インドシナニュース

ミャンマーのネット通販事情(後)

(前編より)

 

一方、ネット通販というものは一種の「チャレンジ」のようなものでもある。利用者は写真だけを頼りに商品を決めるため、トラブルにつながる可能性もある。また洋服のサイズや品質、実際のデザインなど、買う側だけでなく売る側にとっても一筋縄ではいかないことがある。

例えば、販売業者が製造依頼をかけた衣料品においてそのサイズが大きすぎた場合、販売業者はサイズの調整を行うことができるが、反対に小さすぎた場合には、当初予定していた顧客に売ることはできないため、別の誰かに販売するか提供しなければならない。

2011年にマンダレーでLittle Things She Needs Fashion ShopをオープンしたEi Layさんもまた、顧客の要求を受け入れる形で近々ネット通販を開始する。だが自身はインターネットでの買い物は好きではないと話す。その理由を「服によっては、写真と実際の商品の色が違うことがあります。配送が遅れることもしばしばです」と説明した。

だがインターネットでの買い物すべてを否定しているわけではない。店舗で見付からない製品を、インターネットで見付けることも可能だからだ。

「市場で手に入らないものを買うのに、ネット通販を利用するのは良いと思います。しかし必要なものすべてを揃えるには、それほど便利なものではありません」と話し、「インターネットで自分の服を買ったことは1度もありません。これまでに買ったのは、ベッドとまくらくらいです」と付け加えた。

自身のオンラインストアを100万チャットで開設したSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんは、オンライン・ビジネスを始める上で、支払いの問題や売上減少の可能性といったマイナス面は、例えば「誰でも始められる」といった実質的なプラス面によって相殺されるのではないかと考えている。彼女は「実店舗を持つのに十分な資金のない人は、その多くが、自分が管理できるサイズでオンライン・ビジネスを始めます」と話す。

ビジネスを行う者にとって重要な課題は、常に開業資金である。また実店舗の開店には家賃や人件費の削減が求められるが、インターネット上の店舗では、これらを支払う必要はない。

ネット通販での売買は、売る側と買う側の双方にとって便利なものである。だがやはり、店舗に足を運ぶという従来の買い物の方法と完全に置き替えることはできない。Nan Le Le Soeさんによれば、特にマンダレーでの買い物は重要で、人々は必要なもののほとんどを73番街や35番街、69番街、ダイヤモンドプラザなどで購入するという。

だがEi Layさんは、店舗での買い物がいかに便利だとしても、人々はやがてインターネットで買い物をするようになると考えている。それは時代の流れであり、ミャンマーでインターネットの接続率が上がれば、自然と生まれるものでもある。

彼女は「今や手頃な価格で買える電話機もありますし、インターネットもすべての人が利用できるようになっています。インターネットでの買い物は、マンダレーでも徐々に注目されるようになるでしょう」と締めくくった。

 

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最終更新:2014年11月15日14:00

ミャンマーのネット通販事情(前)

今やネット通販は簡素化され、ワンクリックで買い物ができるようになった。だがミャンマーではまだまだそうはいかない。それでもなお、オンラインストアを開設しようとする者は後を絶たない。

インターネット接続の向上に伴い、ミャンマーでは過去数年間にわたって、衣料品や電化製品などをインターネットで販売することが定着し、特にヤンゴンを中心に人気を集めるようになった。今ではOoredoo社、Telenor社、MPT社など携帯電話会社と契約する人も増え、オンラインストアやフェイスブックで手軽にショッピングを楽しめるようになっている。

ミャンマー第2の都市マンダレーでショッピングをするには、通常「店に行き、店員と話し、欲しいものを買う」という従来の方法が必要になる。だがマンダレーで暮らす人々もまた、ネット通販に興味を持ち始めている。まずインターネットで商品を探し、注文を行う。その後、銀行経由で決済し、1週間から10日で商品が届く、といった流れだ。

2007年に自身の衣料品店Hello QueenをオープンしたNan Lae Lae Soeさんは昨年、ミャンマー全土にわたる常連客の後押しもあり、試験的にオンラインストアを開設した。

彼女はその経緯について、「当店には、タウンジーやヤンゴン、ネピドー、モンユワ、ミッチーナーなど、マンダレー以外から来られるお客様もいらっしゃいます。こうした方々にはこれまで、バイバー(Viber)(無料通話・メッセージアプリ)を使って店舗でしかお買い求めいただけない製品の新作写真をお送りしておりました。そのようなわけで、オンラインストアの開設を勧められるようになったのです」と説明した。

一方でフェイスブックのアカウントも作成し、商品写真や価格の掲載、受注などに利用している。同店のオンラインストアでは配送サービスも提供しており、5万チャット以上の購入で自宅または最寄りのバス停まで商品の配達を行う。

Nan Lae Lae Soeさんによれば、マンダレーでは同店の認知度が以前より上がり、店の売上もアップしたという。またオンラインストアは、新聞や雑誌の広告よりはるかに露出効果が高いものだと述べた。

一方、19歳のSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんが立ち上げたのは、インターネット上のファッションストアだ。だが彼女はこのウェブサイトを、自身がデザインしたものを販売する場所ではなく、友人らとつながり楽しみを分かち合うための場所として活用している。

彼女は「最新デザインの服をショッピング・モールやブティックで見付けるのはたいへんですが、インターネット上では簡単に見付けることができます」と話す。ネット通販で洋服を買うことが多いSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんは、購入後、製品の写真をフェイスブックに投稿し友人らと共有する。彼女は「友人たちは私が着ている服を気に入ると、同じものを注文して欲しいと依頼してきます」と話し、「代理注文を始めて半年になりますが、今では常連のお得意さんもいるほどです」と続けた。

彼女は「ユニコーン・アンド・レインボー」と呼ばれるウェブサイトを立ち上げたが、コンテンツの掲載や受注は、個人のフェイスブックを通じて行っている。

人々がウェブサイトの閲覧やネット通販に興味があるのは明らかだ。だがミャンマーのネット通販には、販売する側と購入する側の双方にリスクが伴う。と言うのも、ミャンマーではインターネット・バンキングもモバイル・バンキングも確立されていないからだ。

Nan Lae Lae Soeさんは以前、支払いを待つのではなく、前払い制で販売していた。そのときの状況について「バイバーで請求書を送り、最寄りの銀行から送金してもらうようお願いしていました」と話し、「発送は大体その2日後です」と説明した。

 

(後編につづく)

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最終更新:2014年11月15日06:00

ミャンマー:EUの支援によりアパレル産業にCSR導入

欧州連合(EU)が資金を提供する、ミャンマー衣料産業のための「SMART」プロジェクトは先月30日、ヤンゴンのSule Shangri-Laホテルで開催された記者会見および公開討論会で、今後CSR(企業の社会的責任)への取り組みに着手すると表明した。

プロジェクト・マネジャーのSu Tayar Lin女史によれば、同活動では、ミャンマーの衣料産業がより持続的で社会的に責任のある産業になるよう意識向上キャンペーンの一環として、国内企業約3000社に対して書籍やビデオ、ポスターなどの配布を行っていくという。同産業は現在、何万人もの労働者が働く巨大産業である。

討論会は、ミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)、Yoma Bank Group社、国際労働機関(ILO)およびアジア太平洋開発金融機関協会(ADFIAP)の各代表によって行われ、CSRの活動がミャンマー企業にもたらす効果や、活動を行う中小企業の発展にどのような影響を及ぼすのかなどについて協議した。

開会のあいさつを行った商務副大臣のPwint San博士は、同会議の重要性を強調するとともに、活動を通じて社会、環境、ビジネスすべてにとってメリットのある状況が作り出されるだろうと述べた。

またUMFCCIのWin Aung会長は、これまで多くの経営者に対して、企業や産業全体に役立つCSRに取り組むよう奨励してきたと話した。

一方、同会議の主催者「SMART」ミャンマーも、CSRへの取り組みはミャンマー企業にとって有益になるとの見方を示している。

「SMART」プロジェクトでは、「メイド・イン・ミャンマー(ミャンマー製)」の衣料が持続的に生産されるよう産業の促進と支援を行い、同産業における中小企業の国際競争力を高めていく。

「SMART」ミャンマーによれば、経済成長だけに焦点を当てた発展というものは、そう長くは続かないのだという。またミャンマーが世界の流行に追い付いた背景には、CSRの考え方と深く関係があるとしている。CSRとは慈善活動ではない。内部の業務プロセスやコミュニケーション、従業員の満足度、生産性などの改善を図る戦略なのである。社会基準や環境基準に則ったCSRへの取り組みは有効な経営戦略であり、かつ海外バイヤーとビジネスをする上でしばしば必要となる条件でもある。CSRは衣料産業以外でもすでに企業戦略に組み込まれており、有意で着実なものとなっている。従ってミャンマー企業は今後、こうした実際の事例から学ぶことができるものと期待されている。

ADFIAPのOctavio B. Peralta会長は、ミャンマー国内の全中小企業がCSRに対する考え方を共有し、実践に移すことを目指している。

「SMART」とは、「SME(中小企業)」「Environmental(環境に配慮した)」「Accountability(説明責任)」「Responsibility(責任)」および「Transparency(透明性)」の頭文字を取ったもの。

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最終更新:2014年11月13日14:00

ミャンマーに見る女性労働者の活躍推進(後)

(前編より)

 

Myitta Yait社が目指す女性の労働環境

ヤンゴンから北へ1時間、土ぼこりの舞うShwe Pyi Thar工業団地に、Myitta Yait社の衣料品工場はある。団地内の道路は視界が悪く1本道で、道の両側には細い溝が走り、18輪の巨大トレーラーが何台も身動きできなくなっている。咲きほこった花に囲まれたフェンスで、その向こうにある工場建物は、道路からほとんど見えない。フェンスの内側では数人の女性従業員が、作業をしながらうっとりするような声で歌を口ずさんでいる。

工場名の「Myitta Yait」とは「慈しみの下で」という意味だ。政党としては小さいが、総勢2000人を擁立する国民統一党(NUP)の活動家、Myo Myo Aye女史が同工場を創業したのは、今年7月のこと。「若い女性を教育して、新しい市場を作りたいと考えています。従業員として働くだけでなく、オーナーの立場から見た経営も知ってもらいたい」と話す彼女は、まばたき一つせず、凛としていた。ワイヤーフレームの眼鏡をかけ、髪はきつく束ねている。工場内を静かに歩き、我が子を抱いてひざにのせるMyo Myo Aye女史は、従業員も家族の一員のように考えている。

Myitta Yait社では、これまでに解雇された経験のある女性縫製労働者を雇用する。労働者らはデモ活動に参加しそれが失敗に終わってから、この工場で働き始める。同社では、労働者による労組の結成も手助けしている。工場では現在ミャンマー各地から集まった15人の女性従業員が働き、海外出荷向け製品の製造に当たっている。生産量は急速に増加しており、近隣での姉妹工場の設立計画も進んでいる。

工場内は清潔で、穏やかな雰囲気が広がっている。従業員は歌を口ずさみながら作業を行い、窓は開け放たれ、その窓に揺れる木々の枝がぶつかると、木の葉のサラサラとすれ合う音が聞こえる。従業員はみな、工場に隣接した寮で生活している。Myo Myo Aye女史は「彼女たちの母親のような気分です」と冗談を言った。

一部の従業員は、かつて地方のウール工場で働いていた女性工員で、デモ活動に参加した経験もある。デモでは約150人の女性が、日常業務における生産基準の問題をめぐって工場オーナーと意見を対立させ、2カ月もの間抗議を続けた。だが歩み寄りの余地がないと分かったとき、抗議に参加した女性らは解雇された。多くの人は地元である地方の町に戻ることを余儀なくされたが、なかにはMyitta Yait社で職を見付けた者もいた。

Myo Myo Aye女史はこれまで約30ものデモ活動を組織したことがあり、1度だけだが逮捕された経験もあるという。労働法の改善を求めて、労働省の前で抗議を行ったこともあった。そして「労組があるということが、今は非常に心強い」と、Myitta Yait社を引き合いに出して話した。

かつての軍事政権下で、デモを行う労働者らは捕らえられ投獄された。そして使用者に対する抗議について取り調べを受けた。ミャンマーの労働法が徐々に国際基準に近づくにつれ、こうした状況は改善されてきた。また新興の労働勢力による賃金の引き上げ要求や労働条件の改善要求も、成功を収めている。だがこうした改革にも関わらず、多くの女性が今なお、使用者に対する抗議で解雇されている。また労働活動を行う女性がいると、先々を懸念して、そうした女性を雇用しない使用者もいる。

Myo Myo Aye女史やMar Mar Oo氏にとって、こうした状況にはまだ多くの改善点が残されているという。例えば労働法の改正や、新たな労働基準の採用・実施などである。Myo Myo Aye女史は「悪影響を及ぼすデモ活動から、従業員を守らなければなりません」と話し、「工場のオーナーらが決定事項に従わない限り、法律が労働者の支援に十分な機能を果たしているとは言えないのではないでしょうか」と続けた。

労働組合を合法的に結成するには、1工場で少なくとも10%の従業員が、その労組に賛成票を投じなければならない。投票後に使用者側が、賛成票を投じた者の氏名を記録することも少なくない。労働者の権利を求める団体によれば、その後、工場オーナーが結成の中心人物となった従業員を解雇し、他の従業員に対する見せしめと今後の労組活動の抑制を行うことも珍しくないという。

一方で、工場オーナーらもまた、使用者のための労働組織の結成に踏み出し、問題があると見なした労働者を互いに伝え合うなど、情報の共有を行っている。労働組織に関与する労働者の氏名は政府に登録され、工場管理者で形成された組織に配布される。労働者の権利を求める団体によると、登録された者たちは今後、就職が困難になるという。工場の使用者は、労働活動を行う者の雇用を避ける傾向にあり、職場にいる場合には追放さえしようとする。

Mar Mar Oo女史は「ミャンマーは政治的腐敗のため、法治国家として機能していません。この国ではビジネスマンが賄賂を受け取るのは当たり前。まったく信用できません」と述べた。

罰金についても、使用者と労働者には大きな違いがある。Myo Myo Aye女史によれば、使用者が違法行為を行った場合、科される罰金は50万チャット(500ドル)だが、労働者の場合には、年収の30%が科されるという。彼女が求めているのは、使用者側にも重い罰を科す合法的な法の改正だ。例えば、投資額の数パーセントを罰金額としたり、重大な違反行為を犯した場合には懲役刑を科すことなどが挙げられる。

 

マスター・スポーツ靴工場デモのその後

マスター・スポーツ靴工場の外に集結した抗議者らは、労働争議について、ヤンゴン管区の労働裁判所が発表した命令を耳にした。バスから降りてくる者もいれば、雨風よけのビニールハウスから出て来る者もいた。日光から身を守るために傘を差し、抗議者らは路上に巨大な群れを作った。

静寂のなか、条件は読み上げられた。それは抗議を行ってきた者たちにとって、喜ばしい内容だった。「マスター・スポーツ社のオーナーは、従業員に対して、6月分の給与および退職金を支払わなければならない。また就労年数3カ月当たり1カ月分の給与に相当する額を、補償金として支払う必要がある。オーナーは今後3度にわたって支払いを行うが、支払いを怠った場合には、財産の差し押さえや破産手続を行い、それによって得た金銭を支払いにあてるものとする」

体制は整えられつつある。国民が国の経済や産業の発展を望むことで、政府も労働慣行の改革を行い、海外投資家の懸念を和らげる必要性を感じるようになるだろう。労働法の法的枠組みを強化することで、女性労働者やその労組が先頭に立ち、産業の意思決定を行う環境作りも可能になる。またそれは、彼女たちの将来を明るいものにし、何万人にも及ぶミャンマー女性や、その家族の社会的・経済的条件を改善することにも役立つだろう。

 

 

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最終更新:2014年10月25日06:00

ミャンマーに見る女性労働者の活躍推進(前)

今年8月末、約700人の若い女性労働者らが、ヤンゴン北部のHlaing Tharyar工業団地内にあるマスター・スポーツ靴工場ゲート前に集結していた。

この2カ月間、彼女たちは、鍵のかかったゲートの向こうにあるメタル製の倉庫をずっと見張っていた。ゲートの内側は、2カ月前まで彼女たちの職場だった。

こうしたデモ活動のなか、スコールや断続的な日光から身を守るために作った、竹と防水シートのビニールハウスにしゃがみ込む者もいれば、野菜や香草を売り歩く者と値切り交渉を始める者もいた。野菜売りたちは、労働者が昼夜を問わずデモ活動を続ける姿を目にし、ここぞとばかりに新たなビジネス・チャンスを見出したのだ。

さらには、停車したままのさびた中国系のバスで、ビニール張りの椅子にじっと腰かける者もいた。バスは、これまで工員の送り迎えに使われていたものである。ある女性は必要な限りデモを続けると話した。

テイン・セイン大統領による革新政党が、軍事政権時代には認められていなかった、労働組合に対する厳格な禁止令を撤廃してから約2年が経った。ミャンマーでは、女性が圧倒的に多い産業において、その労働力となる何千人もの女性が、職場への抗議やデモ活動、労働条件変更の要求などを求めて、労働環境の改善に乗り出している。

同国労働省によれば、労働組合の結成が認められて以降ミャンマーでは959もの基本労働団体が設立されたという。だが一方で、労働登録局の記録では、2012~14年にかけて行われた労働デモが447件にも上っている。

これまで男性優位の家父長制を基本原理としてきたミャンマーでは、女性労働者が増加したことで、それによって生まれた新たな労働勢力が、女性に社会面や経済面での権力を与えたかのように見える。

ミャンマー衣料品製造組合(MGMA)によると、同国の衣料産業は、労働人口の約9割が女性だという。また海外のアパレル・メーカーの投資によって、将来的な産業の拡大が見込まれている。さらに労働登録局は、同産業がヤンゴンの工業生産高全体の約44%を占めていると伝えた。

MGMAでは、国内の衣料品工場で働く労働者を約20万人と推定している。典型的な工員の例として挙げられるのは、女性、平均24歳、週休1日、1日13時間労働、月給約80ドルといった点であることが、労働相談センターの調べで分かっている。

工場のオーナーらは、政治団体の88 Generation Peace and Open Societyや、最大野党の国民民主連盟(NLD)といった活動家グループに対して、デモを動員したり労組を結成したとして非難しており、一方で2015年の選挙が近づくにつれ、労働争議が頻発するのではないかと懸念している。

ミャンマー投資委員会は、同国が徐々に対外開放を開始した2010年以降、海外投資は毎年およそ5倍の割合で増加してきたと話す。安価な労働力を求める、韓国、香港、台湾などの衣料品工場オーナーらによって、ミャンマーへの投資はますます増加するものと期待されている。だが例えば米小売大手のGAPなど、欧米のアパレル・ブランドに関しては、委託する工場の労働環境について非常に敏感になっているのが現状だ。今後、同産業へ投資を呼び込むには、新たに制定された労働法を再度改正し施行することが重要な要素になるだろう。

 

労働権の獲得を目指す教育

今年6月26日の夕刻、マスター・スポーツ靴工場のオーナーは、夜になって従業員が帰宅するのを待っていた。その後鈍い色をした重い工場ゲートに鍵をかけ、飛行機に乗って故郷の韓国へ帰国した。オーナーは、従業員に対して何も告げていなかった。給料も支払っておらず、退職金などの手当について話し合うこともなかった。717人の女性従業員らは即座に、給料や各種手当の支払いを求めた。工場の外や韓国大使館前、首都ネピドーの労働省周辺などでデモ活動を実施し、ミャンマー政府にも支援を求めた。

2カ月後、ヤンゴンのJunction Zawana近くにある、ミャンマーで最も有力な活動家グループ、88 Generation Peace and Open Societyのコンクリート製のオフィスの隅で、質素な木の机の前に座る2人の若い工員がいた。23歳のZar Zar Theintさんと、25歳のPhyu Phyu Soeさんだ。2人はマスター・スポーツ社に対する抗議デモのリーダーを務めており、労組法や雇用法などを学ぶために、同グループを頼ってきたのだ。

頭上から2人を見守っているのは、入り口にそびえる「88」を模った巨大な金属の彫刻。そして2人の間には、小柄なMar Mar Oo女史が立っている。Mar Mar Oo女史はエレガントな白いブラウスに身を包み、ミャンマーの国の形をしたブローチを首の位置に留めている。髪は耳の長さに切った黒髪のショートヘアで、ハシバミ色の瞳をしている。ハキハキと話す一方で、一緒にいる人を和やかな気分にさせる。だがこうした雰囲気とは裏腹に、彼女は長年、労働条件の改善を訴え続けている。そして「労働組織はあっても、まだ十分な力を発揮しているとは言えません。労働者に法律や権利の知識がないため、先に進めずにいるのです」と話した。

Mar Mar Oo女史は、労働者が、工場オーナーや弁護士、各々の選挙区を代表する議員らと連携し、すべての人にとって公平で生産的な労働環境を構築することが望ましいとしている。現時点で労働者の立場は不利である。と言うのも、彼らは法律に疎く、そのような相手は雇用する側にとって利用しやすいからだ。Mar Mar Oo女史は「現状で労働条件を改善するのは困難です。問題が起きても一般的な問題にしか対処できません」と続けた。

88 Generationが結成しようとしているのは、全国的な労働組織である。小規模の組織をいくつも立ち上げ、社会的なネットワークを利用して互いを連携させる計画だ。彼らはまた国際労働機関(ILO)ともつながりがあり、衣料産業で働く全国の女性労働者を対象に、労働権に関する教育を提供している。

 

(後編に続く)

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最終更新:2014年10月24日10:43

ミャンマーの108の地域で最低賃金設定に向け調査実施

ミャンマー各地の108の地域で11月末までに労働者の最低賃金設定を目的とした情報収集調査が行われると調査委員会のメンバー Ko Naw Aung氏がMizzima紙に語った。

「Nay Pyi Tawで9月24、25日の両日に実施された調査結果を踏まえると、全土で調査を行うのは適切ではないと判断しました。そこで、108の地域で調査を行うこととしました。」 と彼は語る。

この調査では、家計の日常の支出、家族構成人数、基本的な生活必需品の地域価格指数といった情報を収集する。

収集される情報には、22歳から59歳までの労働可能な家族構成員の収入と職業も含まれるという。

108の地域それぞれにおいて、5人からなる調査団が調査を実施する。

調査団には労働省の公務員、労働者組合や市民団体の従業員及び構成員が含まれる。

この調査の州、地区ごとの結果を受けて、最低賃金が設定され、金額は公に公表される。公表から60日間は、公表された最低賃金について一般の意見や反論を受け付ける。11月末には最低賃金の案が提案され、連邦政府は12月末までに最終的な決定を行う。

現在、ミャンマーには最低賃金の規定が存在しない。

労働・雇用・社会保障省の副大臣U Htin Aung氏は去る6月3日、労働者とその家族が基礎給与で生活できるよう保証することを目的として、12月までに最低賃金が公的に設定されるであろうと誓約している。

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最終更新:2014年10月23日09:24

「メイドイン・ミャンマー」ブランドの構築をめざす縫製業界

ミャンマーの衣料製造業では、欧米市場への参入を目指し、世界的な「メイドイン・ミャンマー」ブランドの確立に動いている、とミャンマー衣料製造協会(MGMA)会長Daw Khaing Khaing New女史は語る。

しかしながら、原材料、資金及び技術へのアクセスが限られていることから、ブランドの確立には時間がかかるであろうと彼女は言う。

「現在でも『メイドイン・ミャンマー』のラベルで輸出されている衣料品はありますが、国内産の原材料のみを利用した生産は容易ではありません。将来的に、市場側の品質要求に適合する事が出来れば、私たちの願望も現実となるでしょう。」

ミャンマー国内の縫製業者は、国内及び外国の業者からの注文を受け、加工を請け負うことで収入を得ている。輸出は一般的に東アジア諸国市場向けである。

「東アジア諸国市場は主要な輸出先ですが、ミャンマーが欧州の一般特恵関税制度(GSP)の対象となって以降、欧米諸国からの投資や注文が入るようになりました。私たちは統一されたミャンマーブランドの構築と普及を図っていきます。」とMGMA議長U Myint Soe氏は語る。

ミャンマーの縫製業界には日本、中国、マレーシア、ドイツ等を含む20カ国以上が投資を行っており、輸出市場としては日本に注力している。日本貿易振興機構(JETRO)はネットワーキングと情報交換を目的とした会合を開催し、ミャンマー・日本両国の衣料品産業の関係者を引き合わせるなどしてミャンマーの衣料品産業を支援している。

現在、国内の衣料品生産者は少量かつ特定のデザインの衣料品の注文を受け納品している。一方、ストライキや賃上げ交渉といった労働問題により稼働を停止している工場もある。

 

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最終更新:2014年10月16日09:18

ミャンマー:香港のアパレル企業がミャンマーに550万ドルの投資

香港に本社を有するProsperity Knitwear Myanmar Ltdは今月、Thilawa工業団地に縫製工場を建設するため550万米ドルの投資を行った。同社は2015年には投資額を4500万米ドルまで増額することを予定している。

同社はすでに中国、香港およびバングラデシュで事業を展開中である。10月9日にミャンマー事務所の設立式典が行われた。

「弊社では今回の550万米ドルに加え、来年は4500万米ドルの追加投資を予定しています。工場は12月に操業開始の予定です。当地には熟練労働者が少ないため、現在は従業員の研修を実施しています。」と同社広報担当のMoe Yu Wai 氏は語る。

この縫製工場ではセーターを生産し、Marks and Spencerブランドで英国、イタリア及びカナダに輸出する予定となっている。

「この工場で生産したものはミャンマー国内では流通せず、ヨーロッパ諸国に輸出されます。」と広報担当者は言う。

この工場の設立により、地元に計2500人の雇用が発生することが見込まれる。現在の従業員数は200人となっている。

Prosperity Knitwear Myanmar Ltdは9月28日にミャンマー投資委員会から投資許可を受けた。Moe Yu Wai氏は操業許可もすぐ発行されるであろうとの見通しを語った。

 

 

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最終更新:2014年10月14日07:54

ミャンマー:年末までに輸出入許可のオンライン申請、導入へ

商務省では今年度末までに輸出入許可のオンライン申請を導入する計画であることを商務副大臣Pwint Hsan博士は明らかにした。

「ヤンゴンやネピドーに行かなくても、インターネット経由で輸出入許可の申請が行えるようになります。」とPwint Hsan博士は、9月7日、ミャンマー衣料製造協会第2回年次会議で述べた。

このシステムは、最初、繊維産業に導入されるが、ミャンマー投資委員会の承認を得れば、どの企業でも利用できるという。

現在でも、企業は輸出入の許可申請に商務省宛情報をEメールできるが、すべての手続きをオンラインでできるわけではない。「これでは本当のオンライン・システムとは言えません。」と副大臣は言う。新しいシステムでは、すべての手続がオンラインで完結し、許可を取得できるという。

商務省では、基本インフラが不十分でオンライン・システムの導入が遅れたので、部分的に導入開始するとし、完全にオンラインで完結する自動システムは、3-4ヶ月以内には完成し、稼働する、とPwint Hsan博士は言う

「現在、システムを運営するチームが作業にあたっています。」とPwint Hsan博士は述べた。

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最終更新:2014年09月19日14:00

ミャンマー繊維産業、欧米からの注文殺到に期待

ミャンマー衣料製造協会(MGMA)議長U Myint Soe氏によると、輸出が記録的な年になる模様であるため、繊維産業は欧米からの注文が多様化すると期待している。

2000年代欧米諸国が経済制裁を課した10年間、繊維産業は衰退し、日本と韓国からの受注だけが頼りの綱だったと彼は言う。

「制裁期間中、欧米の市場は壊滅的で、輸出業者はアジア諸国の市場の中で生き延びなければなりませんでした。」と彼は述べた。

しかし、制裁緩和により、米国と欧州連合(EU)市場へ参入が認められたことで、繊維産業はこの10年間に見られなかったレベルにまで再活性化されたと、9月7日にミャンマー商工会議所(UMFCCI)で開催されたミャンマー衣料製造協会(MGMA)の第二回総会で彼は述べた。

2003年からの米国への輸出禁止は、最大の買い手へのミャンマー製アパレル衣料品の道を閉ざし、その後すぐに日本が最大の輸出市場として浮上した。欧州諸国への輸出は継続したものの、カンボジアなど他の後発開発途上国に適用される関税優遇制度は拒否された。

「2001年に8億米ドル以上の売上を得た後、繊維部門は経済制裁によって危機に陥りました。」とミャンマー衣料製造協会(MGMA)副会長U Aung Win氏は述べている。

しかし、今や繊維部門の競争は激化しており、今年度の輸出は2001年の最高額とその後2012年~2013年の12億米ドルのピークをはるかに上回り、18億米ドルに達することが確実視されていると、MGMA書記長Daw Khine Khine New女史は述べている。米国のアパレルチェーンであるギャップ社は6月、米国の店舗の棚に「ミャンマー製」のラベルが付いた商品を並べ、ミャンマーの工場から商品を調達していると発表した。ビジネス関係者らは、ますます多くの欧米企業が後に続くことを願っている。

4年前の縫製工場の労働人口は約8万人だったが、その後、労働者の数は25万人以上に増加している。

繊維産業は100%外資も受け入れており、新たな国際的関心を集められるはずである。

Daw Khine Khine New女史によると、競争は激化の一途。というのも、日本は徐々に中国からの衣料品調達を減らし、アセアン諸国に目を向けつつある一方で、米国や欧州市場がミャンマーの繊維輸出に対して門戸開放したためである。

この先、どの国がミャンマーの縫製工場への注文に最も熱心かは見分けがつかない。

「日本企業が最大シェアを保持できるかどうかは難しいところです。それぞれの国で市場シェアがどうなるのか言うことはできませんが、投資はますます増加するでしょう。」と彼女は言う。

MGMAの統計でも国内の縫製工場は2012年11月の181より増え、現在では200以上あるという。

 

 

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最終更新:2014年09月18日06:00

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