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ベトナム:オンライン仕立てサービスがブームに(前)

ホーチミン市のある起業家カップルは、オンラインでの仕立てサービスを本業とするかたわら、カスタムTシャツを注文することができるスマートフォンアプリを始めた。

「このスーツはどこかがおかしくて、着れたものではないよ。」とTran Dam Minh Phuong氏(33才)の外国人上司は、買ったばかりの服について不満を述べた。

それを聞いたPhuong氏は、ホーチミン市のファッション愛好家の間で人気のテーラーをこの上司に紹介した。

外国人と共に数年間働いた後、Phuong氏は外資系企業のエグゼクティブがその自信や個性を強調するのに高品質のスーツを活用することの重要性について認識し始めた。

こうした起業家の多くは、ボタンの留め方、スーツのジャケットの脱ぎ方、椅子の肘掛の上にどのように置くのか、さらにはネクタイの結び目の緩め方まで、細かい点に細心の注意を払っていることにPhuong氏は気が付いた。

彼女はこの上司に起きた困った状況を見て、一流のカスタムメイドの服と既製服の間に所有者に自信と快適さを提供できるようなソリューションがあるのではないかと考えた。

このことがPhuong氏とその夫が、注文のうるさい顧客でさえも満足させるような西洋スタイルのスーツに特化した小さなお店をオープンすることを決意するきっかけとなった。

だが完全に体にフィットする衣服は、プロの仕立屋による正確な採寸を必要とするため、テーラーに出向く時間的余裕がある人がほとんどいない中、この点がかなりの問題となった。

 

瓢箪から駒

当初Phuong氏と彼女の34歳の夫であるNguyen Ngoc Lam氏は、自宅に近い顧客については採寸に訪問していたが、郊外、他の州や外国などに住んでいる顧客については取り扱うことができなかった。

そうした中Phuong氏は、アメリカ人によって開発されたインターネットによるオンライン計測アプリを見つけた。

開発者の男性は、このアプリが30秒以内で計測することができ、さらには従来の方法よりも正確な測定が保証できると主張していた。

このアプリでは数学や空間幾何学の公式を利用していることにLam氏は気がついた。

数日間アプリのアルゴリズムやプログラミングを研究し、彼は最終的にある公式に辿り着いた。

さらに踏み込んで調べてみるとこのアプリの開発者は、異なる体型、骨格、身長や体重の約1,000人を雇って、このツールと人手の両方によって計測した結果、どちらがより精緻で、両者の違いは何かについて比較するために、データベースを作成していたことをLam氏は知った。

同じ身長と体重の人々でも異なる骨格を持っているため、そのデータベースに基づいて測定基準ではさらに別の区分を設けた。

それから1年以上経て、Lam氏のオンライン測定アプリは完成し、UKYSという名で発売された。

「このアプリを開発した後、アルゴリズムを最適化するために数千人もの異なる体型の人々でテストしました。我々は、UKYSが直接会うことのない人に対して熟練のテーラーサービスを提供することを可能にする画期的な手段であると信じています。」とPhuong氏はこの立ち上げたばかりのプロジェクトについて述べた。

アプリの説明書に従って撮影した顧客の写真を利用して、UKYSはベテランのテーラー同様、体全体の測定値にデータを変換する。

測定の後、ユーザーは生地やシャツの形についても選ぶことができ、さらに襟やカフスなどもカスタマイズすることができる。測定データとユーザーの好みのスタイルを受け取った後、英国で15年来テーラービジネスを営むファミリー企業などから成る生産チームが、アプリによって計測された情報に基づきシャツを仕立て上げる。

アプリは現在、iOSデバイスでのみ利用可能である。このアプリは当初、クラウド資金調達サイトのIndiegogo(米国)で注目を集めた。

2016年8月にLam氏とPhuong氏は、iPhone / iPadユーザー向けスマートフォンアプリにおける「アンバサダー起業チャレンジ賞(AEC)」で最優秀賞を受賞した。

ベトナムの米大使館が主催するこのコンテストは、地元の若い起業家が事業を立ち上げ、健全な収益体制をスタートさせることを支援するために企画されたものである。

このカップルによるアプリは、AlbiniやDormeuilといったアパレル産業における有名企業をも惹きつけ、彼らは自社にそれを導入するため、小さな路地にあるPhuong氏のショールームにスタッフを派遣した。

「我々はこのアプリがこれだけの注目を集めるとは思いませんでした。我々の外国人パートナーらは、このアプローチによってアパレル産業に新しい未来を実現することができるだろう、と言いました。」とPhuong氏は述べた。

Phuong氏とLam氏は今、自身の仕事に身を打ち込んでいる。

ある日本人男性がこのカップルのところにやって来て、かつて彼がスーツを数度に亘って調整することを執拗に求めたため、有名なテーラーに追い出されたことがあると言い、Phuong氏と彼女の夫が彼の非常に細やかな嗜好を満足させることができるかどうかについて疑問を呈した。

するとPhuong氏は、彼女と彼女の夫で何千万ベトナムドン(100万ベトナムドンは約44米ドル)もするインポートスーツを買い、その縫製を細かく調べてみる、と言った。

多くのベトナム人のお針子は技術的に要求項目の多い外国の製法について知らないわけではないが、時間がかかりすぎるために価格が上がってしまい、あまり採用したがらず、いずれにせよ顧客も本当の違いが分からないことの方が多いと指摘する。

Phuong氏はどんなに彼女と彼女の夫が再調整を行う必要があろうとも、すべての顧客に満足して衣服を家に持ち帰って頂くことを請け負っている。

 

(後編につづく)


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最終更新:2016年10月13日

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