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カンボジア:ILO、縫製産業賃上げでメーカーへ支援呼びかけ

カンボジアでは国際労働機関(ILO)が、大手ブランド企業に対して、賃上げ後の縫製工場の賃金の支払いを支援するよう呼びかけている。今月から発効の縫製労働者の新最低賃金では、1人当たり1カ月28ドル増となった。

労働省は昨年11月、最低賃金の改定について、従来の月額100ドルから128ドルへ引き上げる旨を発表した。同国の最低賃金額は2012年の時点で61ドルだったが、今回の大幅改定では、その2倍以上にまで引き上げられる形となった。

新賃金について、強硬派の労組らは要求していた額とはほど遠いとしているが、対する使用者側は、これによって今後、500件以上もの縫製工場が閉鎖を余儀なくされたり、大量失業を生み出したりする恐れがあるとの見解を示している。

一方で、カンボジアを生産拠点とするメーカーのなかには、こうした難局に対処しようと値上げに応じるところもある。だがなかには、大手ブランドであってもこれを受け入れない企業もあり、ILOは5日、すべてのメーカーに対して協力を仰ぐ文書を公開した。

文書では、賃上げに伴う縫製産業の平均月収について触れており、残業手当や各種ボーナスなどを含めると今後、183~217ドルにまで上がる可能性があるとしている。これにより工場側の支払額は約20%上昇するが、発注メーカーらが工場に対して支払う金額はそのままか、あるいは値下げされる場合もあることを指摘している。

地域賃金シニア・アドバイザーのMalte Luebker氏は、文中で「工場はこの3年間、コストの上昇と収益の減少という2つの要因の狭間で、利益率が大幅に悪化するのを目の当たりにしてきました」と述べている。同氏の見解では、生産の効率化を図れば工場は上昇した賃金の一部を賄えるとしているが、これが実現したとしてもごくわずかな利益にしかならないため、有効な打開策とは言えないという。

またILOカンボジア・ラオス・タイ地域統括部長のMaurizio Bussi氏も文書の中で、「縫製産業が経済的な発展を持続するには、関係各署が一丸となって取り組むことが大切です」とし、「大手アパレル企業にも、その一翼を担ってもらいたい」と述べた。

ILOの試算では、各工場が今年、生産性を4%上げると仮定して、さらに新賃金の上昇分を賄うには、各発注メーカーが工場への支払額を約3%引き上げる必要があるという。この計算によると、例えばこれまで80セントだったTシャツの製造原価は、2セント増の82セントになる。

ILOはこの試算について、「わずかな増加ではありますが、この増加が新たに1億6000万ドルの収益を生み出す可能性があり、また賃金改定の後押しにつながるのではないかと期待しています」とコメントした。

カンボジア縫製業協会(GMAC)のKen Loo会長は、輸出企業を代表して同文書に同意を示しているが、反面、例えばバングラデシュやベトナムといった競合国でも同様に値上げが行われなければ、発注メーカーらの態度は何も変わらないのではとの懸念も示している。

同氏は「良い傾向だとは思いますが、ILOはメーカーに対して何の権限も持っていないのが実情です」と話す。またこのままでいくと、工場によっては賃金が支払えず閉鎖を余儀なくされるだろうとし、「約1割の企業が倒産するでしょう」との見方を示している。さらに「われわれは、賃金水準を上げれば上げるほど、閉鎖に追い込まれる工場が増えると言い続けてきました。交渉の段階でも、110ドルまでしか支払えないと訴え続けてきたのです」と続けた。

交渉においては、工場側が賃金の上げ幅を110ドル以下に抑えるよう主張するなか、同氏は交渉の場から離れて、1番の競合国とも言えるベトナムがカンボジアと同じ水準で賃金を設定する前であれば、130ドルまで支払えると主張していた。

一方で労組は、工場に対して、「大量倒産の恐れがある」などと大げさだと非難するほか、「過去にも似たような警告があったが結局は何も起こらなかった」と厳しく指摘している。

 



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最終更新:2015年01月13日

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