インドシナニュース

アジア新興国における最低賃金の現状

東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国が成長を続けている。なかでも成長の軸となる主要5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールおよびタイ)はASEAN 5と呼ばれ、これまで外国直接投資(FDI)を呼び込むけん引役となってきた。だが残りの5カ国もまた、加盟国内での互いの格差を縮め始めている。

ASEAN 5を除く5カ国が掲げる主な利点の1つに、他の国よりも最低賃金が低いことが挙げられる。つまりこれらの国を生産拠点とした場合、企業は生産コストを抑えられるというわけだ。各国政府はこれを強みとしてしばしばアピールしてきたが、過去に発展してきた国々を見てみると、この5カ国の賃金もいずれ引き上げられるものと考えられる。事実、賃金上昇を求める労働争議は日常的になっており、なかには賃上げを発表した国もある。

2014年時点における、これら5カ国の最低賃金は以下のとおりである。

 

カンボジア

カンボジアの最低賃金は現在、1カ月約96米ドルだが、その賃金額がここ数カ月、大きな注目を集めている。なかでも縫製労働者が賃上げを要求しており、中立労組らも140ドルへ値上げするよう求めている。この問題は欧米諸国とも関係がある。と言うのも、ナイキやギャップ、Zaraなど多くの有名企業がカンボジアを生産拠点としているからだ。

カンボジア政府は今月、アパレル産業の要求を受け入れ最低賃金の引き上げを発表したが、その額は労組らの要求を下回るものだった。これにより同産業の最低賃金は28%上昇し、約123ドルになる。労働者らがこの額に納得するかどうかは不明だが、カンボジア経済が海外企業の投資に大きく依存している以上、納得することが期待されている。

 

ラオス

ラオスの最低賃金は1991年以来5度改正されており、現在の賃金は2011年に施行されたもの。ラオスの国有メディアによると、多くの主要産業において、その代表者らは今夏、政府と会談し、改めて最低賃金の改正を行うよう話し合いを行ったという。だがこれまでのところ、この件に関する公式発表は行われていない。

 

ミャンマー

ミャンマーの最低賃金法は昨年3月に制定されたばかりだが、同国労働省は依然として、正式な賃金額を公表していない。だが実際には、産業によって最低賃金の水準は存在しており、例えば公務員の最低賃金は1カ月5万チャット(約50米ドル)と定められている。

ミャンマー政府は、その他の産業においても昨年末までに制定すると公言していたが、今のところまだ発表されていない。

包括的な最低賃金制度がなかなか施行されないことで、ここ数カ月、多くの産業から強い反発が出ている。つい先週も、ヤンゴンの木材加工工場が、労働権の改善を求めてストライキを起こした。ミャンマー政府による最低賃金の発表は、今後数週間のうちに行われる見通しである。

 

ベトナム

ベトナム政府は今月、最低賃金を15%引き上げると発表した。ベトナムではわずか5年の間に、4度の賃上げを行っている。2010年、最低賃金は地域別で平均9.9%引き上げられ、12年には30.1%、13年には15.2%の上昇となった。

ベトナム政府にとって、過去5年間にわたるこうした「挑戦」は、国民の所得の均等と、国が海外投資の魅力的な投資先になることとの、バランスを取るためのものだった。賃上げを行わなければ、国内の所得格差はますます広がり、社会的な格差が過去最高のレベルにまで拡大する恐れがある。だが言い方を変えれば、賃金の引き上げによって、海外企業がベトナムから撤退するリスクもあるわけだ。

来年施行される賃上げによって、ベトナムはASEAN 5を除く5カ国のなかで、最低賃金が最も高い国となる。だがそれほど心配する必要はないようだ。と言うのもベトナムの製造業は、ASEANのなかでも特に技術が高く、最低賃金を引き上げてもなお、ASEAN 5に負けないだけの競争力があると考えられているからだ。急速な経済成長を背景に、近年では海外企業もベトナムに殺到している。結果的に今回の賃上げは想定内であり、今後の経済成長にも否定的な影響は及ぼさないだろう。

 



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最終更新:2014年12月02日

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