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ベトナム:Nikeのサプライヤー、中国に続きベトナムからも撤退

世界貿易の新たな常識は、安全な港はほとんどないということだろう。これがEclat Textile Co.が学んでいる教訓だ。

Nike Inc.とLululemon Athletica Inc.へのスポーツウエア・サプライヤーであるEclatは、2016年、製造条件が理想的ではないとして中国から撤退し、代わりにベトナムへの投資を決めた。世界貿易戦争が激化する今、Eclatは再び危機に陥り、ベトナム以外に進出する必要が出てきている。

「世界情勢から判断すると、今最も重要なのは多様化です。顧客はまた、リスクを分散するため、ひとつの国に生産拠点を置くことを望みません。現在、当社の衣料品の50%はベトナム製ですから、十分に分散化できていません」とHung Cheng-hai会長はインタビューにて述べた。

米中貿易摩擦の高まりは世界の供給ラインを混乱させ、企業はアジアの国から台湾、ベトナム、バングラデシュなどの国に生産の軸足を移すことを余儀なくされている。しかし、ドナルド・トランプがベトナムを最大の貿易濫用国と呼び、鉄鋼に高い輸入税を課していることで、世界的な供給ハブとして機能できる関税に耐性のある国はないということに企業は気づき始めている。

Eclatは現在、顧客へのサービスを迅速に行うことができる、複数のより小規模な地域製造ハブの設立を目指している。Hung会長によると、同社は今後3年間、ベトナムでの工場増設や事業拡大を検討しないという。その代わり、インドネシアやカンボジアなど東南アジアの新たな工場に投資する。Hung会長は、取締役会で年内に具体的な場所を決定し、8000万ドルを投じて同地域に120の生産ラインを建設する予定だという。Eclatの株価は2か月以上ぶりに3.5%上昇し、加権指数の上昇0.5%を上回った。

大和のアナリストHelen Chien氏によると「サプライチェーンにおける競争優位」にてEclatは多角化の点で同業他社を上回っており、長期的な視野で見れば良い環境にあるという。

 

プランB

米国と中国は合意に向けた交渉を再開したが、長年「世界の工場」である中国に依存してきた世界中のサプライチェーンが恒久的に変化しつつある。

インテルは世界的にサプライチェーンの見直しを進めていると述べており、アップルやアマゾンも「プランB」に取り組んでいると報じられている。

だが近隣アジア諸国での生産も限界に達しつつある。

「例えばベトナムは完全に飽和しています」と今月初め、世界最大の消費財サプライヤーであるLi & Fungの最高経営責任者Spencer Fung氏はブルームバーグの取材に答えた。Eclatは2016年に現地労働力が不足し中国の工場を閉鎖していたため、米国の関税引き上げの打撃を免れた。

Hung会長によると、「「メイド・イン・チャイナ」は5年以上前の時代」であり、一人っ子政策世代の若い中国人労働者はもはや工場で働くことを好まないという。同氏は「中国への投資には慎重であり、労働集約的な事業には投資しないつもりです」と述べた。

Cathay SecuritiesのアナリストRae Hsing氏は、サプライチェーンが分散すれば、Eclatの潜在的な関税リスクが低下し、長期的にはコスト削減にも役立つ可能性があるとし、同社の投資判断をニュートラルにしている。Eclatの戦略はうまくいっているようで、同社の2018年の利益は前年比で44%増加したと報告している。同社の株価は今年13%上昇した。

Hung氏は柔軟性を重要視している。例えば、関税対応における不確実性は、顧客のサプライチェーンにおける要件計画を困難にしており、顧客は注文時により保守的になる。Eclatは注文をより早く届けることで対応した。柔軟な姿勢を示すことで、同社はさらなるサプライズ材料を積極的に取り入れることができる。

「もし今の状況が心配なら、インドやメキシコへの投資についても心配する必要があります。心配は尽きません」と彼は言った。

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最終更新:2019年07月18日

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