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カンボジア:縫製工場閉鎖の真意が議論の的に(前)

Chung Faiニット工場の板で囲まれた玄関の外に立つ守衛をめがけ、十数人の女性がその日のために出かける準備をしていた。

プノンペンのMeanchey地区にある香港資本のセーターや靴下を生産するこの工場では6月に操業を停止し、200人以上の労働者が職を失った。期日になっても報酬が支払われる兆しがないため、Chung Fai工場の元労働者数人が、補償を受けるために残されたわずかな希望である内部の価値のある設備を守るために、工場の敷地にて夜を徹したキャンプを開始した。

「我々は、(労働)省か裁判所ができるだけ早くこの問題を解決してくれることを願っています。」と約15年間 Chung Fai工場で働いたMath Halymasさんは言った。

請願と抗議を2ヶ月間繰り返した後、現在女性らはフェンスで囲まれた敷地内から外の歩道へベースキャンプの位置を移し、毎日午前7時から午後5時まで監視を続けている。8月19日に敷地を検査するために、フン・セン首相に助けを求めるメッセージボードが置かれた工場ゲートが裁判所、警察や政府関係者によって封鎖されたため、彼女らは活動方針の変更を行った。

内部の資産を調査、リスト化した後、役人らは工場の倉庫を封鎖し、正門にプノンペン市裁判所から7月26日に出された差止命令のコピーを掲示した。この差止命令は、さらなる通知があるまで設備を動かしたり売却したりしないよう、会社に対して命ずるものである。

今年これまでに約70の縫製工場が閉鎖に追い込まれた、とカンボジア縫製業協会(GMAC)のKen Loo書記長は明らかにしており、その数は既に昨年に閉鎖となった35社の約2倍の数となっている。彼は毎年着実に上昇し続けている最低賃金により、投資家らの利益率は極端に悪化していると指摘した。

「賃金はローカルコストの65〜70%を占めています。原材料などのコストを無視した場合、賃金だけに着目すればそれがほぼ全てであり、この賃金の上昇が(工場閉鎖の)主な要因なのです。」と彼は述べた。「その他どんな要因を挙げることができるでしょうか?」

労働組合リーダーや労働活動家によると、工場経営者には工場を閉鎖したり夜逃げしたりする強い動機があるという。それは工場を長く稼動させればさせるほど重くなる金融負担から逃れることである。

「いくつかの工場では労働者に対する年功序列賃金を支払うのをストップするために工場閉鎖を行い、同じ場所で名前だけ新しくして再度稼動を開始しています。」と労働者行動組合共同体(CUMW)のPav Sina代表は述べた。

労働者の権利団体であるCentral のMoeun Tola代表は、企業はしばしば運営を切り替えることにより、効果的にスタッフの解雇費用を押さえ、より低賃金の労働者を新規で雇用してきたと述べた。

「長年にわたり営業を続けた場合、会社は法律により労働者を新システムのもとで再雇用することが義務付けられます。その新システムにおいては、無期限の雇用契約締結に加え、退職費用、より高額の給与、その他福利厚生費用を会社は支払う必要があるのです。」とTola代表は述べた。「そしてそのことこそが、会社を閉鎖し、再度開業、新規雇用をして、新しい従業員を求める理由なのです。会社は費用の負担責任を回避したり、削減したりしようとしているのです。」

「これはカンボジアの不当な法執行制度の問題でもあります。」とし、Tola代表は、当局がこのような法逃れの動きをほとんど調査したり、差し止めたりしてこなかったことを指摘した。「私は腐敗がその主な原因だと考えています。」

他の労働指導者や専門家、そしてGMAC同様、Sina代表、Tola代表とも、こうした工場経営者や投資家を追跡するための手段を持っていないと述べた。

企業が新しい法人格で稼動し直すような場合、それを追跡し、責任を追求することは事実上不可能である、と米国を拠点とするSolidarity CenterのWilliam Conklinカントリー・ディレクターは言う。

「経営者は実際のところ製造業者とでも呼ばれるべき存在で、彼らは土地を所有しておらず、土地を借りているだけです。彼らは資本投下後すぐの2〜3年以内に、初期投資を上回る利益を回収してしまいます。」と彼は指摘した

「それは悪循環とも言えるもので、彼らは4~5年で投資した分の利益を回収し、工場を閉鎖してしまいます。利益を獲得し、すぐに逃げるという流れです。」

また操業開始後最初の数年間について政府が提供する課税免除の制度が、投資家が定期的に会社を閉鎖し、再度新たに開業することへのインセンティブとなっている、とConklin氏は述べた。

「税制上の優遇措置は1年か2年受けられます。また経営者らは(一旦工場を閉鎖して)新規オープンすれば、再度その優遇を受けられるのです。」

再度開業しようとしているかにかかわらず、閉鎖された工場の多くでは適切な退職金を払っておらず、労働者らは裁判所に訴えるか、自分で対処しなければならないような事態となっている、とConklin氏は指摘した。

「200、500または1000人の労働者を抱えているような会社が突然閉じた場合、法的には会社は労働者に退職金を支払う義務がありますが、それが多額なものとなります。このことこそが経営者がこっそり夜逃げする理由なのです。」と彼は述べた

「時には経営者が資産を回収しようともしない場合もあり、その場合誰が残された資産を取得するのかについて争いが起きます。法的には労働者が優先権を持っています。そのことは法律により規定されているのです。」と続けた。

 

(後編につづく)


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最終更新:2016年09月08日

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