インドシナニュース

2014年11月 のニュース一覧

独自のグローバル戦略で、生き残りを狙う海外アパレル・メーカー

カンボジアではこのほど、繊維、衣料品および靴・履物の各産業で働く労働者に対して、

月額の賃金を28%引き上げる決定をした。来年初頭より、賃金額は現行の月100ドルから128ドルに引き上げられる。だが新賃金について、労働組合は期待していた額を大幅に下回るものだと主張し、海外のアパレル・メーカーらは上げ幅が大きく支払いは困難だとしている。同時にこうした状況下、メーカーらはカンボジアで生産を続けるよう求められている。

今年9月、米国への衣料品輸出は急増した。米西海岸の主要港で港湾労働者の労働争議が続いていたことから、ホリデーシーズンに向けた貨物の輸送停滞を懸念した小売業者が、大量発注を続けためだ。これにより貿易相手国上位10カ国のうち4カ国(中国、ベトナム、インドネシア、インド)では輸出量が2桁増加と力強い伸びを示したが、反面バングラデシュでは7カ月連続の減少となった。

一方ミャンマーでは、米国、日本およびデンマークが協力して、ミャンマーが生産拠点や投資先としてより魅力的な国になるよう、労働者の権利と労働条件を改善しようとしている。

昨年、欧州連合(EU)の支援で始まったミャンマーのあるプロジェクトでは、縫製産業の技術・能力の向上を目指しており、つい先日も地元企業らが生産性の拡大について指導を受けていた。

衣料品小売のへネス・アンド・マウリッツ(H&M)社は、委託先工場に対して、エチオピアのオモ渓谷一帯で栽培された綿を使用しないよう指示している。この地域は、土地収用の恐れがあるためだ。だが現状では、その指示を聞き入れても、その綿を使用しないという絶対的な保証はない。

またC&A Foundationは「公正で持続的な縫製産業の発展を目指す、さらなる協力体制」を呼びかけている。C&A Foundationとは世界的なファッション・ブランド「C&A」が運営する民間組織で、環境に優しいコットンや労働環境の改善に焦点を当てた、全く新しい世界戦略に着手している。

一方、英小売大手のマークス&スペンサーが目指しているのは、小売メーカーとして世界で最も持続的な発展を遂げることであり、目標達成のために、同社の環境・倫理プログラム「プランA」を進めている。「プランA」実施部門のトップで、同プランを世界的に推進するAdam Elman氏は、計画が目指しているものや、産業連携のさらなる必要性などについて語った。

Clothesource Limited社のマイク・フラナガンCEOは、過去6年間で、アパレル業界のバイヤーは環境汚染に対する責任を認識するようになったと話す。こうした状況が続けば、2020年までには、有毒な成分を使用している製品はほとんどなくなるかもしれない。一方、中国は有害化学物質の規制に関する法律を遵守し、法的強制力のあるプログラムなどを導入することで、有害化学物質の廃絶を目指している。

新たな調査結果によれば、環境に配慮したLED照明もまた、縫製産業での生産性の向上や利益の拡大に役立っているという。LED照明は従来の照明よりも発熱量が少なく、工場の床が熱を持つこともないため、労働者の生産性を高めるほか、欠勤者の減少にもつながっている。

大手ジーンズ・メーカーのリーバイ・ストラウス社は今後、従業員500名の人員削減を行い、1億4300万ドル規模の取引の一環として、IT、金融、人材管理、カスタマー・サービス、広報など、グローバル・ビジネスにおけるサービスの一部を委託する。こうした体制の変更は、同社がグローバルな生産を進めるうえで、新たな局面を迎えたことを示している。

 

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最終更新:2014年11月27日14:00

中国に続く生産国は?(後)

(前編より)

 

テキサス工科大学Free Market InstituteのBenjamin Powell所長は、仕事を探している者が自ら工場での低賃金労働を選ぶようなことがあれば、それはひどい選択肢のなかでもまだましなものを選んだに過ぎないのだと言う。「こうした国々に対して法律を課し、賃金の引き上げや労働条件の改善を義務付けることができたとしても、動機を持ってやって来た企業らはいずれ撤退するだろう。であれば、貧困のまま放置しておいた方が良いのでは」との見解を示した。

輸出の8~9割をアパレル製品が占めるハイチでは、労働基準に進歩の兆しがみえている。

「Better Work(衣料産業の発展を目指す国際労働機関(ILO)の提携プログラム)」で調査方針責任者を務めるArianna Rossi氏によれば、ハイチの労働条件はこれまでにも大幅に改善されてきたという。最低賃金は今年5月、1日あたり5ドルへと引き上げられた。Better Workの最新レポートでは、工場らはこの引き上げ令に対してほぼ全面的に従い、約37%の工場が少なくとも6.75ドルの日給を支払っていると伝えられた。

世間では衣料品の製造が雇用を生み出すとされているが、実際のところ、それを証明したものはこれまでのところ存在していない。稼働から2年が経ったハイチ北部の工業団地Caracolでは、米政府が1億2400万ドルという多額の出資をしたにも関わらず、当初計画されていた6万の雇用を大幅に下回る、わずか3000の雇用しか創出できなかった。さらに同工業団地の開発には米国務省、ヒラリー・クリントン前国務長官およびビル・クリントン元大統領による熱心な推進活動があったほか、ハイチから米国への輸入には、HOPE IIの貿易協定による無税特別措置または特恵関税も適用されていた。

Rossi氏は、Better Workによる研究プロジェクトを概念実証として引用し、企業らは今なお「労働者を優遇すればビジネスも成功する」ということに気付いている段階なのだと説明した。

だがNova氏のような専門家は、そう簡単には納得しない。一例として挙げれば、衣料産業に従事することで貧困から脱出できるのであれば、過去10年にわたり世界中で賃金が減少するようなことはなかったはずだとし、衣料産業の賃金は平均して「生活賃金」の約3分の1だと述べた。

衣料産業への従事が国家や個人の経済発展にとって有益であろうとなかろうと、ハイチやミャンマー、エチオピアといった国々はこの先、数々のブランド企業を盛大に受け入れることだろう。だがこれらブランド企業が今後、良心の呵責を感じるかどうかはまだ分からない。

 

 

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最終更新:2014年11月07日14:00

中国に続く生産国は?(前)

中国にとって衣料品製造はもはや「過去のもの」らしい。

「世界の工場」と呼ばれる中国では労働コストが高騰し続け、そのためこれまで中国を生産拠点としてきた有名ブランド企業らは、別の委託先国を探し始めた。既に生産拠点としてその地位を確立したバングラデシュやベトナムに加え、アパレル産業の国際競争には、新たなライバルが出現している。なかでもミャンマー、ハイチ、エチオピアなどは、貿易で繁栄したかつての状態を取り戻そうとしたり、さらに言えば完全にゼロの状態から何かを立ち上げようとしたりしている。

開発専門家らは、中国の製造業が今後数年の間に約8500万もの雇用を喪失するとみており、途上国が、かつての韓国のように急速な経済発展を遂げるには、またとないチャンスになるだろうと考えている。

一般的な発展の流れは次の通りだ。まず特別な技術を必要としない基本レベルの衣料品製造(Tシャツなど)から始め、徐々にレベルを上げる。その後より高い技術を要する製品(スーツなど)を手がけ、最終的には高度な技術が求められる電化製品などを製造するようになる。産業が成長すれば生活の質も必然的に向上し、消費者階級にも変化がもたらされる。その結果、自然で持続的な成長が促されるのである。

そして現在の中国のように、衣料品の縫製を「教養のいらない作業」とみなすようになる。社会政策の研究を行う「アメリカン・エンタープライズ研究所」研究員のDerek Scissors博士は、こうした発展の流れを「繊維でタンクを作る者はいない(国の発展には順序がある)」と表現した。

だが中国の後を追う国々が、実際にこの「繊維からタンクへ」のモデルに倣えるかどうかは重大な論点である。今後生産拠点となる国が生き残る唯一の方法は、低コストを全面に押し出すことだと主張する者もいる。だがそこには、生活もままならないほどの低賃金や、ないも同然のわずかな権利といった労働問題が付随する。労働コストが安価ならどこへでも流れていく気ままなブランド企業らが、衣料産業に対して、高度な技術を持つ労働者を供給し、インフラを整備し、かつ効力のある法律を教示するなどとうていあり得ない話だろう。

間違った慣習ほど受け継がれやすい。そう考えると、持続的な産業という点で最も可能性のある国は、労働上の悪習が基本的に存在しないエチオピアなのかもしれない。エチオピアは、インフラ整備の遅れという欠点はあるが、現在急成長を遂げている10種類の産業のうち6種類の産業で大陸市場への進出を図っており、これに世界最大とも言える畜産部門(レザー)を合わせると、「30年前の中国」とも言える状態を魅力的な長期投資の対象に作り変える可能性がある。少なくとも中国とトルコはそう考えているようだ。

一方、世界の2大アパレル・メーカー、Huajian Shoes社およびAkya Teksti社では、50の企業が入居し6万人の労働者が働く、数十億ドル規模の「アパレル都市」の開発を計画している。

スウェーデン衣料小売り大手のH&Mもまたエチオピアの将来性に賭け、昨年生産拠点の一部を同国に移転した。また政府系投資ファンドのSwedfundと提携し、持続的成長を目指す3件の新工場を「責任」を持って管理・運営している。

このように新たに経済発展を遂げる国のために倫理的な基盤を作ろうとする動きは、今年6月ミャンマーでのGapの動きにもみられた。残虐な軍事政権のためにかつて「独裁国家」と呼ばれたミャンマーでは2011年、大規模な民主改革が実施された。その1年後、欧米諸国による経済制裁が一部解除された。ミャンマーの衣料産業は今や好調で、2012年に9億ドルだった輸出高が今年は17億ドルにまで達している。

こうした企業らの行動は誠実なものと考えられている。Gapは、米国国際開発庁(USAID)やミャンマーのNGO団体と連携し、衣料産業に対する「略奪と解放」といった概念を払拭しようと努力している。これについて同社政府広報課のDebbie Mesloh課長は「国の重要な時期に力を貸したい」のだと説明し、労働者の立場に立った労働条件の設定を優先事項とするほか、政府との連携で最良の労働慣行が取られるよう監督機関を設置すると述べた。

だがこれを「馬鹿げた行動」と呼ぶ者もいる。労働者権利コンソーシアム(WRC)のScott Nova事務局長もその1人だ。Nova氏は「世界にはまだまだ、企業の社会的責任としてやるべきことがたくさんある」と述べ、「1ブランド企業が1国の問題に介入し、世界をより良いものにしようなどという考えはおこがましい。彼らの行動の裏には、やはり『労働コストの低さを利用したい』という思いがあるはずだ」と持論を展開した。

だが実際のところ、ミャンマーの製造者協会によれば、労働者の月給はわずか30ドルほどで、世界銀行が貧困の指標とする日給1.25ドルをさらに下回る額となっている。

先ごろ公表されたいくつかの報告書では、エチオピアの縫製労働者の月給は37~53ドルと伝えられており、世界で最も賃金の低い国2カ国のうちの1カ国として数えられていた(バングラデシュでは月給約68ドル)。

こうしたデータを重要視する者はほとんどいない。だが、中には低賃金について議論する専門家も存在する。すでに経済発展を遂げている国においてかつての特徴として挙げられるのは、投資家を呼び込むには、初期の段階で犠牲を払わなければならないということだ。近年では台湾、韓国、香港などがこれに相当する。

 

(後編に続く)

 

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最終更新:2014年11月07日06:00

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