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ミャンマー:Gapが事業を再検討する理由

4年前、アパレル大手Gapがミャンマーでアパレル生産を開始すると力強く発表した。人権に対して「最善の取り組み」を行うと約束した同社広報は、Gapによる生産合意を「ミャンマーにとって歴史的瞬間」だと呼んだ。現在、同国におけるGapの事業継続の正当性を判断するのは極めて困難である。

国連と非政府グループによる最新の報告書は、ラカイン州のロヒンギャ族に対する2017年のミャンマー政府による攻撃を広範囲に渡って記録し、国連はこれを「大規模で行われた」非人道的犯罪と結論付けた。先月発表された国連報告書は、殺害、レイプ、「大量殺害の意図」についてミャンマー国軍を糾弾し、国連は政府高官らに対する訴追を要求した。

ロヒンギャ族への残虐行為に対し断固とした姿勢を見せる国際的企業もある。例えば、フェイスブックはMin Aung Hlaing国軍最高司令官および軍幹部らのオンライン・アカウントを削除した。フェイスブック広報のRuchika Budhraja氏は同社による措置について、「彼らのフェイスブック使用がミャンマーにおける民族および宗教的緊張を煽っていた可能性があると私達は考えています」と述べた。

Gapや他の小売業が直面している決断は、これほど明確にはいかない。アパレルや国際ブランドのような低賃金かつ労働集約型産業は、常に賃金が低く政府規制が緩い国々へ生産を外部委託する。ファストファッションの時代および競争の激しい市場において、生産コスト管理は成功のためには不可欠だ。中国における賃金が上昇し続けているため、国際的ブランドや小売業者は彼らの製品を安く生産するための他の国を探している。こうのような国には、ベトナムやバングラデシュ、最近ではミャンマーやエチオピアがある。

これらの国々における賃金は概して低く、労働者たちは長時間労働を強制され、危険な状況下に置かれることが多い。彼らに団結権が与えられていることは稀である。このような状況や、より配慮するべき他の慢性的問題があるにもかかわらず、ミャンマーのような国における世界経済のグローバル化は概して有益な効果をもたらしている。グローバル化経済が創出している何億もの新たな雇用は、世界的貧困の大幅な減少に貢献している。世界銀行によると、1990年には東南アジア人の62%が一日1.9米ドル未満という極貧の中で暮らしていたのに対し、現在その割合は5%にまで減少している。

大手アパレルメーカーとして2014年にミャンマーへ進出すると決めたGapの判断は、このような広範囲に渡る経済環境の中で行われた。Gapの広報は当時、「私達はミャンマーで外部委託を開始するアメリカ初の小売業者として、同国女性への機会創造や持続可能なアパレル業界構築において主導的な役割を果たすことが重要だと認識しています」と説明した。

アメリカが人権侵害に対するミャンマーへの制裁を解除した翌年、同国の改革へ向けた動きを国際的に承認する証として、アメリカ政府や他の国々がGapのミャンマー進出を大いに称えた。現在、改革努力は停滞している。その証拠として、今週、自身の仕事をしたロイター記者2人が禁固7年の有罪判決を宣告された。ロヒンギャ族への大規模な人権侵害と同様、これら記者の投獄は、民主主義国家の中心的要素となる文民統制強化を求める声を受け入れない軍によって完全制御されている政府が生む副産物である。ミャンマーにおける人権をめぐる状況が悪化し続ける中、Gapのような企業は、非人道的犯罪行為や自国民に対する大量虐殺行為で非難されている軍指導者が支配する同国で事業を行うべきかどうか検討する必要がある。



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最終更新:2018年09月12日

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