インドシナニュース

ベトナム:高級ショッピングセンターは成功するのか?

ベトナムでは富裕層が増加し高級品の需要も高まっているが、高級ショッピングセンターは依然として不振にあえいでいるようだ。

 

Trang Tien Plaza、ショッピングセンター、Parkson

7年前、ベトナム建設省のある高官が、首都ハノイHa Dong区で開発中のショッピングセンターの起工式で、大型商業施設の建設が急激に進むなか「ベトナムは、ブランド品だけを扱うような高級ショッピングセンターを建設するには不向きな場所だ」と発言した。出席者の多くがこの意見に反対したが、高官の予測はその後現実のものとなった。ハノイの高級ショッピングセンターは現在、その多くが休業しているか、業績不振に陥っている。

 

Trang Tien Plaza

Trang Tien Plazaは、ハノイ中心部の一等地に建つ高級ショッピングセンターである。同店は昨年12月末、4カ月の休業を経て、公式に営業を再開した。Trang Tien Plazaが営業を休止し、店舗の再編を余儀なくされたのはこれで2度目だ。

営業再開後、店内には数万ドンから数十万ドンの人気商品を扱うテナントが増え、アナリストらは「すっかり様変わりした」とコメントする。以前は、数百万ドンの高級品しか扱っていなかったからだ。これによって、Trang Tien Plazaが今や、富裕層のみをターゲットにしているのではなく、他の所得者層も視野に入れていることが明らかになった。

ベトナム建設連盟のPham Sy Liem副代表は、社会にはさまざまな所得水準が存在するため、理論上は、高級品も低価格商品もどちらも需要があるのだと説明する。つまり投資家には、ベトナムに高級ショッピングセンターを開発しようとするだけの根拠があるわけだ。

 

高級ショッピングセンター

だがLiem副代表は、投資家のこうしたビジネス・プランは、ベトナムでは完全に失敗に終わるかもしれないとみている。理由は、ベトナム人の特殊な消費パターンにある。

同副代表は「当たり前のことですが、低所得者層は、必要な物を購入するために、例えばTrang Tien Plazaのような高級ショッピングセンターには行かないでしょう。一方で、高級ショッピングセンターで買い物できるような富裕層も、やはりそこでは買い物をしないのです」と話した。

市場調査によると、富裕層は、高級ショッピングセンターではなく、別の場所や手段で品物を手に入れる傾向にあるという。例えばインターネットを通じて購入したり、あるいは陸路や空路でベトナムに品物を持ち込む旅行者などから手に入れたりする。

ブランドに詳しいある専門家の話では、ベトナム人の富裕層は、ユニークな製品は販売元から手に入れるという「純粋な」考えを持っているという。そして「ショッピングセンターで扱っている商品は、誰でも買うことができます。従ってそこで手に入る物は、富裕層や好みにうるさいバイヤーにとっては、珍しい物やユニークな物だとは言えないのです」と説明した。

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最終更新:2015年03月07日06:00

中国の人件費高騰で東南アジアに向かう外国企業

優遇税制の廃止に加えて人件費高騰で中国大陸の魅力は激減

 

中国経済の混乱にはさらに隠された理由がある。多国籍企業が高い費用対効果を求め中国から東南アジア諸国に生産拠点を移転することによる、東南アジアへの雇用の流出である。

「中国の労働市場にとって東南アジアは脅威であると確信しています」人材派遣会社HaysのChristine Wrightアジア支社長は語る。「ベトナムやフィリピンなどは中国より大幅にコストがかかりませんし、今後さらに多くの会社がそちらに生産拠点を立ち上げることになるでしょう」

中国はかつて世界の工場であり、その豊富な労働力と安価な人件費に魅力を感じる世界中の企業の投資を引きつけてきた。企業は同時に中国の猛烈な経済発展の恩恵を受けることもできた。

しかし、外国資本をめぐるアジア地域での争いはここ2年間で新たな局面を迎えることとなった。賃金の高騰とともに、世界一の人口を擁するこの市場からの資本の引上げが始まった。2009年に中国政府が海外投資家に対する優遇税制の撤廃を決定すると、海外の製造業者が中国に見ていた輝きは次第に失われ、上昇傾向の人件費が景気の見通しにさらに暗い影を落とした。

Hays社の賃金調査によると、中国に拠点を置く企業の66%が2014年に6%以上の昇給を従業員に与えているが、同様の昇給を計画している企業はアジア地域平均で29%に過ぎない。中国における賃金の上昇傾向は2015年も継続し、70%の企業が最低でも6%の昇給を計画しているが、アジア全域で同様の昇給を計画している企業は30%しかない。

日本のファスナー製造業者のマネージャーChen Junjie氏は、一生懸命働いても必ずしも報われるとは限らないと感じている。

「高い給与は私のような従業員にとっては脅威になりうるのです。アパレルメーカーや自動車メーカーといった顧客は東南アジアに移転していきました。勤勉に働いて今日昇給を得ても、それはまもなく会社が私たちを解雇する理由となるのではないかと心配になるわけです」

中国では海外資本の企業が5000万人もの雇用を創出してきた。海外企業の移転で失われる総雇用数を推計することは容易ではないが、いままでの事例から見るに雇用の喪失は深刻で、かつ多方面に及んでいる。

「縫製産業など労働集約的な産業の労働者は他の技能がないため、新しい仕事を見つけることは非常に難しいでしょう。」Joinlink Consulting社のヘッドハンターHong Lingyun氏は話す。

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最終更新:2015年02月26日14:03

アジア繊維産業、新たな競争相手のアフリカに対峙

2014年はアジアの繊維産業にとって激動の年であった。中国での労働賃金高騰、カンボジアでの暴力的な労働者抗議、バングラデシュでの工場崩壊は大ニュースになった悪いニュースのほんの一部である。しかしそれらの事件は、極東における業界全体が移行段階にあるようだという事実を指している。

中国海岸沿いの主要な産業中心地では現在の賃金がおよそ500ドル/月、国内では250ドル/月で、中国はすでに安い衣料品生産国としての魅力を失っており、海外のアパレル小売業者は近年、バングラデシュとカンボジアの工場に頼っている。

バングラデシュとカンボジアの繊維部門はそれぞれ、440万人を雇用する250億ドル産業、65万以上の工場労働者を持つ55億ドル産業に成長した。

しかし、これらの最安衣料生産国の労働者は次第に賃金引上げを求めて訴えている。バングラデシュは昨年深刻な労働争議の後、繊維労働者の最低賃金を68ドルに上げた。カンボジアでは2014年11月に労働大臣が、国内の縫製労働者の新たな月額最低賃金をほんの数年前の75ドルから128ドルに設定した。バングラデシュのほぼ倍になる。

スウェーデンのチェーンH&M、スペインの衣料品大手Inditex、米国を拠点とするウォルマートなどの世界的な衣料ブランドもバングラデシュやカンボジアから商品を調達しているが、そのわずかに高くなった賃金は彼らのビジネスモデルにさほど影響を与えていない。なぜなら世界の繊維小売業界における人件費は、マーケティング、輸送、販売、関税、税金の費用を含む全体の生産コストの2%~3%にもならない。

賃金引上げにより、利益が切迫されて苦しむのは現地繊維生産会社だ。

しかし繊維小売業者はすでにアジアに代わる生産拠点を見つけている。H&MはTesco、Primarkと共に、アフリカのエチオピアから衣料品の調達を始めている。エチオピアでは産業労働者の最低賃金はなく、未熟練の縫製労働者は月給35ドルから40ドルと、明らかにバングラデシュの労働コストより安い賃金で働いている。

海外の繊維投資家らを非常に歓迎しており、低賃金労働力(都市の失業率は20%近く)や安価エネルギー、安い国産綿の豊富さから利益を得ている。隣国ケニアでも繊維産業は拡大している。ケニアの月給は約120ドルだが、政府は手厚い優遇策で製造業者らを誘い込もうとしている。

観測筋によると、東アフリカ諸国は繊維生産の面で、東アジアに代わる重大な可能性を持っているかもしれないと言う。低い人件費はさておき、極東の遠い国からよりむしろアフリカからヨーロッパや米国の主要市場へ繊維製品を出荷するほうが、より迅速で安価である。アフリカ諸国も2000年に締結された特別貿易協定の下で、米国繊維市場へ関税なしで輸入できる。天然綿花生産の活用と拡大、国内原材料の使用により、生産者は高価な輸入をしなくて済み、それぞれの国で繊維産業の経済的価値を集約できる。

東アジア諸国にとって、この動きは付加価値産業への移行を意味する。

 

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最終更新:2015年01月10日06:00

アジア新興国における最低賃金の現状

東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国が成長を続けている。なかでも成長の軸となる主要5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールおよびタイ)はASEAN 5と呼ばれ、これまで外国直接投資(FDI)を呼び込むけん引役となってきた。だが残りの5カ国もまた、加盟国内での互いの格差を縮め始めている。

ASEAN 5を除く5カ国が掲げる主な利点の1つに、他の国よりも最低賃金が低いことが挙げられる。つまりこれらの国を生産拠点とした場合、企業は生産コストを抑えられるというわけだ。各国政府はこれを強みとしてしばしばアピールしてきたが、過去に発展してきた国々を見てみると、この5カ国の賃金もいずれ引き上げられるものと考えられる。事実、賃金上昇を求める労働争議は日常的になっており、なかには賃上げを発表した国もある。

2014年時点における、これら5カ国の最低賃金は以下のとおりである。

 

カンボジア

カンボジアの最低賃金は現在、1カ月約96米ドルだが、その賃金額がここ数カ月、大きな注目を集めている。なかでも縫製労働者が賃上げを要求しており、中立労組らも140ドルへ値上げするよう求めている。この問題は欧米諸国とも関係がある。と言うのも、ナイキやギャップ、Zaraなど多くの有名企業がカンボジアを生産拠点としているからだ。

カンボジア政府は今月、アパレル産業の要求を受け入れ最低賃金の引き上げを発表したが、その額は労組らの要求を下回るものだった。これにより同産業の最低賃金は28%上昇し、約123ドルになる。労働者らがこの額に納得するかどうかは不明だが、カンボジア経済が海外企業の投資に大きく依存している以上、納得することが期待されている。

 

ラオス

ラオスの最低賃金は1991年以来5度改正されており、現在の賃金は2011年に施行されたもの。ラオスの国有メディアによると、多くの主要産業において、その代表者らは今夏、政府と会談し、改めて最低賃金の改正を行うよう話し合いを行ったという。だがこれまでのところ、この件に関する公式発表は行われていない。

 

ミャンマー

ミャンマーの最低賃金法は昨年3月に制定されたばかりだが、同国労働省は依然として、正式な賃金額を公表していない。だが実際には、産業によって最低賃金の水準は存在しており、例えば公務員の最低賃金は1カ月5万チャット(約50米ドル)と定められている。

ミャンマー政府は、その他の産業においても昨年末までに制定すると公言していたが、今のところまだ発表されていない。

包括的な最低賃金制度がなかなか施行されないことで、ここ数カ月、多くの産業から強い反発が出ている。つい先週も、ヤンゴンの木材加工工場が、労働権の改善を求めてストライキを起こした。ミャンマー政府による最低賃金の発表は、今後数週間のうちに行われる見通しである。

 

ベトナム

ベトナム政府は今月、最低賃金を15%引き上げると発表した。ベトナムではわずか5年の間に、4度の賃上げを行っている。2010年、最低賃金は地域別で平均9.9%引き上げられ、12年には30.1%、13年には15.2%の上昇となった。

ベトナム政府にとって、過去5年間にわたるこうした「挑戦」は、国民の所得の均等と、国が海外投資の魅力的な投資先になることとの、バランスを取るためのものだった。賃上げを行わなければ、国内の所得格差はますます広がり、社会的な格差が過去最高のレベルにまで拡大する恐れがある。だが言い方を変えれば、賃金の引き上げによって、海外企業がベトナムから撤退するリスクもあるわけだ。

来年施行される賃上げによって、ベトナムはASEAN 5を除く5カ国のなかで、最低賃金が最も高い国となる。だがそれほど心配する必要はないようだ。と言うのもベトナムの製造業は、ASEANのなかでも特に技術が高く、最低賃金を引き上げてもなお、ASEAN 5に負けないだけの競争力があると考えられているからだ。急速な経済成長を背景に、近年では海外企業もベトナムに殺到している。結果的に今回の賃上げは想定内であり、今後の経済成長にも否定的な影響は及ぼさないだろう。

 

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最終更新:2014年12月02日06:00

独自のグローバル戦略で、生き残りを狙う海外アパレル・メーカー

カンボジアではこのほど、繊維、衣料品および靴・履物の各産業で働く労働者に対して、

月額の賃金を28%引き上げる決定をした。来年初頭より、賃金額は現行の月100ドルから128ドルに引き上げられる。だが新賃金について、労働組合は期待していた額を大幅に下回るものだと主張し、海外のアパレル・メーカーらは上げ幅が大きく支払いは困難だとしている。同時にこうした状況下、メーカーらはカンボジアで生産を続けるよう求められている。

今年9月、米国への衣料品輸出は急増した。米西海岸の主要港で港湾労働者の労働争議が続いていたことから、ホリデーシーズンに向けた貨物の輸送停滞を懸念した小売業者が、大量発注を続けためだ。これにより貿易相手国上位10カ国のうち4カ国(中国、ベトナム、インドネシア、インド)では輸出量が2桁増加と力強い伸びを示したが、反面バングラデシュでは7カ月連続の減少となった。

一方ミャンマーでは、米国、日本およびデンマークが協力して、ミャンマーが生産拠点や投資先としてより魅力的な国になるよう、労働者の権利と労働条件を改善しようとしている。

昨年、欧州連合(EU)の支援で始まったミャンマーのあるプロジェクトでは、縫製産業の技術・能力の向上を目指しており、つい先日も地元企業らが生産性の拡大について指導を受けていた。

衣料品小売のへネス・アンド・マウリッツ(H&M)社は、委託先工場に対して、エチオピアのオモ渓谷一帯で栽培された綿を使用しないよう指示している。この地域は、土地収用の恐れがあるためだ。だが現状では、その指示を聞き入れても、その綿を使用しないという絶対的な保証はない。

またC&A Foundationは「公正で持続的な縫製産業の発展を目指す、さらなる協力体制」を呼びかけている。C&A Foundationとは世界的なファッション・ブランド「C&A」が運営する民間組織で、環境に優しいコットンや労働環境の改善に焦点を当てた、全く新しい世界戦略に着手している。

一方、英小売大手のマークス&スペンサーが目指しているのは、小売メーカーとして世界で最も持続的な発展を遂げることであり、目標達成のために、同社の環境・倫理プログラム「プランA」を進めている。「プランA」実施部門のトップで、同プランを世界的に推進するAdam Elman氏は、計画が目指しているものや、産業連携のさらなる必要性などについて語った。

Clothesource Limited社のマイク・フラナガンCEOは、過去6年間で、アパレル業界のバイヤーは環境汚染に対する責任を認識するようになったと話す。こうした状況が続けば、2020年までには、有毒な成分を使用している製品はほとんどなくなるかもしれない。一方、中国は有害化学物質の規制に関する法律を遵守し、法的強制力のあるプログラムなどを導入することで、有害化学物質の廃絶を目指している。

新たな調査結果によれば、環境に配慮したLED照明もまた、縫製産業での生産性の向上や利益の拡大に役立っているという。LED照明は従来の照明よりも発熱量が少なく、工場の床が熱を持つこともないため、労働者の生産性を高めるほか、欠勤者の減少にもつながっている。

大手ジーンズ・メーカーのリーバイ・ストラウス社は今後、従業員500名の人員削減を行い、1億4300万ドル規模の取引の一環として、IT、金融、人材管理、カスタマー・サービス、広報など、グローバル・ビジネスにおけるサービスの一部を委託する。こうした体制の変更は、同社がグローバルな生産を進めるうえで、新たな局面を迎えたことを示している。

 

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最終更新:2014年11月27日14:00

中国に続く生産国は?(後)

(前編より)

 

テキサス工科大学Free Market InstituteのBenjamin Powell所長は、仕事を探している者が自ら工場での低賃金労働を選ぶようなことがあれば、それはひどい選択肢のなかでもまだましなものを選んだに過ぎないのだと言う。「こうした国々に対して法律を課し、賃金の引き上げや労働条件の改善を義務付けることができたとしても、動機を持ってやって来た企業らはいずれ撤退するだろう。であれば、貧困のまま放置しておいた方が良いのでは」との見解を示した。

輸出の8~9割をアパレル製品が占めるハイチでは、労働基準に進歩の兆しがみえている。

「Better Work(衣料産業の発展を目指す国際労働機関(ILO)の提携プログラム)」で調査方針責任者を務めるArianna Rossi氏によれば、ハイチの労働条件はこれまでにも大幅に改善されてきたという。最低賃金は今年5月、1日あたり5ドルへと引き上げられた。Better Workの最新レポートでは、工場らはこの引き上げ令に対してほぼ全面的に従い、約37%の工場が少なくとも6.75ドルの日給を支払っていると伝えられた。

世間では衣料品の製造が雇用を生み出すとされているが、実際のところ、それを証明したものはこれまでのところ存在していない。稼働から2年が経ったハイチ北部の工業団地Caracolでは、米政府が1億2400万ドルという多額の出資をしたにも関わらず、当初計画されていた6万の雇用を大幅に下回る、わずか3000の雇用しか創出できなかった。さらに同工業団地の開発には米国務省、ヒラリー・クリントン前国務長官およびビル・クリントン元大統領による熱心な推進活動があったほか、ハイチから米国への輸入には、HOPE IIの貿易協定による無税特別措置または特恵関税も適用されていた。

Rossi氏は、Better Workによる研究プロジェクトを概念実証として引用し、企業らは今なお「労働者を優遇すればビジネスも成功する」ということに気付いている段階なのだと説明した。

だがNova氏のような専門家は、そう簡単には納得しない。一例として挙げれば、衣料産業に従事することで貧困から脱出できるのであれば、過去10年にわたり世界中で賃金が減少するようなことはなかったはずだとし、衣料産業の賃金は平均して「生活賃金」の約3分の1だと述べた。

衣料産業への従事が国家や個人の経済発展にとって有益であろうとなかろうと、ハイチやミャンマー、エチオピアといった国々はこの先、数々のブランド企業を盛大に受け入れることだろう。だがこれらブランド企業が今後、良心の呵責を感じるかどうかはまだ分からない。

 

 

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最終更新:2014年11月07日14:00

中国に続く生産国は?(前)

中国にとって衣料品製造はもはや「過去のもの」らしい。

「世界の工場」と呼ばれる中国では労働コストが高騰し続け、そのためこれまで中国を生産拠点としてきた有名ブランド企業らは、別の委託先国を探し始めた。既に生産拠点としてその地位を確立したバングラデシュやベトナムに加え、アパレル産業の国際競争には、新たなライバルが出現している。なかでもミャンマー、ハイチ、エチオピアなどは、貿易で繁栄したかつての状態を取り戻そうとしたり、さらに言えば完全にゼロの状態から何かを立ち上げようとしたりしている。

開発専門家らは、中国の製造業が今後数年の間に約8500万もの雇用を喪失するとみており、途上国が、かつての韓国のように急速な経済発展を遂げるには、またとないチャンスになるだろうと考えている。

一般的な発展の流れは次の通りだ。まず特別な技術を必要としない基本レベルの衣料品製造(Tシャツなど)から始め、徐々にレベルを上げる。その後より高い技術を要する製品(スーツなど)を手がけ、最終的には高度な技術が求められる電化製品などを製造するようになる。産業が成長すれば生活の質も必然的に向上し、消費者階級にも変化がもたらされる。その結果、自然で持続的な成長が促されるのである。

そして現在の中国のように、衣料品の縫製を「教養のいらない作業」とみなすようになる。社会政策の研究を行う「アメリカン・エンタープライズ研究所」研究員のDerek Scissors博士は、こうした発展の流れを「繊維でタンクを作る者はいない(国の発展には順序がある)」と表現した。

だが中国の後を追う国々が、実際にこの「繊維からタンクへ」のモデルに倣えるかどうかは重大な論点である。今後生産拠点となる国が生き残る唯一の方法は、低コストを全面に押し出すことだと主張する者もいる。だがそこには、生活もままならないほどの低賃金や、ないも同然のわずかな権利といった労働問題が付随する。労働コストが安価ならどこへでも流れていく気ままなブランド企業らが、衣料産業に対して、高度な技術を持つ労働者を供給し、インフラを整備し、かつ効力のある法律を教示するなどとうていあり得ない話だろう。

間違った慣習ほど受け継がれやすい。そう考えると、持続的な産業という点で最も可能性のある国は、労働上の悪習が基本的に存在しないエチオピアなのかもしれない。エチオピアは、インフラ整備の遅れという欠点はあるが、現在急成長を遂げている10種類の産業のうち6種類の産業で大陸市場への進出を図っており、これに世界最大とも言える畜産部門(レザー)を合わせると、「30年前の中国」とも言える状態を魅力的な長期投資の対象に作り変える可能性がある。少なくとも中国とトルコはそう考えているようだ。

一方、世界の2大アパレル・メーカー、Huajian Shoes社およびAkya Teksti社では、50の企業が入居し6万人の労働者が働く、数十億ドル規模の「アパレル都市」の開発を計画している。

スウェーデン衣料小売り大手のH&Mもまたエチオピアの将来性に賭け、昨年生産拠点の一部を同国に移転した。また政府系投資ファンドのSwedfundと提携し、持続的成長を目指す3件の新工場を「責任」を持って管理・運営している。

このように新たに経済発展を遂げる国のために倫理的な基盤を作ろうとする動きは、今年6月ミャンマーでのGapの動きにもみられた。残虐な軍事政権のためにかつて「独裁国家」と呼ばれたミャンマーでは2011年、大規模な民主改革が実施された。その1年後、欧米諸国による経済制裁が一部解除された。ミャンマーの衣料産業は今や好調で、2012年に9億ドルだった輸出高が今年は17億ドルにまで達している。

こうした企業らの行動は誠実なものと考えられている。Gapは、米国国際開発庁(USAID)やミャンマーのNGO団体と連携し、衣料産業に対する「略奪と解放」といった概念を払拭しようと努力している。これについて同社政府広報課のDebbie Mesloh課長は「国の重要な時期に力を貸したい」のだと説明し、労働者の立場に立った労働条件の設定を優先事項とするほか、政府との連携で最良の労働慣行が取られるよう監督機関を設置すると述べた。

だがこれを「馬鹿げた行動」と呼ぶ者もいる。労働者権利コンソーシアム(WRC)のScott Nova事務局長もその1人だ。Nova氏は「世界にはまだまだ、企業の社会的責任としてやるべきことがたくさんある」と述べ、「1ブランド企業が1国の問題に介入し、世界をより良いものにしようなどという考えはおこがましい。彼らの行動の裏には、やはり『労働コストの低さを利用したい』という思いがあるはずだ」と持論を展開した。

だが実際のところ、ミャンマーの製造者協会によれば、労働者の月給はわずか30ドルほどで、世界銀行が貧困の指標とする日給1.25ドルをさらに下回る額となっている。

先ごろ公表されたいくつかの報告書では、エチオピアの縫製労働者の月給は37~53ドルと伝えられており、世界で最も賃金の低い国2カ国のうちの1カ国として数えられていた(バングラデシュでは月給約68ドル)。

こうしたデータを重要視する者はほとんどいない。だが、中には低賃金について議論する専門家も存在する。すでに経済発展を遂げている国においてかつての特徴として挙げられるのは、投資家を呼び込むには、初期の段階で犠牲を払わなければならないということだ。近年では台湾、韓国、香港などがこれに相当する。

 

(後編に続く)

 

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最終更新:2014年11月07日06:00

ベトナムから米国へのジャケットの輸出、順調な伸び

統計データによると、2014年年初8ヶ月間におけるジャケットの輸出数量は約1億7170万点で、輸出金額は29億3000万USDに達し、対2013年同期比で、輸出数量は23.2%増、輸出金額は31%増となった。2014年年初から今までの繊維製品の輸出は非常に活況で、大きく成長している。現在、多くの企業は第3四半期末と2014年末まで注文を安定的に持っている。予測では2014年第4四半期ジャケットの輸出は、金額が21億5000万USDに達し、対2013年同期比で、31%増となると見られている。

2014年年初7ヶ月間における主な市場へのこの製品の輸出額は対2013年同期比でかなり成長している。具体的には、2014年年初7ヶ月間における米国へのジャケット輸出は、輸出数量が5270万点で、輸出金額は7億2330万USDに達し、対2013年同期比では、輸出数量は22.9%増、輸出金額は28%増となり、ジャケットの総輸出金額の32.3%を占めた。2014年下半期における米国の経済は消費者信用と安定な注文数量が増えているので、着実に伸びている。米国では2014年7月における消費者信用はこの7年間で最高レベルまで上昇した。米国では消費者支出が経済活動の70%に影響するので、消費者が消費に前向きということは2014年下半期における経済成長を支える要素となる。それに、2014年7月における、この国の各企業から製品製造の注文数は23%増で、1992年にデータが公表されて以降で、最大となった。この発注の増加で企業は生産数を上げたことも、2014年下半期における経済成長を支える要素である。7月における米国の工業数量は6ヶ月連続で1%増となった。米国経済の回復を示す他の兆候は不動産市場で、住宅価格が下がりつづけているので、住宅を購入したい人に対する価格圧力も下がっている。こうした積極的な兆しを受け、今後、米国へのこの製品の輸出はさらに成長とすると見られている。

2014年年初7ヶ月間におけるベトナムからEU市場へのジャケット輸出は順調で、輸出数量は3420万点、輸出金額は6億 2450万USDで、対2013年同期比で、輸出数量は23%増、輸出金額は31.7%増となった。そのうち、EU加盟国の中で一部の国への輸出は、ドイツ23.7%増、スペイン35.5%増、オランダ84.1%増、イタリア17.6%増、イタリア65.6%増などと大きく増加している。

特に、韓国などの潜在市場へのジャケット輸出額は大幅に増加し、輸出数量1740万点で、輸出金額は3億8920万USDに達し、対2013年同期比で、輸出数量は45.4%増、輸出金額は51.9%増となった。

さらに、各企業は日本、ブラジル、カナダ、チリ、オーストラリア、アラブ首長国連邦など、他の市場へのこの製品の輸出を強化している。

 

2014年年初8ヶ月間におけるベトナムからのジャケットの輸出価格は、対2013年同期比で6.4%上昇し、FOB単価は17.1USDだった。

2014年年初7ヶ月間におけるベトナムから米国へのジャケットの輸出価格は、対2013年同期比で4.2%上昇し、FOB単価は13.71USD だった。2014年7月単月では、輸出価格は対先月比で7.8%下降したが、対2013年同期比で6.5%上昇し、FOB単価は13.81 USDだった。

2014年年初7ヶ月間におけるベトナムからEUへのジャケットの輸出価格は、対2013年同期比で7.1%上昇し、FOB単価は18.25 USDだった。そのうち、ドイツ7.1%増、スペイン5.3%増、イギリス7.0%増、オランダ8.8%増となった。

2014年年初7ヶ月間における日本へのジャケットの輸出価格は、対2013年同期比で23%上昇し、FOB単価は15.93USDだった。 2014年7月単月のジャケットの輸出価格は、対先月比で15.4%上昇し、対2013年同期比で7.4%上昇し、FOB単価は16.81USDだった。

2014年年初7ヶ月間におけるベトナムから韓国へのジャケットの輸出価格は、対2013年同期比で4.5%上昇し、FOB単価は22.35USDだった。そのうち、2014年7月における、韓国向けのジャケットの輸出価格は、対前月比で32.3%上昇し、対2013年同期比で24.9%下降し、FOB単価は33.26 USDだった。

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最終更新:2014年09月12日11:47

<分析>TPP締結で中国製アパレル市場縮小か(後)

(前編より)

 

生産拠点としての強み

アメリカ地域には今なお「消費者に近い」という利点や、安価で高品質な米国産原綿を手に入れることができるという強みがある。この消費者に近いという利点は、特に「Zara」や「H&M」「Forever 21」といったファストファッション・ブランドにとってますます重要性が高まっている。こうした好条件は、米国綿産業に投資を続けるだけの十分な利点と言えるだろう。

カナダのGildan Activewear社は、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国で米原糸を基に綿製品を製造しているが、米国で紡績にかかるコストは3億4000万ドルだという。一方中国の繊維メーカーKeer Groupでは、サウスカロライナ州に2億1800万ドル規模の紡績工場を建設する計画を立てている。「労働コスト以外の製造原価に関しては、中国よりも米国の方が安い」とKeer America社のWally Wang副社長は話す。

米国政府は11月までに大筋合意に達することを望んでいるが、産業関係者や産業専門家の多くは、TPPが世界の繊維・アパレル貿易に今後変化をもたらす可能性があるのか疑問を投げかけている。

米国アパレル市場における中国のシェアについては、2010年には39%超だったものが2014年半ばには37%以下にまで減少。一方ベトナムは10%超にまで成長した。

米国ファッション産業協会会長のジュリア・ヒューズ氏は「ベトナムのアパレル製品は既に中国よりも安価だが、これに12~32%の非関税措置が適用されればその差はさらに大きくなる」と話す。

一連の流れについて、中国商務部は質問の回答を行わず、一方中国商工会議所・繊維アパレル輸出入局はコメントを差し控えた。

ベトナムに繊維・アパレル工場を建設予定の、ニット衣料メーカーShenzhou International Groupでは、主要輸入国に対する不利な貿易政策や製造コストの高騰は市場シェアの獲得に悪影響を及ぼすとの見方を示している。繊維メーカーのTexhong Textile GroupやPacific Textiles Holdings社など、ベトナムを生産拠点に考える中国企業は他にもいる。

原産地規則が適用されれば、ベトナムは必然的に主要な海外拠点として中国に取って代わることになる。それとは別にベトナムは自国産業の発展にも努めており、将来的にはマレーシアや米国などに可能性を見いだすかもしれない。

専門家の多くは依然として、TPPの締結後、米州市場のシェアは縮小する可能性があると指摘する。ノースカロライナ大学チャペルヒル校経済学部部長Patrick Conway氏は、「TPPが影響を及ぼす可能性は否めない。そしてその影響は多大なものになる可能性がある」と述べた。

 

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最終更新:2014年09月10日14:00

<分析>TPP締結で中国製アパレル市場縮小か(前)

現在12カ国で交渉中の環太平洋経済連携協定(TPP)だが、同協定に米国の戦略が反映されれば、米国の衣料品店で「メイド・イン・チャイナ(中国製)」を目にする機会は減ることになるだろう。

TPPで米国政府が目指すものは、ベトナムが加盟国のなかで最も恩恵を受ける国の1つになり、メキシコや中米ではなく、中国やその他非加盟国からアパレル市場シェアを獲得することだ。

自由貿易協定の下、米国産原糸および繊維輸出の約半数は今日、中米向けとなっている。これらの国では労働力が安価なため、輸出後はこうした労働力を利用して衣料品を製造し、その後製品の大半は非課税で米国に逆輸入される。

570億ドル規模の米原糸・繊維産業ではその多くが、世界最大の貿易協定と言われるTPPの締結に懸念を示している。と言うのも、TPPの締結により、同市場のビジネス・モデルが崩壊する可能性があるからだ。このビジネス・モデルを採用したことで同産業では10年にわたる産業不振を脱却することができ、かつ150万以上もの地域労働需要を維持することができたのだ。

米国当局者の1人は匿名を条件に、特恵関税の適用に必要な原産地規則や、関税率の引き下げ期間に時間差を設けることなどについて話し、これらの実施が中米諸国の地域益の保護につながるとの見解を示した。同時にベトナムの特権享受にもつながるとしている。また交渉に携わる米国当局者らは、ベトナムが、中国やその他非加盟国からかなりの市場シェアを奪うものとみている。

米国の合成繊維メーカーUnifi社最高経営責任者Bill Jasper氏は、「TPPの締結で中米諸国が打撃を受ければ、われわれの業界にも壊滅的な影響が及ぶだろう」と話す。また「適切な枠組みを設け賢明な交渉が行われれば、最も影響を受けるのは中米諸国ではなく中国になるだろう」と続けた。

今週TPP交渉官会合の開催地となったベトナムにとって、衣料分野は最優先課題だ。だがその他の国にとっては、数ある課題の1つでしかない。ベトナムが同分野で米国政府の主張を受け入れるのであれば、他の分野ではその他交渉参加国(オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール)から妥協を求められる可能性がある。

米国政府では、米国経済への影響度に応じて、分野ごとに異なる待遇を設ける方針としている。例えば肌着や紳士もののニットシャツなど、中米諸国が大きなシェアを持つ綿製品に対しては関税率の引き下げ期間を長期化させ、一方ダウン・ジャケットや合成繊維衣料など中国製が主流の製品については引き下げ期間を短くする。この結果ベトナムに有利な条件が与えられることになる。

非加盟国産の原糸で作られた衣料品はすべて原産地規則を適用されるが、米国当局者によれば、TPP加盟国で作られた大量生産の布地ではなく絹や綾織りのツイードに関しては、同規則の適用対象外にすることができるという。だがベトナムや米国の小売業者の多くは、さらに多くの適用除外品目を望んでいる。

ベトナムでは、製品に対して約30%の関税が付加されるにもかかわらず、2010年以降、対米輸出を38%増にまで成長させた。米ピーターソン国際経済研究所のモデル予測によれば、ベトナムでは2025年までに輸出全体の伸び率を46%にまで上昇させるものとみている。一方メキシコ、中国、インドの輸出は低下すると予測している。

米国や中米諸国の繊維産業は、労働コスト面だけを見ればベトナムの安価な労働力にかなわないが、ベトナムがTPPで求められる厳しい労働基準や環境基準を順守することになれば、こうした労働コストも必然的に上昇するものと思われる。

米国の大手紡績会社Parkdale Mills 社のDan Nation社長は、アメリカではベトナムと異なり、生活賃金や各種手当、環境面への配慮が企業のコスト構造にすでに組み込まれていると言う。また「ベトナムでは不要とみなされる作業でもこの国では必要な作業。かつわれわれは時給72セントという低賃金をはるかに上回る給与を支給している」と続けた。さらに米国労働省は、ベトナムには児童就労と強制労働の問題があると公表した。

 

(後編につづく)

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最終更新:2014年09月10日06:00

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