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カンボジア:危険な中絶リスクに晒される女性縫製工員

縫製産業に従事する女性は、実家や支援ネットワークから離れ、中絶医療を含む安全な医療サービスを受けることができないでいる。

カンボジアにある多くの縫製工場の一つで働く若い女性のSopheakさんは、ベッドの上で泣きながら座っている。彼女はたった今妊娠していることを知らされ、ボーイフレンドはそのニュースを聞いた途端に彼女のもとを去った。

「ボーイフレンドもおらず、未婚でお金もないのに、赤ちゃんだけができました。」彼女は友人が慰めようとした際そう嘆き、「赤ちゃんを中絶することができる秘密の場所」に行く決意を明らかにした。彼女は友人を見上げながら、「こんなことをあなたに言うべきではなかったのだけれど」と続けた。

これはNGO支援団体によって作成されたビデオの一場面であるが、画面上で繰り広げられるこうしたドラマは、多くのカンボジア人縫製労働者にとっての現実である。

アパレル産業はカンボジア経済にとっての要であり、女性にとっても唯一最大の雇用先である。約500ある工場では若く、多くは田舎から都会に移り住んできた約50万人の女性労働者を雇用している。

実家や支援ネットワークから離れ、低い教育レベルや低所得といった環境の中で、こういった女性らは特に弱い立場に追い込まれ、国連人口基金(UNFPA)によると、中絶を含めた医療に関する情報やサービスを受けることができないでいる。

カンボジアの法律では女性は妊娠12週までは中絶することが認められているが、調査によると多くの縫製労働者がこの処置が合法であることを知らないでいる。その結果、彼女らはどうしたら安全な中絶医療を受けられるのか知らず、大多数は高価で危険を伴う民間医療を受診している。

3つのNGOが共同して推進するPartnering to Save Livesという支援団体により公表された2014年の調査によると、縫製工場で働く90%以上の女性は中絶が合法であることを知らず、また調査でインタビューした900人の縫製労働者のうち18%は中絶を経験したと述べた。当時国の平均中絶率は5%であった。そしてこれらの女性の約75%が、安全に中絶できる場所を知らなかった。

カンボジアの非営利団体であるリプロダクティブ・ヘルス協会によって運営されている、プノンペンの小さなクリニックのマネージャーを務めるChok Chanda医師は、「危険な場所」で施術を受けた、縫製労働者を含む多くの患者を治療してきたことを認めた。

「クリニックを訪れる中絶処置後の合併症を発症した患者のほとんどが、医療用中絶ピルや旧来の中国製ピルの誤った服用によって中絶が不完全な状況となっています。」と彼女は言った。「彼女らは薬局でピルを購入して自宅でそれを摂取しますが、どうやって使用するのか方法を理解していないのです。本当はピルを2回摂取した上で、検診を受ける必要があるのです。」

多くの女性は安全な中絶サービスを受けられる施設を知らないため、または働く場所に近いからといって無免許の民間診療所や薬局に行っている。

また、未婚の女性にとって婚前交渉はまだ眉をひそめられる環境の下で、彼女らはこの不名誉な事態を避けるため、中絶処置のために遠距離を移動するような選択を行っている、とChanda医師は指摘した。 「彼女らは危険な場所に行き、その後合併症を発症して私達のところにやって来るのです。」

2008年世界保健機関(WHO)は、毎年危険な中絶処置により世界で47000人もが命を落とし、何百万人もの女性が一時的または永久に不妊となっているとの推計を示した。

生殖における妊産婦の健康と権利に関するケア・アドバイザーであるJulia Battle氏は、「中絶に関しては、多くの誤解と混乱がある」ことを認めている。彼女はこのことが誤った中絶の理由の一つであると言い、彼女の組織では性と生殖の権利についての意識を高めるため、首都とカンダル州にある16の工場で女性縫製労働者に対してトレーニングを行っている。

教育用のミニドラマを放映するほか、縫製労働者によく伝わるよう、それをスマートフォン上で共有できるようにしているとBattle氏は述べ、このトレーニングセッションでは「性交渉、現代的な避妊、緊急避妊から安全な中絶に関する議論を深めています」とした。

今年の中間レビューによると、縫製労働者の約45%が安全な中絶措置を受けられる場所を少なくとも1ヵ所知っていると答え、2年前の27%と比較してトレーニングによって工場における知識水準が上昇しているという結果が示された。

しかしカンボジアの多くの工場で、なおも多くの女性が黙殺されていることをBattle氏は認めている。「工場は何百もあります。我々がケアできない工場ではおそらく、望まない妊娠をどのように防ぎ、どこでどのように安全な中絶処置を受けられるのか、まだよく認識されていないと思います。」と彼女は言った。

安全な中絶を容易に受けられるようにするため政府は何をすべきかと問われ、保健省の広報担当者は国立母子保健センター所長Tung Rathavy博士に照会したが、博士はコメントを避けた。


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最終更新:2016年07月19日

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