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ラオス:アパレル産業が取り残されるリスク

ラオスのアパレル産業は近年衰退の一途を辿っている。

総輸出売上高は、1995年の8700万米ドルから2011年にピークとなる2億1900万米ドルまで増加したものの、その後2015年の1億7400万ドルまで徐々に減少している。輸出に占める衣料品のシェアもまた、2001~2005年に約36%あったのが、2011~2015年にはわずか8%となった。

アパレル産業に対する外国直接投資も、1991~2000年に6500万米ドルあったが、2001~2010年には2900万米ドル、2011~2015年にはついに1000万米ドル未満まで急減した。この減少はどのように説明できるのであろうか?

ラオスのアパレル産業は競争力を失ってきた。ラオスのアパレル産業の比較優位(RCA)指数は、鉱業、電力や電子部品等のその他主要輸出品の出現により、2001~2005年に平均13であったのが、2011~2013年にはわずか4まで低下した。

アパレル産業のRCAはまだ1をかろうじて上回っている(すなわちラオスがまだ、この産業で比較優位性を保っていることを意味する)が、この産業がじわじわと競争力を失っているという衰退のシグナルでもある。

世界市場での需要減少は、この衰退の大きな理由の一つである。ラオスのアパレル産業の大部分は、裁断・縫製・仕上げ(CMT)サービスであり、多くは近隣諸国にある大企業の下請業務である。ラオス産業の規模は、近隣の競合他社よりもはるかに小さい。

縫製工場のほとんどは、内需が弱いため、その生産量を輸出需要に依っている。そのため欧州経済やその他市場の需要低迷は、ラオスのアパレル生産の受注減少に直結する。またラオス縫製産業協会は、最近欧州市場では発注を減らすだけでなく、その需要も安価な製品へとシフトしているようだ、と示唆した。

労働力不足は、この業界における大きなボトルネックとなっている。2012年のタイにおける最低賃金の大幅な増加により、タイの労働市場はラオスを含めた近隣諸国の労働者にとって非常に魅力的なものとなった。

また国内労働市場においても、活況を呈しているサービス部門や製造部門など、他の産業との労働者獲得競争が起きており、特に経済特区で熾烈となっている。そのため特に主要な製造拠点において、アパレル産業が労働力を確保し、それを繋ぎ止めることがますます困難になっている。

アパレル産業における低い労働生産性は、製品当り生産コストの上昇につながる。ラオスの名目最低賃金は地域内でも非常に競争力がある一方で、その労働生産性は近隣諸国と比べて著しく低い。

そのため、労働生産性を加味した実質賃金はかなり高く、結果として利益幅は非常に薄くなっている。この傾向は特にCMTベースの工場で顕著で、賃金が彼らの生産コストの半分以上を占めている。

また、ラオスのアパレル産業においてサポート産業が不足している。必要な資材の大半は、たいてい親企業、契約業者やバイヤーを通じて海外から調達している。ダンボール資材が国内で調達できる唯一の資材という状況である。

国内資材の欠如は、川下業務を取り込む可能性を制限する。小規模なラオスのアパレル産業は、民間部門での経験や処理能力が少ないため、地域やグローバルのサプライチェーンに組み込まれた小さな工程において、シンプルなCMTサービスに特化せざるを得ない。サポート産業の不足もラオスのアパレル産業の発展を妨げてきた。

ラオスのアパレル産業を支援するために一体何を行うことができるであろうか?すぐに着手可能な手段としては、農業から製造業への労働力の移動を促すことによって、より多くの労働力をこの産業に動員することである。

このような動きを促進するために、農業と製造業間の賃金格差を十分に高くする必要がある。各社で独自に賃金を増加させることは業界に高い負担をかける。そのため政府は、労働生産性を向上させ、労働者に対して労働基準や行動規範に関する教育を実施するために、さらなるサポートを提供する必要がある。

ラオスのアパレル産業はアセアン諸国とともに成長することができるよう、特にベトナム、タイ、カンボジアの大企業など、アセアン域内のアパレル製造各社との連携を強めていく必要がある。このアセアン域市場は、各国の強みや限界に基づいた労働部門を持つ一つの統合された生産ブロックとして、グローバルサプライチェーンにおいてより良い扱いを受けることが可能になるだろう。

 


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最終更新:2016年06月13日

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