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カンボジア:アパレル産業はいかに自動化時代を生き抜くか(前)

専門家らは自動化が製造業の未来を担うことになると予測しており、このことはカンボジアの縫製労働者60万人に大きな影響を与える可能性がある。

カンボジアの60万人の縫製労働者は、毎朝国中の工場の門をくぐり、国家経済の最大の基幹である輸出品の生産に備える。大半の労働者は、Tシャツ、靴、ドレスを手作業、または簡単な設備で裁断し、縫製を行っている。ベトナムやタイの労働者と比較して、彼らは労働力としては「低技能」、あるいは「未熟」であると一般に考えられている。

だが近いうちに、この状況は一変する可能性がある。

国際労働機関(ILO)は7月、カンボジアのアパレル産業の未来において、生産の自動化が繊維・衣料品・履物(TCF)産業で雇用される労働者の88%に重大な影響を与えると警告する報告書を発表した。従業員に対する影響は致命的なもので、「カンボジアのようにTCF産業が未熟な製造業の根幹をなしており、製造業雇用の約60%を占めるような国々においてはその影響はより深刻なものになるだろう。」とこの報告書では指摘している。

プノンペン郊外にある縫製工場の工場経営者は匿名で、アパレル産業においては賃金の上昇、低付加価値生産、地域間競争の激化などにより、経営者として自動化へ期待することは当然であると述べた。その結果、仲間の企業経営者ら(その多くはカンボジア人以外)もほとんど、「人よりも機械に投資する」意欲が高いが、それは、機械は生産性が低下せず、撤去も自在であるためだと指摘した。

8月に公表されたILOの最新の報告書では、この匿名の話と同様の結論が示された。ベトナム、バングラデシュ、そして将来的な競合国であるミャンマーなどからの供給が増加した結果、主に米国や欧州の海外ブランドの調達価格が下落していることが分かった。2006年から2015年の間に、カンボジアから輸出される衣料品の売価はわずか5.4%の上昇にとどまる一方、縫製労働者の賃金は2010年の月額61米ドルから今年は140米ドルへと飛躍的に増加した。今年9月に縫製労働者の最低賃金に関する年次交渉が再開されたが、労働組合はどれほどの増加を望んでいるのか、その要求額を公表することはなかった。

「投資家らは投下資本に対する一定のリターンを求めるが、それがもし得られないのであれば、彼らはカンボジアのアパレル部門にさらに資本を投資することを再考するかもしれない。」とこの報告書は指摘した。確かに、カンボジア縫製業協会のKen Loo会長は現地のメディアに対し、今年は協会に所属する工場のうち35社が新規開業したのに対して70社が閉鎖したが、これは投資回収に苦戦していることを示しているとの見解を示した。

8月のILO報告書は、業界が競争を生き抜くには、企業経営者はグローバルブランドに対して生産コスト負担の引き上げを求めるか、生産性を劇的に高める必要があると結論付けた。第3のオプションとして賃金削減があるが、これは議論もされておらずありえそうもない。その上で多くの場合生産性を向上させる最善の方法は、労働者と同等の裁断や縫製を行うことのできるロボットの導入から最新の3Dプリント、コンピュータ設計などの自動化を通じたものである。

カンボジア アパレル労働者民主連盟のAth Thorn会長は、企業経営者が労働者の低い生産性について述べるのは身勝手であるという。生産性が低いのは、企業経営者が労働者を不当に扱い、モチベーションを低下させていることが問題なのであり、本当に苦しんでいるのは企業経営者ではなく労働者側であると述べた。第1四半期に業界収益は14.5%増加の18億米ドルにも上ったというILOの報告が彼の発言を裏付けるものとなっている。

「権利が侵害されないのであれば、労働者らはできるだけ円滑にアパレル業界が機能するように働くでしょう。」と彼は述べた。

Ath Thorn会長は、労働者の待遇改善と同様に労働者の権利の尊重について見直すべきであり、労働者により良い職業訓練を提供したり、長期雇用契約を締結したりすることによって生産性を向上させることができるが、それらに取り組む企業経営者は最新設備の導入を検討する経営者ほど多くないと続けた。

 

(後編へつづく)

 


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最終更新:2016年12月14日

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