インドシナニュース

香港にてアジア発210以上のファッションブランドを紹介(後)

(前編より)

 

Centrestageの期間中、いくつかの基調講演が開催された。講演の一つでは、韓国のブランドJuun. Jを持つSamsung C&T社グローバル展開部門のJean Colin副社長が、このブランドが世界的に有力なファッションに発展するまでについての分析を示した。Colin副社長は、(デザイナーの)Juun. JはSamsung C&Tと提携することによって自身のブランドを成功させるという夢を実現したと述べた。同社ではチームを編成してこのブランドのマーケットポジションを定義した上で、Juun. Jが海外のFashion Weekイベントに参加するのをサポートした。

Colin副社長によると、Juun. Jはジェンダーレスデザインを目指さずに、彼自身が着る服をデザインすることから始まった。しかし彼はすぐに、レディースウェアのラインナップを立ち上げて欲しいという女性からの強い要望に応えるようになった。Colin副社長は、様々な情報が溢れるグローバリゼーションの中にあっても、海外展開を望むのであれば、まずその地の文化的なバックグラウンドを理解し、地元市場にしっかりと根を下ろさねばならないと述べた。彼女はJuun. Jがデザインの中で好んで使っている白について、昔の韓国では衣料品にカラフルな生地を使う余裕がなかったという文化的背景と密接に結びついており、またこの白は中立を表していると指摘した。

今回初めて出展したHausie Showroomは香港に新しく設立されたファッション会社であり、傘下に20以上の国際的なブランドを有している。「当社は今年Centrestageでデビューしましたが、17以上のブランドのファッションコレクション、ジュエリー、バッグについて独占的に取り扱っています。」と創業者のVivian Pang-Williams氏は述べた。「各ブランドはとても好評を博しています。今のところ各市場から20もの引き合いがあり、中にはフランスのGaleries Lafayette、レバノンのAishtiグループや中国本土から複数のブランド店などが含まれます。」

香港ブランドのAstra TailoringもCentrestageで新しいメンズウェアブランドを発表した。デザインを担当するAyumi KwanディレクターとそのパートナーのAngus Tsui氏は、このレーベルではゼロ廃棄デザインとサステイナビリティを重視しているが、その点が中国本土、シンガポール、タイや日本からのバイヤーを惹きつけたと述べた。彼らの商品への引き合いのうち、真剣に取引を検討しているバイヤーは5〜10人もおり、またいくつかの生地のサプライヤーが取引を持ち掛けてきたと同社は明らかにした。

また近年マカオでは、国内のデザインの才能を育てていくことに取り組んでいる。マカオのデザイナーであるLalaismi Wai氏はCentrestageのデザイナーズ・コレクション・ショーに参加して、自身のレーベルであるPourquoiを世界中のバイヤーにお披露目し、日本のバイヤーからの引き合いを受けた。

マレーシアで138店舗を展開するファッション小売チェーンYFSのNicholas Chong CEOは、今回Centrestageに初めて参加したと述べた。「私は既に、いくつかの香港デザイナーブランドに目をつけました。」とChong氏は述べた。「その中にはCIAOのファッションジュエリーやFromClothingOfのレディスカジュアルウェアが含まれており、1万〜3万米ドルほどの注文を予定しています。また香港のデザイナーであるAngus Tsuiのメンズウェアコレクションも魅力的です。我々は1000~4000香港ドルの小売価格帯で、新しいメンズウェアシリーズを共に開拓できないか探っています。」

中国本土から来たHalo Designer ChicのバイヤーであるHenry Pang氏は、Centrestageで望んでいたような香港のデザインをいくつか見つけることができた。「一例としてMethodologyがあり、彼らは2018年春夏のデザインの新作を我々に紹介してくれる予定となっています。注文量としては1~3万人民元を予定しています。また別の香港ブランドであるAnveglosaとも、2018年秋冬向けの毛皮の新作について商談中です。私はまた中国本土のTUDOOという会社の展示スペースで、興味深い海外ファッションブランドをいくつか見つけることができました。」とPang氏は述べた。

 

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最終更新:2017年09月18日13:30

香港にてアジア発210以上のファッションブランドを紹介(前)

ファッションブランドのプロモーションと立ち上げのためのプラットフォームであるCentrestageは、22の国と地域から210以上のファッションブランドを取り上げ、成功裏に閉幕した。4日間にわたるこの国際ファッションイベントでは、最新のブランドやデザイナーによるコレクションが展示され、73の国と地域から8500人のバイヤーが参加し、その数は前年より2.6%増加した。

2017年9月6日〜9日に開催されたこのファッションショーは、香港貿易発展局(HKTDC)により企画された。

タイ、ベトナム、日本、シンガポール、インドネシアのバイヤーの参加が大幅に増加し、アジアからのバイヤーは全体の約40%を占めた。

「Centrestageは、アジアのファッションブランドやデザイナーにとって、プロモーションと立ち上げのための理想的なプラットフォームです。」と HKTDCのBenjamin Chau副社長は述べた。「2年目も好評を博し、Centrestageは引き続きアジアファッション業界の注目を集め続けています。」

このイベントは多くの国際ファッションブランドやバイヤーを惹きつけ、特にアジア市場の開拓を熱望する多くの人々を集めた。また期間中には、世界中のバイヤーやメディアに香港のクリエイティブなデザインを紹介するため、多くの新進気鋭の現地デザイナーがファッションショーを開催した。期間中に多くのイベントを開催することによって、Centrestageは業界の交流を促し、アジアのファッション発信地としての香港の地位を確立するのに成功した。

HKTDCはCentrestageを開催するにあたり、独立系の調査機関に現地調査を依頼して270以上の出展者やバイヤーにインタビューを行い、ファッション業界の見通しや来年の商品トレンドに関する彼らの見解を集約した。この調査によると、ファッション業界では来年の売上について慎重ながら楽観的な見解を持っていることが分かった。回答者の半数以上が来年の売上高を横ばいとした一方で、約40%が売上増を予想した。また、調査対象となった業界関係者の半数が生産コストや調達コストについては変わらないとした一方で、残り半数近くが調達価格や生産コストの増加を予想したものの、その60%以上がこうしたコスト増を売価に転嫁させることはしないと回答した。

市場については、回答者の80%以上が伝統市場の中でも特に香港、韓国、台湾が今後2年間で最も成長が見込まれるとし、新興市場については75%が中国本土を最も有望とした。また回答者の40%以上が東欧とアセアン市場に着目していた。

来年の商品トレンドについて回答者の70%が、レディースウェアに最も人気が集まり、カジュアルウェアとファッションジュエリーがそれに続くだろうとした。そして限定コレクション、ブランドライセンス製品やブランドのコラボ商品などが、来年の商品開発戦略として最も注力されるポイントとなっていることが判明した。

販売チャネルについては回答者の70%以上がeコマースに取り組むとし、この数字は回答の約半分程度であった前年よりも大幅に増加した。このことはファッション業界がeコマースについてますます重視していることを示しており、現在では平均で、売上高のほぼ20%をオンライン販売が占めているという。eコマースで最も販売されている商品は、レディースウェア、カジュアルウェア、メンズウェアとなっている。

 

(後編につづく)

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最終更新:2017年09月18日12:30

ミャンマー:アパレル輸出3億8000万ドルに達する

商務省の発表によれば、本会計年度6月までのアパレル輸出は、対昨年比1億米ドル増の3億8000万米ドルに達した。

輸出の33%は日本向けで、25%がドイツ、25%が韓国、2.4%が米国、2.4%が中国向けとなっている。

今年は新規にEU向けも伸びている。

米国がミャンマーに対して一般特恵関税制度(GSP)を適用したが、アパレル輸出には影響していいない。ミャンマー縫製協会では、最恵国待遇(MFN)及び関税緩和に関して交渉中という。

「われわれは政府に対してアパレル分野で最恵国待遇が受けられるように働きかけています。関税を5%以下にしてほしいと要望しています」とMyint Soe会長は述べた。

米国では、綿製品については10-12%、ナイロン製品については37%の関税がかけられている。

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最終更新:2017年07月12日06:00

タイ:ニットメーカー、新規Bruckner機材を導入

 

タイのニットメーカーNan Yangは、ドイツの縫製機材専門メーカーBrucknerのパワーフレームステンターの導入で同社の垂直的統合型の生産部問はさらに飛躍すると述べた。
アジアでも最大規模の垂直的統合型アパレル企業を自任するNan Yangはニット衣類、ニット織地、綿糸の製造、マーケティングを行っている。
同社は綿、エラステン混合、ビスコース混合等さまざまな布地のTシャツ、ポロシャツ、下着、パジャマ、レギンス、ショーツ、スポーツウェア、ツーピース等の製品を取り扱っている。ストライプ地、プリントなども可能で、同社はナイキ、ユニクロ、ロータス、アンダーアーマー、アディダス等主要ブランドに製品を供給している。
Nan Yangは年間200億トンの糸を生産し、425台の丸編みニット機で200億トンの布地を生産している。
タイとラオスの縫製工場では年間3100万着のニット製品を生産している。同社は最近ベトナムに新工場を設立しており、今年中の操業開始後には年間1800万着の製造能力が見込まれている。
Nan Yangの機材の多くがドイツ、日本、米国、イタリア、台湾やスイスの高級機材メーカーのもので、そうした機材で迅速かつ効率的な生産ライン、コスト削減、機材利用の最適化と労働力削減を可能にしていると同社は説明している。
最近同社の機材に加わったのは加熱乾燥処理に使われるBruckner社のステンターである。サーモゾーンの交互配置、上部と下部の空調を個別に設定できるスプリットフローデザインなど、高度な技術で効率的な乾燥、均質な空気の流れと温度配分が実現されている。
Nan Yangは再現性の高い最終品質と、機材の長期使用を叶える堅牢なデザインにも魅力を感じているとBruckner社は説明している。

 

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最終更新:2017年02月03日13:03

米Remake社、デザイナー紹介を通じてファッション業界に変革

数ヶ月前までAnh Leさんは美しい服を制作したり、New York Fashion Weekでコレクションを発表したり、自分のために自由に働くことを夢見てきた。

この22歳のParsons School of Designの学生は、ベトナムの仕立屋一家に生まれた。そのため、学校で若いデザイナー向けにカンボジアの縫製工場訪問の募集があった際、彼女は喜んで応募した。彼女はその家庭環境から東南アジアの縫製労働者についてさらに詳しく知りたいという興味を抱いており、学校の外でもデザインについて学んでみたいと切望していた。

「工場で働いている女性らと会って一対一で話をしたことは、私にとって人生の転機でした。」とLeさんはNBC Newsに語った。「出かける前からその職場環境が劣悪であることは知っていましたが、実際に人と会って話をしてみるとその実感が湧きました。」

この旅行は消費者意識の向上を社会に啓蒙することを目的として設立された、サンフランシスコを拠点とする非営利団体のRemake社が企画した。メーカーへの視察旅行を企画して双方の会話を促すことで、この団体では縫製労働者と消費者を結びつけ、人や環境を意識した新世代のデザイナーを育成することを目指す。

Remake社はまた、Leさんとその友人の旅を記録した短編フィルムも制作した。

「私はRemake社について、ファッション業界にとって一種の「平和部隊」と考えています。」と創設者のAyesha Barenblat氏はNBC Newsに語った。「私の目標は、この世界について高い意識を持ち、手間を惜しまず美しいファッションを手掛けるデザイナーの未来のために種をまくことです。」

Parsons、Levi Strauss基金とパートナーシップを結び、Remake社は3人のデザイン学生をカンボジア旅行に送り込み、衣料品製造プロセスを最初から最後まで直接目で見せることでアパレル産業の惨めな実情を示した。

カンボジアは世界最大の衣料品輸出国の一つであるが、人権団体は労働権違反や搾取のためこの国の監視を続けてきた。国際労働機関(ILO)によると、カンボジアの縫製労働者の90%が女性であるという。

「デザイン学校を卒業する女性は21歳前後です。」とBarenblat氏は述べた。「世界の縫製労働者の半数は18~24歳の女性です。この実情を知る旅は、サプライチェーンのそれぞれ反対側からキャリアをスタートさせる新世代の女性らを一体化させるものです。」

11月に3日間、Remake社チームはLeさんと2人の同級生に大小の工場で働く縫製労働者のコミュニティを訪問させた。Remake社によるとこの工場見学中に生徒達は、どのように衣料品生産プロセスが動いているのか、1着の衣料品を作るためにどのくらいの人手が必要なのか‐実際ジーンズ1本を生産するのに90〜100の工程が必要なことを、つぶさに観察することができたという。

「私はジーンズを購入している消費者として、労働者が保護具なしにデニムを染色しているなど、実際の工場の様子を観察する機会を得ました。そして消費者としての自分の選択が、彼女らの生活にどのような影響を与えるのかを実感しました。」とLeさんは述べた。

このデザイン学生の旅程には、縫製労働者と個人的に会話をする時間も含まれていた。彼女らはまた、労働組合の組織する会議に出席したり、彼女らの家を訪問したりもした。Leさんとクラスメートは、ファッションデザイン、消費主義、そして衣料品を供給する惨めな男性や女性らとの間に強い共存関係を感じた、と彼女は述べた。

旅を終えた後Leさんは、それでもファッションデザイナーになりたいのか分からなくなったが、こうした状況に変化をもたらしたいと今は確信しているという。

「購買部門で働くベトナム人女性の責任者と話をして、私は本当に心を動かされました。私は将来就きたいと考えていた仕事がどのようなものであるかを知らなかったのです。」とLeさんは言った。「私はファッション業界で働くということは洋服を作ったり売ったりすることだと思っていましたが、今はその根底にある仕事がとても重要であることが分かりました。そして、そこにある問題に取り組む仕事があることを知ることができて良かったです。今私は、こうした問題を解決する方法を見つけたいと考えています。」

 

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最終更新:2017年01月07日06:01

ベトナム:アパレル産業におけるサプライチェーン確立の必要性

ホーチミン市で先週開催されたパネルディスカッションでは、自由貿易協定によってもたらされるチャンスを生かすために、ベトナムの繊維・衣料企業は自国のサプライチェーンにもっと焦点を当てるべきだと発言された。
ホーチミン市・織物・刺繍・繊維協会のPham Xuan Hong会長によると、EU-ベトナム間のFTAなど、特に自由貿易協定に署名して以降、多くの外国人投資家がベトナムに注目しているという。
FTAがベトナム企業にチャンスをもたらすとともに、リスクや課題ももたらす、という意見に参加者達は同意した。
Duane Morris Vietnam LLC の社長であり、在ベトナム欧州 商工会議所の法務委員会の委員長であるOliver Massmann氏は、EU-ベトナムFTAで定められた、いわゆるファブリック・フォーワードの原産地原則がベトナム繊維・アパレル企業にとっての課題となるだろうと語った。
ベトナムは中国、韓国、台湾などからの原材料輸入に依存しており、国内では輸出向けに布地を衣料に変換する裁断-製造-端処理のような付加価値の低い作業を行うに過ぎず、サプライチェーンの中であまり付加価値を生み出していないという。
「国内のサプライチェーンを確立しなければなりません。」
環境保全に取り組みつつも、糸製造と染織を同時に行う必要がある、とMassmann氏は語った。
FTAの結果、ベトナムのバリューチェーンにおける未開拓部分に多くの外国投資が集まる可能性もあり、地元企業が外国のノウハウの恩恵にあずかる可能性もあるとういう。
「これまで繊維・アパレル産業はアウトソーシングを行っていたにすぎません。我々は低い人件費により競争していましたが、それももうアドバンテージにはなりません。競争力を高める新たな推進力を作り出さなければならないのです。」とHong氏は語った。
信頼性の高い原材料の調達先を国内に持ち、技術への投資を行えば、産業に付加価値をつけることになるという。
「TPPの有無にかかわらず、これまで長年にかけて発展したのと同様に繊維・アパレル産業は発展していくのです。」
ベトナム繊維・アパレル産業にとって2番目に大きな輸出市場であるEUは、ベトナム企業の輸出の伸びにつながる大きな機会となる。
繊維・アパレル産業の企業は次年以降の成長を促す施策を綿密に立てているとHong氏は語った。
TUV SUD ASEANプロダクトサービスのGoh Wee Hong上席副社長は、ベトナムの飲食・衣料産業が長い間存分に低賃金労働と低いコストに頼ってきたことに言及し、「イノベーション、品質、そして食品安全に投資する必要性があります。」と発言した。
またTUV SUD VietnamのSathish Kumar Samurai会長は、「ベトナムはFTAを通じて、特にEU、アメリカ、日本、韓国、ASEANなどの主要世界市場とのビジネスチャンスを増やしてきました。これらの協定はベトナム企業に世界市場へのアクセスをもたらすというだけではなく、ベトナムのメーカーがより厳しい品質・安全規制に従うよう求められていることを意味します。」と述べた。
TUV SUDとAGTEKは、厳格な世界品質と安全基準に関する、最新でより深い理解を提供するトレーニングやその他の活動を展開し、地元メーカーが世界市場にアクセスする手助けを協力して行っている。
「自由貿易協定がベトナムにおける商品事業の大勢に与える影響とは?」と題されたこのパネルディスカッションは、TUV SUDの150周年記念イベントの一環であった。
TUV SUDは試験、検査、監査、認証などのサービス提供を世界中で展開している。
将来的にTUV SUDは、FTAによってもたらされるチャンスを最大限に生かすべく、繊維・アパレル産業や食品関連産業を中心に地元企業と提携し、製品品質の信頼性を向上させるサポートをしていくだろう、とSomuraj氏は述べた。
またHong氏は、ベトナムの繊維・アパレル産業の今年の輸出額が5.5%のみの伸びである285億米ドルとなる見込みであると説明した。

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最終更新:2016年12月13日08:03

東南アジアの安い労働力は終りを告げるのか

国際労働機関(ILO)の第16回アジア太平洋地域会議で、ILOタイ・カンボジア・ラオス事務所のMaurizio Bussi主任担当官がSoutheast Asia Globe誌に対し、地域の経済的成長を社会的進歩に変えていく事への課題を語った。

「GDPの成長率やその他のパラメーターから見れば多くの国が急速な成長を見せているのは事実である。しかしながら、社会的進歩とは本質的に仕事の質や保証を意味するもので、ほとんどの国ではこの成長が社会的進歩にはつながっていないという感覚が根強くある。

お決まりの言葉で言うのならば、「高齢化と成長」であろうか。高齢化と、急速に成長を遂げるもののあまりバランスが取れていない、ある種の若い社会における成長である。高齢化が進んでいるのは国であり、数年前に経済システムの構築や経済の多様化のために投資が行われた経済である。今となっては年金や失業手当を支払う時期になっている。

タイの事例を見てみよう。タイは約25年前、年金や住宅保険を提供する体制の構築に多量の投資を行った。現在、国民は引退時期に差し掛かっており、政府は年金の支払いを始めなければならない。

二つ目の動向としては、安い労働力を段階的に打ち切っていく政策を国がどのようにして理解し、実行するかと言うことである。これらの国では過去20〜30年にかけて、安い労働力をベースにシステムを構築し、経済成長を遂げてきた。便利で、労働力となる人々も豊富で、インフラも比較的整った、世界の工場であったのだ。人々は長時間働くことに対し意欲的で、最低と言っても過言ではない価格でたくさんのものを生産したのである。

この傾向は徐々に変わってきており、この種の仕事を受けることに積極的ではなくなってきている。別の発展方法が登場したためなのか、代わりに作業を行う機械の導入のためなのか、又は特定の事を特定の方法で行うことがあまり有益ではなくなったためなのか。このため、安い労働力の打ち切りという道筋を果たして国は本当に理解できるのであろうか。

私の考える3つ目の動向は、経済的統合である。労働力といった側面での経済統合には、統制的な人の移動やスキル証明、社会保障の法律など、いくつもの観点がある。専門職で定評のある人間がA国からB国に移動する場合、同じ職場環境や雇用条件があるのか、住宅保険、基本給付額、年金は同じ条件なのか。帰国すると決断した場合、保障内容を国に持ち帰ることはできるのか。国内の労働者と外国人労働者の間で差別が発生しないことを保証する、スキル認定のメカニズムはあるのか。人々が国から国へと移動することができる、より統合された労働市場。これが、ASEANが取り組んでいることなのである。

そして4つ目は少し横断的なテーマで、労働市場のエネルギーという側面でこれら三つの分野に役立つ持続可能な発展目標の国際的な枠組みを、我々がどのように利用するかということである。政府が、これら三つの分野に価値、原則、規範をしっかり植え付けるために持続可能な開発目標(SDG)の枠組みや、全ての国が取り組みに合意した統計能力の強化や政策の実施をどのように利用するのか、ということである。」

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最終更新:2016年12月09日11:23

アジア繊維輸出業界における最低賃金遵守率の低さ

最新の報告によると、アジアの繊維輸出主要7カ国における最低賃金の非遵守率はフィリピンとインドにおいて最も高く、半数以上の労働者が十分な賃金を与えられていないと言う。

それに対し、国際労働機関(ILO)の調査によると非遵守率が最も低いのはベトナムで、最低賃金以下の額を受け取っているのは労働者の6.6%のみであった。

報告書『アジア繊維輸出業界における最低賃金遵守率の低さ』では、各国で繊維労働者が実際に受け取った賃金を計測するために最新の労働人口調査を行い、その時点で施行されている最低賃金と比較している。

非遵守率が最も高いのはフィリピンで、53.3%の従業員が最低賃金以下の額を受け取っており、それに続くのがインドの50.7%であった。

インドネシア(39.1%)、タイ(37.5%)、パキスタン(37.4%)では繊維業界労働者の3分の1以上が、カンボジア(25.6%)ではおよそ4人に1人が最低賃金を下回る額を受け取っていた。

またアジアの繊維業における最低賃金の遵守率が全般的に低い一方、その不履行の深度は国によって異なっている。

この点においてもベトナムは際立っており、国の定めた最低賃金額の5分の4以下が労働者に支払われる、きわめて著しい不履行率は3.8%であり、比較的穏やかな不履行(最低賃金の80%-100%以下の賃金を労働者が受け取る)率は2.8%であった。

一方でフィリピン、インド、タイ、パキスタン、インドネシアでは最低賃金を大きく下回る額を受け取っている繊維業労働者がそれぞれ大きな割合でおり、フィリピンとインドにおけるきわめて著しい不履行率はそれぞれ38.8%と34.9%で、またインドネシアの繊維業労働者も4分の1が最低賃金を大きく下回る額を受け取っていた。

「最低賃金の99%の支払いを受けている労働者と半額しか受け取っていない労働者では状況が全く異なるため、不履行の深度は重要な側面であります。」ILOの最高技術アドバイザーであり、報告書の第一著者であるMatthew Cowgill氏は述べた。

また調査によると、各国では女性の方が教育レベルが低く、男性よりも最低賃金を下回る支払いを受ける傾向が高いと言う。

男女間の遵守率の差が最も大きいのがパキスタンで、繊維部門で働く女性の86.9%が最低賃金を下回る支払いを受けている。一方男性の数字は26.5%で、非遵守の差は60.4%となる。インド、フィリピン、タイにおいても遵守率には10%以上の性差があるが、パキスタンにおける不均衡は大幅に少なかった。

反面、カンボジア、インドネシア、ベトナムにおける男女間の非遵守率の差は比較的小さい。カンボジアにおける女性の非遵守率は男性よりも4%高く、インドネシとベトナムの男女間の遵守率差はそれぞれ5%と6%のみであった。

報告書によると、最低賃金率と賃金構造の複雑性を含む最低賃金システムの設計は、コンプライアンスを改善する上で重要な検討要素であるという。

労働者及び雇用者代表の賃金修正過程における役割、そして労働市場の管理や労働監査の強固性もまたコンプライアンスに影響を与える。

「ベトナムは近隣諸国と比較した場合優れてはいますが、最低賃金はいかなるレベルの不履行も憂慮すべきものであり、本件は密に監視し続けるべきものであります。」とCowgill氏は加えた。

「もちろん最低賃金の遵守だけが関心の対象ではなく、最低賃金の水準も重要です。近隣諸国と比べ、ベトナムの最低賃金は繊維部門の平均的な賃金の割合としては比較的低いのです。」

ベトナムには、月額240-350万ベトナム・ドン(108-157米ドル)の幅がある、4つの地域別最低賃金が設けられている。 最低賃金の水準は年に一度、政府・雇用者・労働者の組織代表者を含む、全国賃金協議会によって決定される。2014年から2016年の間に、ベトナムの地域別最低賃金は年間約12-15%上昇しており、来年は7.3%上昇する予定である。

ILO/IFCベターワーク計画によって査察された工場では、最低賃金の遵守率が一般的に著しく高いことにILOは注目する。

例えば、Better Factories Cambodia(カンボジア工場改善プログラム)の最新の統合報告書によると、常勤労働者の通常の労働時間に対して1.1%の工場だけが最低賃金を支払わないことが判明した。

ベターワーク計画の独自の査定では、先月、アパレル産業における改善された労働環境と工場の競合性工場の関連性を確立している。

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最終更新:2016年10月12日05:55

韓進海運の崩壊が米国西海岸の港湾ストによる混乱再現の引き金に

世界第7位のコンテナ海運会社である韓国韓進海運が8月下旬に破産申請したことにより、数十億米ドル相当もの商品が宙に浮いており、それがアパレル・履物輸出入業者に与える影響も不明のままとなっている。

商品にはアジアで荷積みを待っている状態のものもあれば、海上にあるものの入港の目処が立たないもの、既に混雑した米国の港にあるが荷揚げが保留されているものもある。現在多くのアパレル・履物企業が恐れているのは、ホリデーシーズンへ向けたデリバリーの期限に間に合わず、小売業者が商品不足による売り逃しの機会費用を請求してくることである。今回の倒産により昨年の米国西海岸(港湾ストによる)デリバリー遅延の大混乱が再燃するのではという心配があるほか、船舶供給能力不足の恐れの増大から、米国の輸入業者に運賃の上昇など更なる負担がかかることが懸念される。

ANZ銀行は最近、成長著しい衣料品輸出に支えられて2016年のカンボジアのGDP成長率は7.2%の増加となるとし、同国の衣料品部門の好調な見通しを示した。しかしよく見ると、カンボジアのアパレル産業を取り巻く状況はそれほど楽観的なものではない。カンボジア縫製業協会(GMAC)によると、アパレル産業の競争力の欠如が大きな問題となっており、カナダ、日本、EUなど、特恵待遇を有している市場に対する輸出のみが伸びている。

Juki社でカンボジア市場の縫製設備営業のマーケットリーダーを務めるGary Yapリージョナル・シニアセールス・エグゼクティブは、低労働コストを競うカンボジア、ベトナム、ミャンマーなどの東南アジア地域の中で、カンボジアは近年の賃金の急激な上昇のためメーカーの利幅があまりにも薄くなり、新設備に投資できないようだと述べた。

バングラデシュでは、包装施設のボイラーが爆発して少なくとも31人が死亡した事故の後、労働者の権利グループがボイラーを含む縫製工場の安全への取り組みを求めている。この爆発は9月10日にダッカから約30 kmにあるガジブル県のTampacoアルミホイル工場で発生し、爆風が巨大な火災を引き起こして3階建ての建物の一部が崩壊した。

工場の安全性はバングラデシュにおける大きな関心事であり、この記憶に新しい悲劇は、「バングラデシュの産業労働者が危険に晒されており、グローバル企業はサプライチェーンにおいて労働者の身の安全を確保するために必要な措置を講じていないことを実証しました。」と労働者団体であるWorker Rights Consortium、International Labor Rights Forum、Clean Clothes Campaign、Maquila Solidarity Networkらは述べている。

これを受け、バングラデシュにおける火災 予防および建設物の安全に関する協定は、是正行動計画(CAP)を提出することができなかった1社を含む4社の衣料品サプライヤーについて、職場における安全対策を怠ったとして除名した。

また最近の研究で、既製服の低コスト生産国としてのバングラデシュの強みが、技術革新の遅れやグローバルファッション業界のバリューチェーンに食い込む能力の欠如から失われつつあると指摘された。コスト優位性が失われた場合、バングラデシュでは他の補完的な輸出産業の育成も危機に瀕することを意味する。

合成繊維は世界的な原油価格の下落により人気が増しているが、この成長は続くと見られており、今後10年で衣料品のブランドがこれらの材料を自社製品に組み込んでいくことになることが予想される。

「なぜ合成繊維が将来に向けた確実な方策となりうるか」というテーマは、just-styleにより発行された4つマネジメントブリーフィングの1つに取り上げられており、残るテーマとして「世界ウール供給の将来見込み」、「低価格のレザーによりもたらされるアパレルブランドのビジネスチャンス」、「コットンの需給チャレンジ」である。

米国は、25年以上停止しているミャンマーに対する貿易上の特恵待遇を復活させようとしている。ミャンマーはかつてのビルマであるが、11月13日から米国の一般特恵関税制度(GSP)に追加される予定である。 GSP制度は米国に対する繊維・アパレル製品の輸出についてはほとんど対象外としているが、GSP国として指定されることは、労働者と知的財産権保護改善の取り組みについての強力なメッセージとなる。

そして米国の選挙に向けて次々と繰り出されるアンチTPPの弁論について、新レポートでは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が繊維の世界取引パターンを変え、米国の繊維輸出に対する需要を減少させる可能性を示唆している。

「米国アパレル生産と環太平洋戦略的経済連携協定」という分析資料が議会の調査局によって発行されたが、TPPが議会や外国政府により承認されれば環太平洋地域に自由貿易ゾーンが確立されることとなるが、繊維産業が最も影響を受ける分野となるだろうと指摘している。

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最終更新:2016年09月24日06:01

韓進海運破綻の余波(後)

(前編より)

 

航空便の利用

船舶に積まれたままとなっている貨物により、Esquel社のTeh氏は約1週間の生産遅延と輸送費の倍増が発生すると予想している。製品を香港から輸送するためにトラックだけでなく、高速船を利用する必要が生じるだろう、と彼は述べた。Teh氏はまた、納期に間に合わせるために工場から製品を航空便で出荷することも計画している。

一部のメーカーでは他の運送会社へ切り替える動きを見せている、とベトナム繊維協会のHoang Ngoc Anh副事務局長は述べた。

中国全土へ向け、履物、事務用品や楽器を出荷するShanghai Lansheng社は、海上で立ち往生している在庫があるかどうか、各事業部門で確認を進めていることを明らかにした。

小売業者はこの騒動の影響度を把握しようとしている中、ハンドバッグメーカーのMichael Kors Holdings社は韓進海運の経営については少し前から懸念を持っていたことを明らかにした。

「当社では韓進海運の船舶で滞留となっているコンテナはあまりありません。ただ現時点で、いくらか(運賃に対する)価格圧力が起こっているようです。」とJohn Idol CEOは水曜日ニューヨークでの会議上で述べたが、この騒動により「極めて長期間の影響がでる」ことは想定していないと続けた。

 

「価格圧力」

同イベントにおいて、Calvin KleinやTommy Hilfigerといったブランドを擁するPVH Corp社のEmanuel Chirico CEOは、韓進海運は同社の事業においてほんの一部しか関係しておらず、「当社には全く影響がない。」ことを明らかにした。

Nike社と Ralph Lauren社はコメントを差し控えた一方で、Hugo Boss社は電子メールでコメントの求めに応じた。

「店の棚に陳列されているべき数百万米ドルもの商品が(洋上に)あり、この影響はどの程度となるかについて小売業者らは強い関心を持っています。」と先週に全米小売業協会(NRF)のサプライチェーンおよび関税政策を統括するJonathan Gold部長は述べた。

また別の業界団体である小売事業者経営者協会(RILA)は、Penny Pritzker米商務長官と連邦海事委員会のMario Cordero委員長に介入を要請している。

韓国で2番手の海運会社であるHyundai Merchant Marine社は木曜日に、東南アジアでサービスを提供するために他の3社と提携し、15隻を配置してこの混乱を収束させようとしていることを明らかにした。

この海運会社を倒産から救うための瀬戸際の努力として、韓進海運グループはCho Yang Ho 会長が拠出する400億ウォンを含む1000億ウォン(9200万米ドル)を提供して、サプライチェーンの混乱を収束させようと努めていることを火曜日に明らかにした。またこれとは別に、韓国の与党Saenuri党は韓進海運グループが担保を提供した場合、約1000億ウォンの低金利ローンを提供するよう政府に要請した。先々週国営の韓国産業銀行が率いる債権者らとのリストラ策の合意に失敗した後、韓進海運は破産保護申請を行った。

「この混乱が韓国全体のイメージを毀損させています。」とソウルのEugene Investment & Securities社のエコノミストであるLee Sang Jae氏は述べた。「この問題が長引いた場合、他のビジネスに対する懸念材料ともなり得ます。」

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最終更新:2016年09月14日12:01

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