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建築基準法不備でカンボジア衣料産業に脅威

昨年5月、カンボジアのコンポンスプー州にあるWing Star Shoes社の工場で天井が崩落する事故が起き、従業員2名が死亡した。これを受け当時の社会問題相Ith Sam Heng氏は、現在稼働中の工場について各省庁は今後「すべての建物を検査する」と発表した。

だが同事故から1年5カ月が経った10月21日、タケオ省にある中国系企業Nishiku Enterprise社の工場で工場建物1階の床が崩落し、少なくとも8人の従業員が負傷した。

これによりカンボジアの衣料産業では、建築基準が適切に整備されていないことに対して、再び不安を抱くこととなった。

国際労働機関(ILO)「カンボジア工場改善プログラム」で最高技術顧問を務めるJill Tucker氏によれば、「衣料・履物産業における防火および建物の安全に関するリスク分析」と題する未公開のリポートでは、建築基準に従わずに建てられた工場建物で頻繁に起きている事故について取り上げられているという。

ILOと国際金融公社(IFO)がまとめた同リポートでは9件の工場を評価し、工場労働者を危険にさらす共通の原因を、「基礎スラブにおける鉄筋」が不十分だったためと説明した。Tucker氏は、Nishiku Enterprise社の崩落事故も同様の原因だったとし、「事故の原因はリポートに書いてある通り」と述べた。同社の事故では、50メートルにもおよぶ工場の床部分が約3メートル下へと落下し、建物下の水たまりへと落ちていた。

リポートでは政府による公的な条例や規制が存在していないことについても触れており、これを施工不備の主な原因とみている。

「カンボジア工場改善プログラム」は工場の労働環境改善に向けて取り組んでいるが、建物の建設については管理の対象とはなっていない。Nishiku Enterprise社は、建物は「手抜き」工事だったにもかかわらず、企業の透明性を測る指数においては、労働環境、給与、安全措置のすべてにおいて完璧なスコアを取得していた。

Tucker氏は、同プログラムが建物の建設について管理しないのは、国に建築基準法が存在していないためだとし、「われわれの活動は国の基準に基づいて行われるため、現時点での問題は、従うべき基準が存在していないこと」と述べた。

米国に本部を置くSolidarity Center(連帯センター)の地域代表Dave Welsh氏は、Nishiku Enterprise社の事故について、「政府当局者らは以前、建築基準法の強化を約束していたが、あれは口先だけだったようだ」と述べた。

また「Wing Star Shoes社の事故から約1年半、飛躍的な改善を期待していた人も多いはずだ。書類上では国土政策局もこの件の責任を負っているようだが、見たところ何一つ手を付けていない。同プログラムはその方針で建築管理は行わないが、だからと言って建物の安全基準を無視して良いというわけではない」と話した。

さらに「確かに、同プログラムの活動は工場を管理・監督することだが、本件で最も責任を負うべき機関はILOではない。一方ILOは、工場の物理的な保全状況を実質的に評価するなど、本件について非常に積極的な姿勢を見せている」とし、「政府がこの問題を放置し続ければ、労働者はますます危険にさらされることになるだろう」と続けた。

地域法律教育センター(CREC)で労働コンサルタントを務めるJoel Preston氏は、工場オーナーらや委託元である海外企業にも責任はあるが、最終的に責任を負うべきはやはり労働省だとの見解を示し、「衣料産業の労働安全規定について、最も責任を負うべきは政府であることを忘れてはいけない」と述べた。

労働省労働争議局のVong Sovan副局長は22日、Nishiku Enterprise社の事故を受け、週内にも現在稼働中の工場の立ち入り検査を行うものとし、「専門家で構成した委員会を派遣し検査を行う。Nishiku Enterprise社だけでなく、その他工場においても実施する予定」と発表した。

 



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最終更新:2014年11月01日

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