インドシナニュース

ベトナム:対中輸入依存に警鐘

ベトナムの対中貿易赤字が今年、再び急拡大した。

今年5月、両国が領有権を主張する南シナ海の海域で中国が石油の掘削作業を開始した。これを受け、ベトナムは中国からの脱依存を図ると公言していたにもかかわらずだ。

ベトナム統計局の最新データによれば、今年1~11月期における中国からベトナムへの輸入は、前年比18.9%増の399億米ドルに達した。これによりベトナムの対中貿易赤字もまた、前年比22.1%増の246億米ドルとなった。

政府高官や経済学者らは、この赤字幅の拡大についてたびたび警鐘を鳴らしてきたが、効果はほとんどなかった。

この問題が特に声高に叫ばれたのは、グエン・タン・ズン首相が「わが国は今後、中国以外の主要な貿易相手国を見付けなければならない」と発言した今年5月のことだった。Vu Huy Hoang貿易大臣も当時、この意見に同意を示した。

ベトナムTuoi Tre紙は6月、農業従事者や製造業者がパートナーやサプライヤをヨーロッパやアジアで探しているとの長文記事を掲載した。

だがその後も、箸、生地、機械部品など、国内の店や市場にあるものの多くが中国製品という状況は変わっていない。

Tuoi Tre紙のある記者は最近、割り箸の販売に関する記事の中で、ホーチミン市Tan Binh区のある市場では中国製品しか扱われていないと述べた。同市場で中国製の割り箸を売るHoaさんは、「飲食店への販売が多い」と話す。これらの割り箸は、1袋5~10 kgが3万~5万ドンで売られている。

Ba Chieu市場やGo Vap市場など他の主要な市場でも業者は、ベトナム製のものよりも安価だという理由から、中国製の割り箸を次から次へと販売している。ある記者は、中国製の割り箸5 kgとベトナム製の割り箸6膳が同じ価格だと話す。

販売業者の話では、価格設定の判断材料は「いかに早く売れるか」だという。例えば中国製の割り箸は1日に80~100 kgほどの販売量があるが、ベトナム製のものは、1日に10膳ほどを個人の客が購入する程度である。

また市場には、中国産の果物や野菜も多い。

Thu Duc野菜卸売市場のある販売業者は、中国からの仕入れ量は以前と変わらないと話す。

Tan Binh区のPham Van Hai市場で働くHanhさんは、常連客のなかには、価格が安いことから、いまだに中国産の果物を購入したいという者がいると語る。以前、中国産の果物から高濃度の農薬や保存料が検出されたというニュースが報道されたが、Hanhさんのビジネスにはほとんど影響がない。またHanhさんは、カットフルーツを提供する飲食店やカラオケ店に果物を販売しているが、これらの店で中国産とそれ以外のものとの違いに気付く客はほとんどいないという。

一方で、機械や金属など中国からの工業製品輸入額は、64億5000万米ドルだった。この数字は、中国以外の国からの同製品輸入額を合計してもなお、約30%上回るものである。中国の後には日本と韓国が続き、それぞれ29億8000万米ドルと25億4000万米ドルだった。

ベトナムでは、鉄鋼メーカーが海外ビジネスを維持しようと必死になっているが、同時に国は、477万トンの鉄鋼や関連製品を中国から輸入している。この数字はそれぞれ韓国と日本からの輸入量の4倍と2.5倍に相当する。

中国はまた、ベトナムの繊維・衣料産業にとっても最大の供給国である。今年1~10月期における同産業の輸入額は、前年同期比23.5%増の56億米ドルだった。

ベトナム国家大学ハノイ校経済大学で中国プログラムの研究科長を務めるPham Sy Thanh氏は、ベトナムの現状について中国に過度に依存しているとし、裾野産業の基盤が弱いことをその理由に挙げた。Thanh氏の意見では、こうした依存が続けば、多くの企業にとって技術を向上させる機会の妨げになるだけだという。時間はかかるが、国のためにはすぐにでも別の供給国を探し始めるべきだと付け加えた。また現在交渉中の環太平洋経済連携協定(TPP)については、これをチャンスやきっかけとして、経済環境を改善し、日本や米国との取引を促進させることが望ましいと述べた。TPPの交渉に、中国は参加していない。

一方、ベトナム経済政策研究所所長のNguyen Duc Thanh博士は、ベトナム企業が中国製品を好む理由について、価格が安いことと、投資の回収期間が早いことの2点を挙げた。そして「回収期間が長くなることさえ受け入れられれば、中国からの依存を脱却できるでしょう。そうすることでベトナム企業は韓国やインド、オーストラリア、ASEAN諸国といった戦略的経済パートナーとの関係を拡大させることができるはずです」と述べた。

 



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最終更新:2014年12月20日

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