インドシナニュース

タイ:繊維産業の未来(前)

タイでは近年縫製・繊維工場の閉鎖や製造施設の近隣諸国への移転が相次いでいる。高い人件費、労働力不足と一般特恵関税制度(GSP)の適用終了が労働集約的な縫製産業の低迷の原因である。一般特恵関税制度の適用を受け、かつ安価で豊富な労働力を擁する近隣諸国と比較するとタイの縫製製品の競争力は低いとされる。

繊維産業は一般的に斜陽産業とみなされている。タイ開発研究所(TDRI)の研究チームは、商業省の貿易政策・戦略局の支援を受け、繊維産業の問題についての研究を行った。縫製産業は現在もタイで多くの労働者を雇用しており、そして国内市場で付加価値を上げていくことは可能だからである。その結果、適切な調整と改善がなされれば縫製産業が生き残っていくことは可能で、さらに国際的な経済環境の中でも繁栄していくことも可能であるという結論に至った。

タイ以前にすでに縫製産業に参入していた日本、韓国、台湾といった他国の経験を見ると、繊維産業が労働集約的な産業から高付加価値産業への転換を遂げる過渡期には同様の問題を経験している。こうした国々では高い人件費と労働力不足から労働集約的で低付加価値の縫製産業を、より上流のテキスタイル、ファイバー、産業機械へと転換することで資本集約的かつ高付加価値な産業に変えていく必要があった。

私たちが高度な技術製品から連想する国々、例えば台湾や日本、そしてドイツでも、今日でも繊維製品を製造している。しかしこうした国々の産業はタイの縫製産業とは大きく異なる。台湾は熱・湿度を透過させる布、耐火布、そして産業用、建設用、医療用の特殊な布など、高度な技術を要する布地に特化している。

暗闇で発行する布や電導性のある布などもあり、こうした製品は最終的に様々な高付加価値製品の製造に活用できる。日本では、自動車産業、電子工学やその他の高度な技術製品における優位性に加え、縫製産業ではさらに一歩上流に進み、繊維産業向けの織機やニット機材を製造し、世界でも有数の繊維機材輸出国となっている。ドイツは世界でも最先端の自動車を製造しているが、驚くべきことに、自動車産業向けや医療用などの先進技術を要する繊維製品の世界一の輸出国でもある。

縫製製品からより上流のテキスタイルやファイバー、産業機械などの高付加価値製品に転換することはタイが直面する労働力不足や高賃金という問題への対応策となり得るのである。

ブランディングやマーケティング活動も高付加価値をもたらす方策となり得る。タイブランド経営者らへのインタビューを通じて、世界のファッション業界でタイブランドは独特でモダン、高品質と捉えられている印象を受けた。ブランドとは無形のものであるが、製品に高い価値を付与することができる。4000バーツ程度のシャネルのジャケットの小売価格は5万バーツほどである。

しかし、ブランドの構築は容易ではない。国のイメージ構築とも関連しており、とくに政府と民間企業(ブランド経営者)を始めとするすべての関係者の協力が必要である。まずはタイ国内でブランド化を図り、そしてアセアン諸国の地域に拡大していくことであろう。その過程でタイブランドの経営者は最終的には世界へと展開させていくために必要なノウハウや技能を蓄積することができるだろう。

 

(後編につづく)


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最終更新:2016年09月16日

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