ベトナムビジネス体験記

第十五回 ベトナムでのアパレル生産の現状及び問題点

長らく開店休業中だった弊社ウェブサイト"Apparel Resource in Indochina"がこの程いよいよ正式にオープンする。
この情報サイトはベトナム及び周辺国でのアパレル調達を考えている方々にベースとなる情報を提供しようという目論見の下、企画されたものである。
このサイトの活用を前に、下敷となるベトナムでのアパレル生産の現状及び問題点を指摘したい。

1. 生産キャパ:
中国からのシフトが強まる中、生産キャパの確保は容易ではない。とくに、日本向けの商売の場合、適当な工場背景を確保することが要求される。各工場とも注文を潤沢にもっており、客先の選別に向かっている。スポット商売はまず見向きされず、ライン契約形式を要求されるケースが少なくない。
2. 生産ロット:
最近の中国でもそうだが、小ロットの注文が嫌われるのはどこでも同じだ。大方1000pcs以下の注文は受け付けてもらえないか、アップチャージがかかる。ラインをずっと借り受けるライン契約していれば、交渉しやすい。
3. 製品の品質:
中国と比べて勝るとも劣らないというのが巷の一般的な評判である。縫製を含む加工一般は慣れれば、良質のものが生産できる。手の込んだ商品が、この国の工員の器用さをもっとも享受できる。
4. 取引形態:
国内での資材調達が難しく、また、各企業の財務体質もあまり強くないことから、注文内容にも因るが、FOB形式で製品売りできるサプライヤーはまだまだ少ない。よって、材料支給の委託加工がまだまだ大半である。
5. 資材調達:
商売の組立を考えるときの最大のポイントがこの点である。国内でのルートが極めて限られているため、周辺国も含めて検討する必要がある。中国資材を使うか、特恵措置の享受を求めて、日本資材あるいはアセアン諸国の資材を使うか、じっくりと吟味すべし。
6. 言語対応:
サプライヤー側に日本語が話せる人がいるケースは極めて稀である。輸出企業であれば、英語ができるスタッフは必ずいるので、基本的に英語でのやりとりとなる。
日本語でやりとりしたければ、通訳者を雇うか、商社を含めた中間業者に対応を委ねるしかない。
7. 輸送:
港は南部ならHCMC港、北部ならハイフォン港から出荷できる。直通便、もしくは、台湾あるいは香港の経由便で、日本までの船足は6-10日くらいが多い。
中部からはダナン港から出荷できるが、便の多さからHCMCまで陸路で運び、出荷することも少なくない。10-15日見たほうがよい。
空輸ならHCMC空港もしくはハノイ空港出しとなる。便は毎日あるが、輸送キャパが限られているため、時期によっては経由便を余儀なくされるケースも多々ある。
8. 決済:
昨今では、ちょっとした企業ならどこでもL/C決済は受けてもらえる。ただし、小さな業者では30-70%ものアドバンスを要求するケースもある。


"Apparel Resource in Indochina"はビジネスのための情報サイトであるが、そのための単なるツールとは考えていない。物づくりの現場で働く人々の様子を描く記録のつもりである。
日々、現場の生々しい情報を発信していく。読者の方々が、そこで働く人々の生活の息吹を感じ取っていただければこれに勝ることはない。

秋利美記雄

プロフィール:1966年生れ。山口県下関市出身。1995年よりベトナム在住、大手商社勤務を経て、独立、アパレル専門商社及びコンサルティング会社を設立。 Qara Qoromo LLC.社長、My Lang Consultant Co., Ltd.取締役。 ベトナム語他語学に精通、現地企業との交渉は自ら行う。ベトナム在住歴16年。 アパレル情報ウェブサイト"Apparel Resource in Indochina"(www.apparelresource.asia/)を主催。

連絡先Eメール:info@apparelresource.asia

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