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カンボジア:衣料産業の賃上げに小売販売業者も期待

カンボジア政府はこのほど月額の最低賃金を128ドルに設定すると発表したが、国内の多くの小企業が、このチャンスを利益につなげようとしている。

衣料産業の所得の増加を見込んで、Houch Ling(30)さんは昨年半ば縫製工場を退職し、Khan Meanchey区のNational Road 2沿いにあるHoyear社工場の脇に、衣料品店をオープンした。Lingさんは「縫製労働者の給与はごくわずかなものです。食費や家賃、光熱費などを支払ったら、手元に残るお金はほとんどありません。あと20~30ドル収入が増えれば貯金もできますし、洋服を買ったり、これまで以上に何かを買ったりすることができるでしょう」と話す。

カンボジアには何千もの小企業があり、一方、国内の縫製産業の労働人口も総勢60万人といわれている。これらの企業は、賃上げに伴う可処分所得の増加を利益につなげようとしており、Lingさんの店もまたそうした企業の1つである。

小売販売業者数社の話では、今年2月に行われた月額80から100ドルへの賃上げの際、その後わずかだが企業の収益は上がったという。そこで多くの業者は、来年1月施行の賃上げ(現行から28%増の128ドル)に対して、期待を寄せている。

Chom Chao区の工場街近くで携帯電話店を経営するSok Vandyさんは28日、「アパレル関連の事業は現在、収益の高いビジネスです。従って工場での賃金の引き上げも、当然の流れと言えるでしょう」と話した。また「現在、別のビジネスを立ち上げようと考えています。ネックレスやブレスレットなどを扱うフェイク・ジュエリーの店です。労働者の給与が上がれば、こうした製品に対する需要も高くなるでしょう」と話した。

関係閣僚会議で議長を務め、かつカンボジア平和協力機構(CICP)の上級研究員でもあるHing Thoraxy博士は、国内最大の輸出産業である衣料産業が賃上げを行えば、その周辺事業も好影響を受けると考えている。同氏は「労働者の賃金が急激に引き上げられると、これら労働者のいる地域では、企業が設立されたり、多くの企業が支援を受けたりするようになります。その結果、工場近くに住む人々の所得も高くなるでしょう」と話した。また今回発表された賃上げの効果は地方へも波及すると想定し「両親への仕送りが増えれば、その両親らの住む地域で資本が生まれ、新たなビジネスを立ち上げることができるのでは」と考えている。

だがすべての人に、良い影響がもたらされるわけではない。労働者の権利団体Solidarity Centerで地域部長を務めるDave Welsh氏によれば、128ドルへの賃上げは、これまでの好機を逃がした結果「陥った事態」なのだという。同氏は「縫製労働者の賃上げについては、過去に適切な時期がありました」と話し、工場周辺の寮や食料品の価格が、来年の賃上げを見込んで「人為的に」値上げされている現状を指摘した。そして「他の産業に対して良い影響を与えるには、政府と衣料産業の双方が、工場周辺の家賃について、実質的な家賃統制や家賃凍結を行わなければなりません」と述べた。

今回の賃上げについて、国内企業の多くがこれを利用しようとするなか、工場経営者らにおいては、海外投資の減少につながるのではないかと懸念している。カンボジア縫製業協会(GMAC)のKaing Monika副会長によれば、今年1~9月の間にGMACが登録した工場の件数は78件だったが、前年の108件と比較すると大幅に減少していることが分かる。これについてMonika氏は「衣料産業が減速しつつあることの兆し」とし、今年始めのストライキと今回の賃上げの両方が、この減速に起因していると指摘した。

縫製労働者のMoa Sophat(25)さんは、平均して月約170ドルの給与を得ているが、基本給が128ドルに引き上げられた際には、実家への仕送りと自身の小遣いに使いたいと話している。Sophatさんは「貯金と両親への仕送りを増やしたいと思っています。今は毎月約30ドルの仕送りをしていますが、賃上げ後は40~45ドルにするつもりです」と話し、さらに「洋服や化粧品、アクセサリーにも使いたいです」と続けた。

 



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最終更新:2014年12月03日

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