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カンボジア:持続可能なファッションの萌芽(前)

一般の人々はカンボジア製の衣料品というと、数千人もの労働者が働く大規模工場のイメージを思い浮かべる。衣料品は一斉に縫製されて欧米市場向けに積み上げられ、不良品は埋め立てられるか、焼却される。

しかしこの産業に属する小さなグループが、このイメージを一新し、カンボジアでの衣料品デザインと製造のプロセスを改革しようとしている。環境に優しい技術を採用し、従業員には良い賃金や福利厚生を提供しながらも、これらの企業では国内外でその製品の販売をますます増加させることに成功している。

Good Krama社は、こうしたプノンペンの倫理的なファッションの流れに新規参入した企業であるが、都会のカジュアルウェアに特化し、カンボジア独特の万能布であるクロマーをアレンジした象徴的なチェックのスカーフを扱っている。同社では“クロマー”という社名にもかかわらず、スカーフを販売するだけでなく、Tシャツ、パンツ、帽子やドレスをデザインし、そのすべてにおいてクロマーのパターンを何らかの形で取り入れている。

「我々のコンセプトは伝統的な織物技術にモダンなデザインをブレンドすることであり、すべてクロマーに触発されて製造しています。」とフランス人であるが、幼年期のほとんどをサンフランシスコで過ごした、共同経営者のKatia Nicolas氏は述べた。「我々は真にカンボジア的な様式で、非常に昔ながらのプリントを取り入れたかったのです。」

カリフォルニア大学バークレー校において環境経済学の学位を取得したNicolas氏はまた、ファッション界にサステナブル(持続可能)デザインという考えを取り入れた。地球上のすべての企業で、それぞれ“倫理”の定義は異なるが、Good Krama社では主に調達に着目している。Good Krama社では可能な限り、タケオ州で主に女性の手で生産されるSomnangという手織りシルクと天然染料を使用している。地元で調達できない場合は、最先端の技術を使用して木材パルプを原料にした繊維の一種であるテンセルのような天然素材を輸入している。

環境に優しい方法で生産する衣料品には難しさも伴う、とNicolas氏は認める。もちろん製品価格に反映されるコストの問題もある。また可能な限り同社では、縫製工場からの廃棄物の再利用を意味する、アップサイクル素材を使用しているが、このことは一貫性のあるデザインを生産するために必要な、同一素材を十分に確保することが困難であることを意味する。

Good Krama社は今年1月にその衣料品販売を開始したばかりだが、既に海外、特にアメリカ西海岸から注文を受けている、とNicolas氏は明らかにした。「製品がどこから生み出されているのかを問う時代の流れが高まっています。」と彼女は言った。「そして人々はまた、世界でのファストファッションの影響力に気がついています。」

Good Krama社は、(例えば同社のスナップバックキャップが中国で生産されることを認めるなど)、そのサステナビリティ(持続可能性)における制限は緩やかなものであるが、プノンペンにあるファッションブランドであるTonléは、いわゆる「クローズド・ループ」生産システムを採用しており、そのすべての生産プロセスにおいて、環境に配慮していることを必須としている。 2008年にアメリカ人のRachel Faller氏が立ち上げたブランドから派生して2013年に生まれたTonléは、縫製工場からのアップサイクル素材のみをその原材料としている。

大量生産の衣料品製造を見てFaller氏は、この生産システムに膨大な廃棄物が発生することに気がついた。「私は全体の30~40%もの廃棄物が出ることに気付き始めました。」とFaller氏はポッドキャストのGreenblutで述べた。「廃棄物は原材料加工、裁断、最終の品質管理から発生します。またブランドは時には発注に対し、それらを不合格にしたりします。こういったプロセスから大量の廃棄物が生まれるのです。」

こうした廃棄物の一部は埋め立てられて炭素物を発生させる原因となったり、また一部はデザインの知的財産権の問題から焼却されたりする。これらに直面し、Faller氏と彼女のチームは、“廃棄物ゼロ”を目指すことを決めた。

このことが彼らを極端に走らせ、彼らは工場の不良品をリサイクルするだけでなく、自社の店舗で衣料品を生産する過程で必然的に発生するような小さな廃棄物までも使用している。彼らはそういった廃棄物を一つに編みこみ、バッグやアクセサリーを生産したり、紙を作ったりして、それらを店舗で販売している。同社では毎年1万キロ以上の布地を再利用することで、15万4000ポンドの炭素物の発生を抑えていると推計している。

Tonlé社は現在、世界でスローファッション界のリーダーとして認知されているが、ビジネスとしては依然として、カンボジアの衣料品産業のほんのわずかな部分を占めるにすぎない。同社のウェブサイト上に31名の従業員がリストアップされており、大半が地元出身者である。それに関連して、Good Krama社やまた別のスローファッション企業であるDorsu社でも直接的または間接的に、さらに数十人を雇用している。だか、それと対照的に、カンボジアの衣料品産業では約70万人もの労働者を雇用している。

 

(後編につづく)


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最終更新:2016年03月24日

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