額3万チャット(30米ドル)の基本給を6万チャットに引き上げるよう要求しており、ストライキはすでに2週間に及んでいる。ストライキ参加者はその他にも日雇労働者への常勤従業員と同様の権利付与、勤続1年以上の従業員への昇給、労働組合の就業規則作成への参加を要求している。

2月20日に労働雇用社会保障省のHtin Aung副大臣がメディアに語ったところによると、従業員らはピケを張り工場入り口を封鎖しており、他の従業員の就業を阻害している。ストライキ参加者が工場経営者や経営陣の人員を拘束したケースもあり、トラックによる製品コンテナの工場敷地からの搬出を妨害している。

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最終更新:2015年02月26日06:00

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