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ベトナム:繊維業界、TPPの後押しを受け、今後10年間成長持続

アナリストらによれば、ベトナムの繊維業界は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)がきっかけとなり貿易や投資を押し上げる形で、今後10年間大きく成長すると見込まれている。

「ベトナムの繊維業界は長年にわたりベトナムの輸出志向経済の高成長を支えてきました。繊維・アパレル業界はベトナムの国内総生産(GDP)の約15%、輸出の18%を占めています」とNomadic Equityのベトナムを拠点とするアナリストであるDylan Waller氏は、投資調査・分析を行うSmartkarma向けにまとめた最近のコメントの中で述べた。

ベトナムの繊維製品の輸出は5年間でほぼ倍増し、2015年に300億米ドルに達した。Waller氏によれば業界の成長の見通しは良く、ベトナムの輸出の将来性に牽引される見込みだと言う。

業界を後押しするのは今後2年以内に批准される見通しの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だ。12カ国間の歴史的な協定は2015年10月にまとめられ、2016年2月に調印された。

この協定に参加するのは世界のGDPの40%近くを構成するオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国とベトナムだ。

TPPが実施されるとベトナムの繊維・アパレル製品の最大の輸出先である米国に対して年2桁の成長が見込める、とWaller氏は言う。

TPPのもと、米国のベトナムからの繊維・アパレル製品の輸入税率は現在の17%から最終的にはゼロとなる見込みだ。

シンガポールを拠点とする東南アジア研究所(Yusoff Ishak Institute)によれば、今後10年間でTPPはベトナムのGDP成長率を11%、輸出を28%成長させる可能性があると言う。

「業界の最大の課題は、国内企業がTPPの将来性に備えて現地での原料調達を促進することです」とWaller氏は述べる。

氏によればベトナム国内で裁断・縫製され、最終的にアパレル製品化される繊維製品の原材料の90%は、TPP非加盟の中国から輸入されているという。

「TPPに加盟するということは、ベトナムのアパレル輸出業者らがもしTPP下の低関税の恩恵を受けたいなら、厳密にいえば原料を中国から輸入することができなくなるということです」ワシントンを拠点とする戦略国際学センター(CSIS)の研究者であるNigel Cory氏は言う。

ポリエステル短繊維(PSF)、エチレングリコール(MEG)、精製テレフタル酸(PTA)など多くの化学製品が紡績業で使用されている。

一方ベトナムは労働賃金が低いため長年にわたり国内に外国繊維企業を誘致して工場を設立しており、TPPが成立してもこの傾向は続くと見られる、とWeller氏は言う。

ベトナムは東南アジアの中で急成長を遂げている経済の上位に位置しており、2015年の成長率は6.7%と8年間で最高値を更新している。今年の成長率もこれを維持できると見込まれる、と経済学者らは言う。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)によれば今年の第1四半期でGDPの成長は5.5%減速した。これは悪天候が農業生産に影響を与え、工業の発展が緩やかになったためだ。

「減速にも関わらず、第2四半期のはじめの月の最新の経済指標は経済が強固な基盤にあることを示しています」と調査会社のFocus Economicsは言う。

TPPやアセアン経済共同体(AEC)がベトナムにとって変革をもたらす可能性がある一方、プラスの効果が明らかになるには時間がかかるだろうとシンガポールを拠点とするDBS Group Researchは報告書の中で述べた。

「短期的には輸出に対する需要は南に向かう可能性があります。結果的には(ベトナムの)主要なGDP成長に重くのしかかるでしょう」


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最終更新:2016年06月14日

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