ベトナムビジネス体験記

第十三回 中越国境の町・モンカイのこと

6年前、ベトナムから国境を越えて中国側の町に行ったことがある。
中国との国境には西からラオカイ、ランソン、モンカイと3箇所の往来地点があるが、私は一番海寄りのモンカイという町から中国側の東興という町に入った。

ハノイから国道18号線でベトナム東北端のクワンニン省に入り、モンカイまで3時間半。ハロンの町を過ぎ、海沿いをモンカイに近づくに従って、風景は鄙びた田舎の度を強くする。
モンカイの町に入る前には、ゲートがあり、チェックを受ける。国境の町モンカイは経済特区の指定を受けているためセキュリティーが管理されている。

モンカイの街中に入ると、それまでの鄙びた田舎の光景とは瞭かに違うことに気づく。
たくさんとは言わないが、田舎町にしては多すぎるくらいのホテルなどのビルが立ち並んでいた。どの建物もそれなりに新しい。
住民の身なりもそれまでの沿道の人たちとは違い、誰もが小奇麗な服をまとっている。

人気のない巨大建物が2つ、訊けば、かつてカジノだったとのこと。私が訪れた当時はすでに使われなくなっていた。
数年前に建てられて、しばらくは中国人が大挙して押し寄せていた。中国のお金持ちが楽しむための施設だったらしい。
だが、羽目を外して、公金に手を出し、ベトナムまで来て、散在する役人らが後を絶たず、社会的にも大きな問題となったため、中国政府がお達しを出し、ベトナムへ行って、カジノで遊ぶのはならぬということになったらしい。
その結果が、残されたカジノの残骸というわけである。

ただ、これくらいでは、国境の町の繁栄はびくともしない。
国境の貿易で、町は中国製品で溢れ返っていた。誰もが新品のバイクに乗っている。
統計によれば、その当時からずっと、この人口わずか8万人弱の国境の町は、ベトナム中でホーチミン市、ハノイに次ぐ、裕福な町なのだった。

10mくらいしかない巾の川が中越の国境を流れている。
歩いて橋を渡り、イミグレーションを過ぎれば、そこには中国側の東興の町が広がる。スタッフのベトナム人を連れて中国入りしたが、ベトナム人はビザは不要で、代わりに簡易の1日滞在許可証を事前に取得していた。モンカイの住民たちは、ちょっと中国側に行って買い物するのが習慣になっているのだろう。

中国側の町に行くと、ここかしこにベトナム人がいて、コミュニケーションには不自由しなかった。
ベトナム人のいる生地屋で聞くと、買った商品はハノイでもHCMCでもベトナム中何処でも届けるという。
国境などおかまいなし。関税がどうなるだの、難しい話は一切なしである。

国境を越えたベトナム側の町に中国製品が溢れるのももっともである。

秋利美記雄

プロフィール:1966年生れ。山口県下関市出身。1995年よりベトナム在住、大手商社勤務を経て、独立、アパレル専門商社及びコンサルティング会社を設立。 Qara Qoromo LLC.社長、My Lang Consultant Co., Ltd.取締役。 ベトナム語他語学に精通、現地企業との交渉は自ら行う。ベトナム在住歴16年。 アパレル情報ウェブサイト"Apparel Resource in Indochina"(www.apparelresource.asia/)を主催。

連絡先Eメール:info@apparelresource.asia

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