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ベトナム:「公害大国」となるリスク(前)

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)により、ベトナムにおける繊維染色、製紙、鉄鋼など高い汚染リスクを孕む産業への投資が続くと予想されている。

経済と環境の専門家らは、ベトナムの法規制や排水処理の監視体制はなおも不十分で、多くの矛盾を含んでおり、投資家らはこうした法律を容易にかわすことが可能であることを指摘する一方で、首相は、汚染が発生した場合、地方政府が責任を取らなければならないと主張している。

 

「大規模」プロジェクト

ベトナムでは、多くの繊維染色、製紙、鉄鋼プロジェクトによる環境汚染が報告されている。

南部バリア・ブンタウ省にある中国資本のMei Sheng Textiles Co. Ltd Vietnam社は、2010年以降7回も汚水を排出したことが疑われている。

この会社は年間1100トンの生産能力を持つ染色工場を設立したが、バリア・ブンタウ省の住民の90%に生活水を供給するDa Den湖に未処理の汚水を放出した。

2016年6月30日に環境局とバリア・ブンタウ省当局は、この工場に染色工程を閉鎖するよう求めた。

最近では、北部ハイズーン省Kinh Mon地区Phu Thu町の住民が、中国資本のTan Nguyen Metallurgical JSCとTan Dong Aluminum社の2社の操業により著しく環境が汚染されているとして、当局に対して介入を求めた。

地元住民は、両社により排出される粉塵、煙と臭いが自分たちの生活を滅茶苦茶にしたと主張した。呼吸器疾患に苦しむ人の割合は急速に増加している。

外国投資庁によると、TPPは中国、台湾からの大規模な投資プロジェクトの一環として、アパレルや製紙産業に資本を誘致する「磁力」となっている。

昨年の繊維・衣料品プロジェクトに対する投資額は35億米ドルにも達した。2016年上半期には、50の繊維プロジェクトを含む83の繊維・衣料品部門への投資があった。

その中でも大規模なものとして、南部ドンナイ省でカーペット向けの様々な繊維を生産するトルコ資本のHyosung社による6億6000万米ドル規模のプロジェクトや、ホーチミン市に英領バージン諸島からの投資家が投資した、高級アパレル品を生産するWorldon Vietnam社による3億米ドル規模プロジェクト、南部ビンズン省でポリエステル合成繊維を製造するFar Eastern Polytex社ベトナムによる2億7420万米ドル規模のプロジェクトがある。

中国からの投資では、次の3つの大規模プロジェクトがある。

ナムディン省に4億米ドルを投じた繊維・衣料品工業団地の建設、クアンニン省でTexhong社による3億米ドル規模のプロジェクト、そしてハイズーン省でTAL社による2億米ドル規模のプロジェクトである。そして台湾資本のDai Duong Paper社も、南部ティンザン省に様々な種類の紙を生産するため、2億2000万米ドルの投資を行った。

計画投資省開発戦略研究所の元所長であるLuu Bich Ho博士は、中国の技術力は一般的に高いものの、ベトナムに持ち込まれる技術が中古や旧式のものでないか、ベトナムは厳密に監視しなければならないと指摘した。

Ho博士は、FDIを誘致するためのベトナムの政策は時代遅れであり、改正する必要があると警告した。具体的には技術・環境基準がより明確にされるべきで、設備や技術の導入についても当局は監視を強化する必要がある。

「ベトナムは外国資本の誘致について選別する時期にあります。外国投資プロジェクト、特に汚染のリスクが高い分野における投資については、環境基準に沿って監視を強める必要があります。」とHo博士は強調した。

 

(後編へつづく)

 


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最終更新:2016年08月01日

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