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カンボジア:低価格はアパレル部門を窮地に追い込むとILOが警告

カンボジアのアパレル部門はなお拡大基調にあるものの、世界のブランドがメーカーに支払う報酬を大幅に引き上げるか生産性の劇的な改善がない限り、危うい立場となるだろう、と国際労働機関(ILO)は8月30日発表したレポートにおいて警告した。

短期的には報酬の引き上げも生産性の改善も見込めない状況下で、工場経営者は賃金の継続的な増加に苦慮するだろう、とILOは「カンボジアの衣料品・履物部門レポート」最新刊で指摘した。

「投資家は投下資本に対する確実なリターンを必要としており、もしそれが得られない場合はカンボジア衣料品部門に対する追加投資を見送る可能性がある。」とこのレポートは述べた。

「将来の賃金増加は労働生産性の増加、もしくは外部からの報酬、またはその両方により補われる必要がある。」

このILOによる警告は、労働組合と経営者が来年1月からカンボジア60万人以上の縫製労働者に対して適用する最低賃金に関する年次交渉ラウンドを準備する最中にもたらされた。

レポートは、現在140米ドルに設定されている月額最低賃金は、景気停滞の中においても近年急激に上昇し続けている一方で、主に米国や欧州のブランドなどの取引先から支払われる報酬は、競合するベトナムやバングラデシュなどの国からの供給が増加することにより伸び悩んでいるとした。

「衣料品の価格が据え置き、また時には低下していることのメリットは、ある程度消費者に還元されている。」が、米国と欧州の両方における衣料品の生産コストも、2006年から2015年の間にたったの5.4%しか増加していないと続けた。

「これは10年間にわたる増加率としては非常に小さな伸び率である。」とレポートは指摘し、グローバルブランドに報酬を上げることによって、縫製工場の財務負担を軽減するよう促した。

「生産性向上の余地はいくらか残されているが、生産性の伸びが短期的に劇的に加速するような見通しは立っていない。」とレポートは指摘する。

「従ってカンボジアのアパレル・履物部門の労働者が大幅な賃金上昇を期待するのであれば、販売価格の動向が非常に重要なものになるだろう。」としたが、米国や欧州の経済成長が停滞する中で当面の見通しは明るいものではない、と続けた。

カンボジア縫製業協会のKen Loo書記長は、今唯一取りうる手段は生産性の向上に取り組むことであるが、それも険悪な労働関係によって阻害されてきたと主張した。

「(生産性向上に)大きな障害となっているのは違法なストライキであり、いくつかの労働組合が明らかに工場内の空気を支配しています。それは時に協力的であったり敵対的であったりしますが。こうした労働組合は労働者と経営陣の関係に、プラス、マイナスのいずれの影響も及ぼし得るのです。」と彼は述べた。

生産性を向上することができない工場はそのまま閉鎖されることになる、とLoo書記長は述べた。

「営業を継続できている工場は、生産性の向上を実現している工場であることは明らかです。一方で労働生産性を改善できなかった工場は、既に閉鎖されているか、今後閉鎖されることになります。」と続けた

GMACはその加盟企業の70社が今年閉鎖して35社が新規開業登録したが、閉鎖企業の方が多いこの状況は投資家が苦戦していることの証である、としている。

一方でILOレポートは、アパレル部門は今年も力強い成長を遂げており、第一四半期の売上高は14.5%となる約18億米ドルであったと報告した。

カンボジア最大の独立系労働組合のAth Thorn代表は、低い労働生産性は劣悪な労働条件が主な原因であり、生産性の改善はその対応への投資を増やすかどうかによると述べた。

「これは、労働者に低い労働生産性の原因を押し付ける企業によって引き起こされている問題なのです。彼らは低賃金で長時間労働を強制しており、そのため労働者は会社のために懸命に仕事をやる気になれないのです。」

Thorn代表は、近年ストライキの数が急激に低下しているとの労働省のレポートを挙げ、ストライキが生産性向上における主な障害であったとのLoo書記長の主張を否定した。

「経営者は責任から逃れるためにストライキに言及します。なぜいまだにそれを取り上げるのでしょうか?」

Thorn代表は、労働者に対するより良いトレーニングと処遇、労働法の厳密な適用、近代的な設備の導入、経験豊富な従業員に対する長期契約が生産性を高めることになる、と述べた。

「我々は企業に対してこれらの問題を何度も提起してきました。しかし経営者はただ利益を気にするだけで、こうした問題提起を歯牙にもかけないのです。」


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最終更新:2016年09月12日

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