インドシナニュース

2015年06月 のニュース一覧

衣料品製造産業は本当に中国から撤退していっているのか(後)

(前編より)

 

好調なインド

とはいえ、中国と競合している調達先の国々の幹部の主張も同様に、統計で裏づけられている。

「私たちのインドからの調達ビジネスは、ここ2年の間に3倍になりました。」とアメリカを拠点とする女性向け衣料・アクセサリーブランドのAdrianna Papellの最高執行責任者(COO)、Ashesh Amin氏は話す。彼は、「(中国の工場での)注文を供給するまでのリードタイムは10%~20%増え、価格も6%~8%上昇しました。」と言う。

Amin氏によると、中国から生産拠点を移すトレンドは確かにあるが、去年の10月にようやく始まったものであり、旧正月である2月以降、加速しているという。衣料品製造に従事していた労働者たちは、もっと面白い仕事に移っていっている。「以前は、インドから中国に生地を輸送していましたが、今は、インドで同じ製品が作られることを期待しています。」と彼は語った。

Amin氏は、ルピーが割安であり、エネルギーのコストも低いため、国際的にインドがコストの安い衣料品調達地になっていると話す。また、「インドの企業は機械の輸入を増やし、工場を近代化しています。」とも語った。

インドの衣料品輸出促進協議会(AEPC)は、2015年3月までの今会計年度で、10%の輸出成長を予想している。その結果、インドの衣料品輸出額は165億米ドルに達する見込みだ。

 

上昇傾向のバングラデシュ

バングラデシュの衣料品製造業者もインドと同様に楽観的である。バングラデシュ衣料品製造・輸出業者協会(BGMEA)、前副会長のFaruque Hassan氏は、バングラデシュの企業は、中国での生産コスト上昇により生み出された新しいチャンスをつかむため、工場のグレードアップと安全対策に投資をしていると話した。

一方で、彼は中国からの調達地の流出傾向を生かす、バングラデシュの能力の妨げとなっている課題についても触れた。政治不安、品質と物流の改善を維持する必要性といったものだ。

恩恵を最大に受けるためには、「私たちは労働者のスキルと港の最大取扱量を強化し、ダッカ~チッタゴン間の高速道路を改善する必要があります。」と本紙に話した。

BGMEAの会長であるMohammed Atiqul Islam氏は、不安定な電力供給がバングラデシュの衣料品製造市場のグローバルシェアを増やすのを妨げているもう一つの障壁だと話した。現在、中国の38%に比べ、バングラデシュの市場シェアは5%しかない。

バングラデシュが生産性と効率性を改善しないかぎり、コストの低い衣料品製造者としての強みを失ってしまうだろうと指摘した。「改善できなければ、インド、ベトナム、カンボジア、スリランカ、そしてミャンマーといった国々がチャンスをものにすることになります。」と彼は本紙に語った。また、もしバングラデシュが成功すれば、「そうすれば、中国にも輸出できるようになるでしょう。」とも話す。

バングラデシュは現在、中国に次いで、世界で2番目に主要な衣料品の輸出国である。およそ4500の工場で、450万人の人が働いている。バングラデシュの輸出促進局によると、衣料品の輸出は、今年3月までの9か月間で、年率換算で3.16%上昇し、約186億米ドルに達した。

ダッカにあるシンクタンク、Centre for Policy Dialogueの追加調査ディレクターであるKhondaker Golam Moazzem博士は、中国からの新たな調達拠点移転を取り込めるかは、バングラデシュがどのように国内の政治不安と、とりわけ、不安定な為替変動といった外部要因に取り組めるかどうかにかかっていると主張する。「バイヤーが中国から離れているからといって、バングラデシュに発注先が移るという確かな保証なんてないのです。」と彼は本紙に語った。

 

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最終更新:2015年06月12日14:02

衣料品製造産業は本当に中国から撤退していっているのか(前)

中国と他の国両方の専門家は衣料品製造が中国から他の拠点へと急激に移っているという考えに賛成はしていない。

何年にもおよぶ強い経済成長の結果、中国の衣料品製造業従事者の給料は増え、結果として、中国における織物・衣料品製造のコストが引きあがった。そして、カンボジアやベトナム、バングラデシュ、インドといった、よりコストの低い国へ、中国から生産拠点が移った企業があるのは事実だが、中国の衣料品製造業の縮小現象は誇張されすぎていると専門家はいう。

 

「中国の全体の経済状況は変わってきています。環境規制がより厳しくなり、土地や労働者のコストも上がっており、それら全てが影響しています。しかし、東南アジアへ拠点を移している衣料品製造は、いくつかの外国ブランド専用に、輸出向けに契約をしている生産工場に限られています。」と中国紡織工業連合会(CNTAC)の国際貿易部副理事、Zhao Hong氏は主張する。CNTACは、中国の全織物・衣料品組織の全国連盟である。

Zhao氏は、中国国家統計局のデータによると、国の衣料品製造分野は減少しているというより、合併していっているという。年間販売売上が2000万人民元(320万米ドル)を超える織物・衣料品製造企業の数は、2014年には11.5%減少し、38,319社となったが、業界全体の収益は6.1%上昇し、3600億人民元(581億米ドル)に達した。

2014年は、アメリカやヨーロッパ、日本といった主要な輸出市場では経済が低迷した年であったが、中国の10916社の衣料品製造業者は前年比1.6%増となる296億着の衣料品を生産した。業界の健全な状態を裏づける他の指標として、中国の織物産業による固定資産への投資は2014年に著しく増え、13.4%増の1兆人民元(1610億米ドル)に達した。

 

製造業の通説

イギリスを拠点とするコンサルタント企業で、GapやMarks & Spencer、NextやThe Limitedといった有名ファッション小売り企業を顧客に持つClothesource Limited社の最高経営責任者、Mike Flanagan氏もまた、中国から衣料品製造の拠点が離れていっているというのは、ただの通説にすぎないと考える専門家の一人だ。

「世界市場は成長しているため、多くの製造業者がより大きなシェアを獲得してきています。実際に起こっているのは、そのうちの一部の中国企業所有の製造者が、他の国に移転していっているということなのです。」と彼は言う。

Flanagan氏によると、中国内の工場が合併しているのは事実だが、「実質的には、中国資本の衣料品製造企業の100%が存続しています。」

中国の製造業者が、賃金が上昇することで、国際社会の中で中国の衣料品製造産業の競争力が低下することを心配するのはもっともだが、他のアジアの国々でも、同程度のスピードで賃金が上昇していることは明らかだと強調した。そして、これらの国々は、効率性とインフラの面で中国に大きく遅れをとっている。

「企業が皆中国を離れていっているという、くだらない主張のほとんどは、自分たちの国に人々の興味をひきつけておきたい、バングラデシュ、インド、ベトナムの衣料品製造業者のものです。」とFlanagan氏は話す。

「彼らはまた、政府にインフラへの支出を増やしてほしいのです、またおそらく、より関連性のあるものとして、1990年代後半と21世紀の始めにインドネシアで起きたことが自国で起こってほしくないと思っているのです。」

Flanagan氏によると、そのころ銀行業界は、「業界全体で、遅かれ早かれ、衣料品製造はインドネシアから撤退すると判断していました。」その結果、地元の製造業者に資金を貸すのを止めてしまい、衣料品製造業の衰退を引き起こした。

 

(後編につづく)

 

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最終更新:2015年06月12日06:02

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