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カンボジア:縫製産業、大規模な交通事故で通勤手当の問題が浮き彫りに

カンボジア縫製産業で19日、交通事故が発生し史上最大ともいえる犠牲者を出した。これを受け、同産業の主要経営者団体の代表はこのほど、事故は給与を通勤費用に充てずに危険な乗り方でトラックに乗っていた労働者らの責任だとした。

Svay Rieng州で19日、定員オーバーのトラックがツアーバスと衝突し、労働者18人と運転手1人の命を奪った。この事故を受けて、カンボジア縫製製造業者協会(GMAC)のKen Loo会長は21日、工場主に責任はないとの発表を行った。

Loo会長は「労働者にはすでに通勤手当を支給しています。それを使わないのであれば、われわれにはどうしようもありません。今回の問題は通勤手当の引き上げの問題ではありません。労働者が通勤手当を使うかどうかという問題です。実際には使われていないのですから」と言った。

一方で同州の縫製労働者、Chan Sarun(34)さんは22日、自身の通勤状況について、毎朝50人の労働者とともにトラックに乗り込むのだと話した。というのも、13米ドルという通勤手当ではこの通勤手段しかないからだ。Sarunさんは「工場は通勤手当を引き上げるべきです。こうしたトラックでの通勤は安全とは言えませんから。通勤手当の額が上がれば、安全なトラックを利用します。でも今は十分なお金がなく、食費が必要です」と話した。

Kompong Speu州の縫製労働者、Nan Sothea(27)さんは、1カ月11米ドルの通勤手当のうち10米ドルを通勤費用に充てているのだという。もし工場が通勤手当を引き上げるのであれば、通勤費用を差し引いた残りの金額は貯金したいと考えている。Sotheaさんは「従業員の安全のためにも、工場には通勤手当を増やしてもらいたいと思っています。余ったお金はわずかですが貯金に回すことができます」と話した。

Svay Rieng州付近の労働者を輸送する、トラック運転手のNai Dara(30)さんは、運賃について、1人当たり1カ月11~12米ドルを徴収していると話した。そして「私のトラックには通常、約40人の労働者が立って乗っています。しかしときには大勢が皆、急いで帰宅しなければならないこともあり、そのような場合には100人以上もの労働者が1台のトラックに乗り合わせます」と説明した。

GMACのLoo会長は22日、通勤手当が多いほど労働者の安全は保証されるという考えを却下した。同会長は「全く受け入れられない考え方です。今回の問題は、収入が少ないから危険な通勤手段しか取れないということではなく、通勤手当をどう使うかという『選択』の問題です。労働者たちは支給された通勤手当を別のことに使っています」といい、「彼らのほとんどがスマートフォンを持っています。そう考えると、通勤手当が何に使われているのかも納得がいきます。要は、彼らは7米ドル、10米ドル、12米ドルといった通勤手当を支給されているにもかかわらず、全額を通勤費用に充てているわけではないということです」と説明した。

地域法務教育センターで労働プログラムを指導するMoeun Tola氏もまた、「労働者の多くが通勤手当を節約している」というLoo会長の意見に同意した。だが一方で、賃金が低過ぎることがその原因だと指摘している。カンボジア縫製産業の1カ月の最低賃金は128米ドルだ。

Tola氏は「Loo会長の意見は正しいかもしれません。というのも、基本給としての最低賃金は依然として低く、人々はできる限り節約しようとしているからです」と述べた。にもかかわらず、金銭的に可能であれば、労働者らは安全な通勤手段へと切り替えるべきだとも主張している。Tola氏は「現行の最低賃金で労働者自身とその扶養家族を養えるようになれば、労働者たちも安全な通勤手段を選ぶようになるでしょう」と話した。



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最終更新:2015年05月27日

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