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ベトナム:人手不足への取り組み(前)

EU-ベトナム自由貿易協定(EVFTA)は、ベトナムがより多くの雇用機会を創出し、労働力の質を向上させる手助けをする構えである。しかし、この先の道のりは本当に厳しい。

EuroChamNguyen Hai Minh副会長は、EVFTAで規定されている厳格な原産地規則は、世界的なバリューチェーンを何とか変えるだろうと言っている。繊維・アパレル製品、履物、エレクトロニクスなどのサプライチェーンに関わる多くの企業は、EUへの輸出で関税の優位性を享受するために、生産施設をベトナムに移転する可能性がある。さらに、貿易協定は、投資保護協定(IPA)と共に、欧州企業、特に中小企業がベトナムでの投資決定に対する信頼を高めるのに役立つだろう。

例えば、EVFTAの署名で最大の利益を得ているとみなされる繊維・アパレル産業がある。ベトナムの繊維・アパレル部門は、バリューチェーンで最も低い付加価値を得る下請け業務を主に行っているため、アクセサリー、織物、染色など部門関連の国内支援産業は弱く、よって必要な製品が国に輸入されなければならない。一方、EVFTAは原産地規則に非常に厳重な規制を課している。関税インセンティブを享受するには、企業はサプライチェーン施設をベトナムに移転する必要がある。

これらの機会を得るためには、繊維・アパレル業界は、より包括的な発展を期待しなければならない。その結果、業界の持続可能な競争力は、安価な労働力だけでなく、近代的で柔軟性の高い生産チェーン、または繊維や布を生産する能力に依存する必要がある。言い換えれば、業界はより高い現地調達率を達成するために努力しなければならない。

「労働供給に対する需要が高いほど、新しい状況における労働の質の変化を引き起こすでしょう。これは経済にとって難しい問題です。」とMinh氏は言っている。

Piaggioグループのアジア太平洋人事責任者でEuroChamのメンバーでもあるPham Hong Quan氏は、ベトナムの労働の質は今のところ良くなっているが、今後さらなる改善のために多くのことをしなければならないと主張している。

「人材育成は短期主義で見られてきました。企業のリーダーシップスキルは、一般的にそれほど良いものではありません。また、ベビーブームの時代に多くの労働者が生まれたため、ITのアクセシビリティやアプリケーション能力は限られています。」とQuan氏は言っている。

一方、労働者が新しいスキルを得る能力は、地元の予備労働力のもう一つの弱点であるとQuan氏は言う。何故なら、彼らが世界の企業界で何が行われるかではなく、主に個人的な経験を頼りにして解決策を見つけるために問題を分析し評価するからである。

EuroChamによれば、ヨーロッパ企業が労働力を期待することと、後者が実際に何ができるかということとの間には、かなり大きなギャップが見られるという。資格を持つ人材不足は、ベトナムの労働市場が直面するもう一つの欠点である。

Minh氏は、ヨーロッパの企業が労働者の募集に厳しい規制を課していると付け加えている。最も一般的な基準には、専門的なスキル、経験、能力と外国語能力が含まれている。コミュニケーションスキル、プレッシャーや柔軟性の元で働く能力などのソフト面のスキルもヨーロッパの雇用者に求められている。

ベトナムの熟練労働力不足は、欧州企業のみならず、全国企業にも当てはまる。ベトナム商工会議所(VCCI)が実施した調査プロジェクトによると、世論調査を受けた企業の55%が、高いスキルを持つ人材を採用するのが難しいと回答している。別の調査では、回答者の85%が上級管理職の採用は本当に厳しい問題であると主張している。

「このような労働市場の質は、特にインダストリー4.0において、今後の経済における労働力の原動力にはなることができない。」とVCCIVu Tien Loc会長は言っている。





(後編につづく)



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最終更新:2019年11月15日

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