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インドネシア:H&Mとウォルマートが中国から撤退し、生産移転か?

米中貿易戦争が長期化する中、インドネシアの縫製メーカーが世界のサプライチェーンにおける急激な変化に対応し始めた。市場規模は10億米ドル以上と見込まれる。

JCペニー、Guess?、ウォルマート、H&Mなどの主要ブランドのアパレルを製造しているSri Rejeki Isman PT社は、中国外においてサプライヤーを多様化しようと、ファッション業界大手からの問い合わせに精力的に応じている。

「米国のとある大手企業は大きな方向転換を望んでおり、その規模は10億米ドル近くになります」と同社の最高経営責任者Iwan Setiawan Lukminto氏はインタビューで述べた。インタビューの内容は秘匿とされ、詳細は明らかにされていない。両超大国間の貿易摩擦の高まりが、数十年にわたり世界の工場であった中国から生産の軸足を移すことを世界の企業に強いる中で、インドネシア、特にその繊維部門は、恩恵を受けることを望んでいる。企業は今、米国向け製品への関税を回避するために、台湾、ベトナム、バングラデシュといった他地域からの供給ラインを確保しようと躍起になっているが、インドネシアはこれまでのところ、煩雑な手続や厳格な労働法などの障壁のために遅れをとっている。

Lukminto氏によると、米国のドナルド・トランプ大統領が中国で生産される製品の関税を大幅に引き上げたことを受け、製品供給に関する問い合わせの数は昨年から急増していると述べる。

「爆発的に増加しています。顧客は、どの国がビジネスの準備ができていて、中国に取って代わることができるかを探しています」と彼は言う。

米国市場は現在、Sri Rejekiの輸出の13.6%を占め、前年の約3%から上昇している。Lukminto氏は、急増する需要に対応するため、来年には生産能力を5倍に増やす計画だ。この事実は、世界的な商品需要の減速に直面している東南アジア最大の経済大国において、有望株として着目されつつある繊維メーカーにとって朗報だ。インドネシアの8月の輸出は10ヵ月連続で減少し、政府は今年の成長率見通しを5.3%から5.1%に下方修正している。

インドネシア繊維協会はJoko Widodo大統領に改革を加速させ、2017年の125億米ドルから来年には146億米ドルの輸出目標を達成できるよう働きかけている。Widodo大統領は今月末、任期5年の2期目の就任式を控え、製造業の再生を目指している。Jokowi氏として親しまれている大統領は9月、世界銀行での説明において、インドネシアが中国からの撤退を望む企業を誘致する上で、近隣諸国と比べて苦戦していることを明らかにした。

 

衝撃的な「モーニングコール」

世界銀行がJokowi氏と政府高官に提示した数字によると、今年68月の間に、中国上場企業の33社が海外生産を開始・拡大する計画を発表し、そのうち23社がベトナムに進出した。他はカンボジア、インド、マレーシア、メキシコ、セルビア、タイへの移転があったが、インドネシアへ移転した企業はなかった。

MaybankのシニアエコノミストであるChua Hak Bin氏は、豊富な労働力、競争的な賃金、十分な土地があるにもかかわらず、「インドネシアは貿易多角化や新規サプライチェーン投資から得られる利益においては立ち遅れているように見えます。官僚主義的な規制、保守的な労働法、高い貿易障壁がその魅力を損なっています」と述べる。Jokowi氏は、中国からのビジネスを誘致するために閣僚への要求を高めている。Lukminto氏は、貿易戦争は「米国企業に対する警鐘」であり、中国からの移転拡大を促しているが、インドネシアの地元産業と政府にとっても警鐘となったという。

「政府がこれに関心を示さなければ、私たちは心配したでしょう。しかし今政府は耳を傾けています」とLukminto氏は言う。インドネシアの経済団体は、世界で最も寛大と言える解雇規定を含む労働法の見直しを政府に求めている。また、規制環境を緩和し、外国投資と所有権の規制を引き下げるすることを望んでいる。

 

結果

投資を呼び込む努力の一部は実を結び始めているが、Sri Rejekiのような地元企業にとっては、より多くの競争を意味するかもしれない。台湾のスポーツウエアメーカー、Eclat Textile社は先月、リスクの分散・軽減を目的に、インドネシアに製織・縫製工場を設立するため、17000万米ドルを投資する計画を明らかにした。貿易戦争が合意に達するであろう肯定的な兆候はいくつかあるものの、地政学的な対立はまだまだ終わっていない。米国と中国の交渉担当者は今月、貿易交渉の新ラウンドを開始する予定だ。Lukminto氏は、特に中国で事業展開し代替国を探している米国繊維会社を指し、「誰もがどう動くか心配しています」と述べた。問題なのは、中国の製造能力の代替・再現が難しいことだ。同氏によれば、中国は世界市場の生産能力の30%を占めているのに対し、インドネシアは2%にすぎない。

「全てを代替することはできませんが、弊社は大手企業からも拡大を求められています。大手企業らは、真にそういった機会を必要としています」とLukminto氏は言う。

 

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最終更新:2019年10月07日

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