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カンボジア:アパレル産業、堅調な伸びで労使問題の苦悩隠す

カンボジア工業・手工芸省がこのほど示したデータによれば、50億ドルの収益を誇る同国のアパレル産業は今年、堅調な伸びを見せている。だがこの成長とは対照的に、同産業は6カ月にも及ぶ労働者の賃上げ要求に頭を抱えている。こうしたデモ活動は全国規模で広がり、今年1月には警官隊による武力制圧にまで発展した。

同データの示すところによると、今年1~6月期のアパレル工場登録件数は、対前年比で8%増だった。同省登録局局長のHuot Pheng氏によれば、これにより同国のアパレル・メーカーの数は1200件となり、また同産業の労働者数は、昨年の67万7600人から73万3300人にまで増加した。

Pheng氏は、これらの数字について「政府の政策が成功したことによるもの」と話す。また地方に新しく建設された工場の数も急速に伸びており、これについては郊外への誘致や先進製造技術への投資を促した、政府の方針が功を奏したものとしている。さらに「工場労働者は以前、都市部で見かけられたものだ。だが最近では、毎日のように郊外で新しい工場が開業している」とも話した。

一方、カンボジア衣料製造業組合(GMAC)会長Ken Loo氏は、この期間に工場登録件数が増加したことについては、同産業が、1月に起きたデモ活動やそれによる深刻な影響と向き合わなかった結果だと非難した。また「企業の新規登録数を増やす前に、やらなければならないことがあるのでは。さもなければ、労働者らはまたストライキを起こすだろう」とも指摘した。同氏によれば、投資家が郊外に移動しているのは単に、飽和状態にある都市部と比較して、郊外は家賃が安いからだという。

これまでの混乱については、今後数カ月のうちに、その実質的な影響を受けることになるだろう。と言うのも、混乱が見え始めたのは昨年11月だったが、それ以前に確定していた受注がこのところ徐々に終了し、産業が減速しつつあるからだ。

同氏はさらに「当然ながら、皆、受注が減少していることに気付いている。だからこそ今後3カ月から半年が正念場なのだ。ほとんどの発注は当面のところ取り下げられている。これらの企業が再発注をかけてくれるかどうかは不明だが、進出できる市場がある場合には、われわれも決断をしなければならない」と続けた。同氏によれば、今後の見通しは依然不透明だが、違法デモの抑制は政府にとって喫緊の課題であり、投資家の信頼を取り戻すことにもつながるという。昨年行われたデモ活動の回数は、過去最多を記録した。また「われわれが一致団結すれば、投資家はきっと戻ってくる」としている。

地域法務教育センターで労働プログラムを指導するMoeun Tola氏もまた、「データは、アパレル産業の堅調な伸びを示しているわけではない」という見解に同意した。だが一方で、これまでのデモ活動については、そもそもの原因を政情不安のためとし、それが行動として表れたのではと話す。同氏は「カンボジアのアパレル産業が好調だとは思えない」と述べ、さらに「カンボジア衣料製造業組合(GMAC)は、一連のデモ活動を非難すべきではない。すべては賃金の低さや過酷な労働条件のせいなのだ」と続けた。

政府の独自調査によれば、月100ドルという現行の最低賃金は、生活賃金と比較した場合、少なくとも60ドルの不足だという。だが雇用者らは、福利厚生や残業代を考慮に入れれば、従業員の収入は法で定められた基準をはるかに上回るものだと主張する

これとは対照的に、カンボジアに投資を行う大手ブランド企業の多くは、最低賃金の引き上げ援助に前向きであり、関係者に対して新たな賃金制度を早急に確立するよう求めている。

一方、「ブランド各社は、最低賃金の引き上げの援助はしてくれないだろう。根本的な原因は政情不安にあって、それを解決しない限り、労使関係は改善されないということを知っているからだ」との見方もある。

 



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最終更新:2014年07月14日

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