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インドネシア:TPPの原産地規則がアパレル産業の重石となる可能性 

「インドネシアが環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する場合、ヤーン・フォワード・ルールに気をつけなければなりません。」とBenny Soetrisno氏は言った。

インドネシア繊維協会(API)諮問委員会の委員長は最近の記者会見の場において、米国主導で進められているTPPは、地元の繊維産業に損失よりも利益をもたらすだろうが、国はこの業界すべての製造プロセスにおける体制の準備を支援すべきだ、と述べた。

「TPP加盟国から原材料供給を受けて製造された衣料品のみが、その関税を免除される、とのTPPの規定があります。」と彼は指摘した。

米国主導のこの経済連携協定が一旦発効すると、加盟国間取引におけるゼロ関税適用を認められるためには、加盟国内から調達された原糸や原反を使用して繊維・アパレル製品を生産することを求める、ヤーン・フォワード・ルールが適用される。

インドネシアが最終的にこのいわゆる21世紀型の経済連携協定に参加する場合、同条項が適用されることとなる。

TPPは現在、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、米国の12の加盟国から構成されている。12の加盟各国ではTPP批准へ向けて国内手続きを進めており、その完了には約2年かかると予想されている。

ジョコ・ウィドド大統領は昨年10月に訪米した際、インドネシアがTPPに参加する意思があることを示し、また前回の米国・ASEAN首脳会議に出席した際にも、インドネシアでは現在、TPPに参加する場合の利益と課題の両方を検討している、と述べた。

インドネシアのアパレル産業は、国がTPPに参加することになった場合、その利益を最も享受する部門になると考えられている。

産業省のアパレル、皮革、フットウェアその他産業を管轄するMuhdoriディレクターは、アパレル産業では既に上流から下流までバリューチェーンが構築されており、TPP参加のための体制準備は整っている、と述べた。

一方で産業省の統計データによると、インドネシアは2014年に86億米ドル相当の繊維、糸、織物、衣料品、タペストリー、その他繊維製品を輸入したが、そのうち大きな部分がTPP加盟国ではない中国から来ていると推計されている。

ベトナムはTPP加盟国の一つであるが、まだいくつかのタイプの原反を中国からの輸入に頼っており、以前からヤーン・フォワード・ルールに関する懸念が持ち上がっている。

APIのAde Sudrajat会長は、TPP参加によって国のアパレル産業に利益がもたらされると前向きであるものの、衣料品の全製造プロセスのバリューチェーン開発に対し、政府からの支援が必要であると主張する。

労働環境の面では、例えば生産工場に隣接する場所にアパレル会社が寮を建設することを政府が支援するようなことが考えられる、とした。

「我々が生産工場から離れた地域から労働者を募集することができるよう、政府にアパレル工場従業員のための住宅に助成金を支給するよう求めたいと思います。」と彼は言った。

多くの産業で業務効率を向上させるためにレイオフを行ってきたと伝えられる一方で、アパレルメーカーでは、その事業拡大を支える労働力不足に苦しんでいる。

Surakarta、Boyolali、Wonogiriにあるアパレルメーカーでは、既に1000人規模の新規雇用を行ったが、なおも多くの労働者を求めている。

インドネシア投資調整庁(BKPM)のFranky Sibarani代表は、彼の組織では多くの労働者を必要としている他の業種に誘導できるよう、企業に対してレイオフ計画があれば報告するよう求めている、と以前明らかにした。

APIは、インドネシアがTPPに参加する場合、特にアパレル輸出が急増するだろうと予想している。

インドネシアのアパレル輸出は2005年に86億米ドルであったのが、2014年には127億米ドルに増加しているものの、そのパフォーマンスは、2011年の53億米ドルから2014年には262億米ドルまで達したベトナムの後塵を拝している。

Ade会長は、彼の組織ではTPPによって米国をその主要な取引市場の一つとして取り込むことにより、今後10年以内にインドネシアのアパレル輸出が倍増すると予想していることを明らかにした。

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最終更新:2016年02月27日11:36

インドネシア:アパレル産業に今年ビジネスチャンスは訪れるか(後)

(前編より)

 

異なる視点として、繊維・衣料品部門に対する国内外の投資計画を記録管理しているインドネシア投資調整庁(BKPM)に目を向けることも有意である。BKPMによると、2015年を通じて投資計画の明らかな増加があり、そのことは2016年も労働集約型(産業への)投資が続くのではないかという点について、肯定的な評価につながっている。2015年前期における繊維・衣料品部門に対する投資は明確にプラス成長となっており、例えば、織物繊維加工業では82のプロジェクトから213%増となる2.4兆インドネシアルピア(1億7600万米ドル)、織物製織業では25のプロジェクトから613%増の1630億ルピア、衣料品産業では16%増の9410億ルピア、衣料品アクセサリ業では15のプロジェクトから563%増の2160億ルピアを記録した。

投資計画は、2015年にテキスタイル部門において取得された原則許可数として記録されており、前年比で68%増の総額13.1兆ルピアであった。BKPM幹部のFranky Sibarani氏によると、テキスタイル部門の投資計画には10万1000人の労働者の雇用増も含まれている。これらの投資計画の実現が、政府が2016年の目標として掲げる200万人の雇用創出に対し、大きく貢献することが期待されている。

BKPMの投資データは、アパレル産業に回復の望みがあることを示している。しかし、ナショナル・ブランドの開発、生産に必要な原材料を確保するために現在開発中の綿の物流拠点への継続的な投資や、さらなる経済政策の発動による産業開発の促進など、政府による積極的な努力と支援がある場合にのみ、この業界は回復を遂げることができるであろう。今後、ガス、電気やディーゼルの市場価格下落により、全産業の競争力は高まっていく可能性がある。政府はまた、輸入をコントロールして関税ゼロ政策から国内市場を保護するような取り組みを重ねるなど、業界の業績改善を支援している。政府の政策には、インドネシア国家規格(SNI)の強制適用、財とサービスの調達に際して国産品の強制利用(P3DN)、アパレル・フットウェア業界の機械設備のリストラなどが含まれている。

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最終更新:2016年02月23日12:04

インドネシア:アパレル産業に今年ビジネスチャンスは訪れるか(前)

インドネシアにおける2015年の景気減速は、まだいくつかの産業に悪影響を及ぼしており、繊維・アパレル産業もそのうちの一つである。繊維産業の業績は、苦境から脱出するのに必要とされる楽観的な気運が盛り上がらないために、2016年も低調に推移すると予想されている。

世界経済の回復は国内経済同様不透明で、未だ改善の兆しは見られない。インドネシア繊維協会(API)のAde Sudrajat会長は、繊維産業における来年の成長についても悲観的な意見を持っている。

2015年10月時点での繊維業界のパフォーマンスは、満足いく結果からは程遠いものであった。この部門の国内総生産(GDP)は縮小に苦しんでおり、前年同期比で6.1%のマイナス成長となった。この数字は製造業全体の4.3%、インドネシア全産業の4.7%といったGDP成長率と比較しても、悪い結果であった。

世界経済の状況として、国際通貨基金(IMF)は2016年の経済成長見通しを3.6%から3.4%に引き下げた。さらに米国についても2.6%の経済成長しか見込まれていない。インドネシアの繊維輸出は強く世界経済の状況に左右され、特にこの部門の最大の輸出先市場である米国やヨーロッパの影響を強く受けるため、繊維産業の成長率に悪影響がもたらされることとなる。

米国と欧州に対するインドネシア繊維産業の輸出シェアは、それぞれ31%、16%となっており、この数字は例えばアセアン諸国や日本に対する輸出シェアよりもはるかに大きいものである。2015年の繊維輸出実績は、前年の126億8000万米ドルから120億米ドルとなり、前年同期比で約5.3%の減少であったと推計された。

昨年10月時点では、インドネシアの繊維輸出はたったの102億米ドルであり、目標の約77%止まりであった。この理由の一つとして、インドネシアの輸出製品は周辺ライバル国、特に米国や欧州市場においてはベトナムからの衣料品と競争しなければならないことが挙げられる。

ベトナムでは人件費が低いままであるため、加工費がさほどかからず、製品の製造コストが比較的安い。このことはインドネシアの状況と対照的である。この東南アジア最大の経済市場においては原材料コストが上昇しているのに加え、生産コストも人件費の高騰によりかさんでいる。これにルピア安が加わることによって、多くの企業でこうした状況に耐えられなくなり、ビジネスから撤退していることも頷ける。ますます高騰する生産コストが、特に繊維産業において従業員を解雇せざるを得ない状況をもたらしている。

例えばAPIの調査によると、繊維産業はバンドン市の4地区に集中しているが、2015年1月から5月の間に6000人もの労働者が解雇された。こうしたレイオフがもしジャワ島で起これば、数万人~数十万人規模の労働者がその職を失うことが容易に想像できる。APIによると、一般に下流工程産業でこのような緊急レイオフの手段に訴えることが多い、としている。

さらに、インドネシアの繊維・アパレル製品の競争力は低下し続けている。中央統計局(BPS)のデータによると、2014年単年で世界市場におけるインドネシアの繊維製品の競争力は1.3%も低下した。一方でベトナムでは対照的に、前年比1.8%も競争力が上昇した。インドネシアの競争力低下は世界市場において発生しただけではなく、米国や欧州市場においてもそれぞれ25%、3%低下した。

通商大臣のThomas T. Lembong氏は、アパレル・フットウェア部門におけるインドネシア最大のライバルとして、ベトナムに脅威を感じているとした。ベトナムが環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に加盟することにしたのも、一層脅威に拍車をかけている。Lembong大臣の見解では、この競争はベトナムがEUとの間で自由貿易協定(FTA)を締結したことにより、ますます熾烈になるだろうとしている。EU間自由貿易協定によりベトナムが、米国市場より大きな、20カ国以上から構成される欧州市場へのアクセスを獲得することを意味する。Lembong大臣はTPPについても、その12の加盟国は米国主導ですぐに世界市場の40%をコントロールするようになり、そのためインドネシアでも、今後2年以内にTPPへの参加を目指すようになっても不思議ではない、とした。

 

(後編につづく)

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最終更新:2016年02月23日08:03

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