インドシナニュース

曲がり角に来たカンボジアの縫製業

Nun Vanakさんは、カンボジアの衣類製造業がこの国の何十万人もの人々の人生を変えるのに、どういう役割をしたかを教えてくれる好例である。

この23歳の女性は、これらの縫製工場を稼働させつづけている、ほとんど女性から成るカンボジアの50万人の戦力の一部である。

彼女は自分の収入で、自分と若い娘の生活を支え、工場の他の多数の人と同様に、田舎に住む家族に送金する。これで、地方の田舎の収入は賄われているのが現状である。

しかし、Nunさんや彼女の友人に尋ねれば、彼女らが娘に工員として衣料産業で就いてほしいかと問えば、猛烈な勢いでノーと答えるだろう。

 

これだけやっとけば十分だ

彼女らは誰もが同様に怒りを募らせている。

「私たちの上司は、幾度となく、休みなしで長時間働かせますし、それで、得られるものは、生活を乗り切ることができるだけのものです。」と友人に囲まれながら家の中で彼女はまくしたてるように私に語ってくれる。

女性は抗議に参加している。

カンボジアの縫製工場のストライキと暴力的抗議活動は昨年4倍になっており、国際労働機関(ILO)による最近の報告には、工場の状況は近年ますます悪化していると記されている。

「住むところのない労働者には、給料は足りないし、食物は、値段が上がる一方です。」とNunさんは言う。「私自身は家を持っていますが、交通費と食費がかかります。」

「会社は私たちがどんなに困っているか知りません。『労働者には、これだけやっとけば十分だ。』と考えているのでしょうが、それでは足りません。」

カンボジアは地域ごとに最低賃金を定めている。

Nunさんと友人は、縫製工として1ヶ月あたり74米ドルの給料をもらっていると言うが、これは、カンボジアの正式の最低賃金1ヶ月あたり80ドルのより少ない。

残業代も含めて、彼女らは時々1ヶ月あたり100ドルを家に持ち帰ることができるが、それでも、アジアの他の地域の縫製労働者が得るものよりはるかに少ない。

 

賃金と生産性

縫製業はカンボジアの輸出総額の80%を占め、国の経済の生命線である。

しかしながら、カンボジアの工場の所有者の大部分が外国人である。これまでビジネスが成長してきたのは、低賃金と政府の熱心な私企業奨励策によるところが大きい。

しかし、労働者は、現在、賃金の引上げを要求している。経済が力強く成長しているのであれば、彼らも幾許かの利益のお零れに与かれるべきだと言うのである。

労働者側に対して、工場の経営者らは威嚇と嫌がらせについて不平たらたらで、それ以上スタッフに支払う余裕がないと言う。

「これは労働者のストライキではなく、フーリガンの暴動です。」とカンボジア縫製工場協会代表Ken Loo氏は、ナイキに衣類を供給する工場の外での暴力的な抗議運動のビデオクリップを私に見せながら言う。

デモは6月に行われ、国際的な大ニュースになった。労働者が木製の棒を振るって、岩石を投げる場面だった。暴動鎮圧部隊が群衆を抑えようとしていた。

労働者は要求に関して、ますます好戦的で攻撃的になっているとLoo氏は言う。

「経営者として、私たちはストライキそのものには反対しません」と彼は言うが、「暴力をもたらすストライキ」には断固として反対する。

縫製工場はとても大きな圧力下に晒されているので、もうこれ以上労働者に支払う余裕がないという厳しい現実があると彼は言う。

「賃金が低いと言いますが、カンボジアの生産性も低いのです。」と彼は言う。「ベトナムの賃金はカンボジアの倍かもしれませんが、生産性も二倍くらいです。それで、出来高あたりのコストは同じです。」

「バングラデシュのような国と比較すれば、彼らの賃金は半分ですが、彼らの生産性はおそらくわずかに低いのですが、ずっと低いというわけではありません。つまり、私たちの出来高あたりの単位コストは、高いのです。」

 

手詰まりなのか?

労働者と工場の所有者とのにらみ合いがすぐ終わるということはありえないと国際的な専門家は言う。

「賃金がインフレについていっていないと思います。それで、縫製労働者にとっては、非常に困った事態です。」とILOのBetter Factories Cambodiaプログラム主席技術顧問Jill Tucker女史は言う。

「そういうわけで、カンボジアでのデモはしばらく続くと思います。」

Tucker女史によると、解決策は消費者にある。

「世界の衣料産業を見ると、賃金が全面的に上昇し、原材料のコストが上昇し、光熱費が上昇しましたが、衣類のコストは10年前と変わらぬままです。」と彼女は言う。

「私たちはクロゼットを衣類でいっぱいにしても、同じ金額を支払うか、それ以下です。そうなると、工場はお金を非常に稼ぎにくいです。これは変わっていくべきでしょう。」

「たぶん安い衣類の時代はあとわずかで、それはそろそろです。」

カンボジアは途上の国で、衣料産業は曲がり角にある。

この課題がどう解決されていくかで、おそらくこれからの方向は決まるでしょう。

 

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最終更新:2013年08月16日

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