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ベトナム:民俗画が流行ファッションに(前)

壁に絵を描くのは新石器時代に逆戻りするようなものであるが、衣類にアートを施すのがベトナムで衣類を着用する人や、それを見て楽しむ人にとって新しい体験となっている。

今日では多くの若いアーティストらが、プリント工芸品として伝承されてきた民俗画のデザインを、ジャケットや伝統的なロングドレスであるアオザイ、さらには靴にまで展開することに熱心に取り組んでいる。

彼らは近年人気の失われていた伝統的な民俗画に感銘を受け、この芸術を復活させ、現代の生活に取り入れる方法を模索している。

デザイナーのĐng Ngc Hân氏は、昨年11月に開催されたAPEC Weekの芸術イベントにおいて、Hàng Trngプリントにインスピレーションを得た伝統的なロングドレスのアオザイ・コレクションを誇らしげに披露した。このコレクションはベトナムの伝統芸術を称えるだけでなく、海外からのゲストも大いに喜ばせた。

「私が作ってきた数多くのアオザイ・コレクションの中にHàng Trngプリントに感化された要素を取り入れることによって、同時に2つのベトナム文化を紹介することができます。」と彼女は言った。

(伝統的にHàng Trngは紙の作品で、彫刻による木版によって黒インクで輪郭が描かれ、内側は人手によって様々な色で塗りつぶされている。芸術的に類似性を持つĐông Hも木版で制作されているが、異なる色合いを持つ)。

Hân氏は、2016年にハノイで開催されたアオザイ・フェスティバルにおいても、自身のコレクションを発表した。彼女はすべての人々が着用できる製品を作りたいと考えており、コレクションの中には、子供、障害者、肥満の人々向けにデザインされたものもあった。彼女にとってこのフェスティバルは、アオザイと民俗画を人々に再び広めるチャンスとなった。

「このコレクションはベストセラーとなりました。」とHân氏はベトナムニュース紙に語った。「大人も子供もこのデザインを大好きになってくれました。また外国人も、このコレクションのロングドレスを暖かく受け入れてくれました。」

「多くの親たちはベトナム文化を風化させないために、子供たちにHàng Trngプリントのアオザイを購入しています。子供たちはこの民俗画がどのようなものであったか忘れていたかもしれませんが、この服を着用することで思い出しました。」

人々がベトナムの民族芸術について話すとき、通常Đông Hプリントを念頭に置いており、Hàng Trngプリントはあまり知られていないようである。それが故にHân氏は、Hàng Trngプリントをデザインに使用することを決めた。

Hân氏はHàng Trngプリントに関する多くの書類を読んだ。彼女は、経験豊富で、おそらくこのジャンルにおける最後の芸術家であるLê Đình Nghiên 氏にも相談した。彼は古来より紅河デルタに伝わるこの伝統的な絵画を保存するために、最善を尽くしてきた。

HânさんからHàng Trngプリントをアオザイに利用することについて相談された時、私はとても驚きました。」とNghiên氏は言った。

Nghiên氏は、彼や家族が何年もかけて収集した絵や資料をHân氏に貸してくれたため、彼女は豊富なデザインから選択することができたという。

Hàng Trng民俗プリントには、宗教、旧正月、社会的な風習、人気の物語のイラストなどが含まれる。

この民俗画は一般的にカラフルで、赤、オレンジ、黄、ピンク、緑や青などの強い色彩が特徴的である。こうした基本色は独特なスタイルを表現するのに使用されている。

一部の職人は、木版を用いて絵のベースとなる黒い輪郭をプリントし、そのあと内側を埋めていくが、また別の職人は木版を使用せずに、絵をすべて手で描くという。

その後、貼り付けのプロセスに移る。絵は通常、木の樹皮から作られたpoonah紙に描かれているが、この絵を折り目を付けずに平らに保ったまま貼り付けるのは熟練のスキルが必要である。

だが、最も高度な作業は着色のプロセスである。絵は層ごとに着色されるが、最初の層が乾燥して初めて2番目の層に着手が可能となり、各絵に「魂」が込められていく。鮮やかな色合いは熟練した職人にのみ作り出すことができるという。

ハノイ建築大学の講師であるTrnh Thu Trang氏は、何年も前にイベントでNghiên氏と会い、共にこのテーマに取り組み始めた。

Trang氏は、自身がHàng Trngプリントに完全に魅了されていると言った。「私の目の前に広がる色彩の世界です。」と彼女は言った。「その鮮やかな色は私を魅了しました。私は当時の絵に恋してしまいました。」

最近彼女は、Nghiên氏が制作した絵画や、そのデザインを衣服に取り入れるための彼女の研究書を扱った展示会を開催した。

この展示会は「The New Classics」というタイトルで、125日までハノイのNguyn Thái Hc 通り115にあるĐông Aギャラリーで開催されている。民俗画は伝統芸能の一部であるが、若者の多くはほとんどそれを見たことがないという。

Trang氏は、若い芸術家らによるHàng Trngプリントを保存する取り組みや、Nghiên氏のサポートを受けて、子供たちにこの芸術に対する解釈を指導するなどの支援を行うために、’S’ Riverグループを設立した。

このS’ Riverグループは、衣服や商品の包装などにHàng Trngプリントのパターンや色を組み合わせるという現代的な方法を採用している。それでもこの芸術の「魂」は残されている。

Hàng Trngプリントは古典だけでなく、現代的なテーマもカバーすることができます。私は、旧正月のドライフルーツボックスや米クラッカー、スリッポンなどの製品にも現代的なデザインのHàng Trngプリントを活用したいと考えています。」と彼女は言った。

Trang氏の「Ha Sc Vit(ベトナムカラーの絵画)」と題した本では、Hàng Trngプリントの色、模様や内容だけでなく、現代製品に応用する場合の可能性についても紹介している。

「私はHàng Trngプリントをデジタル化し、グラフィックデザインにも活用しています。」と Trang氏は言った。「私は他の人々にも、これらのパターンを使用してもらえるよう、インスピレーションを与えたいと思います。」

これはHàng Trngプリントの価値を分析するための、ベトナムで最初のプロジェクトとなった。彫刻家で講師でもあるNguyn Xuân Thành氏は、そのプリントを見に展示会に行ったと述べた。彼は、Trang氏やHân氏のような若者がいなければ、「このジャンルは失われていたかもしれません。」と言った。

Thành氏は、デザイナーらがĐông HKim Hoàngのような他の民俗画を再発見することを期待している。



(後編につづく)



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最終更新:2018年01月27日

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