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カンボジア:出稼ぎ労働者には高い賃金が一番の魅力(前)

タイ南東部チャンタブリー県にある店で、23歳のカンボジア人労働者のChheng Chhor Laihiengさんは母国から離れて働くには十分な訳があると言った。

最低限の教育しか受けておらず何の技術も持っていないにもかかわらず、Laihiengさんはケーキ販売で1日12米ドルを稼ぐことができ、彼の故郷のトボンクムン州で農業を営んだ場合の1日4米ドルの収入と比較して大きな違いがあるという。

「故郷で縫製労働者や建設労働者としての仕事を見つけることもできたでしょうが、ここチャンタブリー県で得られる収入と比較すると、稼げるお金はほんのわずかです。」と彼は言った。

Yan Muonさん(30歳)は3年前にカンボジアを離れたが、それまでの仕事であるフルーツ売りや建設労働者では月々の請求書を支払うことができなかったと言った。現在彼はマレーシアの電子部品製造工場で働き、毎月400米ドルを稼いでいる。

Muonさんは、国を離れることによってより良い労働条件を得ることができたという。

「それは1日8時間労働、無料の寮や食料を買う余裕などです。」と言った。

タイとマレーシアで何十万人もの不法移住労働者に対して行われた最近の取り締まりや、カンボジア人が突然、パスポートを取得するために大挙して帰国したという事象は、カンボジア人労働者にとって近隣労働市場がいかに魅力的であるのか、そしてこうした労働条件の格差がいかにトラブルを招くのかを示している。

約2百万人おり、その多くは未熟練労働者であるカンボジア人が、建設現場や製造業を中心に東南アジア諸国で働いていると推定される。

カンボジア政府はその経済成長と改革を誇っているものの、労働者や労働権活動家らは、同国では経済発展を遂げている中で、未だブルーカラーの労働者に対する労働権は満足に与えられていないと指摘する。

労働者の大量流出の一方で、カンボジアにおいても大きな労働需要があると、国際建設林業労働組合連盟(BWI)のプロジェクト・コーディネーターを務めるKhun Tharo氏は述べた。

カンボジア国内は低賃金で、トレーニングの機会が不足しているため、労働者をつなぎとめておくことができないのだと彼は言った。

「ここには多くの仕事があります。産業には労働力が不足しているのです。」と彼は言い、建設業界を例に挙げた。

BWIの最近の調査によって収集されたデータによると、カンボジアでは一般に建設労働者は1日当たり約7米ドルの収入を得ている一方で、タイでは、1日当たり約10米ドルの収入が期待できるという。

さらに悪いことにカンボジアの賃金水準にはばらつきがあり、小規模な下請業者では1日あたり4~5米ドル程度しか支払われないこと多くある、とTharo氏は言った。

カンボジア建設業者協会の代表を務めるOum Tivorn氏は、業界には多くの求人があり、熟練工であれば1日12~15米ドルの収入が得られるのだが、残念ながらほとんどの労働者には技術がないと指摘した。企業では代わりに、技術を要する仕事については熟練した外国人労働者に頼っている。

またアパレル産業においても安定した労働需要があるが、労働者を引き付けるには賃金を引き上げることが求められている、とアジア開発銀行の主任エコノミストであるJayant Menon氏は述べた。

「製造業の雇用が完全雇用に近づくにつれ、プノンペンにおいて郊外からの労働者を雇用するには、賃金と福利厚生の条件を引き上げる必要が出てきました。」と彼はメールにてコメントを出した。

また、「ですが、賃金の引き上げは段階的に進められるべきで、可能な限り生産性の改善にリンクされるべきです。」と続けた。

現在約70万人の労働者を雇用しているアパレル産業は、最低賃金を規定する唯一の産業部門である。警察がデモ隊に発砲し、5人の労働者を殺害するという致命的な武力鎮圧事件が発生した後、何年もの停滞期を経て政府は2014年以降最低賃金を設定、増額し続けてきた。

以降最低賃金の金額はほぼ倍増し、現在では月額153米ドルに設定されている。 今月にまた賃金交渉が再開され、来年1月には新しい最低賃金が改定される予定となっている。

今年2月、政府はすべての産業における最低賃金を設定する法案を起草すると発表したが、その際公約された公開討議の開催日程はまだ確定していない。これまでこの法案の進捗状況について繰り返し問い合わせがなされたものの、労働省のHeng Sour広報担当者は回答を提示していない。

(英国Economist誌の調査部門である)Economist Intelligence Unitで地域分析チーフアナリストを務めるMiguel Chanco氏は、国の統一最低賃金制度はカンボジアの産業間におけるバランスをとるのに役立つと述べた。

「現在のシステムは他の産業で働く労働者を引き抜いて、賃金がより高く安定的なアパレル産業で働くよう多くの人を誘導しており、理想的とはいえません。」

「国の最低賃金制度は、透明性が確保される場合(例えば賃上げ決定プロセスの透明性が確保されているような場合)、または州別に柔軟性を持たせるような場合にのみうまく機能するでしょう。」と彼は続けた。


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最終更新:2017年08月07日

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