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ベトナム:縫製会社はTPPによりメリットを得られるか

ベトナムと11の加盟国からなる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、これまでも盛んに議論されてきたが、今後少なくとも2年間、この協定の真の価値について更なる討議が重ねられることになる。

特にベトナムの織物、衣料品、皮革・履物部門などいくつかの分野において、ほとんどの専門家が,TPP加盟により何千もの中所得の雇用が創出されることにより、ベトナムが利益を享受することになるだろうと考えている。

中所得の雇用増加が労働者やその家族の生活水準を向上させ、銀行システムにおける貯蓄を増加させることにより、資金の流動性が良くなるという考えには、ほとんど疑いようがない。

この資金の流動化により、ベトナムの不良債権問題が解消され、様々な産業分野にわたる地元企業がその設備を一新、近代化することにより、競争力をつけることを目的とした融資活動を銀行が実行することが可能となる。

しかし、TPPが定める関税引下げが実行された際、織物、衣料品、皮革・履物分野におけるベトナムの請負業者の多くは蚊帳の外に取り残されるだろう、と指摘する専門家もいる。

Hugo BossからJ Crewまで、各ブランドのシャツやパンツの製造を行う香港Lever Style社のStanley Szeto CEOは、TPPにほとんど期待していない人物の一人である。

「TPPにより衣料品などの製品について加盟国間の関税が撤廃される予定ですが、もしこの協定が発効しても、ベトナムの縫製請負業者の多くはほとんどその利益を享受できない可能性があります。」とSzeto氏は述べた。

その理由としてSzeto氏は、最近ウォールストリート・ジャーナルの記者に対し、一般に製品が出荷された時点でその製品の所有権が購入者に渡る契約になっているため、輸入関税を支払うのはメーカーではなく、グローバルブランドであることを挙げた。

専門用語でその契約はFOB(Free On Board:本船甲板渡し条件)というが、このことは、グローバルブランドがベトナムで商品の所有権を取得し、その後客先までのすべての輸送コストや配送にかかる損失リスクのすべての責任を負っていることを意味する。

そのためSzeto氏は、これらのグローバルブランドが外国における輸入業者とみなされ、(ベトナムのメーカーは)TPPのもとでの一切の関税引き下げメリットを享受することができない、とした。

したがってベトナムメーカーはグローバルブランドとFOB契約の見直しについて交渉する必要があるが、結果これらのベトナムメーカーから輸入するコストは大幅に上昇してしまうため、契約の改訂は多くの場合困難で、現実的ではないという。

とりわけベトナムの縫製請負業者は、東南アジアの国々におけるこの部門の外資系競合他社と比べ、価格競争力があまりない。

またSzeto氏は、TPPのもとでは労働者獲得のための競争がより激しくなり、ベトナムにおける労務費を押し上げることになるだろう、と強調した。

彼はまた、「労務コストがはねあがることによって、いずれの会社も稼動を確保することは難しくなるでしょう。」とし、ベトナムの生産稼働率が制限される結果、さらなるコスト上昇につながる点について指摘した。

一方で、在ベトナム米国企業を代表する会員組織である在ハノイ米国商工会議所のAdam Sitkoffエグゼクティブディレクターは、コスト高があってもなお、ベトナム請負業者は利益を得ることになるだろう、と主張している。

「それは、グローバルブランドがベトナムからの製品仕入量を増加させるためです。」Sitkoff氏は、グローバルブランドがそれでもなおベトナムの請負業者から多くを調達し、こうした追加コストを吸収する方を選ぶだろう、と主張している。

またベトナムの消費者は、この貿易協定によって多種多様な外国製品を安価で購入でき、さらに、実質賃金が上昇することで家族により豊かな生活をさせられるようになる、という点に関し、広く合意が得られている。

その上で、この貿易協定から実際に利益を得る者は誰なのか、について専門家の間でまだ確たる意見の一致はなく、この議論はすぐに結論を見るものではないようである。

TPPへはブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、米国、ベトナム、オーストラリアが加盟することとなっている。


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最終更新:2016年03月09日

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