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ホーチミン市の繊維企業の移転問題の行方は?

長い間、ホーチミン市は繊維企業の市内中心部からの移転方針を提唱してきたが、(7月3日「企業フォーラム」誌53号参照)市は、繊維産業向けに工業団地(IZ)も、工業集積地(ICS)も用意できていない。「企業フォーラム」誌では、この問題に関して、ホーチミン市縫製・編物・刺繍協会会長兼ベトナム縫製・編物・刺繍協会副会長Pham Xuan Hong氏にインタビューを試みた。

 

実際には、ホーチミン市ではこれまでも市の繊維産業の再編を計画していたのだが、2013年初めになるまで、市はこの業界の移転案件の研究に着手しなかったとHong氏は述べる。

 

「企業フォーラム」) なぜこのように遅れたのでしょうか?

 

Hong氏) ホーチミン市の繊維産業の工業団地(IZ)及び工業集積地(ICS)への投資は、2つの問題を抱えています。第一は土地の問題で、市には繊維産業を発展させる方針がなく、繊維産業を常に、労働集約産業と見做すだけでなく、環境汚染の原因にもなると考えるため、繊維産業向けの土地の割当計画はありません。

第二に、繊維産業は現に多くの労働者を雇用しているということです。工業団地の設置が集中すると、工業団地内の同業や地域の他の企業との間で激しい労働力獲得競争が起こりますし、市内から遠くの工業団地に移転すると従業員は落胆して転職するため、労働力を失ってしまいます。

現時点までで、ホーチミン市には、総投資額980億ベトナム・ドンで18haの面積を持つBinh An繊維工業団地(ホーチミン市第9区とビンズン省Di An地区の隣接地域)を除き、繊維産業のための繊維工業団地や工業集積地はありません。けれども、この工業団地は国の投資ではなく、ベトナム繊維公団(Vinatex)が投資主体となっているものです。

繊維に特化した工業団地形成のアイデアは非常に興味深いのですが、現実には難しく、市の繊維産業への案件全体の計画は「無視」されています。

しかし、我々はその事実を認識する必要があります。仮にロンアン省やヴィンロン省に繊維企業が大挙して移転した場合、熟練労働者を確保できないので、困難でありますし、郊外に移動した場合は、労働者は日々の通勤で疲れ、徐々に脱落していくでしょう。

 

「企業フォーラム」) では、具体的な計画が依然として皆無の中、ホーチミン市の繊維企業の安定と発展を維持するための支援策について何か御意見はないでしょうか?

 

Hong氏) 市の中心地区内に残っている企業は、生産規模を拡大したり、労働力を増員したりするのではなく、近代技術を搭載した生産ラインを設備したり、生産性や製品の品質を改善するために管理手法を変更したりするなどの投資の深化が必要でしょう。

 

「企業フォーラム」) 繊維企業が都心から移転するのは正しい政策であるが、市は、たとえば、クチ県のような、中心部からそれほど遠くない場所に工業団地を建設する計画の必要があり、繊維産業の開発のためにはより有利になると言われています。これについてはどうお考えですか?

 

Hong氏) 繊維工業団地の計画は距離だけの問題はなく、環境にも関係しています。

私の知る限りでは、市は、クチ県にも10〜15年先の計画があって、現在、繊維産業のための工場を建設に投資することができる地域も将来は住宅街になりますし、今、繊維工業団地を造っても、将来にはまた移転するとなると、非常に高くつきます。

実際、以前より各企業は自力で移転してきましたし、大企業は、北部、中部、西部まで移動しています。これは、企業の主体的な動きでして、企業は「自立」していかなければならず、現在、国は何の援助の政策も打ち出していません。

 

「企業フォーラム」) 仮に今後、市の繊維産業のための一般的な計画案が完成し、繊維産業用の工業団地や工業集積地ができた場合、その場所に繊維企業を誘致するために、どのような政策や仕組みが必要となるでしょうか?

 

Hong氏) ホーチミン市が工業団地や工業集積地を建設して、繊維企業の投資を誘致し、事業を拡大しても、ここでは多くの困難に直面するだろうといわれています。というのも、そうなったとき、工業団地への企業の投資優遇政策は最早あまり魅力的とは言えず、あっという間に大きく変化してしまうので、優遇性が徐々に失われていくためです。

また、ガソリンや電気等の生産​​のためのコスト上昇や熟練労働者不足の問題が出来上がった工業団地や工業集積地の企業の投資を妨げることになります。

したがって、企業が最も望むのは土地使用税で、繊維企業は工場の建設のために多くの土地を使用するので、毎年、巨額の土地使用税を払う必要があります。そのため、市は10年以上の期間の土地使用税を援助すべきです。また、新しい施設を建設する投資企業へは融資のための優遇政策が必要です。

実際には、工業団地や工業集積地の建設の際、廃水処理の問題が常に最優先されています。一方、繊維企業の中で、特に織布や染色の分野の企業は投資が大規模なので、そうした企業だけが独立した廃水処理システムを構築することができます。廃水処理システムのための投資コストは通常​​、工場建設全体のコストの約50%を占めるので、ほとんどの中小企業には不可能です。そこで、市が工業団地や工業集積地に廃水処理区画を建設し、集中して処理すれば、企業は喜んで使用料を支払うでしょう。一般に繊維企業専用の工業団地、特に織布や染色のため工業団地の建設は非常に重要な役割を持っています。もしこれができなければ、市の繊維産業は徐々に廃れていくでしょう。

繊維産業のためにホーチミン市が工業団地や工業集積地の計画を進める時までには、少なくとも2年程度以内には、市は、材料を製造する企業を集中するための繊維産業専門の工業団地を1つは持っていなければならないと思います。その理由は、環太平洋経済連携協定(TPP)が署名される2018年までに、環太平洋経済連携協定(TPP)の前提条件の一つとして、繊維業界が国内に原材料の十分な調達先を持っていない場合、環太平洋経済連携協定(TPP)からの優遇政策を享受することができないからです。

したがって、市が業界の繊維材料の開発の問題に投資して初めて、各企業は発展のための優遇政策を享受できるのです。

 

「企業フォーラム」) ありがとうございます!

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最終更新:2013年08月06日

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