ベトナムビジネス体験記

第二十三回 コネは使いよう

   以前にベトナム社会はムラ社会と述べたことがあるが、村であるがゆえに、コネや縁故がモノを言う。コネを持っている者は万事有利であり、血縁、地縁が非常に大事にされる。

   田舎の者がホーチミン市のような都会に出てくるときには、最初は必ずこの地縁や血縁を頼ってやってきて、そうした縁のある人のところに転がり込んだり、近所に住んだりする。だから、町の中には同郷出身者からなるコミュニティーができている。

    たとえば、周辺にブンボー(牛肉の入った辛いウドン料理)の店がいくつもあるなと思ったら、その地域はフエや近隣省の出身者が固まっていたりする。

    就職でも縁故を通してのケースは多い。

    タクシー会社Vのオーナーはメコンデルタのアンザン省の出身者だが、同社のドライバーに占める同省出身者の割合はかなり高いということを、車に乗っているときにドライバーから聞いたことがある。

    日本語が達者なため、日本人のお客さんを持つTさんという弁護士さんがいる。

    私自身も契約書の翻訳をお願いしたりしてお世話になったことがあるのだが、彼などはコネのない弁護士の代表で、至って真面目な男でよいのだが、有力者に働きかけたいときなどはまったく頼りにならない。 

   同社のオーナーはタクシー会社以外にもHCMC市内にレストランも持っているのだが、そこのウエーター、ウエートレスも大半は同郷出身者とのことである。

   官公庁で働きたい人はこの国でも山ほどいるが、実際に、働ける人には限りがある。官公庁や国営企業の場合、コネがあることは前提条件でしかないらしい。とくに、北部のほうがこの傾向が強いように感じる。

   コネのない人は頑張って外国語を勉強し、コネを前提としない外資系企業を目指すことになる。

   仕事柄、貿易業務に関わることが多いが、ここでもコネは登場する。

   輸出入の際の税関の手続きは不明瞭なところが多いが、これもたぶんにコネがモノを言うようである。

   長い付き合いで税関の職員と関係ができていれば、物事がスムーズに進み、逆に、関係ができていないと、すべてが杓子定規に進められ、時間がかかることが多い。

   ベトナムに住んでいる日本の同胞にこのことを説明するのは、さほど困難を伴わないが、日本にいる日本人にこれを説明し、理解してもらうのはなかなか容易ではないと思う。実際、こうした点で困った経験を持つ駐在員の方は少なくなく、愚痴を聞かされたことは1度や2度ではない。ベトナムとの取引が始まったばかりの会社などでは想像を絶する苦労をされているはずである。

   日本語が達者なため、日本人のお客さんを持つTさんという弁護士さんがいる。

   私自身も契約書の翻訳をお願いしたりしてお世話になったことがあるのだが、彼などはコネのない弁護士の代表で、至って真面目な男でよいのだが、有力者に働きかけたいときなどはまったく頼りにならない。

   ある大型案件の許認可の仕事を請け負っていたのだが、なかなか許可が下りず、1年以上が過ぎた。業を煮やしたクライアントが、テナントで入る予定のビルのオーナーに相談したところ、オーナーが援助の手を伸ばしてくれた。彼女は自分のコネを使って、あっという間にプロジェクトのGOサインを手に入れたという。

   ある同業者のことである。

 

 

秋利美記雄

プロフィール:1966年生れ。山口県下関市出身。1995年よりベトナム在住、大手商社勤務を経て、独立、アパレル専門商社及びコンサルティング会社を設立。 Qara Qoromo LLC.社長、My Lang Consultant Co., Ltd.取締役。 ベトナム語他語学に精通、現地企業との交渉は自ら行う。ベトナム在住歴16年。 アパレル情報ウェブサイト"Apparel Resource in Indochina"(www.apparelresource.asia/)を主催。

連絡先Eメール:info@apparelresource.asia

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