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投資環境についてジェトロ・カンボジア所長にインタビュー(前)

日本貿易振興機構(ジェトロ)は日本政府と連携して、海外諸国と日本の相互貿易および投資の促進を目指している。

 

ジェトロは1958年、日本の貿易振興を促進するために設立。その後運営の中核を日本からの海外直接投資にシフトし、以降、国際貿易の支援とグローバル・パートナーシップの構築に努めている。

 

さらに2010年には、カンボジアの首都プノンペンにも事務所を開設。今回プノンペンポスト・ビジネス担当記者のChan Muyhong氏が、同所所長の道法清隆氏に、カンボジアの投資環境についてインタビューした。

 

Chan氏:カンボジアに事務所を開設した理由は?

道法氏:ご存じのように2010年以前、カンボジアに投資する日本企業はごくわずかでした。日本企業にとっては、中国、タイ、ベトナムなどの方が投資先として魅力的だったのです。2010年ごろまでは、数多くの日本のメーカーがタイと中国を生産拠点にしていました。しかしその後労働コストが急激に上昇し、人材不足の問題も深刻になりました。こうした理由から、日本企業、特に製造業は、新たな投資先を探さなければならなくなったのです。候補に挙がった国はカンボジアやラオス、ミャンマー、バングラデシュなど。2008年~09年ごろ、カンボジアの投資環境について調査を行う企業が数社いたのを覚えています。ジェトロにも問い合わせがありました。このような経緯で2010年、ジェトロはカンボジアに事務所を開設しようと決めたわけです。

 

開設にあたりジェトロはフンセン首相と会談。また同首相は日本の首相とも会談し、カンボジアへの投資を促す目的で事務所の開設に同意したという。

 

Chan氏:カンボジアでジェトロが果たすべき役割は?

道法氏:現地の情報を収集し、カンボジアへの投資を検討している日本企業に提供することです。弊所が作成する資料は、カンボジアの経済見通し、投資環境の評価、経済特別区(SEZ)の調査、労働供給量に関する調査など。またホームページも立ち上げ、カンボジアでの投資機会について最新の情報を掲載しています。

 

道法氏によれば、日本企業は、投資先国を決定する際の判断材料となる情報を必要としているという。そうした情報には例えば、労働賃金額、労働供給量、インフラ事情、電力、水道、政情、外国企業に対する税制上の優遇措置などが挙げられる。企業はこうした情報を基に各国を比較する。進出を決めた企業にはミネベアや住友、味の素などがいる。

 

Chan氏:日本企業による現在の投資状況は?

道法氏:カンボジアで企業登録をしている日本企業は、2010年の時点でわずか19社でした。それが2011年には86社にまで増え、2012年には179社、そして2013年には195社にまで増加しています。これらの企業は、個人事業主、有限会社、支社や支店、あるいは駐在員事務所として登記しています。日本の投資率は急激な上昇を見せていると言えるでしょう。

 

Chan氏:ジェトロ事務所の開設以降、日本企業による投資状況に変化は?

道法氏:カンボジアの主要産業には、アパレル産業と靴・履物産業が挙げられます。一方日本のメーカーは、カンボジアにはなかった新しい産業をこの国で展開しています。例えば小型モーターの製造、段ボール箱の製造、配線器具の製造、自動車部品の製造などです。SEZには日本企業もいて、例えばプノンペンSEZではミネベア、スミ(カンボジア)、味の素が生産活動を行っています。一方シアヌークビル港SEZには王子製紙、コッコンSEZには自動車部品メーカーの矢崎化工がいます。

 

道法氏によれば、日本企業は、これまでカンボジアに存在しなかった新たな事業をこの国で展開しているという。またこれらの産業は、カンボジアの主要産業であるアパレル産業や靴・履物産業と比較して付加価値が高い。こうした理由からも、カンボジアは日本企業にとって魅力ある投資先と言えるのだろう。

 

(後編につづく)

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最終更新:2014年09月06日12:09

2014年、中国離れ加速で最も恩恵を受ける国は…

ベトナムは今後数年間で、欧米市場への繊維衣料品の最も急成長する供給国の一つになると期待されている。

中国でのコスト上昇により、ますます多くの欧米アパレルブランドや小売業者が中国での調達を削減しており、欧米向けの衣類の生産はますます他国へとシフトしている。世界的なビジネス情報会社Textiles Intelligenceの新しい報告書―『世界の繊維アパレル貿易と生産の傾向:東南アジア(2014年6月)』による。

しかし、代替生産拠点を探している中で欧米のバイヤーらは、中国の繊維衣料産業が有している能力、品質、技術、多様性を提供することができ、サプライチェーンを完成させられる国が一つもないため、選択肢が限られていることに気付いた。また、魅力的に映る代替拠点にも、多くの場合、様々な欠点がある。

工場の安全性に対する懸念およびこの懸念から端を発した悪評は、世界で最も低コストの繊維衣料生産国の一つであるバングラデシュでの調達をバイヤーらに思いとどまらせているのは広く知られている。

カンボジアは低コストで、バングラデシュや中国に代わる可能性があるとされているが、最近の労働不安と信頼性の問題から、多くのバイヤーは同国からの調達に慎重だ。

ベトナムの繊維サプライチェーンは発達しており、バングラデシュやカンボジアの産業を悩ませてきた悪評もないので、同国のほうが欧米のバイヤーにとっては見通しが立てやすいように思われる。

実際ベトナムは今後数年間で、欧米市場への繊維衣料品の供給に関しては最も急成長する国の一つになると期待されている。

2013年ベトナムから米国への繊維衣料品輸入は14.6%増加し、これは米国の10大供給国の輸入成長率の中で最も急速な伸びを見せている。輸入は前年同期に比べ15.5%増加し、2014年の年初4ヶ月でも大きく成長し続けている。

さらに、ベトナムの輸出業者らは環太平洋経済連携協定(TPP)の成立を目的とした交渉も順調でこの協定により恩恵を得るとされている。ベトナム製品が米国市場に輸入される際、かなりの関税特典と柔軟な原産地規則が適応されるようになるだろう。

2013年バングラデシュは、米国にとってベトナムの次に急成長している供給国となり、同国から米国への輸入は10.5%増加した。しかし、2013年の納品分でバングラデシュのサプライヤーへ発注された注文の多くは、Rana Plaza倒壊以前に交渉されたものである。Rana Plazaはバングラデシュの首都ダッカ近くのSavarにあった8階建ての商業ビルで、ショッピングモールだけでなく5つの縫製工場を収容していたが、倒壊後は世界中からの批判を浴び続けている。

実際最近のデータは、バングラデシュ離れの現象がかなり進行している可能性があることを示している。2014年第1四半期、バングラデシュから米国への衣料品輸入は0.2%減少した。

一方、2013年カンボジアから米国への輸入はわずか0.7%の増加であり、2014年1月〜4月の期間もかなり控えめで2.1%の増加に留まっている。結果として、カンボジアは市場シェアを失った。

確かにカンボジアやバングラデシュは、EUの輸入市場でずっとうまくやっていた。2013年カンボジアからEUへの輸入は37.3%急上昇し、バングラデシュからの輸入は15.0%上昇した。これによってカンボジアとバングラデシュはEUへの繊維衣料品10大供給国の中で、最も急成長している二大供給国となった。

他方では、2013年のベトナムからの輸入はわずか3.2%しか増加しなかった。しかし2014年1月〜3月の間に成長率は14.5%まで回復した。これはバイヤーらが、バングラデシュ、カンボジア、中国以外に調達拠点を移したためだ。

ベトナムは、中国の代替調達拠点として堅実な将来を約束されているようである。

しかしベトナムからEUや米国への輸入は、どんなにがんばったところで、中国からの輸入とは比較にならない。供給基地の大きさ、幅広い技術、品質レベル、製品の多様性、サプライチェーンの完全性の面で、中国に匹敵する国はないという事実に変わりはない。

 

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最終更新:2014年08月08日12:34

中国・山東岱銀集団、マレーシアに紡績工場建設

山東岱銀集団(D&Y Group)はマレー半島ジョホール州Kulaijaya地区Sedenak工業団地

に現地法人D&Y Textile (Malaysia) Sdn Bhdを通して、紡績工場を建設する。

岱銀集団は新工場の建設に6億4000万RMを投じる。同工場は同社のアセアン域内での初の工場となると同集団董事長赵焕臣氏は、United Overseas Bank (Malaysia) Bhd (UOB)と金融サービスに関する契約に調印した後に述べた。

新工場の生産能力は20万錘で、最新の織物技術をマレーシアに持ちこむ。マレーシア工場で生産された商品は全て海外市場に輸出され、3億5000万米ドル相当の売り上げが見込まれている。

岱銀集団は中国の20大紡織企業のうちの一つで、従業員数は約1万人以上、年間生産量は糸8万トン、デニム生地2000万メートル、毛糸500万メートル、アパレル製品500万点などとなっている。

2013年の会社の売上は30億元、利益は2億6000万元で、輸出入は2億米ドルを記録している。

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最終更新:2014年07月28日14:00

ベトナム:履物輸出で大きく前進

ベトナム皮革・履物産業における国内企業および海外投資企業はめざましい成長を続けており、特に履物の輸出においては同国を世界第2位の輸出国へと押し上げた。

ベトナム皮革履物協会(Lefaso)によれば、今年1~6月期におけるベトナムの履物輸出額は48億米ドルに達し、対前年比で17.8%増と大幅な伸びを示した。また経済専門家らは現在、同輸出額が年末までに110億米ドルを超えるものと予測している。

世界的に履物の需要が高まっている主な要因として、欧米諸国の景気回復が挙げられる。また同産業にとって同じく重要な要因となるのは、妥結の構えを見せている自由貿易協定の存在だ。

環太平洋経済連携協定(TPP)、およびベトナム-EU自由貿易協定(VEFTA)は、年末から来年初めにかけて締結されるものとみられている。また皮革・履物産業に対しては、加盟によってもたらされる将来的なメリットを見越して、これまで莫大な額の投資が行われてきた。

多くの海外資本による事業が現在、国の至るところで急速に成長しており、最先端のテクノロジーを採用し、近代的で合理的な工場を建設している。またこうした技術や設備を導入することで、各産業の付加価値を生産過程で直接的に高めることができる。

海外の原材料サプライヤは、ベトナム皮革・履物産業に多額の投資を行い、自国の特定分野をベトナム市場に進出させて成功を収めている。またベトナム企業とパートナーを組むために、あらゆる機会を積極的に活用している。

海外サプライヤは皆2014年を転換の年と見ており、それまでに主導権を握って基盤を固めようとしている。同時にTPPとVEFTAが締結されることで貿易活動が盛んになると見ているため、こうした貿易活動から有利な立場で利益を得ようと計画している。

Hien Dat Exhibition & Trading Services Company社・社長のTran Vi Co氏によれば、ホーチミン市で16日に開催された「第16回国際靴・皮革産業見本市」で原材料サプライヤが最も注目していたのは、ベトナムのブースだったという。

同見本市の海外来場者数は対前年比で約20%増。また18の国と地域から150社もの企業が参加した。

同氏の話では、ビジネス・チャンスがあることは確かだが、ベトナムの企業が今後、困難な状況に適切に対処し、かつこうしたチャンスをつかむことができるかどうかは、まだ分からないという。

Lefaso会長のNguyen Duc Thuan氏は、皮革産業では現在、国産原材料を使用することに関心が高まっていると強調する。同産業における国産原材料の使用割合はこれまで、たったの30%だった。

この割合は今後、大幅に増加するものとみられている。ベトナムには皮革産業が盛んな工業地区が2つあり、2カ所の主要地域でそれぞれ急速に発展している。さらに規模の小さい工業地区では、これら2カ所の工業地区で各製造段階に必要とされる材料の生産を担っており、例えば合成皮革、靴底、装飾材料などを製造している。

ホーチミン市は今後、同産業全体のために原材料の供給と交換の中心地として、革新的な変貌を遂げるものと見られている。

同産業では、なめし皮の使用において、2020年までに国産100%にする目標を定めている。また合成皮革と靴底についてはそれぞれ50%と70%を目指し、2050年までの達成を見込んでいる。

Lefasoではこれまでのところ、いくつかの措置を考案し、同産業が将来、持続的に発展するよう支援している。優先事項の一つとして、職業訓練が挙げられる。これに伴い2015年には、ベトナム南部に人材トレーニング・センターが設置される見通しだ。

 

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最終更新:2014年07月23日06:00

ベトナム:2014年6月26日から2013年7月3日までの繊維輸入実績例

今週、各市場からの綿輸入価格は対前週比で上昇したが、1,940-2,298 USD/tで推移している。具体的には、米国からの綿輸入価格は、対前週比1.3%上昇し、2,101 USD/tである。インドからの綿輸入価格は、対前週比2.2%上昇し、1,955 USD/tである。中国からの綿輸入価格は、対前週比1.1%上昇し、2,276 USD/tである。マカオからの綿輸入価格は、対前週比0.6%上昇し、2,298 USD/tである。イギリスからの綿輸入価格は、対前週比2.1%上昇し、2,095 USD/tである。香港からの綿輸入価格は、対前週比4.7%上昇し、2,050 USD/tである。ただし、パキスタンからの綿輸入価格は、対前週比で変動なく、1,890 USD/tである。その他の市場からの綿輸入価格は、シンガポール2,019 USD/t、スイス2,052 USD/t、オーストラリア2,144 USD/t、韓国2,260 USD/t、日本2,293 USD/t、台湾2,233 USD/t、フランス1,940 USD/t、リヒテンシュタイン2,090 USD/t、スワジランド1,800 USD/tである。

 

各市場からのポリエステル糸(コード:54023300)の輸入価格は対前週比で下降したが、0.6 -10.27 USD/kgで推移している。そのうち、スイスからの輸入価格は、対前週比0.7%下降し、1.82 USD/kg である。台湾からの輸入価格は、対前週比4.9%下降し、2.04 USD/kgである。日本からの輸入価格は、対前週比7.3%下降し、10.27 USD/kgである。香港からの輸入価格は、対前週比10.6%下降し、1.9 USD/kgである。これらの各市場からの綿輸入価格は対2013年同期比で1.1~18.2%下降している。ただし、他の市場から綿輸入価格は、中国1.49 USD/kg、タイ1.09 USD/kg、マレーシア1.55 USD/kgである。

 

ナイロン100%、生地巾58/60inch (コード:55142900)の米国からの輸入価格は1.1 USD/ydで、中国からの輸入価格は1.2 USD/yd(CIF ハイフォン)である。

綿100%、生地巾58/60inch (コード:52083900)の中国からの輸入価格は2.15 USD/ydで、韓国からの輸入価格は2.7 USD/yd(CIF ハイフォン)である。

ポリエステル100%、生地巾58/60inch(コード:55161400)の中国からの輸入価格は1.79 USD/ydで、香港からの輸入価格は7.04 USD/yd(CIFカットライ(HCMC))である。

ポリエステル65%、綿35%、生地巾55/60inch (コード:55142300)の台湾からの輸入価格は2.46 USD/ydで、韓国からの輸入価格は4.45USD/yd(CIFカットライ(HCMC))である。

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最終更新:2014年07月20日11:02

カンボジア:工場オーナー逃亡後、縫製労働者ら抗議続ける

工場が6月初めに突然閉鎖した際職を失った約400人の縫製労働者は、解雇手当の全額を要求し、土曜日Canadia工業団地への道を遮断した。

6月9日突然閉鎖した香港Yufeng工場の労働者らは、工場のオーナーが姿を消したため、Canadia工業団地の経営者が滞納金の責任を取ることを求めている。

労働組合とCanadia工業団地の代表によると、Canadia工業団地は労働者に4月分と6月第一週分の給料を支払うために、すでに約10万ドルを仕方なく払ったという。

「我々が抗議しCanadia工業団地の道路を遮断する理由は、ボーナスをもらっていないからです。」香港Yufeng工場の元機械監督Chor Rong氏(36歳)は語った。

Rong氏は解雇手当約500ドルを受け取っておらず、要求が満たされるまで抗議し続けると述べた。

土曜日の午前中約2時間工業団地への道を遮断した後、輸送トラックの大混乱を引き起こし、労働者らは工業団地の代表者に会えたが解決には達しなかった。

労働者の代表者であるDok Sam Ath氏によると、Canadia工業団地は解雇手当を支払うのに十分なお金を持っていないと主張している。

「我々は工業団地の職員が我々の要求を考慮してくれることを求めています。」と彼は言った。

香港Yufeng工場の副管理部長だったLung Kimsin氏は、工場が労働者の給料を支払う余裕がなかったためオーナーは逃げたと述べた。

「上司が逃げたので、我々はどうすればいいかわかりませんでした。我々の上司は労働者の給料を持っていなかったので逃げました。」Kimsin氏は言った。

カンボジア衣料製造協会(GMAC)によると、香港Yufeng工場はジーンズとズボンを生産しており、株式の70%を日本人が、残りの株式は中国の投資家が保有しているとされている。

工場のウェブサイトには笑みを浮かべている労働者らのフォトギャラリーが備えられており、「私たちは良い作業環境が素晴らしい仕事を生み出すと信じているので、従業員が楽しく働くことができる環境づくりを開始しました。」と言っている。

労働組合によると、香港Yufeng工場はギャップやアディダスの商品を生産していた。工場の突然の閉鎖前の数週間、受注は正常だったと労働者は述べている。

労働者を代表する2つの組合のうちの1つである労働友情組合連合会のSieng Sambath会長は、解雇手当が全額支払われない限り、抗議行動は今日も続くと述べた。

「工場は労働者への滞納金を支払うべきでした。持っているお金がなければ、その労働者たちは長くは持ちません。」Sambath氏は言った。

電話で連絡を取った際名前を明かすことを拒否したCanadia工業団地の代表は、工業団地は問題を解決するために、労働者らと交渉中であると述べた。

「我々はこの問題を解決する立場にあります。それ以上のことは言えません。」と彼は言った。

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最終更新:2014年07月12日06:00

ミャンマー、海外投資でカンボジア、ラオスと競合か

ミャンマー、カンボジア、ラオスは、現在、東南アジアにおける投資先として「潜在力を秘めた市場」となっている。だが経済調査によれば、今後は三国間で競い合う可能性もありそうだ。

ミャンマーおよびカンボジアでは観光産業と繊維産業が発展しており、どちらの産業も海外からの投資を求めて競い合っている。ミャンマーについては、大手調査会社のBusiness Monitor International(BMI)が繊維、観光、金融サービスを有望な投資分野に挙げ、「同国が『莫大な経済力』を実現するためには、『こうした改革の勢いを政府が維持できるかどうかにかかっている』」と指摘した。

カンボジアには以前から低価格市場をターゲットにした繊維産業があり、香港や台湾などの外国資本を呼び込んできた。一方、ミャンマーは政治的、経済的に孤立していたが、現在では状態も改善し、投資家も同国の繊維部門に興味を持ち始めている。

アナリストのAndrew Wood氏は、BMIが提供するポッドキャストで、2人の地域専門家に対し次のように話した。「ミャンマーではここ数年、かつて地場産業として栄えた繊維産業の立て直しが求められています。制裁措置の撤廃に伴い、ミャンマーの衣料産業には大きな可能性を感じます。しかしこの国には、インフラの整備という大きな課題があります。と言うのも、ミャンマーは今もなお深刻な電力不足を抱えており、交通網も十分に発達していない状況だからです」。さらに「この課題に対処するには、政府がこれまで以上に海外投資の誘致に取り組むことが必要だと思います。同時に、投資関連の法律を明確にし、そうした法体制を全体的に強化することも必要でしょう。東南アジア地域の発展が持続する限り、ミャンマーの繊維産業はいつでも始動可能です」と続けた。

BMIのアジア・カントリーリスク及び財務市場部部長のStuart Allsopp氏は、同ポッドキャストで次のように話した。「衣料産業の拡大については、カンボジアにも大いに可能性があります。これまで海外投資家は、カンボジアの低価格の生産市場に注目してきました。ただし、プノンペン政権が繊維部門を押し上げてバリュー・チェーンを構築しようとしています」。また「同部門には、労働者の技術レベルを向上させる教育投資が必要だと思います」とも話している。

だが、実際には、これまで繊維部門に出資してきた海外投資家の中には、投資先をカンボジアに乗り換えることや、ミャンマーでビジネスを立ち上げることを望んでいる者もいる。

英フィナンシャル・タイムズ紙は今年3月、香港の衣料メーカー12社が、Thilawa経済特別区に工場を開設するため、予備的合意書に署名したと報じた。同特別区は、現在、ヤンゴン郊外に開発中である。同紙によると、中国で事業を行う企業が「ミャンマー」で工場開設を推し進めるのは、中国における急激な賃金上昇、雇用困難、また人民元の強さにあえいでいるためだという。ここ数年、アパレルメーカーの多くが、生産の一部を中国本土からバングラデシュなどの国へ移している。カンボジアやベトナムといった東南アジア諸国もその対象だ。

だが恐らく、ミャンマー、カンボジア間で、海外投資をめぐって競合する最大の分野は観光産業だろう。ミャンマーでは、外国人観光客の数が急激に増加したことから、宿泊施設の提供に絶えず苦労している状況である。カンボジアでは、国内総生産(GDP)の25パーセントを観光産業が占めている。また今後も増加すると見られていることから、同産業が重要な役割を果たしていると Allsopp氏は言う。

海外の航空会社によるカンボジアへの直行便は特に中国からのものが多いが、現在では日本からも増えている。観光産業は「GDPの成長を押し上げる主な要因」とAllsopp氏は話す。ラオスはミャンマーというよりはむしろカンボジアのライバルとなる。なぜならば、ラオスには、水力発電の開発に海外投資を呼び込み、中国、ベトナム、タイに電力を供給するポテンシャルがあるからだ。

BMIのアナリストBeng Hui Chew氏は、次のように話す。ラオスでは、現在70のダム建設を計画している。一方、ミャンマーでは、エーヤワディー川のMyitsoneダムなど、水力発電の巨大プロジェクトをいったん開始したものの、現在は中断。ラオスでは、タイ、中国、ベトナムの出資による水力発電プロジェクトが経済成長の主な原動力となっている。またこの建設に関して、住民の反対はほとんどないようだ。

ミャンマーは、人口の増加率が高く、天然資源が豊富で、立地条件に優れているとWood氏は言う。ミャンマーへの関心は薄れてしまったかもしれないが、隣国のカンボジアやラオスにもミャンマーへの投資と同じような価値が数多く見出されているようだ。

これら三国は、事実上もしくは法律上、一党支配制を取っている。一党支配制は、体制の維持が容易で政策も明白になるが、政治過程が包括的であることがしばしば疑問視される。また、政治的混乱による海外投資の危険性も指摘されている。

これら三国は、世界経済、あるいは地域経済と比較しても、比べものにならないほど小さな存在だが、企業や投資家が成長率の高いフロンティア市場に関心を向けるにつれて、鉱業、石油・ガス、金融、繊維、観光、農業関連など、さまざまな分野にわたって将来性のある投資機会をもたらすだろう。

 

 

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最終更新:2014年05月31日12:53

中国本土から「ベトナム製」へ (後)

「我々と同じ賃金レベルでも、人手は全然足りません。」と彼は言った。

一方、通貨騰貴が利益に影響を与える。人民元は2005年から対米ドルで30%以上上昇している。春節期間には調整があるが、中国通貨は依然として中長期的に上昇すると予想されている。「影響は巨大です。我々は米ドルで受け取り、人民元で支払いしています。」とChung氏は述べた。

さらに局面を変えると、アセアン各国は、欧州連合(EU)への輸出品に対する免税措置を受けている。「それは少なくとも10%の節約になります。これらすべての要素を考えると、ミャンマー製品はヨーロッパのバイヤーには非常に安価になっている。中国製はその輝きを失ってしまっています。」とChung氏は言い、「アセアン製品は、アセアン-中国自由貿易地域内での税制優遇を享受しますし、中国本土のビジネスの競争相手になるわけではありません。」と付け加えた。

「すぐに移転するのが良いのかどうかは言い難いところです。しかし、最終的には移転しなければなりません。中国の状況は悪化する一方です。東莞の昔の企業家仲間の多くは、空の工場の建物を残して出て行ってしまっています。そして彼らの多くは東南アジアで新たな拠点を求めています。残っている人たちも大抵は業務を縮小しています。」とChung氏。

東南アジアは長年製造業者らの視野に入っていて、移転候補地の選択肢が多いが本当の意味で勝ち組を特定するのは難しい。

「状況はめまぐるしく展開しています。私は2年前にカンボジアを推奨していましたが、10月以降、全国的なストライキでにっちもさっちもいきません。1月には、警察との衝突で死亡者が出ましたし、今また新たな大型ストライキが起ころうとしています。」と、香港貿易発展局の主任エコノミストDickson Ho氏は述べた。

従来の常識としては、新規工場の収支が合うまで4〜5年かかるとされている。投資には、十分検討した上での決定が必要となる。コストアップ圧力につながる賃金上昇率を見積もることが重要とHo氏は言う。労働者が非生産的行動に転換しないかどうかを知ることも重要である。ストライキ中に窃盗を働くなどすれば、工場は大きな危険に晒される。

「安定した環境が重要ですし、労働組合と賃金の影響を政府が制御する必要があります。変更が日常業務に影響を与えてはなりません。しかし、給与がインフレと歩調を合わせることができないときは、問題が起こるでしょう。その場合、賃金を上げる必要があります。」Ho氏は言った。

「過去一年間に、ベトナムはこの地域における低コストの生産拠点として、より魅力的になってきました。多くの香港のメーカーはインドネシアにも移動しましたが、ベトナムがはるかに近いです。ハノイは飛行機で2時間以内ですし、広西チワン自治区から高速道路で行くにも便利です。」

ベトナムでの最低月給は2013年末に約130ドルにまで上昇した。

「それはカンボジアやミャンマーよりも高いですが、ベトナムの強みは安定性です。ストライキはあまりなく、さらに、給料は他の国のように急上昇していません。将来、中国で環境規則がより厳しくなったときに、洗いや染めなどのアパレル加工などはベトナムに移るでしょう。」とHo氏は言った。

「それは香港の工場だけではありません。いくつかの大規模な本土の織布工場も昨年、ベトナム北部の沿岸国境の街モンカイへ移動しました。サプライチェーンを整えるのは簡単です。経営陣はそこで紡績し、生地を織る計画でいるので、製品はベトナム原産として認識されるし、環太平洋経済連携協定に従い米国との貿易で優遇政策を受けられます。」

長年も珠江デルタにあったので、移転は容易な作業ではない。中国本土では、すべてのサポートが手近にあるが、高値である。移転後は一から再構築する必要がある。

「多くのメーカーが昨年積極的に移転を考えましたが、その多くは様子を見ることを選びました。30年前は、みな30代、40代でしたが、今はいい歳ですし。若い世代が引き継ぐことを望んでいなかったり、信頼できる経営者を見つけるのがあまりにも難しかったりする場合は、続けていくことは不可能です。」とHo氏は述べた。

 

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最終更新:2014年04月24日14:00

中国本土から「ベトナム製」へ (前)

香港製衣同業協進会会長であり特別行政区の立法評議会メンバーであるFelix Chung Kwok-pan氏のもとにようやく朗報が届いた。彼がミャンマーで交渉している土地は、何度も何度も訪問し、計算しつくされた上で、最終的に確保された。香港のアパレル・メーカーの第一陣は、現在、ミャンマーに移動している。

「すべてがスムーズに展開したら、来年半ばにはテープカットを行っているでしょう。工業団地のインフラ整備は今年末で終了すると見込まれていますし、我々は移動して自社工場を建設しますが、それは時間のかかることではありません。」とChung氏は言った。

Chung氏が言及する土地はThilawa経済特区にあって、ヤンゴン郊外にあるミャンマーの主要経済実験地区である。この工業団地は日本企業とミャンマー政府によって共同で開発されている。香港のアパレル・メーカー12社は、3月、工業団地内の40haの土地の同意書にサインした。最終条件はまだ交渉中であるが、さしあたって各社300万ドルまでの投資がまずは期待される。

「これだけでは不十分ですので、ヤンゴンの隣のバゴー管区にもう一つ土地を確保しました。これは121haで、来年には利用できるようになります。他の多くのアパレル・メーカーがそこに移動しようと考えています。約30の香港のアパレル工場がミャンマーで操業し始めています。」 とChung氏は述べた。

今年50歳になるChung氏は東莞にニット工場を持っているが、中国本土はもう価格面で太刀打ち出来ないと考えている。

「中国本土があまりにも高くなっています。生産基地としてはもはや競争になりません。」と彼は言う。

一番の問題は労働コストである。Chung氏によると、ミャンマーでの月給は労働者一人当たり100ドルであるに対し、広東省では近年急激に上昇し今や600ドルとなっている。

「昨年第三回全体会議(中国共産党第18回中央委員会)で示されたように、中国本土の労働者の収入は2020年までには倍増するでしょう。つまり、6年後には1200ドルかそれ以上になるということです。」Chung氏は言った。

さらに、工場経営陣は人口統計学的な問題に直面している。4月に発表されたインベスコ報告書によると、2010年から2020年までに、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジアなどの人気の東南アジア諸国での労働年齢人口は、2350万人まで増加する一方で、中国は3170万人の労働者を失う。

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最終更新:2014年04月24日08:26

2013年を振り返って--アパレル生産国の勝ち組と負け組

<勝ち組>

ミャンマー

欧米諸国の経済制裁解除とともに、中国に代わる安価な調達先を模索する企業による、ミャンマー衣料産業への関心の高まりが見られる。ミャンマーはインフラや需要に対する生産能力の整備で遅れがあるものの、SMARTミャンマーと呼ばれるヨーロッパの支援で今年始められた新しいプロジェクトは、株主向けにヨーロッパ視察旅行や優良企業向けに模範企業や評価の認識などの基本的な訓練を提供し、生産能力を確保し、技能を高めようとするものである。29の欧米のアパレル企業での主要な調達担当者への最近の調査結果を見ると、回答者の47%がミャンマーをトップ3に入れていた。

 

ベトナム

商工省のデータによれば、ベトナムでは、輸出が急増し、年初からの9ヶ月間で繊維製品輸出は18%増加の132億米ドルに達した。米国が依然としてベトナムの最大の輸出市場で、輸出金額は9.2%増加の64億ドル、続くEU市場は14%増加の19億8000万米ドルである。最近のあるレポートによると、2030年までには中国が米国を抜いてベトナムの最大の貿易相手国になると予想され、昨年1年間の中国への輸出は33%成長し、この方向で進んでいる。ベトナムから日本を除くアジアへの輸出は2013年から2020年までの期間に1年あたり平均15%上昇すると予想される。

 

<負け組>

カンボジア

GapやH&Mなどのアパレル小売業に商品を供給するカンボジアのSL縫製加工での問題は、今年数カ月間にわたって継続し、いまだ解決の見通しは立っていない。労働条件と新任マネージャー解任を巡って3カ月のストライキが発生し、動揺や生産の混乱を引き起こした。フルタイムの労働者の最低賃金は5月に1カ月あたり80米ドルまで引き上げられたが、アジア最低賃金連盟は、それでも、新しい基準金額はカンボジア人の労働者と家族の生活の基本的需要をカバーするのに必要とする274ドルの月間生活賃金の4分の1でしかないと言う。カンボジアの現地労働組合は1カ月あたり89~150ドルまで賃金の引き上げを求めている。

 

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最終更新:2013年12月16日21:48

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