インドシナニュース

2017年10月 のニュース一覧

フィリピン:製造業がフィリピンからベトナムへ

~韓国企業のフィリピン撤退に手を打つ必要

 

ビジネス環境

2018年アセアンビジネスの展望調査報告によると、米国企業幹部らはベトナムについて、アセアン地域での投資先としてトップにその名を挙げている。フィリピンは5位で、ミャンマー、インドネシア、タイに続く。

ベトナムは投資環境改善の点においてもアセアン諸国の中で2位に位置づけられており、ベトナムで調査を受けた米国企業幹部の54%が、その改善状況について肯定的な意見を示した。

一方でフィリピンは利益見通しの点で最も有望視されており、調査対象となった企業幹部の85%が2018年までに増益が見込まれるとした。だがベトナムもまた、企業幹部の84%が増益を見込んだ。

フィリピンにある韓国商工会議所は、1月にRodrigo Duterte大統領のきまぐれな麻薬戦争の最中、警察本部に韓国人事業家のJee Ick-joo氏が誘拐された事件に対し強く非難し、同時にフィリピンにいる韓国人の「安全を確保する」ことについて政府の「一層の努力」を求めた。

「我々は、韓国のビジネスマンだけでなく、フィリピンに住む12万人の韓国人に対するあらゆる暴力と不当な扱いについて強く非難する。韓国では約5万人のフィリピン労働者の生活を守り、尊重している。」とこの声明で述べた。フィリピンは韓国にとって、東南アジア最大の海外移住先となっている。

フィリピンのRodrigo Duterte大統領は、昨年の大統領着任後に違法麻薬取引に関して論争の多い超法規的取締りを開始した。反麻薬作戦において、警察に対してより攻撃的に取り締まるよう求めた彼の過去の発言は、警察を残忍にし、兵器の使用を過度に煽ったと批判されている。

Jee氏のような市民が警察による暴力や虐待の被害者となるなど、この絶え間ない薬物戦争によってもたらされた安全問題が投資家の心理にどの程度影響を与えたかを示す具体的な数字はまだないが、海外のビジネス団体などは同国の人権侵害に関する懸念を表明し続けてきた。

 

「強い経済」

労働組合Partido ManggagawaのRene Magtubo氏は、韓国企業が労働組合の組織化を避けるためだけの目的で、フィリピンの事業所を閉鎖していることについて憂慮している。 Magtubo氏は韓国系Sein Together Phils社の例を示した。同社では昨年9月に一時的に営業停止し、10月23日に縫製工場を再開させたが、これにより約400人の労働者が雇用を失ったという。

労働団結権はフィリピンでは悲惨な状況となっている。最近の国家統計によると、20人以上の労働者を雇用している事業所での労働組合加入率は、1995年から2014年までに30.5%から7.7%に減少した。(フィリピンの労働法第298条では、事業所の閉鎖は経営特権として認められているものの、労働組合の排除するために拠点を閉鎖し、海外へ移設することは不正な労働行為としている。)

自由労働者連合(FFW)の労働法弁護士であるJose Sonny Matula氏は、「会社の役員は民事責任だけでなく、刑事責任も負う可能性があります。」と述べた。

Matula氏は、労働組合を排除する目的で移転するような悪質な店や事業所は、経済協力開発機構(OECD)のガイドラインによって対処できるものの、問題の会社の本社がOECD加盟国にある場合だけだと説明した。

FFWは過去に、ILO条約87条または1948年の結社の自由および労働団結権保護に関する条約を踏まえたOECDガイドラインを引用し、フィリピン最高裁判所において勝訴を得たことがある。こうし訴訟は会社が所在するOECD加盟国の連絡事務所に対しても起こされることがある。

Matula氏は、フィリピンを離れようとする外国人投資家に悪質な事案がないことを保証する予防策は現在のところないと述べた。企業の撤退コストを増やすために、「債務返済保証制度」などを施設閉鎖の要件に追加するのは、良い予防策となるかもしれないと彼は述べた。

しかしLee氏は、韓国商工会議所の会員が感じているフィリピンで事業を行うことのコストと難しさについて、この問題が企業レベルでなく国家レベルでのものであることが明白だと述べた。

閉鎖するための最低限の法律要件が満たされている限り、外国企業が引き続きフィリピンにおいて事業を運営する責任はない。最低要件には、解雇給付や労働局への事前通知などが含まれる。また解雇給付は、破産によって事業が終了される場合は免除される。

一方で政府には、国の労働者に彼らとその家族が快適に生活できるだけの仕事を持てるよう、投資家を引きつける義務がある。

だが政府は、「経済戦略が功を奏しつつある」という説に固執している。

大統領広報官Ernesto Abella氏は声明の中で「経済改善の兆し」として、GDP成長率6.4%、2017年上半期の就業率57.7%、10月12日におけるフィリピン証券取引所指数が8,400ポイント高であったこと、2017年8月の輸出売上高が9.3%増の55億米ドルであったこと、世界銀行の2017年の世界経済見通しにおいてフィリピンが世界第10位の経済成長を遂げたことを挙げた。

Abella広報官が指摘したように、数字は安定している。 しかし、フィリピンからベトナムへの製造移転によって失業した人々は、こうした経済成長から抜け落ちている。 彼らはその日暮らしで、選択肢はほとんどなく、将来のことはまったく見通せない。 彼らの関心は次の食事代のことである。

マクロ経済の強力なファンダメンタルズが、彼らのような草の根のフィリピン人に恩恵をもたらすには、まだ多くのことが必要である。

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最終更新:2017年10月28日06:10

東南アジアでのエコフレンドリーなデザインによる伝統文化や手法の保存の試み(後)

(前編より)

タイのチエンマイ県ではインディゴ染めが、多くの若手デザイナーがそのデザインに取り込んだことにより復活した。

ベトナムではFashion4freedomが、ベトナム独自の環境に優しい倫理的な手法によって高級品を制作している地元職人と協業している。その結果、ハイエンドの国際市場向けに様々な衣料品、アクセサリー、靴を生み出すことに成功している。

ラオスではOck Pop Tokが、人々と文化に焦点を当てたソーシャルビジネスを行っている。英国人のJoanna Smith氏とラオス人のVeomanee Douangdala氏が2000年に設立したこのベンチャー企業は、同国において最も重要な繊維・アパレル職人向け機関の1つとなっている。

「我々がOck Pop Tokを開始した際には、本当の意味でエシカルファッションが何であるかを知りませんでした」とDouangdala氏は言った。「我々は何か人と違ったものを作りたいと考えていただけだったのですが、この国のアパレル製品の伝統を保存しつつも、海外市場において伝統的製品の経済的価値を生み出すことに主眼が移りました。我々は、ラオスの文化や伝統に忠実でありながら、現代的な製品を作りたいと考えています。」

すべての製品はハンドメイドで、原材料は国内調達である。また75人の従業員がフルタイムで雇用されており、400人の製織職人がOck Pop TokVillage Weaver Projectsの指揮のもと、全国で働いているという。

「ラオスは人口の少ない小さな国ですが、多様な文化を持っています。我々は49の民族グループと100を超えるサブグループを傘下に擁しており、各グループには独自の文化、言語、織物文化があります。それらは各民族グループにとってのアイデンティティの一部となっているのです。」とDouangdala氏は言った。また各民族グループは、デザインにさまざまな色や技法を取り入れていると続けた。「ラオスには、織り、アップリケ、バティック、刺繍など、さまざまなアパレル製品の伝統があります。」

エシカルファッションの動きが拡大するにつれ、ほとんど忘れ去られていたクリエイティブな民族グループが、古来より伝わる伝統を現代に蘇らせることへの期待が高まってきている。

「我々が出会った、伝統技法によって製品を制作をする人々の多くが、各製品に対する愛着や喜びを示し、その想いがどのように優れた製品を生み出すのかを強調しました。」とO'Malley氏は言った。「それはまた、人間同士のつながりをも生み出します。プロセスについてもっと良く知れば、衣料品を作る人々やその製品に、より大きな尊敬の念を抱くようになるのです。」



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最終更新:2017年10月14日12:03

東南アジアでのエコフレンドリーなデザインによる伝統文化や手法の保存の試み(前)

東南アジアへのツアーを通してWalk Sew Goodキャンペーンの参加者らは、ファスト・ファッションなどによる資源浪費に反対し、地域社会の活性化や技術の保存を図ろうとするデザイナーやプロデューサーと会った。

一年にも及ぶ東南アジアツアーを経て、エコファッション・キャンペーンの参加者であるMegan O'Malley氏とGab Murphy氏は、持続可能な商品を提供するデザイナーの数が増加することによって、地域のアパレル産業における廃棄物や搾取がなくなることを望んでいる。

「ファスト・ファッションのビジネスモデルは、この巨大なアパレル業界を通じて世界の人々に安価で生産される衣料品を次々と利用させるよう操ってきました。」とWalk Sew Goodの共同設立者であるO'Malley氏は述べた。「このような風潮は持続可能ではなく、理にかなっていません。」

彼女とオーストラリア人の同僚であるMurphy氏は、11月にメルボルンを出発して以降、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオスを訪問し、正当で持続可能な方法で生産された環境にやさしいアパレル品を探して歩いた。「この問題に対する多様な解決策を生み出そうとしている人々が多くいます。私たちはそうした人々と会って、話を聞きたいと考えたのです。」とO'Malley氏は言った。

この二人は、布地、仕立や製織技術の長い歴史に携わる多くの進歩的なデザイナーに会った。

カンボジアでは地元デザイナーのVannary San氏が、アパレル産業がこの国の主要な輸出産業にまで発展し、約70万人を雇用していることによって、伝統的なシルク産業と文化に対する誇りが忘れ去られつつあることを心配していた。

プノンペンでファッションブランドのLotus Silkを所有するSan氏は、「カンボジアのシルク産業が衰退していることを聞き、とても心配しています。」と述べた。「カンボジアのシルク生産には長い歴史があります。アンコールワットの彫刻からもそれを見て取ることができます。シルク生産は我々にとって大切な歴史遺産ですが、残念ながら最近では衰退しかかっています。」

San氏は3年前に、シルク産業を復興して創造的なコミュニティを再び活性化させ、彼らが安定的な収入が得られるよう支援するというミッションを自身に課した。公正な賃金と労働条件を提供するエシカル・ファッションブランドを運営することは、彼女の最優先事項である。

San氏は、カンボット州の蚕のエサとなる桑の木を育てる3つの農業コミュニティ、プレイベン州とタケオ州の製織業者、バッタンバン州のオーガニックコットン栽培業者、カンダル州の染色専門家らと協業している。各生産プロセスはトレーサビリティと高い透明性が確保されていると彼女は述べた。

国際水準に見合った質の高い製品を制作するためにコミュニティに教育を施した後、彼女は昨年Golden Silk Collectionを発表した。このコレクションは既に海外、特に韓国、オーストラリア、米国、カナダのバイヤーから引き合いを得ている。

彼女はまた12月に、プノンペンにおいて啓蒙を目的としたインタラクティブな博物館「The Silk House」をオープンさせる予定としている。

「カンボジアの素晴らしいシルク産業を復活させるのを支援するだけでなく、地元の生産者に対しても、彼らが作り出しているものに価値があり、こうした伝統は存続させるべきであることを啓蒙することを目的としています。」と彼女は述べた。「シルク生産は私たちの歴史の重要な一部分であるだけでなく、高品質で倫理的に生産されたこれらの製品は、潜在的な可能性も有しているのです。」

「世代を超えて伝承されたカンボジアの織物や製織技術の多くが、19751979年の残酷なクメール・ルージュ政権時代に失われました。また、ベトナムや中国などの諸外国から輸入される安価な材料が浸透したことによって、複雑で時間のかかるこうした工芸品を習得するインセンティブはほとんどなくなってしまいました。」

「またこうした技術は、工場生産によってほとんど失われつつあります。」と地元職人から原材料や工芸品を買い付けるフェアトレード・ブランドであるANDの創設者であるAlan James Flux氏は言った。「今はまだ手織りの素晴らしい職人が存在しますが、その子供たちは条件が良く、給料も高い縫製工場へ働きに出ようとしています。」

イギリスで教育を受けたこのファッションデザイナーは、全国の熟練した職人家族と協働し、複雑なikat製織技術をしばしばその作品に組み込んでいる。

「我々はカンボジアにおける潜在能力のほんの表面に触れているに過ぎません。」とFlux氏は言った。「カンボジアにはまだまだ多くの素晴らしい製品があります。様々な種類の製織技法や、まったく異なるタイプの絞り染め、ジュエリー製作、木彫りなどがあり、その潜在的な可能性は無限大です。」

カンボジアにおける同様の草の根活動は、伝統的な工芸品や技法の再生に貢献している。

(後編につづく)



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最終更新:2017年10月14日06:03

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